Microsoft Teams のアプリを構築して会議エクスペリエンスをカスタマイズする
※ 本ブログは、米国時間 9/22 に公開された ”Creating customized meetings experiences with apps in Microsoft Teams” の抄訳です。
ハイブリッドな働き方への移行が進む中、マイクロソフトのお客様は、カスタマイズされたリッチな会議エクスペリエンスを通じてチームが連携しながら、インシデント解決、プロジェクト管理、営業支援などの価値の高いシナリオに対応できるようにしたいと考えています。Teams は、会議、チャット、通話、コラボレーションの機能を 1 つのプラットフォームに統合し、開発者に拡張可能なキャンバスを提供することで、まさにお客様のこうしたニーズにお応えします。Inspire では、新しい会議拡張ポイントの開発者プレビューを発表 (英語) しました。これは、新しいコンテンツ領域と API を提供するもので、開発者にとっては、アプリによっていかに会議エクスペリエンスを変革するかを再考する機会となります。この発表から数か月がたちましたが、このたび、この会議拡張ポイントの一般提供を 10 月に開始することとなりました。さらに、20 社を超えるローンチ パートナーによって、この機能拡張ポイントを活用したアプリの構築が進められています。それらは一般提供と同時に、またはその後しばらくして、ユーザーの皆様にご利用いただけるようになる予定です。
会議のライフサイクル全域でアプリを統合、対話性を向上
会議は静的なエクスペリエンスではありません。会議が始まるまで、会議の最中、会議が終わった後も、ユーザーによるやり取りやアクティビティがいくつも発生します。新しい会議拡張ポイントにより、開発者は会議ライフサイクルのいたるところでアプリ (タブ、ボット、メッセージ拡張機能) を統合し、コラボレーションと生産性を向上させる会議アプリをユーザーに提供できるようになります。たとえば、会議前の計画に役立つアプリを公開したり、新しいコンテンツ領域を活用して会議中のエクスペリエンスを充実させたり、会議後のシナリオに対応したりと、開発者がアプリを提供する機会は Teams 会議の全域に大きく広がります。
より豊かな会議エクスペリエンスを実現する拡張可能なコンテンツ領域と会議 API
これまで、開発者はチャネル、1 対 1 のチャット、グループ チャットの中でアプリを統合することはできましたが、会議のコンテキスト内では統合できませんでした。それが、会議拡張ポイントを利用することにより、ユーザーが作業する新たな場所にアプリを配置できるようになりました。
会議用の拡張可能な新しいコンテンツ領域は 3 つあり、開発者はこれらをアプリに組み込んで、独自の高度なシナリオを実現できます。以下のとおり、1) 会議前と会議後のタブ、2) 会議中のサイド パネル、3) 会議中のコンテンツ通知の 3 つです。
会議前/会議後のタブでは、開発者に既に馴染みのあるタブのシナリオと同じエクスペリエンスが提供され、独自のアプリを会議に統合できます。会議前のエクスペリエンスでは、ユーザーが会議アプリを見つけやすいようにしたり、会議中に行う投票のドラフトを作成して事前に準備しておけるようにしたりできます。会議 API を利用すると、参加者やユーザーの役割などの会議コンテキストを把握し、開催者や出席者にターゲットを絞ってエクスペリエンスをカスタマイズすることも可能です。会議後のエクスペリエンスでは、タブを使用して会議のメモ、画像、成果を記録し、開催者と出席者がアクションを起こせるようにすることができます。
新しい会議中のコンテンツ サイド パネルは、開発者がアプリに独自のエクスペリエンスを構築する新しいキャンバス (320px) となります。ここでも、会議でのユーザーの役割に基づいてエクスペリエンスをカスタマイズでき、主催者と参加者に異なるビューを表示して別々のアクションを起こせるようにすることができます。
また、会議中のコンテンツ通知では、会議中に通知を表示することで、さらに高度な統合機能を実現できます。この通知を活用すれば、会議中に参加者の積極的な議論を促したり、会議自体から有益な情報を収集したりできます。
新しいコンテンツ領域の裏にあるのが、これらのエクスペリエンスを強化する会議 API です。参加者の情報を取得して名簿や役割を表示し、コンテキストに沿ったエクスペリエンスを構築したり、通知 API を利用してエンドユーザーのアクションに応じて会議中に吹き出し通知を表示したりするなど、開発者はサービスを強化して、独自の会議アプリ エクスペリエンスを実現できます。
パートナーの多様なエコシステムを通じて会議拡張ポイントの価値がさらに輝く
この数ヶ月間で大きな進歩を遂げてきましたが、その成功と前進の大部分は、革新的なローンチ パートナーの皆様からのフィードバックとパートナーシップによるものです。マイクロソフト パートナーは会議エクスペリエンスの新たな形を創造し、それぞれの業界や分野に変革をもたらしています。そして、数週間後の一般提供時、またはその後間もなくして、パートナー各社のアプリを皆様にご利用いただけるようになる予定です。
プロジェクト管理は、すべての組織にとって業務を円滑に進めるために必要不可欠なプロセスであり、会議は管理の大部分が行われる場です。会議拡張ポイントを使用すると、開発者はアプリを Teams 会議に直接統合することができるため、ユーザーは会議エクスペリエンスの中でプロジェクト管理アプリを使用して、タスクの整理やプロジェクト計画の確認を行えるようになります。Range、Asana、monday.com、Smartsheet、Soapbox、Priority Matrix、Decisions、Wrike といったパートナーは、強力な統合機能を会議エクスペリエンスに直接組み込むことに取り組んでいます。
