2020年12月14日 1:45 AM

Microsoft Productivity Score におけるプライバシーへの対応

※ 本ブログは、米国時間 12/1 に公開された ”Our commitment to privacy in Microsoft Productivity Score” の抄訳です。

ジャレッド スパタロウ (Jared Spataro) Microsoft 365 担当 コーポレートバイスプレジデント

先週は Microsoft Productivity Score に関する話題が多い 1 週間でした。Microsoft Productivity Score は、組織が Microsoft 365 の採用状況を測定し管理する支援ツールです。今回、同ツールに関するフィードバックに対応し、お客様のプライバシー強化に向けた変更を施すことになりました。この記事では、デジタルトランスフォーメーションを管理するにあたって必要となる、データ駆動型の知見を組織に提供し続けながら、個人のプライバシーを保護するために施した変更点について解説したいと思います。

今年は、リモートワークへの移行によって世界中の従業員が新たな課題やストレスを抱えるようになった 1 年でした。人々がテクノロジの使い方を学び新しい日常を送ることができるよう、支援しなくてはなりません。Productivity Score は、従業員が Microsoft 365 を最大限活用できるよう支援する際に必要な知見を IT 管理者に提供します。古い習慣はなかなかなくなりませんが、小さな変化でも大きな違いが生まれることがあります。例えば、(メールで添付ファイルを送る代わりに) クラウド上でコンテンツを共有しコラボレーションすると、1 週間で最大 100 分もの時間短縮につながることが調査で示されています。

マイクロソフトでは、人や組織がより多くのことを達成できるようにするには、データ駆動型の知見が欠かせないと考えています。また、プライバシーは人権であると考えており、マイクロソフトの製品を利用するすべての人のプライバシーを深刻に捉えています。こうした考えの下、Productivity Score に以下のような変更を加えます。

  • まず、製品からユーザー名を削除します。プレビュー段階では、エンドユーザーの名前とそのユーザーの 28 日間の行動を表示する機能を追加しましたが、先週のフィードバックに応じてこの機能を完全に削除します。今後 Productivity Score では、コミュニケーションやミーティング、コンテンツコラボレーション、チームワーク、モビリティといった測定値を、組織レベルのデータでのみ集計します。これにより、主要機能の採用状況が組織レベルで明確に測定できるようになります。Productivity Score を使って個人ユーザーがどのように Microsoft 365 のアプリケーションやサービスを使っているかを示すデータには、組織内の誰であってもアクセスできません。
  • 次に、ユーザーインターフェースを変更し、Productivity Score が組織のテクノロジ採用状況を測るものであり、ユーザーひとりひとりの行動を測るものではないことを明確に示します。この数日間で、同製品の機能に混乱が起きていることがわかりました。Productivity Score は組織のスコアを出すものであり、個々のユーザーのスコアを出すために設計されたものではありません。この点をユーザーインターフェースで明確にし、製品におけるプライバシーの開示を改善することで、マイクロソフトが何をしているのか、また何を追跡していないのか、IT 管理者にしっかり把握していただきたいと思います。

Productivity Score の残り 3 つの指標、つまり、Microsoft 365 アプリケーションの健全性、ネットワークの接続性、エンドポイント分析には、ユーザー名が含まれていない点も重要です。こうした指標には、デバイスレベルでの識別子が使われていることから、IT 部門がエンドポイントやネットワーク、アプリケーションの問題を解決できるようになります。これにより、プロアクティブな技術サポートが提供でき、混乱を最小限に抑えヘルプデスクへのチケット数を減らすこともできます。

Productivity Score の今回の変更点により、エンドユーザーのプライバシーが強化される一方で、IT プロフェッショナルが組織における Microsoft 365 の生産性アプリやサービスの採用状況を測定し管理する機能は維持されます。Productivity Score は今後も、8 つの異なるカテゴリごとに出したスコアを合計し、0 から 800 までの数値スコアを提供します。8 つのカテゴリとは、コミュニケーション、ミーティング、コンテンツコラボレーション、チームワーク、モビリティ、エンドポイント分析、ネットワーク接続性、Microsoft 365 アプリの健全性で、それぞれの最高値が 100 点となっています。詳細については、製品ドキュメントをご覧ください。

世界的なパンデミックによって従業員は新たな課題やストレスに直面しており、テクノロジが役に立つ場面であることも明らかです。ただ、新ツールや新機能の採用にはチェンジマネジメントが求められることもよくあります。Productivity Score は、IT 管理者が Microsoft 365 の採用状況を測定して管理することで、従業員が Microsoft 365 を最大限活用できるよう設計されたものです。この数日間でいただいたフィードバックに感謝しており、その対応として迅速に製品からユーザー名を削除することにしました。この変更は、Productivity Score が個々の従業員の監視には使えないことを明確に示すものです。マイクロソフトでは、データ駆動型の知見とユーザーのプライバシーの双方を重視しており、常に適切なバランスを保つよう努めています。ミスが発生した場合は、慎重に耳を傾け適切な処置を施していきます。

 

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