2022年12月15日 6:15 PM

アクセシビリティの高い学習を実現するインクルーシブデザイン

※本ブログは、米国時間 12 月 1 日に公開された “Inclusive design for accessible learning” の抄訳を基に掲載しています。

アクセシビリティの高い学習を実現するインクルーシブデザイン

12 月 3 日の国際障碍者デーは、10 億人を超える世界中の障碍のある人たちと共に、活気ある貴重な社会の一員である彼らの役割を認識する記念日です。10 人に 1 人の子どもに障碍があることを考えると、生徒たちにはインクルーシブデザインで設計された学習テクノロジが必要です。そのようなテクノロジがあれば、能力や収入、言語、場所、アイデンティティに関わらず、生徒たちは知識を構築する際にさまざまな方法で創造し、関わり、参加できるようになります。

インクルーシブデザインにより、マイクロソフトの教育ツールはより幅広い能力を持つ、より多くの生徒に開放されます。Microsoft 365 TeamsWindows 11 などのツールでは、あらゆる学習者の個別のニーズを支援しようと、強力なアクセシビリティオプションを提供しています。そのオプションは一般的な機能として組み込まれており、偏見を生まないものとなっています。

インクルーシブラーニングの事例を紹介

2020 年、パンデミックによって多くの子どもたちの日常が崩壊して学習にも混乱が起き、特別支援が必要な子どもたちの教育を専門とする学校に大きな影響が出ました。そこで世界中の教育者は、テクノロジを活用してよりインクルーシブな学習環境を構築し、独自のニーズに関わらずすべての生徒が成長できるようにしたのです。

インクルーシブな教育ツールにより、より多くの生徒がカリキュラムを利用できるようになるほか、教育者の時間も最適化され、学習成果も向上します。生徒は自らの可能性を伸ばして自立できるようになり、教育者はあらゆる学習者を巻き込む力が高まります。

ここで、現場の教育者がマイクロソフトの教育ソリューションを活用し、よりアクセシビリティの高い魅力的な学習体験を構築している様子をご紹介したいと思います。

The Loom School: 実世界に成果をもたらすリモートソリューション

ジョージア州ディケーターに拠点を置く The Loom School は、学習障碍のある子どもたちやメンタルヘルスに問題のある子どもたちが通う小さな私立学校です。COVID-19 (新型コロナウイルス感染症) の健康危機が全米に広がる中、同校のリーダーシップチームは、主にリモート学習やリモートサービスに移行することこそ最も安全な方法であると考えました。同校ではすでに Microsoft 365 を利用していたことから、充実したリモート学習環境を構築するにあたって必要なものはすべて Microsoft Teams for Education に備わっていることに気づいたのです。

Teamsには、リモート指導環境においても、Loom 校の関係者が慣れ親しんでいたような統合されたコミュニケーション体験やアクセシビリティ機能が揃っていました。ホワイトボードアプリや YouTube for Teams、画面共有、チャットなどの機能により、生徒たちの集中力を維持することができ、インクルーシブな状態を保つことができました。

「特別支援が必要な子どもたちを相手にする際は、感情的なつながりを持ち、すばらしい学習グループを構築することがとても重要です。当校では Teams でそれを実現しています」 – The Loom School エグゼクティブディレクター カトリーナ トッド (Katrina Todd) 氏

Microsoft Teams による The Loom School のリモート学習の詳細は、こちらをご覧ください。

Newmark Education: 新しい学習の世界への軌跡

2001 年にレジーナ ピーター (Regina Peter) 博士とシンシア オールマン (Cynthia Allman) 氏によって設立されたニュージャージー州の Newmark Education 小中高校は、行動疾患や行動障碍のある生徒の学習面と個人の成功をサポートすることに尽力する学校です。同校では、COVID-19 によって対面学習を中断せざるを得ない状況となった時も、献身的な取り組みと 1 対 1 のプログラム、そして Microsoft Teams により、リモート学習環境に移行する準備は十分整っていました。

同校では早期から Microsoft Teams に投資していたため、移行はスムーズかつ迅速でした。OneDrive は整理整頓や時間管理などの実行機能スキルを高める必要のある生徒に最適でしたし、Insights では教育者がより効率的に応答時間を高めフィードバックできるようになりました。こうしたツールがリモート学習を可能にし、エンゲージメントを高めたのです。また Newmark Education では、授業内容だけでなく、生徒のメンタルヘルスに関するニーズに応えるためにもTeamsを活用しています。生徒用のソーシャルグループを作成することで、教室にいない時でも Teams を通じて生徒同士つながることができたのです。

