2025年3月27日 4:24 PM

Microsoft 365 の動画機能のこれから

※本ブログは、米国時間 2024 年 11 月 27 日に公開された “The future of video in Microsoft 365” の抄訳を基に掲載しています。

今日の職場では、時間の節約、関心の喚起、生産性の向上がこれまで以上に重視されています。それらを最も効果的に促進する方法として実証されているのが、メッセージを視覚的に伝えることです。

テクノロジが重要な位置を占める今、世界のリーダーたちが好んで使用しているのが視覚化ツールであり、今日の新たなハイブリッド ワーク環境や教育環境では、動画を活用する場面がこれまで以上に増えています。

マイクロソフトは日頃から市場とユーザーの声に注意深く耳を傾けています。その中で、Microsoft 365 が提供している動画編集ソフトウェアの Clipchamp と企業向け動画エクスペリエンスの Stream の 2 つの主要動画サービスにおける重要な重複について理解を深めてきました。どちらの製品にも独自の利点が備わっていますが、それぞれ異なるユーザー エクスペリエンスを提供しているという状態は、動画機能におけるユーザーの操作性を損なう可能性があります。

このためマイクロソフトは、新たに一貫性のある動画エクスペリエンスの実現を推し進めることにしました。具体的には、Clipchamp と Stream を、両プラットフォームの強みと利用方法を活かした単一の統合動画ソリューションへと進化させます。

この取り組みによって OneDrive と SharePoint (ODSP) のメリットがより密接に連携し、マイクロソフトのあらゆるコンテンツで使用される ODSP プラットフォームと動画コンポーネントの統合が強化されます。

ユーザーが得られるメリット

動画は引き続き SharePoint、Teams、OneDrive に保存されます (ドキュメント、プレゼンテーション、スプレッドシートと同じです)。また、他の Microsoft 365 アプリとの共有、検索、コメントといった従来のエクスペリエンスも維持されます。Clipchamp のクリエイティブ機能を追加することで、ユーザー エクスペリエンスと生産性が強化された、より堅牢で多用途な動画ソリューションをユーザーに提供することを目指しています。

今回の変更によって、ユーザー コンテンツが影響を受けることはありません。また、現行の 2 製品の機能や能力を使用できなくなることもありません。この統合は、ユーザーが両製品の高度な機能を活用して、エコシステム全体で動画コンテンツをシームレスに作成、管理、共有、利用できるようにするためのものです。動画が SharePoint の機能として統合されるため、セキュリティとコンプライアンスがさらに強化されます。これは、企業が外部ソリューションを調査、購入、検証する必要がなくなるためであり、そこに費やしていた時間、費用、労力も節約されます。

この統合により、企業ユーザーの大多数がアクセスできる単一の統合動画作成ツールが確立されるため、ユーザーやチームは複数のエクスペリエンスを切り替えながら作業する必要がなくなり、増え続ける動画需要への対応に集中できるようになります。

それでは、今回の変革によってマイクロソフト ユーザー向けの動画ソリューションがどのように強化されたか、また、企業が動画をよりスマートに活用する方法について詳しく見ていきましょう。

サービスを 1 つに集約して提供する

プロセス主導のワークフローが主流の今日の環境では、ツールの連携不足やワークフローの断片化が、業務の鈍化や導入の遅れ、動画の効果を十分に活用できない要因につながる可能性があります。そのため、Microsoft 365 全体で動画エクスペリエンスを簡素化し、可能な限りシームレスで直感的に操作できるようにすることを重視しました。

動画の作成、視聴、検索の間に存在する断絶をなくすことが、この統合の目的です。プレイヤー、動画ホームページ、エディター、キャプチャ ツールを 1 つの一貫したエクスペリエンスにまとめることで、導入の幅を広げ、成長の妨げとなる障壁を取り除きます。

