2016年7月18日 10:22 AM

Windows 10 および Surface の新たな企業向けサブスクリプション オプションを発表

※本ブログは、Windows Blog “Announcing New Subscription Options for Windows 10 and Surface for Businesses” の抄訳です。

今回、私はトロントで開催中の Worldwide Partner Conference (WPC) で、数千社に上るパートナーの皆様を前にお話しをする機会に恵まれました。WPC は、毎年開催しているマイクロソフト最大規模のパートナー向けカンファレンスであり、パートナーの皆様の収益向上やビジネス成長の促進を目的として、世界各国より 1 万 5,000 名を超える参加者が一堂に会します。このイベントを通じて、パートナーの皆様の熱意や創造的なアイデアに直に触れられることをたいへん嬉しく思っています。また今回は、Windows 10 や Surface の新しいサブスクリプション サービスなど、いくつかの発表が行われる予定です。

これまでだれも経験したことのない時代を生きるには、それに対処するための新たなソリューションが必要です。現在はデジタル革命の途上にあり、ビジネスや日常生活のあらゆる場面でテクノロジの利用が進む中、人々はデータに圧倒され、情報セキュリティ リスクの増大に悩まされ、モニターやピクセルといった 2 次元の世界に繋ぎ止められています。しかし、デジタル世界の革命が進むことで、デジタル変革を起こすチャンスが生まれます。お客様とつながり、従業員の能力を高め、業務を最適化し、製品を変革するための画期的な手段をもたらしてくれるのです。

マイクロソフトは、各種の Windows 製品やデバイスを通じてパーソナル コンピューティングをさらに進化させ、デジタル変革を後押ししていくつもりです。パートナーの皆様は、こうしたコンピューティングの新たな流れに伴い、Windows や Surface、Surface Hub、Microsoft HoloLens を活用することで、新しいビジネス チャンスが大きく広がります。

Windows 10 Enterprise E3 for CSP の提供が可能に

現在、Windows 10 は 3 億 5,000 万台以上のアクティブ デバイスで実行されています。企業のお客様は、これまでにないペースで導入を進めており、そのうち 96% 以上がパイロット導入の段階にあります。Windows 10 を導入されたお客様は、ROI が平均 188% に向上し、13 か月での投資回収を達成するなど、既に生産性向上やコスト削減 (英語) のメリットを実感していただいています*。

企業が Windows 10 に速やかに移行している主な理由は、今まさにセキュリティ リスクの増大に直面している状況にあって、その保護に役立つ業界最先端のセキュリティ機能を Windows 10 が備えているからです。あらゆる規模の企業が、高度なテクニックを身に付けたハッカーやサイバーテロリストから攻撃を受けることを懸念しており、1 件のインシデントが発生すると平均 1,200 万ドルものコストが掛かります。大規模な企業はボリューム ライセンス契約を通じて強力なセキュリティ対策を講じていますが、医療、法務、金融サービスといった厳格なセキュリティ要件が課される業界では、米国だけでも 5,600 万社以上の中堅中小企業が、大規模企業と同等の強力なセキュリティを必要としています。

このたび、Windows 10 Enterprise E3 for CSP を提供できる運びとなりました。今秋より企業のお客様は、エンタープライズ レベルのセキュリティ機能と管理機能を、クラウド ソリューション プロバイダー チャネルを通じて 1 シートあたりわずか月額 7 ドルでご利用いただけるようになります。

CSP パートナーの皆様は、Windows 10 Enterprise エディションのサブスクリプションをマネージド サービスの一部として提供できます。これは、専任の IT 担当者や十分な IT スタッフを持たない企業が、信頼できる実績豊かなパートナーにライセンスや IT ニーズを管理してもらえるという点で理想的な方法です。

パートナーの皆様は、Windows 10、Office 365、Azure、Dynamics CRM を含めたマイクロソフトの「完全な IT スタック」を、ユーザー単位、月単位で 1 つのチャネルを通じて企業のお客様に提供できます。これにより、企業のお客様は自社のニーズの変更に応じて、スケール アップやスケール ダウンすることが可能になります。他にも以下に挙げるようなメリットがあります。

