2019年11月21日 9:21 AM

Ignite 2019: Excel に関する発表

※ 本ブログは、米国時間 11/4 に公開された ”Excel Announcements @ Ignite 2019” の抄訳です。

Microsoft Ignite 2019 が開催されました。それに伴い、今週はさまざまな発表があります。このブログ記事では、今年の Ignite でプレゼンテーションが行われる Excel に関するニュースを一部ご紹介します。

自然言語のクエリでインサイトを簡単にデータから引き出す

本日 Office Insider の皆様にロールアウトする自然言語のクエリは、Excel のアイデアで提供している機能の 1 つです。この機能を使用すると、複雑な数式を記述することなく質問形式でデータを照会して、インサイトを収集できます。自然言語のクエリでは、質問を通じたユーザーからの照会に対し、Excel のアイデアを支えるインテリジェンスを用いて、数式やグラフ、ピボット テーブルで、すばやくデータを返します。この機能は、Windows 版、Mac 版、Web 版の Excel で使用できます。現時点では英語のみに対応していますが、今後、他の言語でも利用できるようにする予定です。

使い方は簡単です。Excel で [アイデア] ペインを開き、ペイン上部の検索ボックスに質問を入力して Enter キーを押すだけです。返される情報は、数式やグラフ、ピボット テーブルの形式で提示され、ブックの中に挿入されます。

すべての Excel ユーザーの皆様がそのレベルにかかわらず、データからのインサイトの抽出やデータの視覚化をより身近により利用しやすく感じられるよう、マイクロソフトは自然言語のクエリを通じてサポートを続けてまいります。自然言語のクエリでは、適切な数式の記述方法がわからない初心者ユーザーの方もデータから有用なインサイトを抽出することが可能です。パワー ユーザーの方も、適切な質問を投げかけるだけですぐにグラフや表を作成できるため、作業時間を短縮することができます。その中間にいるユーザーの皆様にとっても、自然言語のクエリはメリットをもたらします。自然言語のクエリを活用することでユーザーの皆様は、すばやく適切な意思決定をするのに必要なインサイトを入手できます。自然言語のクエリとその使用方法の詳細については、こちらをご覧ください。

XLOOKUP で必要な情報をすばやく検索

XLOOKUP は、既に Office Insider にリリース (英語) しており、ユーザーの皆様からたいへん多くの貴重なフィードバックをお寄せいただいています。Excel の顔とも言える VLOOKUP 関数の後継である XLOOKUP では、VLOOKUP に存在していた従来の制限事項が取り除かれて、値の検索の効率が向上しています。

Office Insider コミュニティから寄せられたフィードバックの中から強く要望のあった [if_not_found] 引数を 10 月 29 日時点で機能に追加しました。[if_not_found] は XLOOKUP の第 6 引数としてロールアウトされましたが、[match_mode] や [search_mode] よりも使用頻度が高いことから、第 4 引数に昇格しています。この変更により、これまでの XLOOKUP で 4 つ以上の引数を使用する場合の動作が変わります。XLOOKUP を使用していてアップデートをした場合、引き続き意図した計算ができるよう、式の内容を見直す必要があります。

今後数か月のうちに XLOOKUP の一般提供を開始いたします。XLOOKUP の詳細については、こちらの記事をご覧になり、XLOOKUP をぜひお試しください。皆様からのフィードバックをお待ちしております。

シート ビューを活用してブックの共有でスムーズにコラボレーション

共有ブックを開いたときに、値の一部が表から消えていることに気づき、慌てた経験などないでしょうか? 多くの場合、共有ドキュメント内でフィルターを追加したり、列を並べ替えたりするとそうした事態が起こります。リアルタイムでコラボレーションができるのは好ましいことですが、あるユーザーがドキュメント内で行った変更が、即座に他のユーザーに伝わります。非常に優れた機能である一方、Excel でのコラボレーションでは、1 人または複数のユーザーが表を操作して任意の値を表示したり、グループ全体のために表を変更したりする必要があり、混乱のもとになることも少なくありません。

こうした場合に、Web 版の Excel にあるシート ビューを使用すれば、コラボレーションを妨げることなく作業を進めることができます。シート ビューでは、データの並べ替えやフィルタリングをした後に、表示内容の変更を処理した本人だけに表示するか、ドキュメント内にいるユーザー全員に表示するのかを選択できます。自分だけに表示することを選択した場合、その表示内容を再度見られるように別のビューとして保存することも可能です。この一連の作業で、共有ファイル上の他のユーザーが見ているデータに支障をきたすことはありません。表示内容は、リアルタイムでコラボレーションしている最中に、ドキュメント内にいる他のユーザーがアクセスできるように保存することができるため、チーム内のワークフローに混乱が生じるのを避けられます。シート ビューを使用するのに必要な作業は、[表示] タブをクリックし、リボンの左にあるドロップダウン リストから目的のシート ビューを選択するだけです。