この統合によって、ユーザーが動画コンテンツの作成と視聴をスムーズに切り替えられるようになります。これは、PowerPoint では同一のインターフェイス内で表示と編集が可能であることとよく似ています。企業では従業員が異なるタスクを行うたびに複数のツールを行ったり来たりせずに済むため、生産性と効率の向上につながります。さらに、従業員に効率化された統合動画エクスペリエンスを提供すれば、従業員どうしのコラボレーションの効果が高まるだけでなく、ナレッジをシームレスに共有したり、強化された動画コミュニケーションとコンテンツ作成を通じてイノベーションを推進したりすることも可能です。

「新しいスタート ページが気に入っています。構造がよく考えられており、非常に直観的に操作できます。特に、作成と視聴に関するツールがすべて使いやすくなっています」

より高度に統合されたソリューションを提供することで、ユーザーは動画のメリットを最大限に活用し、プラットフォームを切り替えることなく、これまで以上に簡単にコンテンツを作成、共有、検索できるようになります。

動画統合機能のスタート ページの変更は 2024 年 12 月 (英語) から実装されます。

プレイヤーを優先する

動画再生機能を改良すると、動画コンテンツに対するユーザーのエンゲージメントが劇的に変化します。AI を活用して動画の再生機能と検索機能を強化することで、ユーザーが関連コンテンツをより簡単に見つけて利用できるようになります。動画の視聴と作成のエクスペリエンスを統合してシームレスに切り替えられるようにすることで、動的かつインタラクティブな環境が促進されます。

エンゲージメントを全体的に向上させ、マイクロソフトのエコシステム全体の新たなユーザーにリーチするために、OneNote および SharePoint とさらに緊密に連携できるようにします。

特に注目なのが動画のクリップを共有する機能で、動画の作成者と視聴者が開始時間と終了時間をカスタマイズできます。これによりコラボレーションが強化され、重要な情報に簡単にアクセスして共有できるようになるため、組織内のコミュニケーションと生産性が向上します。また、元の動画を編集したりトリミングしたりすることなく、短いハイライト動画にして共有することができます。

Microsoft Clipchamp のクリップ共有機能

Microsoft Clipchamp のクリップ共有機能

動画の一部をクリップとして共有する機能は、2025 年 3 月に一般提供開始予定です (英語)

キャプチャ、カメラ、画面録画の最新情報

現在、マイクロソフトのスタンドアロン カメラと画面録画ツールでは、軽量な動画作成エクスペリエンスを使用できます。これを使用すると、チームの最新情報を伝える動画や製品デモ、ハウツー動画を簡単に作成することができます。

キャプチャと編集のエクスペリエンスを連携させれば、Clipchamp エディターにシームレスに切り替えられるようになり、そこから高度な編集機能を使用して、より魅力的でインパクトのある動画を作成できるようになります。

Microsoft Clipchamp で動画を録画する

Microsoft Clipchamp で動画を録画する

マイクロソフトのカメラと画面録画ユーティリティのキャプチャ エクスペリエンスが先日アップグレードされ、新しいコマンド バー コントロールと録画ボタンが更新されました。この更新により、モードとエフェクトが選びやすくなり、録画エクスペリエンスが改善されました。また、近日中には Clipchamp エディター内のカメラにも反映されます。

このカメラからの高度な編集機能は、2025 年初めに提供開始予定です (英語)

Microsoft Outlook で Microsoft Clipchamp のキャプチャ機能と再生機能を使用できる

Microsoft Outlook で Microsoft Clipchamp のキャプチャ機能と再生機能を使用できる

Outlook に、キャプチャと再生を組み合わせたエクスペリエンスが統合されました。これにより、職場アカウントや学校アカウントの Outlook 内でキャプチャ ユーティリティを使用して、画面を録画したり、Web カメラで動画を作成したり、エフェクトを直接追加したりできるようになりました。解説動画や製品デモ、簡単な Web カメラ動画の録画に最適な機能であり、メッセージの受信者は Outlook に埋め込まれた動画プレイヤー内から受け取った動画を直接再生することができます。この機能は既に全世界で提供されています (英語)

キャプチャ エクスペリエンスは近日中に Teams チャネルにも追加される予定です。Clipchamp プレイヤーを使用して Teams 動画を作成し、同じ Teams チャネル内で視聴できるため、クロスプラットフォームのコラボレーションが可能になります。この機能は 2025 年 1 月までに提供開始予定です (英語)