  • セキュリティの強化: Windows 10 の高度なセキュリティ機能によって、企業の機密データや ID を保護し、サイバーセキュリティの脅威からデバイスを確実に保護できます。また、従業員がさまざまなデバイスから機密データにアクセスして自由かつ柔軟に管理できるほか、機密性がきわめて高いデータに対しては確実なアクセス制御を実施できます。
  • ライセンス管理と展開が容易: 初期費用が抑えられ、時間の掛かるデバイス管理や監査といった作業は必要ありません。また、サブスクリプション ベース、ユーザー単位のライセンス モデルなので、管理も簡単です。Windows 10 Pro から新しい Windows 10 Enterprise E3 モデルに移行する際には、再起動する必要もなくスムーズに完了できます。
  • パートナーによる IT 管理: Windows 10 やクラウドの展開において実績を重ねたパートナーに、デバイスの構成や管理を任せられます。また、パートナーは企業デバイスのセキュリティや管理について、Windows 10 ならではの機能を活かして戦略を策定できるようにお客様を支援します。お客様は Windows 10 Enterprise など、自社が購入したマイクロソフトのクラウド サービスに関するサブスクリプション契約や利用状況をパートナー ポータルで確認できます。1 つの契約、1 つのユーザー アカウント、1 つのサポート窓口、1 つのシンプルな請求書にそれぞれ集約されるため、管理業務が簡単になります。

Windows 10 Enterprise は引き続き、マイクロソフトの通常のライセンス プログラムを通じてご購入いただけます。また、今年後半に Secure Productive Enterprise E3 および E5 の 2 つのスイートが提供開始となることが先日発表されましたが、これらのスイートには Windows 10 Enterprise が含まれています。

Surface as a Service プログラムの導入と Surface Enterprise Initiative の強化

デジタル革命によって、従来の作業環境は変化しており、同僚と知識を共有したり共同で作業する場面が増えています。一方で、リモートで仕事をする人が増え、どこにいても生産的に作業できる環境が求められています。また、従業員の世代構成の中心は、いくつものデバイスを操り、共同作業やマルチタスクが得意なミレニアル世代へと移行しつつあります。

マイクロソフトは、継続的に Surface 製品ファミリへの投資を行っています。革新的なデバイスが、いかに人々の行動を変化させ、インスピレーションを与え、互いの協力を促し、進歩を加速し、ビジネスを変革させるかを目の当たりにしてきたからです。Surface 事業はこの数年間で成長を遂げ、以前は年間の収益が 10 億ドルだったものが、今では四半期で 10 億ドルに達するまでになりました。ポートフォリオを拡大させるにあたっては、単に優れたデバイスを開発するだけでなく、画期的なコンセプトの開拓にも取り組んでおり、パートナーの皆様が新しい分野で機能を構築し、お客様に適したソリューションやサービスを開発できるように、新たな可能性を探っています。今年は、パートナーの皆様の収益性を向上させるプログラムを促進するために取り組んでいます。

そして今回、一連の新たなパートナーシップとプログラムの導入によって Surface Enterprise Initiative の拡充を図ることとなりました。これは、中堅中小企業から多国籍企業まで、あらゆる規模のお客様が従業員や組織の働き方を変革できるように支援するものです。

  • 「サービスとしての Surface」を発売します。マイクロソフトの (Surface 認定ディストリビューターでもある) クラウド ソリューション プロバイダーの皆様は、マネージド サービスを通じて、マネージド クラウド サービス、Office 365、Windows 10、および関連する ISV ソフトウェアが実装された Surface デバイスを、あらゆるリセラーやお客様に対して提供できるようになります。この新たなサービスによって、柔軟なソリューションを提供し、すばやくデバイスを更新することが可能になるほか、最も優れた Windows と Office が搭載された最新の Surface デバイスをお客様が確実に利用できるようになります。まず欧州の大手 CSP である ALSO と協力して、このサービスの提供を開始します。その後、他のパートナー様を通じてグローバルに展開していく予定です。
  • Surface Multi-National Purchasing Program の拡充を図り、CDWInsightSHI、および Zones と新たにパートナーシップを締結しました。これらのリセラーはそれぞれ、企業のお客様に Surface デバイスとアクセサリを提供します。これにより、企業のお客様にとっては、Surface デバイスの購入方法の選択肢が増えます。また、全社的な標準化リストに基づいて Surface を簡単に入手できるようになり、国をまたいで横断的にデバイスを導入し基幹業務に活用することが可能になります。
  • 昨年、Surface Enterprise Initiative の一環として Dell とのパートナーシップを発表しました。この協力関係によってすばらしい成果が得られています。その後、お客様やパートナーの皆様から、中核となる業務プロセス全般のワークフローをデジタル化するにあたり、カスタム ソリューションを開発するための支援が必要だとの声が寄せられるようになりました。こうした変化に対処するには、Surface デバイスが、きわめて携帯性に優れた強力かつ汎用的なデバイスであるだけでなく、Windows 10 が持つ業界最先端のセキュリティ機能と生産性機能を備えていることが必要になります。そこで今回 Surface Enterprise Initiative の拡充を図り、IBM および Booz Allen Hamilton の 2 社と新たにパートナーシップを締結して、共通のお客様に業界固有のソリューションを提供していくことになりました。IBM にはデータや分析に関する自社のノウハウを活かしながら、Surface デバイスならではの機能を利用して金融サービスおよび消費財業界向けの新規ソリューションの開発に取り組んでいただきます。また、Booz Allen Hamilton には政府機関、公共機関、および医療業界を対象に、拡張性と安全性に優れたソリューション開発にご協力いただきます。

