Microsoft Dragon Copilot の紹介: AI で臨床ワークフローを変革

※本ブログは、米国時間 3 月 6 日に公開された “A Deeper Look at Microsoft Dragon Copilot: Transforming Clinical Workflow with AI” の抄訳を基に掲載しています。

業界初の臨床ワークフロー用 AI アシスタントである Dragon Copilot について詳しく説明します。

今週、マイクロソフトは Microsoft Dragon Copilot を発表 (英語) しました。これは、音声ディクテーション、アンビエント AI、新しい自然言語の機能を臨床医向けに 1 つの統合エクスペリエンスに集約した、初の臨床ワークフロー用 AI アシスタントです。

Microsoft Dragon Copilot は、世界中の 60 万人を超える臨床医が数十億件に上る患者記録の文書化の際に使用している Dragon Medical One の信頼できる自然言語の音声ディクテーション機能と、先月だけで 300 万件以上のアンビエント診療を支援している DAX Copilot アンビエント リスニング機能を組み合わせた、新たな統合ソリューションです。

この数年、DAX Copilot と Dragon Medical One はさまざまな医療環境で広範囲にわたって実績を積み重ね、患者のエクスペリエンスと臨床医のウェルビーイングを向上させると同時に、業務効率と財務的な効果も高めてきました。こうした改善がきっかけとなり、臨床医が現在も同じ医療機関にとどまって医療に従事し続けているケースもあることを、マイクロソフトは非常に誇らしく思っています。

臨床医の働き方を変革

Dragon Copilot を使用することで、臨床医はより高度なレベルのカスタマイズによって文書作成を効率化したり、ワークフローを中断することなく情報を表示したり、ワンクリックで他のワークフローのタスクを自動化したりできます。

複数の方式で文書化とワークフローを効率化

Dragon Copilot は、複数の方式によって、業務の遂行に比類ない柔軟性をもたらします。これにより、臨床医はニーズに合わせて最適なアプローチを選択できます。こうした柔軟性により、ケアの継続における事務作業の負担が軽減され、特定のタスクや状況に応じて最も効率的な方法を選べるようになります。

• アンビエントのパワー: 複数当事者間や多言語での患者と医師の会話を確実に記録し、包括的で専門分野に特化した文書に変換できます。これにより、臨床医は画面ではなく患者のケアに集中し、患者ごとに配慮の行き届いた関係を築くことができます。

• 自然言語のパワー: 自然言語で文書を編集、照会したり、新しいコンテンツを作成したりして、手軽な操作で文書作成を行えます。これにより、複数の箇所を一度に更新して時間を大幅に節約でき、レビュー プロセスが変革されます。

• 音声ディクテーションのパワー: 臨床医が音声ディクテーションを使いこなし、患者の診察以外での文書作成、臨床コンテンツのレビューや操作といったタスクを実行しているケースは珍しくありません。

• • 20 年以上にわたって改良されてきた、音声コマンド、編集制御、Step-by-step コマンドや AutoTexts などのショートカットといった Dragon の機能は、これらのプロセスを強化し、文書化ワークフローの厳密なパーソナライズを実現しています。

• • Step-by-step コマンドを使用すれば、1 つのコマンドを発行するだけで、EHR ワークフロー内で実行されるナビゲーションや何度も繰り返し行うタスクを自動化できます。AutoTexts では、臨床医がよく使用するテンプレートを自動化し、ドキュメントに統合できます。

• • これらのカスタマイズと音声コマンドは、現在 60 万人以上の Dragon Medical ユーザーに幅広く利用されており、年間で 1 億 4,000 万の AutoTexts と 3 億の音声スキルおよびコマンドが使われています。こうした機能は引き続き Dragon Copilot で提供されます。

より高度なレベルのカスタマイズ

Dragon Copilot を使用すると、記録の書き方や書式の設定などを通じて文書作成をさらにカスタマイズできます。繰り返し利用する臨床情報を記録するためのカスタム テンプレートを定義したり、アンビエントの会話で検出された関連のある所見に基づいて、テンプレートを自動的に更新したりすることが可能です。