シート ビューは、Web 版の Excel で 2019 年末までに利用できるようになる予定です。

動的配列を活用して数式の数を減らし、得られる値を増やす

動的配列は、Web 版の Excel で今週から一般提供が開始されます。また、一部のユーザーを対象にロールアウトを行い、カスタマー エクスペリエンスの大幅な向上に向けてフィードバックの収集と品質の監視を継続してまいります。動的配列を使用すると、FILTER、SORT、UNIQUE などの数式を 1 つ記述するだけで値の配列が得られます。記述した数式が 1 つのときには、一度に 1 つの値しか得られないという制約がなくなります。動的配列の値は自動的に「スピル」するか隣接する空白のセルに配置され、必要なすべての値が 1 つの数式で得られるようになります。

動的配列の詳細については、これまでの発表に関するブログ記事 (英語) をご覧ください。以下の記事も参考にしてください。

Office Scripts で作業を簡単に自動化

Office Scripts は、Excel の初心者ユーザーの方から高度なコーディング スキルを備えたユーザーの方まで、皆様がスクリプトを記録し、作業を自動化できる機能です。この機能は、2019 年末までにパブリック プレビューとして Web 版 Excel で利用できるようになります。Office Scripts が利用できるようになると、[自動化] タブの [記録] ボタンをクリックすれば、目的の操作の記録、記録の停止、スクリプトの保存ができます。スクリプトは OneDrive for Business に保存され、ブックで簡単に再利用することができます。スクリプトを記録するか作成済みのスクリプトを選択したら、以下の 3 つのうちいずれかの方法でスクリプトを実行します。それは Web 版の Excel から手動でスクリプトを実行する方法、処理をスケジューリングして自動的に実行する方法、トリガーにより条件に基づき自動的に実行する方法です。

また Office Scripts では、コーディングの経験があるユーザーは、記録したスクリプトを Office アドインで利用できるのと同じ Excel JavaScript API を使って拡張することが可能です。

Office Scripts は Web 版 Excel のパブリック プレビューとして 2019 年末までに利用できるようになります。機能を有効にする方法や使用方法の詳細をぜひご確認ください。

ドキュメントを機密扱いにして機密データへのアクセスを保護

組織内において特に機密性の高い情報を保護する場合、所有しているデータの内容とその機密度のレベルを把握し、その内容に応じてドキュメントを保護することが基本的な手順となります。機密ラベルを使用すると、想定外のユーザーが誤ってドキュメントにアクセスするのを防ぐことができます。Office 365 では、手動でラベルを適用するか、マイクロソフトが自動的に推奨するラベルを使用して、ドキュメントへのアクセスやドキュメントの機密度を管理することが可能です。

Mac やモバイルの製品版 Excel で既にリリースされている機密ラベルを手動で適用する機能は、現在 Windows 版の Excel や、Office 365 のサブスクリプションをお持ちのユーザーを対象とする Web 版の Excel にロールアウトされています。ラベルは暗号化するように構成できますが、機密ラベルに関連付けられた暗号化機能によってアクセス権限を付与されているユーザーであれば、共有ブックにアクセスできます。具体的には、ブックに「社内向け」というラベルが付与されている場合、従業員だけに読み取りと書き込みのアクセスが許可されます。従業員はドキュメントを開き、その内容を閲覧、変更することができますが、社外のユーザーはアクセスすることができません。

自動的に推奨されるラベルでは、機密性が高いと考えられるコンテンツがブック内に存在すると、Excel はそのコンテンツをユーザーに知らせ、管理者のセキュリティ設定に従い、使用すべきラベルを提示します。この一連の処理は、ユーザーがブックを開いたときに自動で実行されます。ファイルを更新したときには、バックグラウンドで同じ処理が行われます。さらに、自動的にラベルが適用されるよう管理者が構成すれば、ラベルが自動でブックに適用されます。ブックのラベルをステータス バーに表示して調整できるようにするには、[ホーム]、[秘密度] ボタンの順にクリックします。

機密ラベルの適用を自動化する機能は、現在 Fast for Excel on Windows と Web 版 Office のプライベート プレビューにロールアウトしています。

Microsoft Information Protection の最新情報については、こちらのブログ (英語) から詳細をご覧ください。

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