ブランド キットを組織全体で共有する

業務効率化のために、マイクロソフトはブランド キットの開発を継続的に進めています。その中で、ブランド キットを組織全体で作成、共有できるようにしました。現在ではチーム全体や企業全体にわたってデザインを統一し、コミュニケーションやコンテンツのナラティブにおいて一貫性を維持できるようになっています。

ユーザーは Microsoft 365 管理者と連携して、組織内のすべての Clipchamp ユーザーが利用できるブランド キットを作成できるため、コンテンツとタッチポイント全体にわたってブランドの一貫性を維持し、効率を高め、従業員間の連携を図ることができます。

Microsoft Clipchamp でブランド キットを更新する

Microsoft Clipchamp でブランド キットを更新する

新しいテンプレートを試す

企業ユーザーが新規プロジェクトに適用できる独自のテンプレートを作成できるようになりました。このテンプレートはブランド キットに追加し、組織全体に新しいアセットとして共有することができます。このテンプレートは既存のプロジェクトに適用することも可能です。個人用テンプレートを簡単に作成できるため、日常的なプロセスに費やす時間や労力を削減するのにも役立ちます。

あらゆるプロジェクトをテンプレートに変換できるため、それを使用して従業員どうしの結束やコラボレーションを強化できるだけでなく、コンテンツ作成プロセスにかける時間を節約し効率化するためのアセット スイートを作成することができます。

Clipchamp Commercial のテンプレート作成機能は、2025 年 1 月に提供開始予定です (英語)

Microsoft Clipchamp でテンプレートを作成して共有する

Microsoft Clipchamp でテンプレートを作成して共有する

Clipchamp エディターでトランスクリプトを編集する

今回、新しい動画編集機能も追加されました。その 1 つが、Clipchamp のトランスクリプト ベースの編集です。これを使用してトランスクリプトを編集すると、動画内の不要なセクションがすばやく正確に削除され、作業を効率化できます。トランスクリプトのテキストから不要な単語を選択して削除するだけで、動画の該当するセクションが削除されるため、タイムラインから移動する必要がありません。

このトランスクリプト ベースの編集機能では、ユーザーが動画作成時に手動で行う必要のある作業を削減してプロセスを効率化し、大規模なチーム全体で一貫性を高めることを目指しています。

トランスクリプト ベースの編集機能は、2025 年 3 月までに提供開始予定です (英語)

Microsoft Clipchamp で、トランスクリプト ベースで動画を編集する

Microsoft Clipchamp で、トランスクリプト ベースで動画を編集する

Microsoft 365 Copilot で動画を要約する

Copilot と動画機能の統合も大きく前進しました。Copilot との統合により、Outlook や PowerPoint に埋め込まれた動画コンテンツを要約できるようになりました。Copilot へのアクセス権限を持つユーザーが Outlook と PowerPoint のいずれかでトランスクリプト付きの動画を視聴している場合、動画プレビューの左下に要約ボタンが表示されます。この機能は現在、Copilot ライセンスを所有するユーザーに一般提供されています。

Microsoft Outlook の Clipchamp の動画要約機能

Microsoft Outlook の Clipchamp の動画要約機能

更新された管理コントロールで動画をより簡単に制御する

作成と視聴のエクスペリエンスの簡素化に加え、企業のお客様が新しい統合動画エクスペリエンスをより適切に管理できるように管理コントロールも更新する予定です。組織が柔軟に対応できるように、管理者はメディア機能をシームレスに制御する必要があります。既存のトランスクリプション用管理コントロールと新たに実装される画面録画用コントロールを使用すると、Clipchamp が埋め込まれているあらゆる場所の動画エクスペリエンスを制御することができます。

マイクロソフトが提供する Microsoft 365 製品を総合的に使用している場合も、他社ソリューションを使用している場合も、この合理化された制御機能を使用すれば、管理者は進行中のワークフローを中断させることなく組織のエクスペリエンスを制御できます。

