Ignite 2024: SharePoint エージェントの一般提供を開始
※ 本ブログは、米国時間 2024/11/19 に公開された “Ignite 2024: SharePoint agents now in general availability” の抄訳です。
だれもが気軽に専門知識を活用
本日開催の Microsoft Ignite で、組織のビジネス価値を次のレベルへと引き上げる Microsoft 365 のエージェント (英語) を発表しました。これらのエージェントはそれぞれ独自の役割をサポートするための専門的なスキルや知識を備えており、すぐに使用することができます。さらに、人やチーム、組織と協調して、またはその代理として、単純なタスクからかなり複雑なビジネス プロセスにまで対応します。
本日マイクロソフトは、Microsoft 365 のエージェント機能の一部として、SharePoint エージェントの一般提供を開始することを発表します。これにより、ユーザーは SharePoint サイトとドキュメントを対象範囲を絞ったエージェントに変えて、ビジネス ニーズに対応するエキスパートとして利用することができます。このエージェントを使用すると、だれもが迅速にインサイトを取得して専門知識を充実させ、情報に基づいて意思決定を行うことができるようになります。SharePoint エージェントのロールアウトは今週から開始し、年内に完了する予定です。
SharePoint エージェントでコンテンツを業務に活用
従業員は膨大な量のデジタル コンテンツを作成しています。日々、SharePoint と OneDrive には 20 億個のファイルが追加され、200 万件の SharePoint サイトが新たに作成されます。こうした膨大な量の知識は組織が成功をつかむうえでカギとなりますが、従業員がすべての情報を見つけだして理解し、効率的に活用するのは決して簡単なことではありません。AI は、組織内のコンテンツを活用して生産性を高め、より良いビジネス上の意思決定を行うための重要なツールです。
SharePoint エージェントは、だれもが必要に応じてエージェントを具体的に定義できるという強力な機能を備えており、サイト所有者とユーザーがプロジェクトやタスクに関する貴重な情報やインサイトにすばやくアクセスできるよう支援します。SharePoint で作成されたエージェントは、個人やチーム メンバーにとって特定分野のエキスパートのような存在であり、ワークフローを合理化し生産性を高めるのに役立ちます。
エージェントの作成と使用に関する一般的なシナリオ
お客様の組織でこうしたエージェントを活用する方法について理解を深めていただけるように、プライベート プレビューをご利用のお客様の事例をいくつかご紹介します。
カスタマー サポートの迅速化: 電気、航空宇宙、自動車製造における世界規模のインテリジェントな電力管理会社である Eaton は、プロセスの文書化と知識の共有を目的として SharePoint エージェントを作成しました。このエージェントは情報の検索を合理化し、効率性を高め、IT チームとエンジニアリング チームの両方に大きく貢献しました。特にエンジニアリング チームには、知識を共有しやすくなったことで顧客からの問い合わせへの対応が迅速化されるというメリットがありました。こうしたエージェントは簡単に作成できるため、SharePoint コンテンツのみを使用してワークフローを効率的に合理化できました。
その他のシナリオ
新しいチーム メンバーのオンボーディング: 新入社員が新しいプロセスやツールの習得に苦戦することは珍しくありません。チーム リーダーが、馴染みやすく知識豊富なオンボーディング エージェントを作成して窓口にすることで、新しいチーム メンバーは最新の情報やソース ファイルにアクセスできるようになり、効率的に業務に慣れることができます。必要なリソースを提供し、新入社員が自信を持って業務に取り組めるようにすることで、プロジェクトの途中からでも参入しやすくなります。
製品サポート: 最新の製品ドキュメントに基づくフィールド インシデント レポート エージェントは、24 時間 365 日体制で問題に対処する最前線の現場でトリアージの役割を担うと同時に、顧客のニーズに寄り添った製品イノベーションに関するロードマップを策定する際にも役立ちます。Q&A 以外にも、エンジニアリング チームや製品サポート チームがこのエージェントを使用して、トレンド分析、根本原因分析、エスカレーションの分類などを行うことができます。これによりフィールド エスカレーションの全体像を把握でき、カスタマー エクスペリエンスを最適化するために必要な戦略が見えてきます。
