May 20, 2019 8:57 am

AI がユーザーの生産性を引き出すしくみ

※本ブログは、米国時間 5/6 に公開された How AI is making people’s workday more productive の抄訳です。

文書の作成には、人間ならではの創造性が必要です。人工知能 (AI) だけでは、少なくとも満足できるレベルに達することはできません。しかし AI は、正しいスペルと文法で文章を作成するための支援を行うことはできますし、Microsoft 365 製品スイートには、そのような支援を行うさまざまな機能が既に搭載されています。この記事も、そういった AI 機能の力を借りて書かれています。

製品に搭載される AI 機能の高度化に伴い、AI はスペル ミスを指摘する以上のことができるようになっています。

たとえば Microsoft Word には、ドキュメントをできるだけ読みやすくデザインするのを支援するインテリジェント機能が搭載され、Microsoft Search と Microsoft Edge には、ユーザー全員の生産性を向上させるための機能が搭載されています。マイクロソフトは、先日シアトルで開催された開発者向け年次イベント Microsoft Build で、そういった最新のインテリジェント機能を紹介しました。

Microsoft 365 のシニア プロダクト マーケティング マネージャーを務める Malavika Rewari は、「マイクロソフトにとって AI とは、インテリジェント テクノロジで人間の創造性を強化することにほかなりません」と述べています。

Rewari は、Microsoft 365 が AI を活用して、納期や期限に関する要件のエスカレート、圧倒的な量のデータ、高まるセキュリティ上の脅威など、現代の仕事環境を取り囲む課題の克服を支援していると話します。

知識の収集

現代の仕事環境における課題の 1 つに、昔と変わらず、知識不足が挙げられます。これまでとの違いは、現代では従業員がインターネットを利用して学習できる点です。インターネットの利用開始にあたり、半数以上が検索エンジンの使用から始めています。

マイクロソフトは Build で、5 月 28 日からの Microsoft Search (英語) の一般提供開始を発表しました。Search テクノロジは、Web へのアクセスと業務を 1 つの検索エクスペリエンスに統合します。

Microsoft Search は Bing の AI 機能とこれまでに生成された人々の働き方に関する最も大きなデータ コレクションの一つである Microsoft Graph を活用し、組織内のネットワークのどこかに存在するアイテムの検索、操作、閲覧、発見を可能にします。

Microsoft Graph では、パブリック インターネットのデータだけでなく、ディレクトリやポリシー マニュアルなど組織内の従業員だけが利用できるデータも対象になります。グラフは従業員によって異なります。各従業員が属するチームだけが利用できるドキュメントや、それぞれのメールや予定表のデータが含まれるからです。

Microsoft Search チームのシニア プロダクト マーケティング マネージャーを務める Bill Baer は、「Microsoft 365 のあらゆるエンドポイントを網羅する、一貫性のある検索エクスペリエンスを実現できました。Bing で検索するときも、Windows 10 の検索バーで検索するときも、コンテキストに応じた関連度の高い検索結果が得られます」と述べています。

Microsoft Search には、ユーザーの質問と明示的に関連する段落がドキュメントから抜き出される Machine Reading Comprehension (機械読解、英語) 機能など、新しいインテリジェント機能が搭載されています。たとえば、ある従業員が「職場に犬を連れてきてもいいですか」と質問すると、Microsoft Search が人事マニュアルから関連する段落を抜き出してきて、それを検索結果として表示します。

「問われていることを理解して数百万語にも及ぶテキストから答えを探し出し、コンテキストに基づいて回答するのです」(Baer)。

もう 1 つの新しいインテリジェント機能は、社内ユーザーが不十分な情報でも人物を検索できるようになるものです。たとえば、「3 階にいる Pat さんに伝えて」と言われたものの、Pat がだれかわからない状況があるとします。そのような場合に、「Pat、3 階」で検索すると、検索者が所属するチームや場所から Microsoft Graph のインテリジェンスを利用して、Pat である可能性が最も高い人物を、電話番号や写真と共に検索結果として表示します。

Microsoft Edge の展望

マイクロソフトは先日、デスクトップ用 Microsoft Edge の開発に Chromium オープン ソース プロジェクト (英語) を採用する計画を発表しましたが、Baer によると、Edge ブラウザーでも Microsoft Search の機能を自然に利用できるようにする取り組みも進んでいます。これは、Microsoft 365 アカウントにサインインしたユーザーが、Edge ブラウザーで関連度の高い検索結果を確認できるようになるということです。

