意識を高めてリモート会議をより良くする方法

By Sean Rintel, Abigail Sellen and Advait Sarkar (Microsoft Research Cambridge), Priscilla Wong (University College London), Nancy Baym, Rachel Bergman, Sharon Gillett, and Danielle Bragg (Microsoft Research New England)

※ この記事は 2021 年 3 月 11 日に投稿された A guide to having better remote meetings by being more intentional の日本語抄訳です。

リモート会議には、チームの連帯感や俊敏性における価値があることが認識されています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、ビデオ通話の不自然さ (英語) が顕著になり、会議の増加が疲労につながることが明らかになりました。こうした問題を解消して、リモート会議の価値を維持するにはどうすればよいでしょうか。マイクロソフトは、コラボレーションへの意識が低いと、テクノロジの良し悪しにかかわらず、コラボレーションの質も低下すると考えます

今回は、「The New Future of Work」(英語) レポートのコラボレーションと会議 (英語) に関する項目に沿って、リモート会議をより良くするための基本方針を考えていきます。詳しくお読みになりたい方のために、レポートのページ番号も記載しています。

ここでは、3 つの面を意識していきます。

  1. 同期および非同期のコラボレーションの選択とバランス
  2. リモート会議と会議前後の行動を意識する
  3. 個人、チーム、組織、それぞれの立場を意識することでどのような影響があるかを知る

同期および非同期のコラボレーションの選択とバランス

単純に会議を行うのではなく、組織の目標とコミュニケーション ニーズを考慮して、会議を同期または非同期で行うかを選択します。

会議には速さが求められます。会議は簡単にスケジュールしてすばやくコミュニケーションできるため、多くの組織において仕事を遂行するための便利な方法です。特にリモートの場合、良い会議では、情報共有よりも相互の対話が促進されます。

  • 会議は、人々がつながり、関係を築き、お互いをよく知る、といった点で重要な役割を果たします。
  • 複雑または不明瞭な議題について、誤解のリスク回避のために話し合う際には、会議が有効です。ただし、全員が準備してきていることが条件です。

非同期コミュニケーションは、スピードよりも内容重視。

  • 非同期コミュニケーションでは、通常、より多く調査できるため、関連問題をじっくり検討できます。また、メッセージを書いたり読んだりするのに要する時間は人によって異なるため、非同期の方が、時間を効率的に使えます。
  • チーム全員が定期的に進捗を報告する場があり、情報が正確に更新されているならば、会議を開催するのは、重要な意思決定など、非同期でのコミュニケーションが難しいときだけでもかまいません。
  • また、欲しい情報が既存のドキュメントに書かれていないか確認したり、会議招集をかける前に相手の所在と勤務時間を確認したりすることで、不要な会議の負担を減らすこともできます。

マイクロソフト エコシステムの非同期コミュニケーション

  • Microsoft Teams チャネルやチャットは、さまざまなボリュームや詳細度のやりとりにすばやく対応でき、そのまま会議に移行できます。
  • OneNote やドキュメントの共同作業は、調査、説明、計画策定など、じっくりと時間をかけたい作業に適しています。
  • Yammer は、長期的な目標を掲げながらも、俊敏なやりとりが可能なため、コミュニティを構築するのに適しています。

リモート会議と会議前後の行動を意識する

会議を設定するときに意識すること

会議の必要性

  • 会議の開催者は、最初に会議の必要性を説明する責任があります。その議題について話し合いたくても、そのためにメンバーの時間を割いて会議を開く必要があるとは言えません。
  • 予定表の時間が空いていても、新しい会議を設定してよいわけではありません。メンバーには、会議を続けて入れたほうがよいか、間隔を空けた方がよいかを確認しましょう。その会議が重要であるほど、会議前の準備や休憩時間も考慮する必要があるでしょう。
  • 休日も含めて、全員のタイムゾーンを確認し、早い時間や遅い時間に参加する人の負担を分散します。
  • 相談なしに、二重、三重に予約を入れることはやめましょう。
  • 参加できない人が、後から内容を確認するための手段も用意します。

会議の目的

会議には、明確な目的と、それを達成するためのアジェンダが必要です。

  • プロジェクトの目的と、会議の進め方を決めておきましょう。
  • 会議のアジェンダでは以下の点を明確にします。
    • 会議の参加者とそれぞれの立場。議論にフルで参加する人と、視聴する人を明確にします。参加人数は必要最低限にとどめましょう。会議に招待された場合は、参加するかどうかを慎重に検討する必要があります。
    • 会議の時間。準備にかかる時間、会議にかかる時間を想定します。定例会議の場合でも、開催すべき理由が必要です。
    • 会議の場所。リモートで参加する人がいる場合は、会議室に集合する代わりに、全員が各自のデバイスから会議に参加することを検討します。こうすることで、すべての参加者に公平な場を作ることができます。意図的にハイブリッドな会議を設定する場合は、リモート参加者がいることを全員に周知します。

会議を開催するときに意識すること

会議の開催者

会議の始めに、概要と目的を (口頭、または招待状やチャットで) 説明します。マイクロソフトは CHARM フレームワークを推奨しています。

  • Chat (チャット): 会議中のチャットの使い方 (後ほど詳しく説明します)。
  • Hand raising (挙手): 挙手制 (機能または実際の挙手) 、または自由発言。
  • Agenda (アジェンダ): 会議の目標やアジェンダ。
  • Recording (録画): 録画の必要性と、全員の合意。
  • Moderator (モデレーター): アジェンダ、指示、質問の調整役。

会議の最後に、フォローアップをします。

  • 会議の最後には、実施項目をまとめる時間を取ります。
  • 「別途対応する」というような言葉があった場合は、必ずフォローアップを行うこととし、可能であれば別途で対応した人が報告を行う場を設けます。

