Surface Pro 12 インチの試験導入を契機として、将来を見越した教育現場での AI 活用を加速する九州国際大学付属高等学校
九州国際大学付属高等学校は、学校法人九州国際大学によって運営されている男女共学の私立高校です。「知・徳・体のバランスが取れた人材の育成」をコンセプトに掲げるとおり、北九州屈指の進学校であるとともに、多くのオリンピック選手やプロスポーツ選手を輩出するなど、スポーツにおいても優れた実績を誇っています。
同校は ICT 教育に力を注いでいることでも知られており、「生徒中心の学びを ICT で支える (Student-Centered Learning)」ことを目的とした「ICT 教育グランドデザイン」に基づいて、ICT 活用により時間と場所の制約をなくし、個別指導や進路指導、学校行事や生徒会活動などを通して「自走できる生徒」の育成に取り組んでいます。
この ICT 教育グランドデザインの取り組みの一環として、同校は現在 Microsoft Surface の 2 in 1 端末である Surface Go 4 を生徒用端末として採用。Microsoft Teams による課題の配信や添削、オンライン授業の実施のほか、板書アプリや成績管理・学習記録・情報伝達アプリなどを日常的に活用しています。
こうした取り組みにより、2024 年に同校は Microsoft Incubator School の認定を受けました。このプログラムは、ICT を活用した教育の質の向上と、生徒の未来への準備の支援を目的としており、2026 年 1 月現在、国内の認定校は同校を含めて 5 校のみとなっています。
そんな同校では、2025 年 12 月からの約 2 ヶ月間、生成 AI 処理に特化した NPU 搭載の Copilot + PC である Surface Pro 12 インチを試験導入しました。本稿では、この試験導入をリードした同校の ICT 教育改革プロジェクトのチーム リーダーである、九州国際大学付属高等学校 国語科主任の三好 規夫 氏に、その目的や効果、そして学校教育における ICT 教育の重要性と AI 活用の可能性についてお聞きしました。
ICT 活用プロジェクトを推進し、Surface Go をひとり一台端末に選定
三好氏は、日本マイクロソフトの MIEE (マイクロソフト認定教育イノベーター)・MIE フェローであり、2019 年に九州国際大学付属高等学校に国語科の教員として着任以来、同校および同法人の ICT 推進を担う ICT 教育改革プロジェクトの中心的存在として活動しています。
「北九州は県立志向が強い地域性があります。私学である本学を生徒や保護者に選んでもらうためにも、ICT 教育の推進はひとつのポイントだと考えています」と三好氏。しかし、着任当時の同校ではプロジェクターやスクリーンなどのインフラは整っていたものの、それらを活用するノウハウが足りておらず、コロナ禍のリモート授業もスムーズに実施できない状況だったそうです。
前任校では、板書の代わりに Microsoft PowerPoint を使った授業形式を取り入れることで進行速度が二倍程度早まるなど ICT 教育の効果を肌で感じていたという三好氏。着任して 2 年後、ICT 教育に興味のある教員や法人の情報政策室を巻き込んで ICT 教育改革プロジェクトチームを立ち上げ、ICT 活用の活性化に着手しました。そして、ひとり一台端末の導入においては、導入当初は他社製タブレット端末であったものを変更し、軽量でコンパクトな 2 in 1 端末 Surface Go 2 を全校導入。その選定理由について、三好氏はこう説明します。
「Surface シリーズはそもそも故障が少ないのに加えて、マイクロソフトの窓口対応も非常に丁寧でした。PC の扱いに慣れていない生徒もいる教育現場では思わぬトラブルも起きやすいですし、ICT 支援員の方の負担を減らす意味でも、その点は重視しました。また、授業や校務で Office アプリなどの Windows ツールをひんぱんに利用しますから、端末もマイクロソフト純正の方が使いやすいだろうという判断もありました」(三好氏)
同校では、本取材の時点 (2026 年 1 月) で、全校生徒約 1,800 人が Surface Go 2 の後継機種 Surface Go 4 を使って授業や課題に取り組んでいます。Teams や Microsoft Forms を活用した小テストの実施、教育支援アプリの活用などはもはや日常風景。近年は生成 AI の活用も進めており、三好氏の担当する国語の授業では、課題に対するアドバイスや PowerPoint によるスライド作成の支援などに生成 AI の Microsoft Copilot を活用することを前提とした授業が展開されているそうです。
「これからはなにごとにおいても AI の活用が当たり前の時代になります。進学や就職をした際に AI をきちんと使いこなせるように、高校生のうちに慣れ親しんでおくことは、とても重要だと考えています」(三好氏)
同校では、1 年生で AI を含む PC の基礎知識とリテラシーをしっかり身につけたうえで活用を進めるプログラムを組んでおり、三好氏は「あくまで AI は副操縦士であって、答えを探すのは自分」だということを、まず理解してほしいと語ります。
「これからの時代、AI に限らず世の中に出回る言説が必ずしも正しいわけではないという意識は、社会人として必ず持っていなければいけません。AI は確からしいことを言うけれど、決して鵜呑みにしてはいけないという話は、折りに触れて言い聞かせています」(三好氏)
Copilot + PC である Surface Pro 12 インチを試験導入し、AI の有用性を学ぶ
2025 年 12 月から約 2 ヶ月間、同校では Microsoft Incubator School の活動の一環として Surface Pro 12 インチのトライアル利用を実施しました。このトライアルは、2 年生のひとつのクラスで Surface Pro 12 インチを試験導入し、約 40 名の生徒に利用してもらうというものです。その目的について三好氏はこう語ります。
