2019年5月14日 2:32 AM

Microsoft Edge: Build 2019 での発表

※本ブログは、米国時間 5/6 に公開された Microsoft Edge – All the news from Build 2019 の抄訳です。

2019年5月6日から3日間、米国シアトルで開催された開発者向け年次イベント Microsoft Build 2019 で、次期バージョンの Microsoft Edge の魅力的な新機能が発表されました。

先月は、オープンソース プロジェクトの Chromium をベースに構築された次期バージョンの Microsoft Edge の Dev および Canary チャネルのプレビュー ビルド を初めてリリースしました。今回は、開発者にとって、新しい Microsoft Edge がどのようにWebの開発プロセスを簡素化するのか、一般ユーザーや企業ユーザーにとって、生産性の向上にどのように寄与するのかを、新機能の紹介を交えながらご紹介します。

生産性に関する新しいコンセプト

Satya の基調講演の中で、現在開発中の新機能をいくつか披露しました。これらの機能は、Microsoft Edge ユーザーが Web を操作しているときの生産性をこれまで以上に向上させること、制御性を強化することを目的としています。

Collections

これまでのユーザーへの調査、インタビュー、収集したフィードバックを分析したところ、常に同じ問題を口にしていました。それは、Web の情報が膨大すぎて手に負えなくなるという問題です。確かに、タブやウィンドウを開きすぎてどこを閲覧しているのかわからなくなることも多く、無秩序な状態から実用的な情報を引き出すのは困難です。

この問題に対処するために考案されたのが Collections です。クラウドベースのインテリジェンスと直観的なインターフェイスを通じて、多数の Web ページを閲覧しながらコンテンツを収集、整理、共有できます。インテリジェントなエクスポート機能により、コンテンツの論理構造を維持したまま Word や Excel といったアプリケーションへ書き出せるため、あちこちからコピーした複数の段落を引用付きの配布資料に変換したり、買い物リストを価格順に並べ替えられるスプレッドシートに変換したりできます。

EdgeのCollection機能

Collections は開発の初期段階にあり、まだプレビュー ビルドでは利用できません。このエクスペリエンスが Web の閲覧にどのように役立つか、皆様からのフィードバックをお待ちしています。詳細については、今後のプレビュー ビルドの発表をお待ちください。

プライバシー ツール

基調講演では、Microsoft Edge の新しいプライバシー ツールの初期コンセプトについてもご紹介しました。お客様からは、さまざまな Web サイトにおける個人情報の扱われ方を把握することはあまりにも困難で、閲覧中に自分の情報をコントロールできていないように感じるというご意見が寄せられています。

新しいプライバシー ダッシュボードで考えているコンセプトでは、あらかじめ設定された情報共有レベルをユーザーが選択できるようになります。各レベルには分かりやすいラベルが付いており、それぞれに応じた構成が自動的にブラウザーに設定されます。サード パーティによる追跡の可否についても、サイトの互換性への影響を考えながら構成できます。

Edge Privacy tools

現在は、ユーザーが個人情報をコントロールできるようにするうえで最適な方法を検討している初期段階にあり、業界のパートナー企業やブラウザー コミュニティとの意見交換を始めたところです。今回発表したコンセプトについて、皆様からのフィードバックをお待ちしています。詳細については、今後のプレビュー ビルドの発表をお待ちください。

一貫性のあるプラットフォームとツールで Web 開発を簡素化

Dev または Canary チャネルのプレビュー ビルドをご利用の皆様は、新しい Microsoft Edge が最新の Web 標準仕様との確かな互換性を備えていることをご確認されていることと思います。この互換性は、Chromium をベースに構築されたプラットフォームと、Web のスピードでの迅速な更新 (Canary チャネルでの毎日のリリースなど) によって実現されています。Build では、現行バージョンの Microsoft Edge における開発面での主な課題への対応について、もう少し詳しくご説明します。

新しい開発者ツールはこれまで以上に強力で、Chromium DevTools をベースに構築されているため、馴染みのあるエクスペリエンスでWeb コンテンツの検証やデバッグすることができます。ブラウザー内のコンテンツだけでなく、PWA、WebView にも対応しており、これらのターゲットすべてに一貫性のあるエクスペリエンスが提供されます。

