2019年5月27日 8:37 AM

Windows 10 バージョン 1903 の Windows Update for Business の新機能

※本ブログは、米国時間 5/21 に公開された ”What’s new in Windows Update for Business in Windows 10, version 1903” の抄訳です。

Windows Update for Business は当初、限定的なクラウドベースの Windows Update 管理ツールとして提供が開始され、今日では何億台ものデバイスの更新プログラムを管理している Windows Update サービスを利用していました。クラウドベースの更新管理および展開ソリューションを導入する企業のお客様が増えたことを受け、マイクロソフトは Windows Update for Business の機能を強化、拡張し、クラウドへの移行をさらに容易にするべく取り組んでいます。Windows 10 バージョン 1903 のリリースに伴い、Windows Update for Business では、ブランチ準備オプションの簡素化や、期限および再起動の制御性の向上など、複数の機能強化が実施されます。

以下に、今回の変更点をご紹介します。

展開構成の簡素化

Windows 10 バージョン 1903 以降、Windows 10 は単一の半期チャネル (SAC) でリリースされます。これにより、社内での段階的な展開の開始日が統一、共通化され、展開リングの作成が簡素化されます。開始日が同じとなることで、Windows Update for Business を使用してカスタマイズされた展開計画を (遅延リングを使用して) より簡単に実装し、Windows の品質および機能更新プログラムの検証と展開作業を管理することができます。

今回の変更を反映するため、Windows Update for Business の UI と操作方法も刷新されます。これにより、SAC と SAC-T という 2 つのマイルストーンの日付のずれを考慮する必要がなくなるほか、単一の SAC のリリース日を起点として対象を指定した展開を開始し、全社的な展開に向けて取り組むことができます。前回のブログ記事、「Windows Update for Business と SAC-T の終了についての更新情報」でご説明したとおり、今回の変更は 1 回の移行で以下のように処理されます。

  • SAC-T のブランチ準備レベルで遅延を構成済みの場合、構成済みの遅延日数が経過すると更新プログラムがデバイスに配信されます。つまり以前のリリースと何も変わりません。
  • SAC のブランチ準備レベルで構成済みのデバイスの場合、バージョン 1903 へのアップグレードにのみ、60 日の遅延日数をマイクロソフトが追加します。これにより、以前マイクロソフトが SAC のマイルストーンを公開していた時期の状況を再現しています。たとえば、現在 SAC リリース日から 30 日の更新遅延が設定されているデバイスの場合、バージョン 1903 へのアップグレードでは (バージョン 1903 へのアップグレードに限り)、この 30 日の遅延に加えて、マイクロソフトによる 60 日の遅延が追加されます。つまりこのデバイスは、バージョン 1903 のリリースから 90 日 (60+30) 後にアップグレードされます (60 日の追加遅延はマイクロソフトのサービス側で処理され、お客様のデバイス構成や Windows 10 リリース情報には反映されない点にご注意ください)。

Windows 10 バージョン 1903 へのデバイスの更新が完了したら、必要に応じて Windows Update for Business の遅延日数の値を変更してください。これにより、次回の Windows 10 の機能更新プログラムでも引き続き、対象を指定した展開を開始して全社的な展開に移行するまでの間に、追加の遅延を設定することができます。

コンプライアンス期限の機能強化

Windows Update for Business のコンプライアンス期限を利用すると、社内のデバイスに更新プログラムを配信、適用するまでの期間 (更新スピード) を管理することができます。Windows 10 の機能更新プログラムと品質更新プログラムの再起動エクスペリエンスを個別に定義できるほか、期限が迫ってくると事前に再起動のエスカレーション パスが提供されます。

Windows 10 バージョン 1903 では、以下の点から、Windows Update for Business の期限エクスペリエンスが向上しています。

  • エンド ユーザー向けの新しい通知および再起動のスケジュール設定エクスペリエンス
  • 更新スピードの目標を達成するために更新プログラムのインストールと再起動の期限を適用する機能
  • 一定期間中にエンド ユーザーが再起動を制御できるようにする機能
  • アクティブ時間外の更新プログラムの動作を制御する機能

これらの機能強化により、モバイル ワーカーを含む社内全体で更新プログラムのコンプライアンスを徹底することが容易になります。以前のリリースでは、デバイスに更新プログラムがインストールされ、(更新プログラムを適用するために) 再起動が保留されている状態になった時点から設定した期限が適用されていました。Windows 10 バージョン 1903 以降では、設定した遅延日数が経過し、デバイスに更新プログラムが配信された日から期限の適用が開始されます。IT 管理者はコンプライアンス期限を利用して、機能更新プログラム、品質更新プログラム、OS 以外の更新プログラムの期限を制御できます。たとえば、以下のように設定できます。

  • 品質更新プログラムの期限 (日数): 許容値 2 ~ 30 日/既定値 7 日
  • 機能更新プログラムの期限 (日数): 許容値 2 ~ 30 日/既定値 7 日
  • 猶予期間 (日数): 許容値 0 ~ 7 日/既定値 2 日

上記の例では、1、2 番目の構成によって、各更新プログラムの対象となるデバイスが強制的に再起動されるまでの日数を指定します。3 番目の構成は、Windows Update for Business の新機能で、猶予期間 (エンド ユーザーによる再起動を強制するまでの最小期間) を設定することができます。これにより、出張や休暇などで不在の場合に、更新プログラムを適用するまでの期限を延長できます。猶予期間を使用すると、休暇明けのエンド ユーザーには、デバイスの再起動を完了するまでに数日の猶予が与えられます。

Update Compliance のレポートの強化

Update Compliance は、Windows Update for Business を利用して、社内のデバイスの更新状況を監視することができるサービスです。Windows 10 バージョン 1903 以降、Update Compliance を利用しているお客様は、マイクロソフトが特定したハードウェアまたはソフトウェアの互換性の問題で機能更新プログラムが配信されていない管理対象デバイスを確認できます。既知の問題が原因で更新が保留されているデバイスを特定する方法の詳細については、Update Compliance のドキュメント (英語) をご覧ください。現在保留中のアップグレードの互換性を確認するには、Windows リリース正常性ダッシュボード (英語) にアクセスしてください。

診断データ要件の変更

Windows 10 バージョン 1903 以降、Windows Update for Business で構成済みのポリシーを適用するために、Basic 以上の診断データ レベルを設定する必要はなくなりました。代わりに、プライバシーを重視する組織では、選択した診断データ レベルを問わず、Windows 10 バージョン 1607 以降を実行しているすべてのデバイスに対して Windows Update for Business ポリシーを利用できます。

ただし、マイクロソフトの分析ツール (Windows Analytics など) で展開に関するインサイトを表示するためには、引き続き Basic 以上の診断データ レベルを選択する必要があります。

関連情報

Windows 10 バージョン 1903 の Windows Update for Business の機能強化をご紹介できることを嬉しく思います。引き続きフィードバック Hub を使用して、皆様の組織に必要な追加機能についてご意見、ご提案をお寄せください。また、Update Compliance をまだご利用でない場合は、利用を開始し、社内のデバイスの更新状況と更新の妨げとなっている問題を把握することをお勧めします。詳細については、以下のドキュメントをご覧ください。