Microsoft Edge チームは、「コレクション」と呼ばれる機能の実験も行っています。これは、開いているブラウザーのウィンドウでインターネットを閲覧しながらコンテンツを編集、整理し、そのコンテンツをインテリジェントに電子メールで共有したり、Excel や Word にエクスポートしたりできる機能です。

たとえば、新しいカメラの購入を検討しているユーザーが、いくつかの製品 Web サイトにアクセスして、各ページをブラウザーの横にある [コレクション] ペインに保存したとします。コレクションの基盤になっている機械学習により、各モデルの画像が価格、ユーザー評価、データ元の Web サイトといった関連するメタデータと一緒にインテリジェントに表示されます。

それを見たユーザーは、リストを友達に電子メールで送信したり、コンテンツのフォーマットを変えないようにコレクションを別の場所にコピー アンド ペーストしたりできます。もう 1 つのオプションが Excel へのエクスポートです。これを実行すると、機械学習により、収集されたメタデータに基づいて、ブランド、モデル、価格、評価などの列で構成されるテーブルが自動的に作成されます。

Microsoft Edge 担当グループ プロダクト マーケティング マネージャーの Divya Kumar は、「ひとめで簡単に情報を確認し、迅速に判断できる」と話します。彼女によると、Word へのエクスポートについても、複数の Web サイトから収集された画像やテキストなどの情報を含むドキュメントを、引用を含めて編集する機能など、同様の機能の実験が進んでいます。

Word ドキュメントの作成支援

今年の秋以降、ドキュメントをブラッシュアップするためのインスピレーションやインサイトを求めて Word Online を利用しているユーザーに、アイデアによるインテリジェントな支援が提供されるようになります。アイデアは既に PowerPoint や Excel でユーザーの生産性向上に貢献しています。

Wordのアイデア機能は、機械学習と Microsoft Graph のインテリジェンスを使用して、ユーザーが洗練された文章を書いたり、プロらしいドキュメントを作成したり、他のユーザーが作成したドキュメントを効率よく閲覧したりするのを支援します。

たとえば、Microsoft Graph からのフィードバックやシグナルを見ると、ユーザーがドキュメントの構造化に役立つ Word のツール (セクション ヘッダーなど) をほぼ無視して、手作業で一部の文字列を大きめの太字に変更して新しいセクションであることを表現していたりします。

マイクロソフトのエクスペリエンス/デバイス グループでプログラム管理を担当しているパートナー ディレクターの Kirk Gregersen の説明によると、「アイデアの機能は、ユーザーのドキュメントの構造を理解し、ユーザーの代わりにドキュメントを見やすくしたり、目次を作成するお手伝いを申し出るようなイメージですね」

その他のインテリジェントな提案には、Microsoft Graph での使用状況に基づく推奨頭字語、ドキュメントを読み終わるまでの平均時間、ハイライト抽出に加えて、おなじみのスペル チェックや文法チェック、「看護婦」ではなく「看護師」など、簡潔で多様性に配慮した言葉づかいに関するアドバイスなどがあります。

細部に配慮した書き換え

Word で最近利用可能になったインテリジェント機能に、書き換え候補の提示があります。これはディープ ラーニングの力を借りて、別の言い回しを提案する機能です。

このテクノロジは、機械学習を利用して単語が文に現れたコンテキストを理解し、より適切な単語の選択肢を提案する Word の類義語機能を強化したものを基盤にしています。

Microsoft Office チームでシニア プログラム マネージャーを務める Zhang Li は、「別の言い回しを探すためにインターネットを検索する必要はありません」と言い、インテリジェンス サービスによりドキュメント内に候補が表示されるようになる展望を語っています。

彼のチームは、今年既に同様のテクノロジを使用して類義語の格付けを改善し、候補となった類義語が選ばれる確率を倍増させています。

Microsoft 365 のシニア プロダクト マーケティング マネージャーを務める Rewari は、「私たちは、皆さんのスキルをさらに高めたいのです。もっと効率的で、効果的で、包括的なコミュニケーションのお手伝いをしたいと思っています」と語っています。

冒頭のビデオ: 機械学習と Microsoft Graph のインテリジェントを利用する Word のアイデア機能が表のスタイルを変更しプロらしいドキュメントの作成を支援。

Microsoft Build 2019 Microsoft 365 AI に関連するリンク

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