徹底解説: Azure AI Foundry の初心者向けガイド
※本ブログは、米国時間 3 月 7 日に公開された “Demystifying Azure AI Foundry: A Beginner’s Guide” の抄訳を基に掲載しています。
人工知能がもたらす変革に興味があるものの、何から始めればよいかわからないという方は、ぜひこの記事をお読みください。AI を使い始めたばかりの方でも、ある程度の使用経験がある方でも、この記事を読めば Azure AI Foundry の可能性を最大限に引き出すために必要な基礎知識が得られます。
Azure AI Foundry は、各種の強力なツールと機械学習モデルを提供します。プロジェクトやビジネスに大きな変革をもたらす、革新的な AI ソリューションを作成するための最初のステップとして、このプラットフォームを活用しましょう。
私はこれまで数年間、マイクロソフトのテクニカル トレーナーとして AI とデータに関する講習を行い、AI がさまざまな業界に大きな影響を及ぼすのを目の当たりにしてきました。この記事での私の目標は、皆さんが必要な基礎知識を身に付け、自信を持って AI の活用に乗り出せるようにすることです。
Azure AI Foundry (旧称 Azure AI Studio) は、だれもが AI を利用できるようにするためのツール スイートです。これを活用すると、AI ソリューションを簡単に構築、展開、管理でき、企業が実際に直面している課題に対処したり、イノベーションを促進したりすることができます。
たとえば、製造現場で Azure AI Foundry を活用し、センサーのデータを分析して機器の故障を予測できるようにすることで、予測的メンテナンスを強化し、ダウンタイムとコストを最小限に抑えることができます。小売業では、ソーシャル メディア、レビュー、アンケートを通じて顧客のセンチメント分析を行い、顧客満足度や改善点に関するインサイトを得ることができます。組織における Azure AI Foundry の活用方法の詳細については、Azure AI Foundry – 生成 AI 開発ハブおよびAzure ユーザーによる AI アプリの実際の使用例 (英語) をご覧ください。
Azure AI Foundry を使用すると、目的に合わせてさまざまな AI モデルやサービスを探したり、独自に開発したりできます。拡張性があるため、概念実証から完全な本番稼働用アプリケーションへの移行も容易に行えます。また、継続的な監視と改良も行えるため、長期間にわたって適切な動作が保証されます。
ここでは、AI Foundry の主要なアーキテクチャ コンポーネントと、これを統合する方法について簡単に説明します。
Azure AI Foundry のアーキテクチャ – Azure AI Foundry (英語)
トップ レベルでは、AI Foundry を使用して次のリソースにアクセスできます。
管理センター: ハブ、プロジェクト、接続されているリソース、展開といった AI Foundry リソースの管理に使用します。この機能は Azure AI Foundry ポータルの一部であり、ガバナンスや管理の業務を効率化します。管理センターでは、以下を表示および管理できます。
- プロジェクトとリソース
- クォータと使用状況の指標
- アクセスと権限の管理
詳細については、管理センターの概要 – Azure AI Foundry (英語) をご覧ください。
AI Foundry ハブ: AI Foundry ポータルのメインとなるトップレベルのリソースであり、プレイグラウンドやプロジェクト全体のセキュリティ、接続性、コンピューティング リソースを一元的に管理することができます。ハブが設置されると、そこから開発者がプロジェクトを作成し、ストレージ アカウント、Key Vault、データベースなどの共有リソースにアクセスできるようになります。その際、IT 管理者から継続的に支援を受ける必要はありません。このハブでは、Azure Machine Learning サービスと Microsoft.MachineLearningServices/workspaces という Azure プロバイダーを使用しており、タイプは “hub” となっています。ここでは次の機能を使用できます。
- プロジェクトおよびモデル エンドポイント用として管理されたネットワークを含むセキュリティ機能
- 開発、ファインチューニング、オープンソース、サーバーレス モデルの展開に使用するコンピューティング リソース
- Azure OpenAI や Azure AI Search といった他の Azure サービスへの接続
- データと成果物用の Azure Storage アカウント
AI Foundry プロジェクト: プロジェクトはハブの一部です。プロジェクトは、作業を整理したり、プロンプト フローなどのツール間で状態を保存したりするのに役立つほか、コラボレーションも可能にします。また、プロジェクト内ではファイルやデータ ソースとの接続を共有できます。
ハブは複数のプロジェクトとユーザーで共有できます。プロジェクトは料金やアクセス権限の管理に使用するもので、専用のストレージ コンテナーでデータが分離されるため、プロジェクト メンバー間でファイルを安全に共有することができます。
