そのサービスを止めないで!~タッチ キーボードを無効化する正しい方法~
こんにちは、Experiences + Devices 開発統括部の入谷です。主に Windows 10 におけるタッチ キーボードの開発に携わっています。私が所属する Windows 10 の開発チームでは、フィードバック Hub や Microsoft サポート、Twitter 等でお客様からいただく声に耳を傾け、継続的に製品の問題修正と改善を行っています。
その中で、日本語入力(IME)の問題を報告されている複数のお客様が、「Touch Keyboard and Handwriting Panel Service」と呼ばれるサービスを無効にされていることが分かりました。サービスは Windows の基本機能を管理する特別な機構です。その中の一つである Touch Keyboard and Handwriting Panel Service は、タッチ キーボードが動作するための根幹となる役割を担っています。最近の Windows 10 ではそのサービスの役割が広がり、日本語入力をはじめとして、クリップボードの履歴、絵文字パネル、音声入力等の様々な入力機能にも使われるようになりました。このサービスが無効化されているとそれらの機能が正しく動作できません。
ウェブを検索すると、タッチ キーボードを無効化する手段としてこのサービスを停止する方法が紹介されていることが分かりました。しかし、サービスを自己判断で無効化することは、次の理由からお勧めできません。
- Windows、ドライバー、アプリケーションの開発者は、必要なサービスが動いていることを前提にソフトウェアを設計・検証しているため、予期せぬ不具合が発生しやすくなります。
- サービスの役割は将来に渡って予告無く変化する可能性があります。このため、以前は正しく動作していた操作でも、更新によってある日突然動作しなくなってしまう場合があります。
- サービスはシステム全体の性能に影響を与えないよう設計・検証されています。無効化による性能向上はほとんど見込めないか、最悪の場合悪化することもあります。
このような重要な機構についても設定が可能になっていることは、Windows が持つ魅力の一つであることは確かです。その一方で、誤った使い方をすると簡単にシステムを不安定にしたり壊したりできてしまいます。開発チームとしては、Microsoft サポートや端末の製造元から指示された特別な場合を除き、サービスを無効化することは避けていただきたいのが本音です。
Touch Keyboard and Handwriting Panel Service は次の手順で有効化しなおすことができます。
- [スタート] ボタンを選択し、「services」と入力します。
- サービス アプリを開き、[Touch Keyboard and Handwriting Panel Service] を検索します。
- [Touch Keyboard and Handwriting Panel Service] をダブルクリックし、[プロパティ] を選択します。
- [スタートアップの種類] が [無効] になっていれば、[自動] または [手動] に変更します。
- [OK] を選択します。
- [スタート] ボタン、[電源]、[再起動] の順に選択して、デバイスを再起動します。
では、代わりにどのような解決策が考えられるでしょうか。以下に幾つか候補を挙げてみます。
タッチ キーボード ボタンを非表示にする
タッチ キーボード ボタンを間違って押してしまうことを防ぎたい場合は、次の手順でボタンを非表示にできます。
- タスク バーを右クリックします。
- [タッチ キーボード ボタンを表示] にチェックが付いていれば、クリックしてチェックを外します。
タブレット モード以外でタッチ キーボードを自動的に表示しないよう設定する
タブレット モードではないときに、タッチ キーボードを自動で表示しないように設定することができます。
- [スタート] ボタンを選択します。
- 歯車のアイコンを選択して、設定を開きます。
- [デバイス]、[入力] の順に選択します。
- [タッチ キーボード] の [タブレット モードでなく、キーボードが接続されていない場合に、タッチ キーボードを表示する] が “オン” になっていれば、選択して “オフ” にします。
ポリシーでタッチ キーボードを無効化する
企業が管理する端末でタッチ キーボードを完全に無効化したい場合、Mobile Device Management (MDM) で TextInput/AllowInputPanel ポリシーを設定することができます。
上記の方法で解決しないときは?
特定のアプリや状況でタッチ キーボードが不必要に表示されてしまう場合には、フィードバック Hub から問題に関するフィードバックをお送りください。開発チームでも、診断データや社内の動作検証に基づき問題の発見と解決に努めていますが、フィードバックがあれば深刻な問題をより早く特定することができます。フィードバックをお送りいただく際には、詳細な再現手順と再現モードのログが含まれたフィードバックをいただけましたら幸いです。
同様に、既存の設定ではお客様個別の要件を完全に満たすことができない場合も、フィードバック Hub で必要な設定を提案するフィードバックをお送りください。その際には、その設定を行いたい理由や、なぜ既存の設定で不十分であるのかも併せてお伝えください。開発者が要件を理解して正しい優先順位を付けるため、ご協力をお願いいたします。
Windows の開発チームは、頂いたフィードバックに直接目を通し、深刻度が高い問題や要望の多い提案を優先して製品に反映しています。「不便だな」と思ったら、まずはフィードバック Hub で開発チームにお知らせください。皆様からのフィードバックをお待ちしています。
追記(2022 年 1 月 13 日)
お寄せいただいたフィードバックをもとに、開発版ビルドの Windows 11 Insider Preview ビルド 22471 より、サービスの名前が Touch Keyboard and Handwriting Panel Service から Text Input Management Service に変更されました。同時に、当該サービスは無効化できなくなっています。これらの変更により、サービスの停止に起因する問題が減少する見込みです。開発チームでは、皆様によりよい体験をお届けするため、引き続き製品の改善に取り組んでまいります。
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