「Windows 10 Enterprise E3 for CSP と Surface as a Service プログラムのリリースにより、お客様の事業目標の達成をさまざまな形で支援することが可能になります。デバイスからオペレーティング システム、さらには生産性に至るまで、これまでにない拡張性を備えた完全なマネージド サービス型のワークプレース ソリューションを提供することができます」

— ALSO、CEO 兼会長、Gustavo Möller-Hergt 氏

こうした新たなプログラムやパートナーシップを導入し、5,000 社以上のリセラー企業から成るマイクロソフトのネットワークの力を結集することで、パートナーの皆様やお客様が自社を最新のワークプレースへと変革する絶好の機会を提供できるようになります。

Microsoft HoloLens がもたらすビジネス チャンス

パーソナル コンピューティングの進化は、最新のデバイスを活用すると共に、さまざまな最新コミュニケーション手段に秘められた可能性を引き出すことで実現します。複合現実の導入によって、人々はより効果的につながることができます。あらゆる物事の中心にあるのは、デバイスではなく人間であり、だれもが自由にテクノロジを操作できるようになるのです。2020 年までには、複合現実、仮想現実、および拡張現実に対応したデバイスの出荷台数が年間 8,000 万台に上ると予想されています。また、マイクロソフトが先日 Windows Holographic を公開したことで、パートナーの皆様とのエコシステムをスムーズに構築できるようになりました。Microsoft HoloLens は、複合現実の世界を既に可能にしています。Volvo などの企業では車の設計方法が変わり、ケース ウェスタン リザーブ大学などでは医学生の学習形態が刷新されたほか、科学者による火星の地表探査にも役立っています。

世界各地の代理店パートナー様が、Microsoft HoloLens を利用して革新的な複合現実エクスペリエンスを開発しています。その驚くべき成果の一端を、こちらのビデオでご覧ください。

https://youtu.be/37HcSPKJk6k

私は今回、PGA ツアーの CIO である Steve Evans 氏および Digital Operations のバイス プレジデントである Scott Gutterman 氏をお招きし、PGA ツアーが Windows 10 と Microsoft HoloLens をどのように活用しているかをご紹介しました。PGA ツアーでは、マイクロソフトのパートナーである CDW のご協力の下、早い段階から Windows 10 の導入を始めており、既に 60% 以上のデバイスに展開を完了しました。今夏中に全デバイスに展開することを目標としています。同社では、ユニバーサル Windows プラットフォーム上で、あらゆるホールやショットのスコア情報や統計情報を追跡できるカスタム アプリケーションを構築しました。また、PGA ツアーのファンを対象に、トーナメントに関するデータをリアルタイムで追跡し、理解を深めることができる Windows 10 向けのトーナメント コンパニオン アプリケーションも作成しています。さらに、Taqtile と共同で、ゴルフのプロ プレイヤー、愛好家、ファンを対象とした Microsoft HoloLens ベースのソリューションも開発中です。

「Microsoft HoloLens は、ゴルフ コースを設計するときや、各コースでの大きなイベント開催を計画するときにたいへん役立ちます。選手やキャディーは、ティーオフのベスト ポジションやハザードを視覚的に確認しながらコースをいかに攻めるか考えたり、ラウンド終了後に各ホールでのプレーを見直したりできます。さらに、HoloLens のエクスペリエンスを共有すれば、効果的なコーチングが可能となり、生徒はレッスンでさまざまなコースやシナリオに基づいたアプローチを学べます」

— PGA ツアー、シニア バイス プレジデント兼 CIO、Steve Evans 氏

Windows 10 は順調なスタートを切っており、企業のお客様には、これまで以上に導入を加速していただけることを願っています。マイクロソフトは、Windows 10 と Surface を新たな方法で提供し、今後予定されている画期的なイノベーションをさらに押し進めることで、パートナーの皆様に新たなビジネス チャンスをご提供できるようにますます取り組んでいくつもりです。今後の展開を楽しみにしています。

Yusuf

* Forrester Consulting『The Total Economic Impact™ of Microsoft Windows 10』より