Windows 10 のサービス オプションと SAC-T の終了について
※本ブログは、米国時間 5/31 に公開された”Windows 10 and the “disappearing” SAC-T ” の抄訳です。
Windows 10 のサービス オプションと SAC-T の終了について
2015 年 7 月の Windows 10 初回リリース時に、マイクロソフトは Current Branch (CB) と Current Branch for Business (CBB) という 2 つのサービスのプロセスについてお伝えしました。これは、さまざまなチームの担当者が長い時間をかけて初期ドキュメントをまとめ上げた、完成度が非常に高いサービスです。ソフトウェア エンジニアリングの視点から見ても、各 Windows 10 SKU やサービスのリリースサイクル オプションの提供およびサポートの効率化を目的とした、ブランチ構造の管理方法が正確に記載されています。しかし同時に、大きな課題もありました。
このアプローチやドキュメントに関して、お客様からの重要なご指摘で以下のことが明らかになりました。
- Office 365 ProPlus と Windows 10 を同時に展開するお客様への考慮が不十分であった。
- リリース時の説明の意図に反して、CBB と CB が別々の「リリース」であるという誤った認識が、お客様や Windows パートナー エコシステムの間に広がってしまった。結果的に、一部の ISV で「CBB がリリースされないとテストを開始できない」「CBB がリリースされた後にサポートを開始する」といった事態が発生した。
そこで、CB および CBB の名称から生じた混乱を解決するために、寄せられたフィードバックと 2 年間に得た経験に基づいて、Office と Windows 10 のリリース サイクル、サービス名称、サービス内容を見直すことを決定しました。
2017 年 7 月、マイクロソフトは Windows 10 および Office のサービス モデルを簡素化して統一しました。これは Windows 10 バージョン 1709 で適用されています。このとき、Office と Windows のサービス名称を CB および CBB から Semi-Annual Channel (SAC) に変更し、POS システム、工場の制御機器、医療機器などの特殊用途の PC 用のサービス モードを Long-Term Servicing Channel (LTSC) に統一しました。John Cable の Windows Experience ブログの記事 (英語) でも述べられているとおり、対象指定の一般ユーザー向けに Windows 10 の更新をリリースするのと同様に、組織でも先に対象となる一部のデバイスに導入して、社内向けのアプリ、デバイス、インフラストラクチャを検証することを推奨しています。そして、検証後に企業全体への展開を実施します。
ここで、もう少し詳しく説明します。
「対象を指定して」展開する
2018 年 3 月のマイクロソフトの企業文化に関するブログ記事で、Windows 10 の展開をプロジェクトからプロセスに移行 (英語) する方針をお伝えしました。この中で、一般的なサービス フレームワークにおける計画と準備、対象を指定した検証、全面展開という 3 つのフェーズをご紹介しました。
「対象を指定する」のは、リリースの初期段階です。企業の IT チーム (またはマイクロソフトの IT チーム) が範囲を限定した「対象」のデバイスに先行導入して、全面展開できるかどうかを判断するための検証とデータの生成を実施します。
実際に、Windows 10 バージョン 1803 は現在この段階にあり、一部の対象デバイス向けにリリースされています。対象デバイスやユーザーの皆様から取得したテレメトリやフィードバックは良好であるため、今後徐々に提供範囲を拡大し、最終的にはすべてのデバイスに展開する予定です。この最終段階が、Windows 10 バージョン 1803 の「全面」展開ということになります。
企業ユーザー向けのサービス フレームワーク ガイドでも、同様のアプローチを推奨しています。リリース時に、まず初期サービス リングとして社内の指定されたデバイスに導入し、検証を行います。その後、全面的に展開可能であると判断されれば、社内のすべてのデバイスに更新を適用します。
Windows 10 のリリース情報ページの読み方
上記の内容から、今後 Windows 10 のリリース情報ページに掲載される更新エントリは 2 種類あることがおわかりいただけたと思います。ただし例外として、以前の CB/CBB の表記によく似た SAC と SAC-T (T は Targeted の略) というエントリが掲載されています。その理由は以下のとおりです。
これは、Windows Update for Business の存在が関係しています。Windows Update for Business はもともと、CB または CBB の適用を遅らせるためのオプションでした。IT 担当者が CBB の更新を遅らせるようにデバイスを構成する際に、マイクロソフトと共に遅延更新の適用日を設定する必要があったため、各リリースに 2 つの日付が存在していました。このモデルが現在の Windows Update for Business でも引き継がれているため、リリース情報ページには SAC-T と SAC の 2 つが存在しています。
Windows Update for Business を利用していない場合、SAC-T は単純にリリースの段階を示しているだけのため、デバイスへの影響は一切ありません。
現在 Windows Update for Business モデルでは、遅延リリース日を特定の日に設定するための改善が進められています。これが実現すると、SAC-T の必要がなくなるため、リリース情報ページに掲載されるのは SAC と LTSC の 2 種類のエントリのみとなります。SAC-T の終了が決定したら、前もって皆様にお知らせします。
次回のブログ記事では、Windows Analytics の具体的な活用方法と、企業内での段階的な展開への応用方法をご紹介します。
Windows as a Service については、Windows IT Pro Center の Windows as a Service のページ (英語) をご覧ください。また、無料サービスにサインアップして Windows Analytics のメリットをご確認ください。