2024年12月16日 3:58 PM

ひとりひとりの社員が活躍できる環境づくりを Microsoft Surface が実現。地域社会の安心安全に繋がる働き方改革に向けてアイペックが取り組んできたこと

株式会社アイペックは、非破壊検査やコンクリート構造物の安全点検を行う富山県の企業です。創業以来、地域社会の安全と安心を守ることを使命とし、最新技術を導入しながら事業を展開してきました。

株式会社アイペックは、非破壊検査やコンクリート構造物の安全点検を行う富山県の企業です。創業以来、地域社会の安全と安心を守ることを使命とし、最新技術を導入しながら事業を展開してきました。

同社では、一人ひとりの社員の活躍が地域への貢献に繋がるとの考えから、2019 年の新社屋への移転をきっかけに、本格的な働き方改革に着手しました。オープンフロア、フリーアドレス、テレワークの導入といった社員が働きやすい環境整備において、多様な使い方と安全性に優れた Surface の導入は大きな推進力になったと言います。また、同じく Microsoft の製品である Azure を導入することで、低コストでの BCP 対策も実現しています。

本記事では、アイペックが取り組んできた働き方改革や BCP 対策について、その背景と成果を詳しく紹介します。

社長のボランティア活動経験から芽生えた「地域貢献」への想い

アイペックの代表取締役社長 東出悦子氏は、アメリカのボストン大学を卒業後、ニューヨークの会計事務所で公認会計士としてのキャリアを積みました。帰国し、ファンドでアナリストとして活躍した後、発展途上国でのボランティア活動を経験。そこで、地域貢献への強い思いが芽生え、地元である富山に戻り、父親が経営するアイペックに入社しました。

「ボランティア活動を行う中で、発展途上国の人たちとの交流がありました。自分の生まれ育った故郷で社会貢献をしているたくさんの方々に出会い、感銘を受けたんです。自分も故郷に戻り、地元で役に立つ人間になりたいと思い、富山に戻ってきました。アイペックは父が起業した会社でしたが、後継者がいない課題がありました。中小企業で経営に携わることは、地域の社会貢献になる、誇りの持てる仕事だと思い入社を決意しました」(東出氏)。

株式会社アイペック代表取締役社長 東出 悦子 氏

株式会社アイペック
代表取締役社長
東出 悦子 氏

同社の理念は「百年の⼤計 ⼈と公」。これは、先代が作られた理念ですが、東出社長も強く共感をしていると言います。

「私たちのビジネスは、地域の安全と安心を守ることです。そのためにも、持続可能な会社であることが必須だと考えています。社員が技術を極めて、自分のキャリアを成長させていけるようなキャリアプランを持ってもらうことで、長く地域に貢献できる体制をとっていきたいです。アイペックは人が主役の会社。社員が技術力・人間力を高めることで、その家族や会社、ひいてはお客さま、地域社会の発展にも寄与できると考えています。」(東出氏)。

アイペックは、主に以下の三つの柱で事業を展開しています。

  • 非破壊検査: 構造物の内部に欠陥がないかをレントゲンや超音波を使って調査する技術。これにより、化学工場や電力会社の設備などが安全かどうかを確認します。
  • コンクリート構造物の安全点検: 橋梁やトンネルなどの社会インフラの安全性を確保するための点検を実施。非破壊検査の技術を活用して、構造物の健全性をチェックします。
  • モニタリング: センサーを用いた常時モニタリングや、AI カメラを使った交通量調査などを行い、予防や緊急対応を行います。

2024 年 1 月 1 日に発生した能登半島沖地震の際には、同社が橋梁などの緊急点検の一部を担い、現在でもカメラによるモニタリングを行っています。

また、データサイエンスの分野にも注力しており、ビジネスモデルの確立を目指しています。同社の IoT 開発部 次長/IT 戦略室 室長の高田 実氏は、データサイエンスへの取り組みについて、次のように話します。

「気象情報や交通量など、外部要因によって変化するデータの取得を行っています。それぞれのデータを組み合わせることで、渋滞緩和やまちづくりに役立つ付加価値のあるデータサイエンスが可能だと考え、富山大学と 2 年ほど前から研究と実証実験を行っているところです」(高田氏)。

株式会社アイペックIoT開発部 次長 IT戦略室 室長 高田 実 氏

株式会社アイペック
IoT 開発部 次長
IT 戦略室 室長
高田 実 氏

〝人が主役の企業〟だからこそ、働きやすい環境の整備が重要

同社は「人が主役の企業」として、社員の働きやすさと生産性向上を目指し、様々な働き方改革を実施してきました。2019 年には新社屋へ移転し、フリーアドレスとリモートワークを導入。5 つの部署すべてをワンフロアにしたことで、コミュニケーションの活性化、生産性の向上に大きく寄与したと言います。同社取締役 総務部 部長の荒木 和氏は、その背景について次のように話します。