「一番良かったのは、Teamsを使ってつながりを維持できていることです。人同士のつながりほどすばらしいものはありませんから」 – Newmark Education 創設者 レジーナ ピーター (Regina Peter) 博士

Hamlin Robinson School: インクルーシブ機能で生徒の能力を向上

ワシントン州シアトルの Hamlin Robinson School は、失読症をはじめ、言語関連の学習が困難な生徒を対象とした学校です。同校では、パンデミックで必要に迫られ遠隔学習を開始しましたが、約1週間後には自宅に学業用パッケージを送るよりも堅牢なソリューションが必要だと考えるようになりました。

Hamlin Robinson School がマイクロソフト製品に魅力を感じたのは、アクセシビリティ機能が組み込まれていたためです。例えばタイピングが苦手な生徒は、Office 365 の機能である音声入力ツールのディクテーションを利用しています。こうした学習ツールやアクセシビリティツールは、Microsoft 365 の製品全体に組み込まれており、視覚や聴覚、認知機能に障碍のある生徒をサポートしています。

Microsoft Teams は、その構造やユーザーインターフェースから、当校の生徒にとって最も使いやすいプラットフォームだと思います。生徒は Teams で課題を受け取ることができますし、アクセシビリティツールを使って課題を完成させ、提出することもできています。こうした作業がすべて Teams 内でできるため、これこそ当校の生徒にとって最適なアプリだということが明確になりました」 – Hamlin Robinson 中学校長 ジョシュ フィリップス (Josh Phillips) 氏

Hamlin Robinson の生徒をサポートするアクセシビリティツールの詳細は、こちらをご覧ください。

アクセシビリティのために構築されたツール

Microsoft 365 Microsoft Teams for Education は、オンラインでも、ハイブリッドでも、対面式でも、あらゆる場面でアクセシビリティの高い学習体験をサポートします。

  • Word、PowerPoint、OneNote、Microsoft Teams は、画面を読み上げるだけでなく、別の手段でも理解を深められるよう支援します。イマーシブリーダーなどのツールが組み込まれており、行間フォーカスや翻訳、絵辞書などのサポート機能が利用できます。
  • Word や OneNote のディクテーション (音声入力) ツールなどにより、失読症をはじめとした認識力で困難を抱える生徒がデジタルの世界を利用しやすくなります。
  • 耳が聞こえにくい、ほとんど聞こえない、全く聞こえないといった生徒のために、マイクロソフトでは特別な機能として、Teams のライブ キャプションやライブ文字起こしなどのソリューションをモノラルサウンドの翻訳つきで提供しています。
  • アクセシビリティチェッカーは、Microsoft Word、PowerPoint、Excel、OneNote、Outlook において、ファイルが誰にとってもアクセシビリティの高いものとなるよう精査し、その結果と推奨アクションを提示しています。

アクセシビリティの高い学習を実現するインクルーシブデザイン

Windows 11 に組み込まれたアクセシビリティ機能により、すべての生徒があらゆる学習体験に参加できるようになります。

  • ビジョン機能: 自分がわかりやすいようにコンテンツを表示したり、画面を完全にスキップしたりすることが可能です。Windows に組み込まれているスクリーンリーダーのナレーターは、ナビゲーションを容易にし、自然な人間の声で画像を解説します。
  • 聴覚機能: Windows 11 のライブキャプションにより、さまざまな音声コンテンツですべての単語を把握できます。
  • モビリティ機能: 音声アクセス視線制御音声入力といった機能により、独自のニーズに合わせてデバイスが操作できます。
  • ニューロダイバーシティ機能とラーニング機能: 集中力、注意力、読解力が高めるツールを使用するとともに、フォーカスセッションで健全なデジタル習慣を身に付けて生産性を高めることができます。

work with menus and option

マイクロソフトは、アクセシビリティがすべての人の成長に欠かせないと考えています。アクセシビリティの高いテクノロジは、障碍のある生徒が自らの可能性を最大限引き出せるよう支援します。生徒は日々成長し、変化し、周囲の世界に順応しています。マイクロソフトは、その多様性を反映するようツールを設計しているのです。

アクセシビリティツールやその機能の詳細については、以下のブログをご覧ください。

 

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