プロジェクトを作成すると、自身のコードからそのプロジェクトに接続できます。プロジェクトを作成する前にモデルと機能についてよく調べ、構築、カスタマイズ、テスト、運用の準備が整ったら、希望に沿ったプロジェクトを作成します。
プロジェクトの Azure プロバイダーは Microsoft.MachineLearningServices/workspaces で、タイプは “project” です。プロジェクトでは以下の機能を使用できます。
- データセット、モデル、インデックスなどの再利用可能なアセット
- ハブのストレージ内にデータをアップロードするためのコンテナー
- プロジェクト メンバーによるプライベート データへのアクセス
- カタログからのモデル展開、およびモデル エンドポイントの調整
接続: AI Foundry のハブとプロジェクトは、Azure Storage アカウント、Azure OpenAI、その他の Azure AI サービスなどからリソースにアクセスするために接続を使用します。
Azure Foundry のハブ、プロジェクト、接続をセットアップしたら、次にモデルを探して展開を開始します。
モデル カタログ: カタログは Azure AI Foundry ポータルで提供しています。生成 AI アプリケーションの構築用のモデルを幅広くご用意していますので、検索してご利用ください。モデル カタログには Azure OpenAI Service、Meta、NVIDIA、Hugging Face、DeepSeek といったモデル プロバイダーのモデルを数百種類収蔵しており、もちろん、Phi などのマイクロソフトがトレーニングしたモデルもあります。
ここでは、ニーズに合ったモデルを検索して見つけることができます。モデル カタログではモデルのパフォーマンスを評価するためのベンチマーク指標も提供しており、[Compare Models] 機能またはモデル カードの [Benchmark] タブからアクセスできます。
モデルに推論を実行させるには、そのモデルを展開する必要があります。Azure AI Foundry では、ニーズやモデルの要件に応じた各種の展開オプションを包括的に提供しています。
プロンプト フロー: この機能ではフローの生成、カスタマイズ、実行が可能です。フローとは、AI ロジックの実装に使用する実行可能な形式の命令セットです。フローの作成や実行には、事前構築済みのキャンバスや LangChain などの複数のツールを使用できます。単一フローの反復はアセットとして保存可能で、展開されたフローは API になります。
Azure AI Foundry ポータルのプロンプト フロー – Azure AI Foundry (英語)
プロンプトはモデルに送られます。これにはユーザー入力、システム メッセージ、サンプルが含まれます。ユーザー入力はチャット ウィンドウで送信されるテキストのことであり、システム メッセージはモデルの動作と機能の範囲を指定する命令セットです。
評価ツール: AI による応答において、コンテンツのリスクや望ましくない挙動が発生する頻度と重大度を評価するのに役立つツールです。適切な評価ツールを使用して反復的かつ体系的に評価を行うことで、応答の質、安全性、セキュリティに関する潜在的な懸念を AI 開発ライフサイクル全体にわたって測定し、対処することができます。Azure AI Foundry のベンチマーク (英語) を利用して、公開されているデータセット上でモデルを評価および比較することができます。
展開: セットアップしたモデルは展開する必要があります。展開されたモデルはエンドポイント内でホストされ、クライアントからデータを受信してリアルタイムで応答を返します。チャットや Copilot などの生成 AI アプリケーションでリアルタイムで推論を実行する際には、エンドポイントを呼び出すことができます。
AI Foundry には、コンテンツ フィルター、責任ある AI の要素、セキュリティといった必要な機能がすべて備わっています。それぞれの機能については次回の記事で詳しく説明します。
プレイグラウンド: モデルは必ず Azure AI Foundry のプレイグラウンドでテストしてください。ポータルには AI チャット モデルを展開して操作することができるチャット プレイグラウンドがあり、運用環境に展開する前にモデルを洗練させることができます。
Azure AI Foundry ポータルのチャット プレイグラウンドでチャット モデルと会話する – Azure AI Foundry (英語)
これで基礎知識を習得していただけたかと思います。次は、提供されているリソースとガイドラインに従って、実際に Azure AI Foundry を使ってみてください。
Azure AI Foundry を使い始める際に参考にしていただけるよう、チュートリアルをいくつかご紹介します。
- Azure AI Foundry ポータルでチャット プレイグラウンドを使用する (英語)
- チュートリアル: Azure AI Foundry ポータルのプレイグラウンドに企業のチャット Web アプリを展開する (英語)
Azure AI Foundry を活用して探索、学習を行い、アイデアを形にしましょう。
今後の記事にも、どうぞご期待ください。
皆さんに楽しく学んでいただけることを願っています。
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