ワークフローを中断せずに情報を表示

Dragon Copilot を使用すれば、必要に応じて関連情報にアクセスし、記録の照会、承認済みのコンテンツ ソースからの医療情報の取得、診療記録の提案の確認などを行えます。これにより、ワークフローを中断することなく、必要な情報を確実かつ簡単に入手できます。

ワンクリックでタスクを自動化

Dragon Copilot を使用することで、記録や医学的根拠の要約、診療指示の準備、事前に定義された紹介状や診察後の要約の下書きなど、臨床上のタスクもそれ以外のタスクも自動化できます。これにより時間を節約でき、臨床医の生産性と業務効率が向上します。

繰り返しのタスク

Dragon Copilot により、何度も繰り返し行うカスタム タスクのライブラリを簡単に管理し、必要に応じてトリガーできます。

Dragon でより多くのことを実現

シームレスな方式の選択

多くの場合、組織は別々の製品のアンビエント機能と音声認識機能を組み合わせたハイブリッド ソリューションを使用しており、ユーザー エクスペリエンスの一貫性が損なわれています。Dragon Copilot を使用すれば、あらゆる医療環境や臨床文書の作成ワークフローで、音声ディクテーション、アンビエント、自然言語の機能を簡単に切り替えることができます。

自然言語のプロンプト インターフェイス

Dragon Copilot により、臨床医は自然な言葉遣いで臨床文書を編集、照会、作成することができます。この革新的なプロンプト インターフェイスにより、ワークフローを中断することなく臨床情報にシームレスにアクセスできるようになるなど、Dragon Copilot に新たなイノベーションがもたらされます。臨床医によるプロンプト インターフェイスの活用例は以下のとおりです。

要約の編集および追加:「発熱の数値を 102 に変更してください」と入力します。

生成してみましょう。

問題なく変更されました。

文字起こしされた診療記録での情報の照会:「患者は耳の痛みを感じていましたか?」

新しい出力の作成:「耳鼻科医に紹介するために、耳の問題を簡潔に要約してください」

臨床現場に応じた方法で利用可能

Dragon Copilot はモバイル、Web、デスクトップで利用できます。また、Epic 内に完全に統合され、主要な EHR すべてと互換性があります。

プロンプトの管理

Dragon Copilot を使用すると、頻繁に生じるタスク用のプロンプトを簡単に作成して再利用できます。シンプルなものから複雑なものまで、プロンプトは臨床医が AI を最大限に活用するうえで役立ちます。

臨床医のための副操縦士

Microsoft Dragon Copilot のビジョンは、臨床医にとっての副操縦士の役割を果たすことです。看護師などの新たな優先ペルソナを対象とした機能拡張や、将来的にはサードパーティ機能の拡張も予定しています。マイクロソフトの広範な医療パートナー エコシステムがこのビジョンの核となっており、会話の文脈から引き出される先見的なインテリジェンスを新たに取り入れることで、確かな成果をもたらします。

信頼に基づき構築

AI で臨床ワークフローを変革し、患者と臨床医のエクスペリエンスを向上させることで生み出されるメリットを持続させるためには、こうしたテクノロジに対する高い社会的信頼を育む必要があります。

マイクロソフトは安心、安全、プライベートな、信頼できる AI をお客様に使用および構築していただけるよう支援したいと考えています。Microsoft Secure Future Initiative を利用することで、最高水準のセキュリティ、プライバシー、コンプライアンスに対応しています。マイクロソフトの AI は、責任ある AI プラクティスに従い、医療分野に特化した臨床およびチャットの保護対策、コンプライアンス対策を取り入れ、正確かつ安全な出力を行います。さらに、マイクロソフトのデータはプライバシー原則に基づき、透明性の高いポリシーでサポートされ、厳重な保護対策によって守られています。

共に取り組みましょう

皆様と共にこの先を見据え、未来を形作っていけることを楽しみにしています。協力して取り組めば、医療に従事する喜びを再び呼び起こすと共に、患者のエクスペリエンスを向上させることができるでしょう。今後もこのコミュニティに最新情報を公開していきます。皆様からのフィードバックや質問もお待ちしています。

詳細は、aka.ms/DragonCopilot (英語) をご確認ください。