Windows 10 に搭載される 2 つの Webブラウザ、Microsoft EdgeとInternet Explorer 11
※この記事は日本マイクロソフトのエバンジェリストによる Windows 10 の解説記事です。 1995年に公開されたInternet Explorer 1以来、マイクロソフトは20年ぶりに新しいWebブラウザ「Microsoft Edge」をリリースしました。Microsoft Edgeを開発するに至った経緯やその特長、Internet Explorer(以下、IE)との関係性に触れながら、今のマイクロソフトがWebブラウザをどう考えているのかを、どんなWebブラウザを目指しているのかをお伝えしたいと思います。 Internet Explorerのサポートポリシーの変更 IEのサポート期間をご存じでしょうか。 Windows 10の提供が始まった2015年7月29日時点では「そのIEが動作するOSのライフサイクルに準拠する」これがIEのサポートの基本的な考え方です。つまり、IE8はWindows VistaとWindows 7で動作しますが、Vistaで動作するIE8はVistaのサポートが終了する2017年4月に、7で動作するIE8は7のサポートが終了する2020年1月にサポートが終了します。 2014年8月7日、このサポートポリシーが「2016年1月12日(米国時間)を過ぎると、各OSの最新版のIEのみをサポートする」形に変更されることが発表されました。つまり、Windows 7 SP1では、最新版のIEであるIE11のみをサポートすることになります。詳細はこちらの「Internet Explorer サポートポリシー変更の重要なお知らせ」をご覧ください。 今回、サポートポリシーの変更に踏み切ったのには3つの理由があります。 セキュリティ対策 インターネットを通じたセキュリティの脅威に対抗するために、マイクロソフトではIEの潜在的な脆弱性を日々、修正していますが、提供当時の環境を前提として開発された古いバージョンのIEでは、定期的な更新プログラムの適用だけでは対応が難しいケースが現れるようになってきました。NSS Labs によれば、悪意のあるソフトウェアに対する保護件数は、IE8では69%でしたが、IE11では99%以上になっています。Webブラジング環境を最新のIEにしていただくことで、より安全かつ便利にインターネットをご利用いただけます。 開発や検証の負担軽減 2015年7月29日現在、Windows 7ではIE8/9/10/11の4つのバージョンのIEをサポートしています。言い換えれば、WebサイトやWebサービスの提供者が動作環境としてWindows 7を選択する場合は、これらのIEを前提としたWebの設計、開発をしなければならず、また、提供開始後もこれらのIEでの動作検証が必要になります。動作するIEを最新のIEのみに絞ることで、Webを提供する側の開発や検証に必要なリソースの負担が軽減されます。 最新技術への対応 Webの技術は日々、進化を遂げています。新たなAPIや要素が提案され、改良と検証を重ねて、やがて標準化団体の草案、勧告と進めば、開発者は早くその新しい技術を試してみたい、提供者は自社のサービス、サイトに早く取り込みたいと考えるでしょう。より新しいIEであればあるほど、より新しいWeb技術に対応しています。 株式会社モリサワが提供するWebフォントサービス「TypeSquare」。フォントの種類、大きさ、行間などをシミュレートして、実際にWebサイトがどのようになるのかをシミュレートすることもできる。フォント情報はクラウドから提供されるので、OSやデバイスのシステムフォントに依存せず、共通のフォントでWebコンテンツをユーザーに届けることができる。 Microsoft Edgeリリースへ IEのサポートポリシーを変更した理由は、そのまま、マイクロソフトがMicrosoft Edgeという全く新しいWebブラウザを開発するに至った理由につながります。 IEのレンダリングエンジン「Trident」を搭載した最初のIEは、サッカー日本代表がワールドカップ本戦の初出場を決めた1997年に公開されたIE4でした。ほどなくして、HTML が勧告となり、2年後にはこの後、長く続くHTML… Read more