2017年2月14日 7:26 PM

HoloLens ユーザーの視界を第三者に共有する新規ツール「視聴者視点カメラ」のご紹介

※本ブログは、Windows Blog “How-to: Spectator View, a new tool to help others see what you see in HoloLens” の抄訳です。

皆様、こんにちは。今回の記事では、Microsoft HoloLens 対応のアプリやエクスペリエンスをさらに有効活用するために開発された新規ツールについて、簡単にご説明します。

昨年のリリース以来、お客様からは「HoloLens を装着したユーザーが体験している世界を第三者視点で共有することはできないでしょうか。HoloLens ユーザーの視界を他の人にも見せるだけではなく、同じ世界に入り込んでいると感じてもらえるようにしたいです」というご意見を多数お寄せいただきました。

これにお応えして、今回 HoloLens 用視聴者視点カメラの作り方についてドキュメントを公開しました。

視聴者視点カメラとは

マイクロソフトは HoloLens の開発当時から、HoloLens ユーザーのエクスペリエンスと視聴者 (1 人でも 100 人でも) のエクスペリエンスをリンクさせるテクノロジの必要性を認識していました。HoloLens は 1 人しか装着できません。その世界を公開して、ユーザーが見ているものを他の人にも見えるようにすることはできるのでしょうか。この問題を解決するために、マイクロソフトは複合現実キャプチャ (MRC) を開発しました。MRC は、HoloLens を装着したユーザーの目に映っているホログラムを同じ視点でそのまま視覚化するものです。

 

MRC は、HoloLens ユーザーの視界を他の人と共有する方法として、さまざまな面で優れています。この機能はデバイスに直接組み込まれているため、いつでもすぐに使用できます。デバイスから視界をキャプチャする方法も非常に簡単です。視聴者はユーザーが披露するデモを追体験したり、HoloLens アプリを楽しんでいるようすを見物できます。

使いやすく便利な MRC ですが、いくつか問題点もあります。デバイスに直接組み込まれているため、写真や動画を撮影するカメラの性能、キャプチャや合成を処理するリソースなどについて、デバイスの制限を受けます。また、頭部にカメラが固定されるため、頭部のわずかな動きによって動画が安定せず、使用に耐えない場合もあります。MRC の使用経験がある方であれば、頭部が小さく動くだけでも視聴者は映像を見づらくなる場合があることがおわかりいただけるでしょう。

こうした MRC の問題点を解消するために開発されたのが、視聴者視点カメラです。

視聴者視点カメラを使用すると、HoloLens ユーザーの視界を視聴者と共有する以上のことが可能になります。HoloLens を装着していない人にユーザーの視界をホログラムで見せられるだけでなく、ユーザーが何をしているかや複合現実をどのように操作しているかも見ることができます。また、視聴者視点カメラの映像は頭部の固定カメラでキャプチャされたものではないので、頭部の揺れによる影響を受けることがなく、動画の安定性が非常に高く、視聴者は快適に映像を見られるようになります。

視聴者視点カメラの使い方

使用方法については、私が説明するのではなく、セットアップ済みの視聴者視点カメラを実際に使用したようすを見ていただくことにしましょう。

この動画で説明しているとおり、視聴者視点カメラには主に 3 つの用途があります。

  1. 複合現実環境の写真をキャプチャする
  2. 動作中のホログラフィック環境の動画を撮影する
  3. ホログラフィック コンテンツを視聴者にライブ ストリーミング配信する

 

視聴者視点カメラの作り方

マイクロソフトがプレゼンテーションや基調講演で HoloLens のデモを披露したときと同じテクノロジを使用して、視聴者視点カメラを作成されるのであれば、GitHub (英語)ドキュメント (英語) の内容を確認してください。その前に、まずは重要な基本事項についてお伝えします。

この動画で紹介されているように、視聴者視点カメラを作るには、多少の作業が必要となります。すべての部品が手元に揃っていれば、セットアップが完了するまで 1 日もかかりません。上の動画は、視聴者視点カメラの作り方と使い方を簡単にお見せするためにご用意しました。動画で紹介されていない詳細については、完全なドキュメント (英語) と GitHub の手順ガイドを参照してください。まとめると、必要な作業は下記のとおりです。

  1. HoloLens と HDMI 出力付きデジタル一眼レフ カメラを用意します。
  2. 固定用ブラケットで HoloLens をカメラに固定します。
  3. 視聴者視点カメラを PC に接続します。HoloLens は Wi-Fi で PC と通信します。一般的なゲーム用 PC やワークステーション用 PC に匹敵する性能の PC であれば、対応できます。
  4. 使用するアプリは、共有エクスペリエンスに対応していて、またユニバーサル Windows プラットフォームを活用して HoloLens とデスクトップの両方で実行できる必要があります。共有エクスペリエンスの作成方法については、オンライン講座の Holograms 240 クラス (英語) を参照してください。
  5. HoloLens とデジタル一眼レフ カメラを調整して必要な較正を行います。
  6. これで、ホログラフィックを共有する準備は完了です。

 

これまでに数社のパートナー様に視聴者視点カメラについて共有したところ、このテクノロジのおかげで各社の画期的なソリューションをまったく新しい方法で披露することができると高く評価していただきました。その中でも特に印象的だったご意見を紹介します。

  • 「物理的世界で 3D オブジェクトを表示することは魅力的な体験で、2D のモニターでは味わえないものです。安定装置を使用した視聴者視点テクノロジでは、HoloLens ユーザーの複合現実体験を 3D でごく自然に見せることができます」Michael Hoffman 氏 (Object Theory 共同設立者)
  • 「Valorem の没入型エクスペリエンス チームでは、このたび発表されたマイクロソフトの視聴者視点テクノロジを利用した HoloLens のハードウェアおよびソフトウェアのソリューションの開発に全力で取り組んでいます。当社では、HoloLens デバイスをお持ちの方が、カメラ装置をご自身で作成しなくても HoloLens アプリケーションの第三者視点の複合現実の写真やビデオ キャプチャを出荷時のままで作成できるソリューションを発表しました。当社は、このような Microsoft HoloLens プラットフォームの採用を促進するソリューションの最初の代理店パートナーとなれることを光栄に思っております」Mark Brown 氏 (Valorem、SVP 調査およびインキュベーション担当)

 

チーム メンバー全員が、視聴者視点テクノロジを皆様にお届けできること、それを活用して皆様のコンテンツがより多くの人に届けられるようになることを嬉しく思っています。この最新テクノロジを活用して、皆様が作成したコンテンツをぜひ私たちにも見せてください。

– Brandon Bray