Emissions Impact Dashboard for Microsoft 365 (プレビュー): クラウドの使用によって排出される二酸化炭素量を測定
※ 本ブログは、米国時間 2 月 14 日に公開された “Measure your cloud carbon footprint with the Emissions Impact Dashboard for Microsoft 365 (Preview)” の抄訳です。
マイクロソフトは 10 年以上にわたり世界中の企業のデジタル トランスフォーメーションを支援しながら、環境への影響を削減する取り組みを進めてきました。2030 年までには、カーボン ネガティブ (二酸化炭素の排出量より吸収量のほうが多い状態)、ウォーター ポジティブ (水の消費量より供給量のほうが多い状態)、廃棄物ゼロを達成する企業となることに取り組み、さらに、お客様に対してその進捗状況を透明化することにしています。
この透明化の取り組みの一環として、昨年 10 月に Emissions Impact Dashboard for Azure の一般提供を開始しました。これは企業の Azure ユーザー向けの Power BI アプリケーションで、クラウドの使用に関連した炭素排出量を把握するのに利用できます。
そしてこのたび、Emissions Impact Dashboard (EID) for Microsoft 365 (英語) プレビューのリリースを発表しました。このダッシュボードは、Exchange Online や Microsoft Teams などの Microsoft 365 アプリケーションの使用に関連して企業から排出される温室効果ガスの量を測定するもので、マイクロソフトの持続可能性へのコミットメントの進捗についてお客様への説明責任を果たすこと、また、ワークロードをクラウドに移行することによる環境への影響を測定するために使用できます。
今後、企業およびバリュー チェーン全体の排出量を効果的に記録、レポート、削減できるようにする SaaS (サービスとしてのソフトウェア) 拡張ソリューション Microsoft Cloud for Sustainability の一般提供を予定しており、今回の Emissions Impact Dashboard for Microsoft 365 プレビューの提供はその先駆けとなるものです。ゆくゆくは、このダッシュボードで取得したインサイトを Microsoft Cloud for Sustainability から利用できるようにする計画であり、そうすることで環境への影響に関する情報をより幅広く、エンドツーエンドでお客様に提供できるようになります。
クラウドの使用で生じる炭素排出の影響の透明性を高める
Emissions Impact Dashboard for Microsoft 365 は、組織での Exchange Online、SharePoint、OneDrive for Business、Microsoft Teams* の使用に関連する温室効果ガスの排出量を定量化するために使用できます。対応アプリケーションは今後拡充される予定です。このデータは、クラウド サービスの使用が排出量にどのように影響するかを把握するために不可欠であり、脱炭素の取り組みを加速させる基礎づくりの第一歩となります。
このダッシュボードでは総排出量のほか、Microsoft 365 のアクティブ ユーザー 1 人あたりの排出量を示す炭素強度も示されます。これらの数字は、排出区分やデータセンターのリージョン別にセグメント化およびフィルタリングできます。
クラウドへの移行で削減される排出量を推定
Emissions Impact Dashboard では、Exchange や SharePoint をクラウドに移行することで削減される炭素排出量を推定することもできます。2018 年の調査 (英語) によると、オンプレミスと比べて Microsoft Cloud は、エネルギー効率が最大 93%、炭素効率性が最大 98% 優れています。Microsoft 365 用ダッシュボード アプリでは、この調査で排出削減量の推定に使用したものと同じ係数を使用しています。この推定値は、自社のオンプレミス システムの効率レベルや再生可能エネルギーの使用率をオプションの選択で適切に反映すると、さらに精度を上げることができます。
バリュー チェーン全体を表す手法を独立機関が検証
ダッシュボードに表示される数値の計算手法は、環境アセスメントおよびエンジニアリング コンサルティング企業の Apex (英語) が独立して検証しています。これには、温室効果ガス プロトコル (英語) で定義された次の 3 つの排出区分が含まれ、マイクロソフトのデータセンターで使用されるコンポーネントの製造、輸送、運用、廃棄に関連するバリュー チェーン全体を表しています。
- 区分 1: ビジネス活動により直接的に排出されるもの。クラウド データセンターのバックアップ用電源の発電で常時消費される燃料など。
- 区分 2: エネルギー生産により間接的に排出されるもの。発電所の排気ガスなど。
- 区分 3: その他のビジネス活動により間接的に排出されるもの。マイクロソフトのデータセンターで使用されるサーバーの製造、輸送、リサイクルなど。
区分 3 の排出量の推定は特に困難ですが、区分 1 と区分 2 の合計よりもはるかに多いことが珍しくないため、この計算は重要です。2020 年の環境サステナビリティ レポート (英語) でも、マイクロソフトの排出量の大半は区分 3 に分類されています。このカテゴリは規模が大きく複雑であることから、区分 3 の排出量の計算手法をさらに透明化するために、マイクロソフトの区分 3 排出量に関するホワイト ペーパー (英語) を先日公開しました。
ダッシュボードに表示された企業ごとの数値に到達するには、まず各データセンター リージョンの排出量を計算し、次にその排出量の一部を、Microsoft 365 の主要クラウド サービスの使用状況 (データ ストレージ、各アプリケーションのアクティブ使用率など) に応じてお客様に割り当てます。
利用を始めるには
Emissions Impact Dashboard for Microsoft 365 は、Microsoft 365 および Office 365 の中堅中小企業、大企業、教育機関のお客様にご利用いただけます。**アプリケーションのインストールと使用には、Power BI Pro ライセンスが必要です。
Emissions Impact Dashboard for Microsoft 365 のインストール方法:
- まず、Microsoft 365 の管理者権限を保持していることを確認します。次のいずれかの権限を持っている必要があります: グローバル管理者、Exchange 管理者、Skype for Business 管理者、SharePoint 管理者、グローバル閲覧者、レポート閲覧者
- Emissions Impact Dashboard for Microsoft 365 アプリを AppSource (英語) からインストールします。
- インストールが完了すると、Power BI アプリのページに表示されます。表示されたアプリをクリックして開きます。
- 画面の指示に従って操作し、Microsoft 365 テナントの ID を使用してデータに接続します。
- データの構築に 24 ~ 48 時間かかります。処理が完了したら、アプリのワークスペースでデータセットを更新します。
詳細情報やテクニカル サポートについては、マイクロソフト ドキュメント「Emissions Impact Dashboard for Microsoft 365 (プレビュー) に接続する – Power BI (英語)」を参照してください。
*Emissions Impact Dashboard for Microsoft 365 では全般的な推定値が示されるため、Microsoft 365 の主要クラウド サービスの使用によって IT インフラストラクチャから排出される炭素量のインサイトを組織が把握するのに役立ちます。
**このツールは、現時点では、米国政府機関クラウド、21Vianet が運用する Office 365、およびその他のナショナル クラウドではサポートされていません。
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