「『若い方がやりがいを持って働けて、ステップアップできる会社にしたいね』と社長と話していました。以前は部署ごとにフロアが異なり、なかなか社内のコミュニケーションが取りづらい状況だったんです。また、ご家族の介護を理由に退職する優秀な社員がいることも課題の一つでした。そのため、新社屋では全部署をワンフロアにし、フリーアドレス、リモートワークを採用することにしたんです。Surface や Teams といった Microsoft の製品を積極的に活用した結果、社内のコミュニケーションが活発になり、社員の生産性も大幅に向上しました」(荒木氏)。

株式会社アイペック取締役 総務部 部長 荒木 和 氏

株式会社アイペック
取締役
総務部 部長
荒木 和 氏

アイペックでは、社屋移転の前年に、フリーアドレスを採用し成功している企業を視察。その際、Surface デバイスの活用が目に止まり、段階的に導入を開始。現在では、全社で Surface を採用しています。また、同社では Teams に加えて Microsoft 365 や SharePoint を活用することで、社内外のコミュニケーションが円滑になり、データ共有もスムーズに行われていると言います。

タブレットとしても使える Surface は、現場でのデータ入力や確認作業でも活躍しており、業務効率も向上したと高田氏は話します。「現場では、キーボードを外しタブレットとして使用しています。タッチで操作できる点が便利ですね。レポートの作成にも重宝しますし、OneDrive も頻繁に使用します」(高田氏)。

※現場における Surface の活用。 ※現場における Surface の活用。
※現場における Surface の活用。
(左) Surface を活用し現場でデータ入力。
(右) キーボードを外してタブレットとして使用。Surface ペンで紙に書くようにメモを記入。

荒木氏は、Surface の導入について「『誰でもどこでも仕事ができる環境』が 100% 実現しました。例えば、社員のお子さんが風邪をひいた時、自宅でちょっと仕事をしなければならないような時にも対応できる風土が作れましたし、残業も大幅に減りました。やはり『健康で生き生きと働ける環境』は、とても大切だと思っています」と評価しています。

同社が推進してきた働き方改革により、富山県内でも先進的な仕事環境を実現しました。それにより、優秀な中途社員が複数名入社していると言います。「人が主役」とする同社の文化、風土が、地域の雇用の創出にも繋がっています。

※2019年に移転した新社屋。 ※2019年に移転した新社屋。
※2019年に移転した新社屋。
(左) 全部署をワンフロアにし、フリーアドレスを採用
(右) 開放感のある休憩スペース。

会社の資産を守るため、BCP 対策として Microsoft Azure を導入

また、アイペックでは BCP (事業継続計画) 対策の一環として、Microsoft Azure を導入。クラウドバックアップを活用して、災害時にもデータの安全性と業務の継続性を確保しています。以前は同じ建屋内でのバックアップのみでしたが、クラウドにデータを保存することで、地震や大雪などの災害時にも迅速に復旧できる体制を整えました。

高田氏は、「以前は、バックアップは取っていたものの同じ建屋内に保存されている状況で、遠隔地での BCP 対策まで踏み込めていませんでした。社内システムを含む様々な情報がファイルサーバーに保存されていたため、災害時には会社の資産が失われるリスクがありました。遠隔地で BCP 対策をしようとすると、かなりのコストがかかります。その点からもクラウドは使い勝手が良く、活用させていただいています」と話します。

人口減少社会では〝繋がり〟が大切。社員の物心両面の幸せを実現しながら、地域に貢献

アイペックは、働き方改革と Surface の導入、Azure による BCP 対策を通じて、社員の働きやすさと企業の継続性を確保しながら、地域社会に貢献しています。Microsoft 製品の活用や最新技術の導入により、業務効率を向上させるとともに、災害時にも強い企業を実現しました。最後に、東出社長は今後の展望についてこう語りました。

「地方は人口減少という大きな課題があります。そのため、これからは『繋がり』が大切になってくると考えています。ひとりではできないことを、会社としてチームで取り組む。さらに、さまざまな企業や自治体、人が関わりあって、お互いの強みを活かし弱みを補い合いながら、一緒に成長し貢献していくことを、アイペックの 10 年ビジョンに掲げています。そのために私たちは、『自分ブランドの確立』を目指しているところです。一人ひとりがお客様から『あなたじゃないと駄目なのよ』と言ってもらえる、お客様に感動を与えるようなサービスが提供できる。そんな本物のプロフェッショナルに、誰も取り残されることなく社員一人ひとりがなることで、ご家族の方も喜んでくださると思いますし、物心両面の幸せを実現できると信じています」

アイペックの事例は、地域貢献と最先端技術の活用を両立させた成功例として、多くの企業にとって参考となるものです。今後も、アイペックの取り組みに注目が集まるでしょう。

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