2019年11月25日 6:36 AM

Microsoft Teams の通話機能の最新情報 (Ignite 2019 編)

※ 本ブログは、米国時間 11/4 に公開された What’s New for Calling in Microsoft Teams (Ignite 2019 Edition) の抄訳です。

今年は Teams の通話機能にとって大きな 1 年となりました。Enterprise Connect カンファレンスでの新機能の発表に始まり、最近では Gartner の Magic Quadrant for Worldwide UCaaS (英語) で「リーダー」の評価を獲得しました。そして今回は 2019 年の締めくくりとして、新たな情報をお伝えしたいと思います。それは、Microsoft Teams 電話システムの新しいユーザー エクスペリエンス、ダイレクト ルーティングの強力な管理者設定オプション、Teams 通話プラットフォームでの新機能構築のためのパートナーシップ拡大についてです。今が Teams の通話機能を導入する絶好のタイミングです。電話システム、ダイレクト ルーティング、新たなパートナーシップの締結によって、どのような価値が生まれるのか確認していきましょう。

通話エクスペリエンスの強化

ソフトウェア アシュアランス付きのボリューム ライセンスをお持ちのお客様は、契約更新時に Skype for Business Server から Teams と電話システムにアップグレードすると、電話システムを 15% 割引でご利用いただけます。このオファーは、来年早々に開始される予定です。ぜひこの機会に、クラウドのコラボレーションを始めてみてはいかがでしょうか。

緊急事態においては、1 分たりとも無駄にすることはできません。動的緊急通報を使用すると、ユーザー位置情報の共有、緊急通話のルーティング、派遣要請が可能になります。現在この機能は各通話プランで利用でき、ダイレクト ルーティングでのサポートは年末までには提供される予定です。

発信者がだれなのかを把握し、代理人が着信を適切に選別してルーティングできるように設定しておくと、1 日を生産的に過ごすことができます。先日、逆引き番号検索機能の提供が開始され、複数のデータ ソースから発信者の名前を取得して表示できるようになりました。これで履歴内の発信者 ID とボイスメールを確認し、発信者がだれかをいつでも知ることができます。また、委任機能が強化され、代理人が管理する着信の設定を、代理人自身がさらに制御できるようになりました。今後は代理人をさらに追加したり、通話転送設定を変更したりすることができます。この 2 つの機能強化により、適切な着信を適切なタイミングで受け取れるようになっています。

保留中は、通話がつながった状態かがどうかわかりにくいと、発信者は不安になるものです。保留音を利用すると、外部の発信者が音楽を聞きながら待機できるため、不安にさせずに済みます。

国防総省などの米国政府機関は、クラウド ソフトウェアに対して非常に厳しいセキュリティ ニーズを抱えています。マイクロソフトはこうした高い基準を満たすために、Government Community Cloud (High) のお客様と米国防総省向けに電話システムの提供を開始しました。

自動応答通話キューには、自動応答からの内線通話サポートの拡張、共有ボイスメール、通話の分析、最長保留中の通話キューのルーティング、通話キューに対する個々のエージェントの割り当て、応答待機時間の改善など、多数の機能強化が施されています。これらの機能強化は、ハイブリッド番号のサポート、マルチナンバーの割り当て、通話キューのラウンド ロビン ルーティング オプションなど、以前にリリースされた改善を基に行っています。

通話に関するトラブルシューティングが必要な場合、問題解決のカギとなるのは、最新のデータにすばやくアクセスできることです。通話品質ダッシュボードには、最新の機能強化により、ほぼリアルタイムのデータ可用性を始めとする多数の新機能が組み込まれました。通話データは平均 30 分以内に利用できるようになり、以前のバージョンから大幅に改善されています。

電話システムの管理が Teams 管理センターで行えるようになりました。通話プランのお客様は、電話番号の検索、取得、エンド ユーザーへの割り当てが可能で、管理者がエンド ユーザー用の緊急アドレスを作成してそれぞれに割り当てることもできます。また、カスタム ダイヤル プランの作成/テスト/管理、ダイナミック緊急通報の構成、自動応答と通話キューの改善された構成オプションの使用が可能です。

上記のすべての機能を年末までに一般提供することを目指しています。

どの機能も、今年初めにリリースしたすばらしい成果をベースに作成されています。中でも重要なのは、Government Community Cloud のお客様向けの電話システムの更新、セカンダリ呼び出し、場所を問わない応答、Teams クライアントのボイスメール設定、Chrome での音声通話、コール パーク、グループ通話ピックアップ、回線共有機能、日本向け Softbank 通話プランなどです。

お客様のニーズに応えるダイレクト ルーティングの新機能

ダイレクト ルーティングの利用は世界中で拡大しており、現在 80 か国以上に上っています。それに伴い、構成に関する新しいニーズが見えてきました。ぜひマイクロソフトの最新の開発情報をチェックしてください。また、Ignite に参加されている場合は、通話エクスペリエンス関連のセッションで詳しい開発情報をご確認ください。