ブラウザーから直接インストールされる標準仕様の PWA が完全にサポートされており、Web のフル機能をデスクトップ アプリケーション環境で動作させることができます。次期バージョンの Microsoft Edge はクロスプラットフォーム対応をするため、Windows と macOS の間でエクスペリエンスの一貫性が確保されるほか、基盤となるオペレーティング システムのバージョンを問わず、常に最新の状態に維持され、最新のプラットフォーム機能が提供されます。

Windows 開発者向けには、新しい Microsoft Edge でサポートされる WebView を初公開しました。Chromium プラットフォームの再現性が Win32 アプリや UWP Windows アプリにもたらされ、常に最新またはいずれかのバージョンの Web プラットフォームをネイティブ機能と組み合わせた高度なハイブリッド アプリケーションを実現できます。ご興味をお持ちの開発者の方は、Win32 WebView コントロールの最初のプレビュー (英語) をお試しになり、フィードバックをお寄せください。今後数週間から数か月のうちには、さらなる最新情報をお届けする予定です。

これらの変更は、Web 開発者向けの取り組みの始まりにすぎません。マイクロソフトは Chromium コミュニティへの参加を嬉しく思っており、既に 400 以上のコミットを行い、Windows の Chromium ブラウザー、さらには Electron などのフレームワークにおけるエクスペリエンスを強化しています。初期の重点分野の詳細については、先月のブログ記事 (英語) をご覧ください。今後も、すべてのお客様のために Chromium を継続的に改善し、Web 標準コミュニティのイノベーションを推進してまいります。

エンタープライズ向けのシームレスな互換性を実現する Internet Explorer モードを導入

企業のお客様向けには、新しい Internet Explorer モードを発表しました。この機能により、Microsoft Edge に IE11 との完全な互換性がもたらされ、インターネットの最新の Web エクスペリエンスを犠牲にすることなく、IE向けに開発された社内のWebシステムやWebサイトを利用できるようになります。

Internet Explorer mode

お客様やパートナー様によると、企業の大半が複数のブラウザー ソリューションを利用しており、一貫性のなさや混乱を招いている現状があります。

IT 担当者は複数のブラウザーを管理する必要があり、ユーザーは複数のブラウザーのトレーニングを受ける必要があります。しかも、異なるブラウザー間で設定やお気に入りは同期されていません。さらに、ユーザーが互換性のためにIE11 を開いた後、IE11 から切り替えられなくなる場合もあります。その結果、LOB アプリ開発者は、最新の機能を利用する新しいアプリでも IE11 をサポートする必要に迫られます。

こうした問題を解決するため、新たに導入する Internet Explorer モードでは、Microsoft Edge 内で IE向けに開発されたレガシーなコンテンツを高い再現性でシームレスにレンダリングします。別のブラウザーを開いたり、ユーザーが手動で設定を変更したりする必要はありません。既存のエンタープライズ モード サイト一覧に基づいて、Microsoft Edge が IE のレンダリングが必要なサイトを特定し、バックグラウンドで Internet Explorer モードに切り替えます。

Internet Explorer モードや、Microsoft Edge の展開と管理に関する詳細については、今後の発表を予定しています。どうぞご期待ください。

今すぐご利用ください

次期バージョンの Microsoft Edge の一般リリースに向けて、今回ご紹介した機能やその他の機能のプレビューを段階的に実装してまいりますので、ぜひ、プレビュー ビルドをお試しください。Windows 向けの Dev または Canary チャネルのビルドは、こちらのページ (英語) からダウンロードできます。きっとご満足いただけることと思います。Windows 10 をご利用になっていない場合でも心配は不要です。近日中に、macOS および以前のバージョンの Windows 向けのビルドを公開する予定です。

今週発表する最新情報へのフィードバックやチームへのご提案がありましたら、Microsoft Edge Insider コミュニティ フォーラム (英語)、Twitter、Microsoft Edge メニューの [フィードバックの送信] オプションのいずれかよりお寄せください。
皆様のご意見をお待ちしております。

– Kyle Pflug (Microsoft Edge 開発者エクスペリエンス担当シニア PM リード)