2017年3月17日 3:33 PM

Stryker が 3D を活用した未来の手術室の実現のために Microsoft HoloLens を採用

※本ブログは Windows Blog “Stryker chooses Microsoft HoloLens to bring operating room design into the future with 3D” の抄訳です。

Microsoft HoloLens プロダクトおよびエンジニアリング チームの一員である私の日々は、常に驚くような出来事であふれています。チームやお客様、パートナー様が複合現実の力を利用して、私たちの生活や仕事、遊びや学びのあり方を変化させていくところを間近で見せてもらっています。特に、複雑な問題を解決したり、ビジネスの成果をアップさせたり、テクノロジとのかかわり方を変えるために採用される HoloLens を使った画期的な方法には、驚かされることばかりです。

今回は、医療分野で現在進められている HoloLens の最新の活用事例についてご紹介します。

手術室の今

医療技術製品を提供する世界的大手企業 Stryker は、病院や外科センターの手術室の設計プロセスの改善に乗り出しました。

あまり知られてはいませんが、手術室は通常、一般外科、泌尿器科、整形外科、心臓外科、耳鼻咽喉科 (ENT) といったあらゆる外科分野によって共有されています。どれも専門分野であるため、手術室の構成や配置に対するニーズは、分野によって大きく異なります。照明、機器、道具、さらには手術を受ける患者の向きにいたるまで、すべてのニーズがその手術を担う医師によって異なります。機器をどのように配置するかは非常に重要です。その機器を自然な動きの中で使えるか、効率的に使えるか、作業負荷が余計にかからないかといったことに影響するものであり、場合によっては、スタッフの負担増や手術の遅れにつながる可能性があります。

このような数々の医学分野に対応する優れた手術室を設計するためには、病院全体で大きな会議を行う必要があります。会議には外科部長および何人ものスタッフが出向き、自らの手術を成功させるために必要な配置や実装について延々と説明することになります。そのためには、多くのスタッフの力が必要になるほか、さまざまなテクノロジや機器を適宜持ち運ぶなど、非常に複雑で労力のかかる作業が必要になります。

Stryker が HoloLens を活用して未来の手術室を構築

Stryker は、現在の手術室設計モデルを 2D から 3D へと進化させる必要があることに気付きました。そして、専門分野ならではのニーズが発生することを理解したうえで、すべての外科分野に対応できる共有の手術室をはるかに効率的に設計する方法を確立しました。

HoloLens および Stryker が提供する新しい By Design ソリューションを活用することにより、病院関係者は、強力なホログラムと複合現実のメリットを活かして、理想的な手術室の構想を練ることができるようになりました。

これまでのように、各外科分野のすべてのスタッフや各医療分野で使用されるあらゆる機器を会議室に集めるのではなく、ホログラムを利用することで、さまざまな手術室のシナリオを簡単に修正したり構築できるようになったのです。今後は、すべての関係者がわざわざ会議に出向く必要もなければ、要望を理解してもらうために重くて高価な機器を何度も運び込む必要もありません。

HoloLens を使用した未来の手術室の設計方法

動画をご覧いただくとわかるとおり、複雑な手術室の模型を実際に作成しなくても、HoloLens が提供する複合現実の機能を活用することで、簡単に設計を行い適宜調整を行うことができます。外科医チームは、会議室でもオフィスでも共同で作業を行うことができるほか、実際の手術室で実物大のホログラムを投影することも可能です。重たい機器は不要で、ヘッドセットさえあれば OK です。これにより、チームは構想から実行に移すまでのプロセスをスピーディに進め、外科医、スタッフ、最終的には手術を受ける患者本人のために、手術室を改善することができます。さらに、このプロセスでは 3D のメリットを活用できます。2D の制限から解放され、完成したプロジェクトを簡単に視覚化できるようになるだけでなく、設計ミスを削減し、時間を節約して、手術室を短期間で開設することができます。

約 1 年前に HoloLens がリリースされて以来、多くの企業が HoloLens のホログラムと複合現実の可能性を活用して、イノベーションを推進し、医療分野に変革をもたらしています。

その一社がモデリングおよびシミュレーション分野の世界的大手企業 CAE で、先日、VimedixAR という新しいソリューションを発表 (英語) しました。このソリューションは、HoloLens を使用して複合現実の超音波シミュレーションを作成するものであり、患者の安全性と転帰を向上させることを目的としています。同社が進めるアプローチは、医師、超音波検査技師、学生がホログラムを使用して複雑な器官 (心臓や肺など) を視覚化し、潜在的な問題を特定する能力を向上させるために役立てられています。

さらに、ケース ウェスタン リザーブ大学とクリーブランド クリニックでは、学生が人体解剖学をより深く学習して理解できるように、HoloLens を使ったまったく新しい方法で次世代の内科医や外科医を訓練しています。この HoloLens の使用例は非常に刺激になるものです。

https://youtu.be/SKpKlh1-en0

最後に HoloLens チームを代表して、複合現実を活用して未来の創造を実現しているお客様、パートナー様、開発者の皆様に感謝と称賛の意を表します。皆様が行われている世界中の個人や企業に複合現実の可能性をもたらすための取り組みが私たちの真の活力となっています。

今後の展開を楽しみにしています!

Lorraine Bardeen

HoloLens での開発を開始して、複合現実を活用する取り組みにご参加ください。HoloLens は現在 Microsoft ストアからご購入いただけます。