大規模なお客様の場合、既に複雑なネットワークを展開していて、既定の構成ではネットワークのニーズを満たせなくなっている場合があります。そのためマイクロソフトは、マイクロソフト クラウド メディア プロセッサとリレーのどちらを既定で使用するかを選択できるようにしました。これで、パフォーマンスの向上を期待できます。

ダイレクト ルーティングを使用すると、通話をサードパーティ製システムにルーティングできますが、まれに「誤検知」の不在着信が発生することがありました。そのため、不要な不在着信メッセージを抑制できるようにし、発信元ユーザーのエクスペリエンスを改善しました。この機能の詳細については、こちらのドキュメントをご覧ください。

Microsoft Teams のセッション ボーダー コントローラー (SBC) の接続をテストする場合に、PowerShell スクリプト SIP Tester を使用できるようになりました。これで構成に関するフィードバックをすぐに入手できます。

リングバック ボットは、呼設定が遅れて想定外の無言状態が発生した場合に便利です。2 種類の音声シグナルが発信者に向けて再生されます。1 つ目は Teams で通話を確立するプロセスが実行中であることを示し、2 つ目は通話が確立した後に再生されます。

ダイレクト ルーティング使用状況レポートでは、管理者が通話について詳細な情報を確認できます。この情報は計画、調査、トラブルシューティングに役立ちます。レポートは Excel ファイルとしてエクスポートすることもできます。

SD-WAN を使用した存続性と通話品質は、お客様にとって最重要事項です。これについて異論の余地はありませんが、まだ実現するには至っていません。これは、SD-WAN によって主接続が使用できない場合に代替リンクへの通話の動的な再ルーティングを可能にし、品質のテレメトリに基づいてリンク間で通話を新たにルーティングすることで、通話品質を向上させるという機能です。現在 Oracle と協力して、電話システムやダイレクト ルーティング向けの SD-WAN ソリューションの実現に向けて取り組んでいます。来年早々にもより詳しい情報をお伝えできる予定です。

Ignite でのパートナー最新情報

ダイレクト ルーティングは、認定されているセッション ボーダー コントローラー (SBC) を使用して、マイクロソフトとパートナー様が全体的な通話エクスペリエンスを改善し、カスタマー サポートを合理化できるようにする機能です。このたびマイクロソフトは、Cisco、EricssonNokiaMetaswitch との新しいパートナーシップを締結しました。これにより、Audiocodes、Oracle、Ribbon、TE-Systems (Anynode)、Thinktel などの既存のパートナーシップに加えて、サポート対象のシステムがさらに拡大します。Teams での通話機能の導入はこれまで以上に容易になりました。ダイレクト ルーティングを強化する方法の詳細については、いずれかの SBC パートナーにお問い合わせください。

このダイレクト ルーティングの動きをベースに、マイクロソフトは Teams を業界屈指のクラウド コンタクト センター プロバイダーとシームレスに統合する取り組みにも力を入れています。Five9、Genesys、NICE inContact といった今年初めに連携を発表したパートナー様が、2020 年上旬の提供に向けて自社ソリューションの可用性の範囲を広げています。また、コネクテッド コンタクト センター ソリューション向けの新しい Microsoft Teams 認定プログラムに参加するパートナー様も続々と増えています。これらのコネクテッド コンタクト センター ソリューションにより、パートナー様が提供する機能を顧客がフル活用できるようになるだけでなく、サポート担当者が Teams を使用している各部署のエキスパートを簡単に見つけて、シームレスにアドバイスできるようになります。Teams プラットフォームを活用した新しいエクスペリエンスを組み合わせることで、組織内のすべてのユーザーがより効率的に連携して顧客とつながり、内部および外部とのコミュニケーション ハブとなる Teams を活用でき、そのメリットを顧客にももたらすことができます。

今年初めにマイクロソフトは、初の Teams 通話および会議向けコンプライアンス レコーディング ソリューション プロバイダーとなる ASC、NICE、Verint との提携を発表しました。これらのパートナー様から広範な可用性を実現するソリューションが 2020 年上旬に提供される見込みです。コンプライアンス レコーディング ソリューション向けの新たな Microsoft Teams 認定プログラムへのパートナー様の参加も拡大しています。コンプライアンス レコーディングに対応した Microsoft Teams ソリューションを認定することにより、柔軟なプロビジョニング機能や管理機能と共に、Teams のすべての通話と会議に安全でスケーラブルな自動記録機能が提供されることをお約束します。

エンタープライズのお客様の多くは、既に Teams の通話エクスペリエンスを活用されています。これをすべてのお客様にとって最適なものとするために、マイクロソフトは引き続き革新的な機能を提供し、パートナーシップを拡大してまいります。ぜひこの機会に既存の PBX からアップグレードし、Teams エクスペリエンスとの統合によるクラウド通話のメリットを手に入れてください。