新しい管理コントロールは 2025 年 6 月までに提供開始予定です。詳細についてはロードマップ #468891 (英語) をご覧ください。

時間の節約、関心の喚起、生産性の向上が重視される今日では、職場における視覚化の力がさらに明白なものとなっています。ハイブリット ワークや教育環境の進化に伴い視覚ツールへの移行が進んでいることが、今日のテクノロジ環境における動画の重要性を強調しています。

マイクロソフトは動画サービスの効率化の必要性を認識し、Clipchamp と Stream を 1 つの統合動画ソリューションへと進化させました。両製品の強みを活かしたより堅牢で多用途なプラットフォームを提供します。この統合によって OneDrive と SharePoint のメリットを連携できるだけでなく、全体的なユーザー エクスペリエンスが向上します。さまざまな機能が統合され、動画エクスペリエンスが補完および強化されるため、ユーザーは柔軟に自分のストーリーを伝え続けることができるようになります。

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よく寄せられる質問

新しいエクスペリエンスへのアクセス方法を教えてください。

Office のホームから、アプリまたはメニュー タブ経由で Clipchamp のスタート ページを起動できます。統合動画ハブが起動し、そこに表示される作成オプション、推奨オプション、関連する動画ファイル、プロジェクト、プレイリストを使用して動画作成を開始できます。

Clipchamp Stream の既存機能はどうなりますか。

Clipchamp と Stream の既存機能には引き続きアクセス可能です。これらの機能は、単一の包括的な動画エクスペリエンスとして利用できるようになり、1 つの多機能な統合動画プラットフォーム内の機能であり続けます。

価格やライセンス モデルに変更はありますか。

Clipchamp の標準機能は、Microsoft 365 および Office 365 SKU (E3/E5/B SKU)、および Microsoft 365 Education (A3/A5) のユーザーが使用できます。ブランド キットと 4K の両方が Clipchamp の標準機能に追加されます。Microsoft 365 Copilot と高度な AI 関連機能を使用するには、現行のプランに Microsoft 365 Copilot プランを追加する必要があります。

スタンドアロンの Stream ブランドは今後どうなりますか。

この統合はマイクロソフトの動画機能に対する投資の一環であり、Clipchamp ブランド下で統一のエクスペリエンスを提供することで、断絶のないシームレスなプラットフォーム統合を促進します。Stream の機能は Clipchamp 内の包括的な動画エクスペリエンスで使用することで、動画コンテンツの作成プロセスを簡素化、効率化できます。

モバイルの統合動画機能はどうなりますか。

マイクロソフトは包括的な動画エコシステムとモバイルの役割の重要性を認識しています。現在、Clipchamp モバイル アプリは個人アカウントでのみ iOS で利用可能であり、Stream モバイル アプリは廃止されています。今後は、ユーザーのニーズに沿ったモバイル サービスを提供していきます。

Stream ブランドと関連ドキュメントはどうなりますか。

Stream ブランドの動画エクスペリエンスとドキュメント全般は、まもなく Clipchamp ブランドに変更されます。この作業の大部分は次の四半期に完了し、展開される予定です。

ODSP では動画ページを作成できますか。

SharePoint には、ヒーロー Web パーツを使用して動画を強調したページを作成できる方法が多数あります。Stream およびファイル ビューアー Web パーツを使用すれば、動画や他の種類のファイルを埋め込むことができ、強調コンテンツ Web パーツを使用すれば、動画や他の種類のコンテンツのロールアップ ビューを作成し、特定の場所からユーザーに表示することができます。最新のアップデートにより、ページ作成者がより魅力的なページを作成できるようになっているため、SharePoint ページは引き続き、連携したい相手に動画やその他のコンテンツを提供できる優れた方法となります。さらに魅力的な機能にするために、追加を希望される機能がありましたら、ぜひフィードバックをお寄せください。

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免責事項

1 Microsoft 365 Copilot は、Microsoft 365 のアドオンとして利用できます。Copilot を購入するには、条件を満たす Microsoft 365 サブスクリプションが必要です。

 

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