Windows Update for Business と SAC-T の終了についての更新情報
※本ブログは https://techcommunity.microsoft.com/t5/Windows-IT-Pro-Blog/Windows-Update-for-Business-and-the-retirement-of-SAC-T/ba-p/339523 の抄訳です。
5 月に投稿した記事「Windows 10 のサービス オプションと SAC-T の終了について」では、年 2 回の半期チャネル (SAC) リリースに合わせた、Windows と Office のサービス名称の簡素化と統一についてご説明しました。また、SAC-T (半期チャネル (対象指定)) はこの半期リリースのマイルストーンを示しているだけで、SAC-T というリリースは実質的に存在しないことも述べました。Windows Update for Business を利用していない場合、SAC と SAC-T の指定の違いがデバイス更新時期に影響を及ぼすことは一切ありません。ただ、これまでは、Office との統一内容を Windows Update for Business に反映する変更作業が完了していなかったため、「Windows 10 – リリース情報」ページには SAC と SAC-T 両方のマイルストーンの日付が引き続き公開されていました。
このたび、この反映作業が完了いたしました。これにより Windows 10 バージョン 1903 (Windows 10 の次期機能更新プログラム) 以降の機能更新プログラムでは、Windows 10 のリリース情報ページに SAC-T に関する情報が表示されなくなり、毎回新しい SAC リリースのエントリが 1 つだけ表示されるようになります。さらに、毎回の SAC リリース日が 1 つになることに合わせ、Windows Update for Business を利用しているお客様向けの UI と操作方法も刷新されます。System Center Configuration Manager や Windows Server Update Services (WSUS) などの管理ツールを利用しているお客様には、機能更新プログラムのリリース時にプログラムが WSUS に 1 つだけ公開されます。
今回の記事では、Windows Update for Business を利用しているお客様のために、新しい変更点についてご説明します。繰り返しになりますが、Windows Update for Business を利用していないお客様は、以下の内容についてデバイスの更新時に考慮する必要はありません。
■ Windows 10 バージョン 1903 のリリースに伴う SAC-T の終了が Windows Update for Business の構成および運用にもたらす影響について
バージョン 1903 よりも前のリリースでは、Windows Update for Business のお客様は、機能更新プログラムをデバイスにインストールするタイミングを 2 種類の設定で指定することができました。それが「ブランチ準備レベル」(SAC または SAC-T) と「遅延期間」です。遅延期間は、ブランチ準備レベルに基づく日付から、更新プログラムをデバイスに配信するまでの期間によって指定されます。
組織のデバイスを Windows 10 バージョン 1903 に更新することで、それ以降の Windows Update for Business は、SAC のリリース日に基づく遅延日数を選択するだけの、よりシンプルな構成になります。つまり、お客様の環境での検証工程を Windows Update for Business を使って設定する場合も、段階的な更新を行う場合も、共通のリリース開始日が起点となるため、展開プロセス全体を簡素化できます。
今回の変更により、お客様の遅延日数をマイクロソフトが変更することはなく、バージョン 1903 への更新完了後は、以前に構成した遅延日数が保持されます。また、すべての Windows Update for Business デバイスの遅延日数がリリース日に基づいて設定される (リリース日を設定する必要がない) 一方、これらのデバイスを Windows Insider Program に登録し、Slow、Fast、Release Preview などのプレリリース リングを選択するオプションが提供されます。
これは現在の Windows 10 バージョン 1809 での [Settings] パネルです。
このパネルが、バージョン 1903 のリリース時には以下のように変更されます。
ご覧のように、半期チャネル (対象指定) のオプションはなくなり、一時停止と遅延の設定だけになっています。この変更は Windows 10 バージョン 1903 を展開した後にのみ確認でき、バージョン 1903 以降の機能更新プログラムにのみ適用されます。ただし Windows Insider Program に登録されたデバイスの場合、これらの変更が既に反映されていることがあります。
■ SAC 用にブランチ準備レベルを構成済みのお客様に向けたマイクロソフトの Windows 10 バージョン 1903 への移行の処理方法について
前述のとおり、バージョン 1903 では、SAC と SAC-T の両方の日付は公開されなくなります。各リリースには SAC のリリース日が 1 つだけ割り当てられ、以下のような方法により、1 回の移行で処理されるようになります。
- Windows Update for Business を利用しているお客様が SAC-T のブランチ準備レベルで遅延を構成済みの場合 (繰り返しになりますが、これは実際のリリース日に基づいています)、構成済みの遅延日数が経過すると更新プログラムがデバイスに配信されます。つまり以前のリリースと何も変わりません。
- SAC のブランチ準備レベルで構成済みのデバイスの場合、バージョン 1903 へのアップグレードにのみ、60 日の遅延日数をマイクロソフトが追加します。これにより、以前マイクロソフトが SAC のマイルストーンを公開していた時期の状況を再現しています。たとえば、現在 SAC リリース日から 30 日の更新遅延が設定されているデバイスの場合、バージョン 1903 へのアップグレードでは (バージョン 1903 へのアップグレードに限り)、この 30 日の遅延に加えて、マイクロソフトによる 60 日の遅延が追加されます。つまりこのデバイスは、バージョン 1903 のリリースから 90 日 (60+30) 後にアップグレードされます (60 日の追加遅延はマイクロソフトのサービス側で処理され、お客様のデバイス構成には反映されない点にご注意ください)。
- バージョン 1903 以降の機能更新プログラムでは、バージョン 1903 よりも前に Windows Update for Business で構成した遅延日数が保持され、マイクロソフトがこの日数を変更することはありません。
Windows 10 バージョン 1903 より後のアップグレードでは、ご希望のスケジュールで遅延を追加し展開リングを再設定するには、遅延日数をお客様自身で更新する必要があります。上記の例に従って遅延日数を 30 日から 90 日に変更するか、3 リングによる展開モデルを設定する場合は、デバイスを 3 つのグループに分け、1 つのリリース日からの遅延日数 (30、60、90 日など) を割り当てます。
さらに詳しい情報を参照する場合や、Configuration Manager、WSUS、Windows Update for Business などのツールを使った更新プログラムの管理方法を確認する場合は、「サービスとしての Windows の概要」を参照してください。Windows as a Service の詳しい情報を確認する場合は、Microsoft Docs の「サービスとしての Windows」セクションを参照してください。