予算計画: ビジネスにおける普遍的な真実として、時間は最も貴重な商品の 1 つであると言えます。チーム サイト上に、財務チームが使用する予算計画エージェントを構築しましょう。このエージェントには、予算ポリシー、過去の予算レポート、主要な予測ドキュメントを含めます。このエージェントが、将来の計画サイクルにおける推奨事項と優先順位を示し、長い時間を要する分析や誤差によるコストを削減してくれるため、チームは戦略的な財務計画に注力できます。
プライベート プレビューをご利用のお客様は、有用性の高い SharePoint コンテンツを特定し、SharePoint エージェントによってコンテンツの価値を最大化して組織の主要な目標や成果を達成できる箇所を決定することに重点を置いていました。一般提供の開始後、皆様の SharePoint エージェントの活用方法をお聞かせいただけることを楽しみにしています。
使いやすく、作成も簡単
すべての SharePoint サイトに、そのサイトのコンテンツを対象としたエージェントが含まれており、すぐにサポートを受けることができます。これらの既製のエージェントを出発点とすることで、サイト内をくまなく調べたり細かく検索して探し回ったりしなくても、簡単に回答を得ることができます。カスタマイズは不要で、すぐに使用可能です。
SharePoint サイトでは、上部のリボンの右側にある Copilot アイコンからサイト エージェントを選択することができます。このエージェントには、既定でサイトと同じ名前が設定され、[Approved for this site] リストの一番上に表示されます。
SharePoint ユーザーならだれでも、特定のプロジェクトやタスクに関連するファイル、フォルダー、サイトに基づいてカスタマイズしたエージェントをわずか 1 クリックで作成することができます。
SharePoint エージェントを作成する際は、次の 3 つのいずれかから操作を開始します。
- 既製のエージェントにアクセスする場合と同じように、上部のリボンの Copilot アイコンを選択し、ドロップダウン メニューで [Create an agent] をクリックする。
- ドキュメント ライブラリでファイルを選択し、上部のメニューの [Create an agent] をクリックする。
- 画面左側の [Home] タブを選択し、ドロップダウン メニューで [+ New] をクリックしてから [Agent] を選択する。
初期段階では、これらのエージェントは Word、PowerPoint、Excel、Loop、PDF、HTML などのファイル形式をサポートしています (サポート対象のファイル形式の詳細は FAQ を参照)。今後、メタデータ、リスト、会議の録画、ビデオの文字起こしデータ、動画ファイルのサポートを予定しています。
プロジェクトやサイトが進展したり方向転換したりすると、エージェントはそのコンテンツを反映しながら常に最新情報を使用して処理を行います。また、エージェントの基盤となるファイルを編集したり、選択したフォルダーやサイトにソース コンテンツを追加または削除したりすると、エージェントは自動的に更新されます。
Teams での共有と共同作業
エージェントはメールや Teams チャットで簡単に共有できるため、正確で関連性の高い情報をチームで共有して作業できます。共有されたエージェントを同僚が使用できるというメリットがあるだけでなく、グループ チャット設定でエージェントを @ メンションすると、チーム メンバーは特定分野のエキスパートとしてエージェントを利用し、サポートを受けたりコラボレーションの促進に役立てたりすることができます。
信頼できるセキュリティ機能を基盤として、データを保護し過剰共有を制限
エージェントは Microsoft 365 Copilot と同じ AI テクノロジを搭載しており、Microsoft 365 の安全領域内で動作し、データのプライバシーとセキュリティを高い水準で維持します。つまり、Microsoft 365 の外部にファイルを移動するという余分な作業は不要であり、保持ラベルや秘密度ラベルといったすべてのデータのセキュリティ保護が維持され、データ損失の防止に役立ちます。