参加者の場合

会議における自分の役割を意識します。

  • 参加する必要性を考えます。会議を単にフォローしたいだけであれば、開催者にその旨を伝えます。会議に参加しなくても最新情報を得る方法はあります。自分の意見が求められているかどうかを確認します。会議を断る場合には、その理由を伝えることも大切です。
  • 参加する立場と貢献方法を確認します。自分が発言することも、他の人に発言を促すこともありますが、立場を意識しましょう。発言できる時間は限られています。並行して行うチャットや共有ドキュメントの方が、より多方面に高度な貢献ができる場合もあります。
  • 他の人の発言を聞きます。会議では、発言するのと同様に人の話を聞くことも大切です。人の発言はしっかりと聞きましょう。積極的にわかりやすい説明を求めることで、他の人も理解しやすくなります。

完全リモートの会議では、発言の順番が大きな課題になります (11 ページ、英語)。役立つ方法をいくつかご紹介します。

  • 自分の発言が終わったことを明確に伝えます。
  • 次の発言者を選ぶときは慎重に行います。まだ発言していない人がいるかどうかを確認します。
  • 対面での会議より、応答時間を長めに持ちます。
  • 最初に発言する人が偏らないようにします。前回自分が最初に発言したのであれば、次回は他の人から始めてもらうようにします。こうした状況が続く場合は、会議を中断して、対処方法を積極的に検討します。

モデレーターの場合

会議の目的を達成するため、モデレーターは積極的に以下のことを行います。

  • 精力的に、活発な議論への参加を働きかけます。
  • 前面に立って会議を進行します。ビデオのオン/オフやマイクのミュートを求めるかなど、技術的な問題にも対処します。
  • プライベートなチャットとパブリック アナウンスの両方を使って、だれもが参加できるようにします。
  • リモート参加者に最初に話してもらうようにします。会議室での会話が続くと、リモート参加者が途中から発言するのが難しくなります。
  • タスクが多すぎる場合は、他の人に作業を代行してもらいます。
  • モデレーターが本題の話を進められるように、他の人が協力します。

会議用ツールを意識的に使う

音声参加者のビデオと視覚表現

  • ビデオの表示はすべてのケースで必要なわけではありません (12 ページ、英語)。
  • 招待時にビデオをオンにするよう推奨し、そのメリットを説明します。全員ではないかもしれませんが、大部分はビデオをオンにして参加するはずです。
  • 個人どうしまたはチーム内でビデオの取り扱い方法を決めておきますこれは、能力が異なる人々が平等に参加できるようにするために特に重要です。
  • プレゼンテーションでは、参加者のビデオと音声がまったくない状態で発表するのは避けたほうがよいでしょう。全員がビデオを表示できない場合でも、数人の代表者を選んでビデオをオンにしてもらい、発表者がその場の雰囲気をつかめるようにします。
  • ビデオを利用すると、一般的には会議がスムーズに進みますが、すべての状況で効果的であるとは限りません。ノンネイティブ スピーカーの理解を助けるなど、特定の場面ではとても大きな価値を発揮します。

会議中に並行して行うチャット

会議中のチャットは一般的になってきています (13 ページ、英語)。チャットは、インクルージョンを高められますが、注意をそらす原因になることもあります。調査報告 (英語) に基づくモデレーターと参加者向けに会議中のチャットについてのガイド (英語) で詳しく説明していますが、基本的な点は以下のとおりです。

  • 発言以外の意見を取り入れたり、チャットの内容が音声やビデオ会議の議論を補強したりするものである場合は、並行チャットを奨励します。たとえば、リンク、質問、解説、反対意見、フォローアップなどです。
  • 並行チャットを控えたほうがよいのは、一部の参加者にしか関心がない内容、趣旨から逸れた内容、チャットがメインの会話よりも盛り上がってしまう場合などです。
  • 並行チャットはしっかりとしたモデレーションをすることで効果が高まります。
  • チャットを重視する場合は、アクセシビリティの確保を必ず確認します。
  • 注目すべきチャットの内容は、会議後のコミュニケーションで共有します。
  • チャットで挙げられた項目がフォローアップされるようにします。

ワーキング セッション会議の「アクティブ アジェンダ」

「アクティブ アジェンダ」とは、会議と並行して参加者全員がライブで使用する共有ドキュメントです。これはワーキング セッション形式の会議に最適です。

  • 共有ドキュメントを作成し、アジェンダを事前に記入しておき、議論を始めます。
  • アジェンダの項目に沿って整然と会話を進められるため、記録を残しながら、活発な議論ができるといった効果があります。音声のみの場合は 1 つの議題に集中する必要がありますが、テキストであれば、ドキュメントの各部分で複数の会話を同時進行できます。
  • これは、議事録をとったり、関連ポイントを提示したりする際にも役立ちます。

まとめ

組織文化において「意識する」ことは、新たな試みでもあります。

  • 会議後にメモを 1、2 行残しておくと、個人やチームが後で振り返るのに役立ちます。
  • マイクロソフトは、スキルと感情を持った人々 (社交性) が集まり (場所)、即時的 (時間) に協力的な議論 (目的) を行えることが、会議の大きな価値だと考えます。場所、社交性、時間、目的への意識を高めることで、価値ある会議を実現できます。
  • 一定期間 (2 週間、1 か月、四半期など) ごとに、意識的に実践した結果を話し合いましょう。

より良い会議にするための鍵は、会議前から会議後までのプロセスを、プロジェクト全体のワークフローに適合できるよう、意識することです。テクノロジを既存プロセスに取り入れるときには、従業員のエクスペリエンスにどのような効果があるのかを意識することが重要です。

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