「Surface Pro 12 インチは Copilot + PC ですから、AI をより快適に動かせる環境を体感できます。また高校生のうちにハイスペックな PC に触れて、起動や動作におけるストレスの少なさが生産性やモチベーションにどのような影響を及ぼすかを知る経験は、将来必ず役に立つと考えています」(三好氏)
三好氏は、生徒より先んじて Surface Pro 12 インチを試用して、その有用性についても高く評価していました。
「画期的だと思ったのは処理速度の速さです。私は有償版の Microsoft 365 Copilot のライセンスを持っているのですが、Office ツールとの連携もスムーズで、しかも速い。学内の資料が即座に PowerPoint に反映されるのはとても快適です。使い心地もよくて、キーの間隔が絶妙でとても入力しやすいです。ペンの反応も向上していますね。もはや手書きとほとんど変わらない書き心地だと思います」(三好氏)
AI 機能を快適に利用するために CPU に ARM アーキテクチャを採用した「Snapdragon」を搭載している Surface Pro 12 インチですが、授業や校務で使うアプリの「Meta Moji」や「Classi」も問題なく使うことができたそうです。
Surface Pro 12 インチは、生徒が主体的な学びを得るために最適な端末
トライアルは国語の授業で計 4 回にわたって実施されました。内容は、小論文のテーマ探しから構想、実際の執筆までを、Copilot の支援を得ながら行ってみるというものです。
授業の冒頭で Surface Pro 12 インチが配られ、三好氏がスクリーンに簡単なガイドを提示。その後は完全に自主学習となりました。生徒たちはフィンガー アクションで画面を遷移させながら、キーボードで文字を打ち込んだりペンでメモを書き入れたりと、各々のスタイルで課題を進めていきます。小論文の書き方自体を Copilot に聞く生徒もいれば、自分の考えたテーマに対して Copilot からリコメンドされた Web サイトの情報をハイライトする生徒も。使い方によってキック スタンドの角度がバラバラなのが印象的です。
授業終了後に 2 名の生徒に感想を聞いてみたところ、以下のような回答をしてくれました。
Tさん
「今日の授業では、授業の目的や自分が考えたテーマを Copilot に入力して、必要な作業や内容のブラッシュアップ案について回答してもらいました。
Surface Pro 12 インチは処理がとても速くて、入力に対する回答のラグがまったくないくらいの体感です。長文を表にまとめるような処理もすぐできるので作業の効率も上がりますし、操作していて楽しいです。
これまで授業の合間などのすきま時間には起動待ちが必要な PC はあまり開かなかったのですが、起動が早い Surface Pro 12 インチなら、さっと開いて調べものをするといった使い方ができると思います」
Sさん
「今日の授業では、序論、本論、結論それぞれに関する自分の想定を Copilot に入力して、その根拠になるようなソースを探してもらい、リンク先の詳細を読み込んで、内容を練りあげました。
Surface Pro 12 インチは画面が大きくてとても見やすいです。私は Teams でメモを取りながら Copilot を開いて調べものをするような使い方をすることが多いので、とても快適です。キーボードの音も小さくて、操作に集中できるのも嬉しいです。
それから、私の性格上先生に直接質問するのは気後れしてしまいがちなのですが、Copilot には何度でも質問できるし、その回答から自分の思考の流れや本当に知りたいことを言語化できるのがありがたいです」
“三好先生が授業担当でよかったな”、“九国で学べてよかったな”と思ってもらえるように
生徒たちの様子を見ながら、「かつての携帯電話やポケットベルなどの例を見てもわかる通り、新しいものには必ずメリットとデメリットがあります。AI もその例に漏れません。いま教育の現場にいる私たちがやるべきことは、AI はもちろん、5 年後、10 年後に生み出されるものに対しても、彼らが正しく対処できる素養を育てることだと考えています」と、改めて ICT 教育の必要性を強調する三好氏。ここまでの経験から、ICT 教育をスムーズに推進するためのキーワードは「楽・得・易」に集約されるといいます。
「教員や生徒によっては ICT への向き合い方に濃淡があります。あまり乗り気ではないな、と感じたときは“楽できますよ、覚えておくと得ですよ、意外と簡単、易しいですよ”と伝えます。まずは敷居を下げて、身近なところで使ってもらって便利さを実感してもらう。そのアプローチが大切だと思います」(三好氏)
実際に三好氏も、興味を持ってくれた教員をプロジェクトに巻き込んだり、雑談がてらツールの使い方を教えたりといった行動を通して理解の輪を広げ、ICT 教育の環境づくりに取り組んできたといいます。
「最近は、法人内の教員向け研修会や他校の教員に向けた ICT 教育に関するイベントなどにも登壇して経験をお伝えする機会も増えました。県外からの視察も増えていますし、MIEE・MIE フェローとしての役割も果たせているのかな、と感じています」(三好氏)
最後に三好氏は、ICT 推進で実現したいこととして「まずは無駄を省いて、その結果生まれた時間で、生徒の学習環境の向上はもちろん、教員が本当に必要なことに取り組める教育現場を目指したいです。そのうえで生徒に“三好先生が授業担当でよかったな”、“九国で学べてよかったな”と思ってもらえるようになれば嬉しいですね」と語ってくれました。
将来まで見越して ICT の力で教育の現場を変革しようとしている九州国際大学付属高等学校の皆さま。私たち日本マイクロソフトとしても三好氏をはじめとする教員や法人スタッフの皆さまの熱意に負けず、これまで以上のサポートと知見を教育現場に届けてまいります。ICT 教育の現場にいてお困りの方や Surface シリーズに興味のある方は、ぜひ私たちにお問い合わせください。







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