Microsoft Edge: オープンソースとの協調で Web をより良いものに
※本ブログは、米国時間12/6に公開された“Microsoft Edge: Making the web better through more open source collaboration”と12/7に公開された“Recapping yesterday’s Microsoft Edge and open source announcements”の抄訳です。
この数年間、マイクロソフトはオープン ソース ソフトウェア (OSS) コミュニティに積極的に参加し、OSS プロジェクトを支援する世界最大のサーポーターの一員としての役割を果たしてきました。
そしてこのたび、弊社のユーザーに向けてはWeb の互換性をさらに向上させること、Web 開発者に向けてはWeb技術の断片化を最小限にすることを目的として、デスクトップ版 Microsoft Edge の開発において、Chromium オープン ソース プロジェクトを採用することにいたしました。
この取り組みの一環として 、Chromium プロジェクトに大きく貢献し、Microsoft Edge だけでなく他のブラウザーについても、PC と各種デバイスで優れたエクスペリエンスを提供できるように注力していきます。
多くのユーザーに向けて Web をより良いものに
Microsoft Edge のオープン ソースへの取り組みはこれが初めてではありません。モバイル向けのブラウザーは、1 年以上前の初期段階からオープン ソースをベースとしていました。また、デスクトップ版 Microsoft Edge のさまざまな機能 (Angle、Web Audio、Brotli など) にもオープン ソースを活用しているほか、新しい ARM ベースの Windows デバイスでのWebブラウジングの機能向上に向けても、既に Chromium プロジェクトへの貢献を始めていました。
マイクロソフトの目標は、何年にもわたって機能してきたオープンソースのモデルを採り入れることによって、これまでに培われてきたアーキテクチャや協力的な開発体制と足並みを揃えて、建設的かつ積極的なWebへの貢献ができるということです。多様なデバイスで Web を利用しているユーザーの皆様のために、オープン ソース コミュニティと協力して、最高の成果を追求してまいります。
最終的には、さまざまなユーザーに向けて、Web エクスペリエンスをより良いものにしていきたいと考えています。Microsoft Edge やおそらく他のブラウザーを使用している “ユーザー” の皆様は、互換性の向上をあらゆる Web サイトで実感できるようになると同時に、バッテリ消費を最小限に抑えたり、あらゆるタイプの Windows デバイスのハードウェアの連動ができるようになります。“Web 開発者” にとっては、開発したサイトの検証対象となる Web プラットフォームが減ることになり、問題の発生が抑えられ、サイトを訪れるユーザーの満足度を高めることができます。また、IE にしか対応していない古いサイトについては、引き続き Microsoft Edge サービスによるサポートが提供されるため、“企業の IT 部門の管理者” にとっては、古い Web アプリも新しい Web アプリも Windows のブラウザーでの互換性が強化されることになります。
Microsoft Edge + OSS: マイクロソフトにとっての新たな注力分野
今後一年程度に渡って、弊社では Microsoft Edgeの内部のテクノロジの変更を進め、徐々に開発をオープンにして、関心を持つ皆様に情報をお届けしていきます。この取り組みの主なポイントは以下のとおりです。
- デスクトップ版 Microsoft Edge を Chromium 互換の Web プラットフォームへとに移行します。マイクロソフトでは、Microsoft Edge Web プラットフォームの (a) Web 標準との連携 (b) 他の Chromium ベース ブラウザーとの連携を同時に進める考えです。これによりあらゆるユーザーに向けた互換性の向上と、Web 開発者の検証作業の簡素化を図ります。
- Microsoft Edge はサポート対象のすべてのバージョンの Windows に向けて提供され、アップデートが頻繁に行われる予定です。また、macOS などの他のプラットフォームでも Microsoft Edge を利用できるようにする予定です。Web プラットフォーム エクスペリエンスの向上をエンド ユーザーと開発者の双方にもたらすには、その Web プラットフォームとブラウザーができるだけ多くのデバイスで継続的に利用されている必要があります。そのため、ブラウザーのコードを広範囲に渡って進化させ、マイクロソフトの配信モデルを通じて Windows のすべてのサポート対象バージョンに向けて最新の Microsoft Edge エクスペリエンスおよびプラットフォームを提供しながら、ブラウザーと Windows が緊密に連携することによるメリットを今後も維持していきます。
- Web プラットフォームの強化に貢献し、Windows デバイスでの Chromium ベース ブラウザーのエクスペリエンスを向上していきます。Chromium オープン ソースへの協力をこれまで以上に推進することで、「有益な新技術に対する貢献」がマイクロソフトの理念に新たに加わります。また、これは上述の取り組みにも合致するものです。マイクロソフトは、Windows 上の Web エクスペリエンスをより良いものにすることは、お客様、パートナー様、さらには私たちのビジネスにとってもプラスであると考えており、それを実現するために精力的に取り組んでまいります。
今後の展開
ユーザーの皆様は何もしていただく必要はありません。現在お使いの Microsoft Edge と何の変わりもなくお使い頂けます。Web 開発者の皆様は、ぜひ Microsoft Edge Insider コミュニティ (英語) にご参加ください。プレビュー ビルドの提供開始後すぐにお試しいただけるほか、テストや取り組みについての最新情報をご入手いただけます。プレビュー ビルドは 2019 年早々にリリースする予定です。
ブラウザーを開発しているオープン ソース コミュニティのメンバーの皆様は、ぜひ Microsoft Edge や Chromium プロジェクトの今後の開発にご協力ください。目下進められているのは、ARM64 のサポート、Web アクセシビリティ、タッチ サポートなどのハードウェア連携についての取り組みです。
より詳細な情報は、検証と確認を進めながら随時お伝えしてまいります。オープン ソース コミュニティの一員として積極的に活動する機会が得られてとても嬉しく思っています。そして、だれにとっても Web をより良いものにすべく、マイクロソフトの最高のエクスペリエンスをさらに進化させてまいります。
今後も Microsoft Edge にご注目ください。
– Joe Belfiore
Web開発者の方向けに “Recapping yesterday’s Microsoft Edge and open source announcements” で紹介されている情報を補足します。これらの情報はGitHubのMicrosoftEdge/MSEdgeで公開されています。
- マイクロソフトのオープンソースへの基本的な考え方とまず始めに取り組む範囲について
Microsoft Edge and Chromium Open Source: Our Intent - UIAutomation Provider Mappingsの実装と提供
Intent to Implement and Ship: UIAutomation Provider Mappings - ChakraCoreプロジェクトの最新情報
Chromium adoption in Microsoft Edge and future of ChakraCore - Microsoft Edge Insider
- Microsoft Edge Blog