人材管理アプリは、組織が人事プロセスを 1 つのハブに統合してコラボレーションを実現できるよう支援します。会議拡張ポイントにより、開発者はアプリを会議のライフサイクル全域で統合できるようになるため、面接中の採用希望者の分析や、面接の質問に関するリマインダー通知といったシナリオを強化できます。ユーザーは、人材管理プロセスを Teams 会議のライフサイクルに直接組み込むことができます。HireVue、Phenom、Teamflect、Talview などのパートナーは、このような統合機能の構築において業界を牽引しています。
インシデントおよび解決策管理は、堅実な DevOps 実践の重要な要素です。現在、ユーザーはインシデントおよび解決策管理アプリを Teams で活用し、チャネルやボットの通知からインシデントを常に把握しながら、チームとして迅速にまとまって問題の解決に動いています。会議拡張ポイントを使用すると、開発者はこうしたアプリを会議のライフサイクル内に直接統合できるため、DevOps チームはインシデントをすぐさま会議で取り上げられるようになります。それにより、会議アプリの中で直接リアルタイムに連携して問題を解決できます。ServiceNow、PagerDuty、xMatters などのパートナーは、会議拡張ポイントを活用して、これらのシナリオをサポートします。
教育アプリは、教育者、保護者、学生が今日のリモートやハイブリッドの環境で学習を進める際に活用されており、その中心的な役割を担っています。新しい拡張ポイントにより、開発者はそうしたシナリオに独自のアプリを統合できます。ユーザーはお気に入りの教育アプリを会議エクスペリエンスに取り入れて、リアルタイムのコンテンツ作成、共有とディスカッション、効果的なプレゼンテーションを行うためのビデオ オーバーレイといったシナリオを実現できます。Buncee、Prezi Video、Wakelet、Go1 などのパートナーは、教育者や家族向けのすばらしい会議エクスペリエンスを構築する最先端の企業です。
会議中の投票は、特定のグループに対して簡潔に質問を行い、フィードバックを収集できる効率的かつ効果的な手段です。投票アプリは、以前からボットやチャネル/グループの会話を介して Teams のエクスペリエンスに統合されてきましたが、この種のアプリを会議中に利用できるようになり、会議参加者によるリアルタイムの投票が可能になります。Polly、SurveyMonkey、Slido、Pigeonhole などのパートナーは、会議拡張ポイントを利用して、このようなエクスペリエンスを実現しようとしています。
ビジネス インテリジェンス (BI) とアナリティクスは、あらゆる組織にとって重要であり、またチームでレビューや議論を行う際には、リアルタイムのデータやインサイトが欠かせません。会議拡張ポイントにより、開発者は BI や分析用のアプリを会議エクスペリエンスに統合して、会議の実施前に分析情報を添付したり、会議中にインサイトに関してリアルタイムでコラボレーションしたり、会議後にメモを残したりといったユーザーのシナリオに対応できるようになります。Unscrambl などのパートナーは、インテリジェントなインサイトや意思決定ソリューションを会議のライフサイクルに直接組み込もうとしています。
営業支援や CRM のアプリは、営業担当者に、雑務に忙殺されることなく業務に集中できるツールを提供します。会議拡張ポイントにより、開発者は営業支援アプリを会議のライフサイクルに直接統合し、営業チームがアプリの機能を活用して潜在顧客の発見や顧客への売り込みに集中できるようにすることが可能になります。Bigtincan、Nimble などのパートナーは、営業プロセス全体にわたって営業チームを支援するために、それぞれのアプリの強力な機能を会議エクスペリエンスに組み込むことに取り組んでいます。
最後に、私たちも独自のマイクロソフト アプリを統合して会議エクスペリエンスの拡充を図っています。ユーザーは Power Apps や Forms などの人気の高いアプリを会議エクスペリエンスに直接組み込んで、それらの機能を活用できるようになります。
すばらしいことに、こうした革新的な会議シナリオはどれも、マイクロソフト パートナーが会議拡張ポイントを使用して、各社独自のアプリで実現しようとしているものです。これらのアプリが利用可能になりましたらチェックしてみてください。
学び、構築し、刷新する
以上で、会議拡張ポイントに関する最新情報の紹介を終わります。開発者、システム インテグレーター、ISV の皆様には、Ignite の会議拡張ポイントに関するセッションにご参加いただき、技術資料に目を通したうえで、これらを使用した構築をどのように始めるかについて学んでいただくことをお勧めします。アプリによって会議をどう変革できるのかを、ぜひ体験してください。
参考資料
Ignite セッション:
「Microsoft Teams プラットフォームによるモダン ワークプレースの変革 (英語)」: https://aka.ms/DB157
「新しい会議拡張ポイントを使用して、Microsoft Teams アプリでより充実した会議エクスペリエンスを構築する (英語)」: https://aka.ms/OD250
開発者向けドキュメント:
技術資料を参照する: https://docs.microsoft.com/ja-jp/microsoftteams/platform/apps-in-teams-meetings/teams-apps-in-meetings
サンプル アプリを確認する: https://docs.microsoft.com/ja-jp/microsoftteams/platform/apps-in-teams-meetings/create-apps-for-teams-meetings?tabs=json
設計ガイドラインを参考にしてアプリを設計する: https://aka.ms/design_your_app_for_meetings
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