SharePoint エージェントは既存の SharePoint ユーザー権限と前述のラベルに準拠し、データを確実に保護すると共に、機密情報の過剰共有防止にも役立ちます。これにより、エージェントを使用する際も、ユーザーがアクセスできるファイルは表示や編集を許可されているもののみに限られます。また、組織内の他のユーザーとエージェントを共有するたびに、ユーザーが選択したファイルをエージェントが広範囲に共有することはありません。コンテンツ ガバナンス機能が強化された Microsoft 365 Copilot で過剰共有に対処する方法の詳細については、こちら (英語) をご覧ください。
エージェントとその基盤となるコンテンツへのアクセスが一部のユーザーに制限されている場合、以下のようにしてデータのセキュリティが維持されます。
Teams 内に従業員のグループが参加しているチャットがあり、そこにプロジェクトをサポートするためのエージェントが追加されました。機密情報にアクセスできるリーダーがエージェントに質問しましたが、チャット メンバーの一部はそのソースとなる情報へのアクセスに必要な権限を持っていません。エージェントによる回答をアクセス権限のないユーザーと共有する場合、リーダーはその回答を確認し、共有を承認するよう促されます。コンテンツへのアクセス権限を持たないユーザーには、エージェントが共有の許可を待っている旨が通知されます。リーダーが回答を共有することに決めた場合、ソース ファイルへのアクセス権限を持たないユーザーは回答のみを見ることができ、基となるファイルを見ることはできません。
SharePoint サイトの所有者は、以下の方法でエージェントを管理できます。
- 特定のサイト用に既製のエージェントを承認する
- サイトの既定のエージェントを選択する
- 他のユーザーが作成したエージェントを上部のリボンの Copilot アイコンのドロップダウン メニューに掲載し、サイト メンバーに表示されるようにする
サイト作成者でありそのサイトの編集権限を持つユーザーのみが、カスタマイズされたエージェントの作成と編集を行うことができます。ここでは SharePoint で既に機能しているものと同じ権限モデルが適用され、サイトに存在する知識に最も近いユーザーが、日常業務の改善に役立つエージェントを作成できます。通常の編集者は独自のエージェントを作成できますが、サイト用のエージェントや、他の全ユーザー向けのエージェントを設定できるのはサイトの所有者のみです。
SharePoint エージェントをファイルと同様に管理 – エージェントをファイルとして扱う
SharePoint データを使用して作成されたエージェントはファイル ベースであり、拡張子は「.agent」となります。これらのエージェントは、作成された場所と同じサイトやフォルダーに保存されます。ファイルとして扱われるため、他のファイルを管理するのと同じように管理でき、コピー、移動、削除、アーカイブといった操作が可能です。
Copilot Studio でエージェントをさらに活用
現在プライベート プレビュー中の Microsoft Copilot Studio の統合機能を使用すると、サードパーティのソース、アクション、自動化ワークフローなどを利用して、エージェントをさらに高度にカスタマイズすることができます。その後、エージェントを Teams のアプリ カタログに公開することも可能です。
Microsoft 365 Copilot ライセンスに追加され、従量課金制のオプションも近日中に登場
SharePoint エージェントは、Microsoft 365 Copilot ライセンスに主要機能として追加されます。現時点では、Microsoft 365 Copilot ライセンスの機能としてエージェントの作成、使用、共有が可能です。
また、Microsoft Copilot Studio の従量課金ライセンスを所有するテナントでは、近日中に SharePoint エージェントを従量課金制で使用できるようになります。
さらに、管理者は Microsoft 365 管理センターを通じて SharePoint エージェントの従量課金を管理できるようになります。
プロモーション オファー: すべての従業員が SharePoint エージェントを体験可能
エージェントは比較的新しい AI 技術であるため、2025 年 1 月 6 日から 2025 年 6 月 30 日まで、条件を満たす組織の皆様に SharePoint エージェントを体験していただくためのプロモーションを実施します。Microsoft 365 Copilot ライセンスを 50 以上所有する組織には毎月 10,000 件のクエリが提供され、Microsoft 365 Copilot ライセンスを所有していないユーザーが SharePoint エージェントを使用、作成、共有、操作することができます。このプロモーション オファーが知識の共有とチームワークの強化に役立ち、早期導入ユーザーから重要な学びを得られることを願っています。
