武田薬品工業における HoloLens 2 と Dynamics 365 Mixed Reality アプリケーションを活用した CMC 研究の DX
本ブログでは、先日オンライン開催された Microsoft Japan Digital Days のセッション「製薬企業における HoloLens 2 と Dynamics 365 Mixed Reality アプリケーションの活用事例の紹介と今後の展望」にて発表された、武田薬品工業株式会社の Mixed Reality(MR、複合現実)を活用した取組みをご紹介します。
世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献するために存在することを企業理念に掲げ、革新的な医薬品を創出し続けることを目指す武田薬品工業。グローバル研究開発拠点の一つとして湘南ヘルスイノベーションパークに位置する武田湘南(R&D)では、研究開発プロセスの初期である創薬ターゲットの探索、候補化合物の評価・選定から製造法開発や製剤化までの非臨床~CMC研究(CMC: Chemistry, Manufacturing and Control)に取り組んでいます。
特に、ファーマシューティカル サイエンス部門では、創薬研究で見出された薬のタネを実際の医薬品として開発すべく、製造プロセスの開発、製剤化、品質設計、分析法の開発などの業務を担っています。
製薬業界では、コロナ禍において、ラボにおける実験業務の継続性や、製造法や分析法の技術移管を行う際に現地を訪問してスタッフのトレーニングや指導を行うことが困難になったり、海外とのコミュニケーションが難しくなったりするなど、これまでオンサイトでFace to Faceで実施していた業務を、どのように継続させるかが課題となっています。そこで武田薬品工業では、デジタルツールの導入によって、これらの課題を解決する取組を進めており、とくに Microsoft HoloLens 2 と Dynamics 365 Mixed Reality アプリケーションを導入することで、「ラボでの実験操作のサポート(ヒト、参照、記録)」、「遠隔地とのリアルコミュニケーション」、「機器のリモートメンテナンス」の3点に取り組んでいます。
ラボでの実験操作のサポート
ラボで実験操作を行う際に、研究者が HoloLens 2 を装着することで、物理空間上に実験ノートや実験プロトコルを仮想的に表示し、必要な情報を閲覧しながら実験を行うことができます。また、ボイスコマンドによって、実験ノートへの記録をハンズフリーで行うことが可能となります。
さらに、Dynamics 365 Remote Assist を使って Microsoft Teams のビデオ通話を行うことで、遠隔地にいる研究者とリアルタイムにつながることができます。HoloLens 2 を装着したラボの研究者の視点の映像を見ながら、口頭で指示したり、MR アノテーション(空間上に注釈を残すこと)によって具体的に作業指示を出すことができます。また、リアルタイムに実験中のサンプルの状態を鮮明なイメージで確認できます。
このように、ラボでの実験操作において、多角的なサポートを受けながら業務の効率化を図ることができます。
遠隔地とのリアルコミュニケーション
世界各地の海外拠点の研究者と、Microsoft Mesh App for HoloLens のバーチャル会議室を使うことで、よりアクティブな議論が可能です。例えば、製造装置の模型を実際に 3D ホログラムによって共有することで議論が深まり、また、HoloLens 2 を装着した人の手や目の動きをリアルタイムに反映するアバターによって、臨場感のあるコミュニケーションが可能となります。
機器のリモートメンテナンス
研究者が自らのラボの機器メンテナンスを行う際に、HoloLens 2 と Dynamics 365 Remote Assist を使って遠隔地にいる機器メーカーの担当者とつなぐことで、アドバイスを得ながら実機を操作、点検できます。このほかにも、ケミカルハザードのように立ち入りが制限される場所での遠隔による操作の監視にも役立ちます。
このように、武田薬品工業では、CMC 研究の生産性向上に向けて、HoloLens 2 と Dynamics 365 Mixed Reality アプリケーションの活用を進めています。今後、武田薬品工業が掲げる Augmented Scientist の実現に向けて、Mixed Reality テクノロジの活用を拡げていく予定です。
詳細は Microsoft Japan Digital Days のオンデマンドセッション(11月上旬公開予定)をご確認ください。
「製薬企業における HoloLens 2 と Dynamics 365 Mixed Reality アプリケーションの活用事例の紹介と今後の展望」
関連情報:
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