プロモーション オファーの詳細についてはこちら (英語) をご覧ください。管理者の皆様には、こちらから試用版へのアクセスの管理についてご確認いただけます。
*注: 管理者の皆様に情報を十分にお知らせするため、プロモーション開始日が当初発表されていた 12 月 1 日から 1 月 6 日に変更されました。
継続的に機能を改良
強力でありながらシンプルなこの SharePoint 機能は、お客様からのフィードバックを参考にしながら今後も進化を続けます。
今後数か月で予定されている製品ロードマップは以下のとおりです。
- 既製の SharePoint エージェントを編集および共有する
- ユーザーがカスタムマイズした SharePoint エージェントに OneDrive ファイルを含める
- OneDrive 内で独自のエージェントをカスタマイズして作成する
- SharePoint ハブ サイト用のエージェントを作成する
- 高度なカスタマイズに対応するため Copilot Studio を統合する (現在プライベート プレビュー中)
今すぐ SharePoint エージェントの利用を開始する
お客様の組織に SharePoint エージェントを実装する準備はできていますか? 学習ビデオ、コミュニケーション キット、サポート記事、クイック スタート ガイドなどの資料を SharePoint エージェント導入ページにご用意していますので、ぜひご活用ください。
以下のページで追加の関連資料をご確認いただけます
- SharePoint エージェントのサポート記事 – 詳細情報や FAQ を掲載しています。
- Microsoft Mechanics の動画「ワンクリック AI SharePoint エージェント」 – SharePoint エージェントの技術的詳細を製品リーダーが直接解説します。
Microsoft Ignite 2024 のセッションもぜひご覧ください
- KEY01 | Ignite 基調講演 (英語) | 11 月 19 日午前 6 時 (太平洋標準時)
- GS05 | Microsoft 365 Copilot と Copilot Studio の価値を引きだす (英語) | 11 月 20 日午前 6 時 30 分 (太平洋標準時)
- BRK279 | SharePoint エージェントでコンテンツ管理を刷新 (英語) | 11 月 20 日午後 12 時 30 分 (太平洋標準時)
- LAB442 | 対象を絞った安全なエージェントを数クリックで構築 (英語) (Lab) | 11 月 20 日午前 11 時 15 分 (太平洋標準時)
- LAB442-R1 | 対象を絞った安全なエージェントを数クリックで構築 (英語) (Lab) | 11 月 21 日午後 1 時 (太平洋標準時)
2025 年の予定
- 2025 年 1 月 9 日 (木): Ask Me Anything を開催します。SharePoint エージェントのエンジニア、設計者、プロダクト マネージャーと共に、本製品について詳しく学んでいただけます。こちら (英語) から今すぐご登録ください。
- 2025 年 1 月 14 日 (火): Intrazone ポッドキャスト (英語) で、ビジネスにおける SharePoint エージェントのユース ケースについて、プライベート プレビューに参加しているお客様と共に詳しく見ていきます。マイクロソフトが取り組んだこと、そこから得た学びのほか、SharePoint エージェントの使用に関するベスト プラクティスを参考にして今後どのように展開するかについて説明します。
- 2025 年 1 月 29 日 (水): 「SharePoint: 構想から実現、その影響まで + ライブ Ask Me Anything」を開催します。詳細については Microsoft Tech Community のイベント ページ (英語) をご覧ください。
追加情報 | Microsoft Ignite 2024 の「SharePoint エージェントでコンテンツ管理を刷新」 (BRK279) セッションの動画で、SharePoint エージェントが実際に動作しているようすをご紹介しています。ぜひ今すぐご覧ください。
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