2025年5月2日 3:26 PM

Microsoft 365 Copilot Wave 2 Spring リリースにおける Copilot Control System のイノベーション

※本ブログは、米国時間 4 月 23 日に公開された “Copilot Control System innovations in the Microsoft 365 Copilot Wave 2 Spring release” の抄訳を基に掲載しています。

本日の Microsoft 365 Copilot Wave 2 Spring リリースの注目点は、人とエージェントによるコラボレーションの新時代に向けた新機能です。チームは以前よりもずっとすばやく簡単に安全なエンタープライズ レベルのエージェントを作成、カスタマイズし、独自のビジネス ニーズに対応させられるようになりました。その一方で、IT 部門においては、それをどのように管理していくかが課題となっているのではないでしょうか。

そこでマイクロソフトは、IT 管理者やセキュリティ担当者の皆様がコスト、セキュリティ、ガバナンス、ライフサイクルの管理の課題を解決するうえで役立つ Copilot Control System (CCS) の新機能を発表しました。これらの新機能を活用することで、Microsoft 365 Copilot とエージェントをより効果的に保護し、測定し、管理して、使用の効果を最大限に高められるようになります。

Copilot Control System (CCS)

セキュリティとガバナンス

エージェントを効果的に展開するためには、組織のデータを過剰共有、データ損失、インサイダー リスクから保護することがきわめて重要です。Data Security Posture Management for AI Microsoft Purview アプリおよびエージェント (2025 年 6 月にパブリック プレビュー開始) では、管理者がエージェントに関連する潜在的なデータ セキュリティのリスクを特定し、管理することができます。単一のダッシュボードが備えられているため、そこからエージェントがアクセスする機密データを把握することも、データ セキュリティ ポリシーのギャップを特定することも、それらのギャップに対処することもできます。

Data Security Posture Management for AI の Microsoft Purview アプリおよびエージェントのダッシュボード

Data Security Posture Management for AI の Microsoft Purview アプリおよびエージェントのダッシュボード

管理者は特定のエージェントに関する包括的なインサイトにアクセスし、そのエージェントが Purview のデータ セキュリティ ポリシーによってどのように保護されているかを確認することができます。この詳細エージェント ビューには、そのエージェントに適用されているポリシーが表示され、管理者がこのビューから直接ポリシーを作成し、カバーされていない範囲に対応することもできます。

カバーされていない範囲への対応に関連したインサイトの例をご紹介します。

  • エージェントの危険なインタラクションについて警告: エージェントが機密データや危険な情報を含むプロンプトを受け取った場合に表示されます。
  • AI エージェントの不適切な使用を制御: エージェントの不適切また非倫理的な使用を検知します。
  • AI エージェントによる機密データの処理を阻止: エージェントが扱うデータの機密レベルを表示し、特定のレベルでエージェントによるアクセスをブロックできるようにします。

また、その他のリスク関連のインサイトもこの詳細エージェント ビューで確認できるため、管理者は状況を把握し、エージェントが組織のデータをどのように扱うべきかについて、情報に基づいて意思決定を行うことができます。

Data Security Posture Management for AI のアプリおよびエージェントの詳細エージェント ビュー

Data Security Posture Management for AI のアプリおよびエージェントの詳細エージェント ビュー

測定とレポート

Copilot Analytics (英語) は、AI がビジネスに及ぼす影響を測定できるように設計された一連のレポート機能です。この機能は、エージェントの使用状況を把握し、その効果を最大限に高めるために開発されたもので、組織全体でのエージェント管理を支援する IT 管理者向けのレポートと、エージェントの生産性と影響を評価するためのリーダー向けのレポートがあります。

無秩序な使用拡大の可能性や関連コストを管理するために根本的に必要なのは、エージェントの使用と消費の状況を把握することです。IT 管理者や AI 管理者は、従業員が使用しているエージェントと使用方法を把握し、エージェントを効果的に管理することが求められます。

Microsoft 365 管理センターでは、エージェントの使用と消費に関する充実した組み込みのレポートが提供されるため、管理者は組織全体にわたってエージェントの使用状況をモニタリングできます。これにより、アクティブ ユーザーの合計数、Microsoft 365 Copilot ライセンスの有無によるユーザーのセグメンテーション、パブリッシャー別のアクティブなエージェントの合計数、エージェント レベルやユーザー レベルでの詳細など、Microsoft 365 Copilot Chat におけるエージェントの全体的な使用状況を確認、把握できます。

新たに提供されるメッセージ消費レポート (2025 年 5 月にパブリック プレビュー開始を目標) では、消費されたメッセージの合計数、累積および日次の時系列データ、ユーザー レベルやエージェント レベルでの詳細など、Microsoft 365 Copilot Chat で測定されたエージェントの消費状況を可視化します。これにより、消費されているエージェントのメッセージの数を確認し、関連コストを把握して、より容易に管理できるようになります。

Microsoft 365 管理センターのメッセージ消費レポート

Microsoft 365 管理センターのメッセージ消費レポート

エージェント使用状況レポート (2025 年 6 月にパブリック プレビュー開始を目標) では、管理者がアクティブ ユーザーの合計数、Microsoft 365 Copilot ライセンスの有無によるユーザーのセグメンテーション、パブリッシャー別のアクティブ ユーザーとアクティブ エージェントの合計数、エージェント レベルやユーザー レベルでの詳細など、Microsoft 365 Copilot Chat におけるエージェントの全体的な使用状況を把握できます。

Microsoft 365 管理センターのエージェント レポート

Microsoft 365 管理センターのエージェント レポート

このメッセージ消費レポートとエージェント使用状況レポートはいずれも、エージェントの展開と導入に関して IT 部門の意思決定の参考となる強力なインサイトを提供します。

Microsoft 365 管理センターで提供されるツールを補完する Viva Insights の新しい Copilot Studio Agent Report (現在パブリック プレビュー中) では、リーダーや IT 担当者が Copilot Studio エージェントの使用状況、パフォーマンス、価値を包括的に把握できます。2025 年 6 月にはこのレポートに新機能を追加し、エージェントの使用状況と特定のビジネス指標を関連付ける、カスタマイズ可能なビジネス影響レポートを含める予定です。それにより、たとえば、サポート エージェントがどのようにチケットの作成を削減しているかや、営業エージェントがどのように大型案件のチャンスをつかんでいるかなどが表示され、組織内で AI の ROI を測定できるようになります。

Copilot Studio Agent Report – エージェントの影響を把握できる

Copilot Studio Agent Report – エージェントの影響を把握できる

これらのレポートの詳細については、Copilot Analytics のエージェントのレポートに関するブログ記事 (英語) を確認してください。

管理コントロール

コスト管理とセキュリティの課題への対処に関する 3 つ目の重要なステップは、効果的なライフサイクル管理です。Microsoft 365 管理センターは、エージェントの展開の管理、特定のユーザーやグループに対するエージェントの有効化、無効化、ブロック、そして組織のニーズに沿ったエージェントの効率的な使用のために必要なツールを管理者に提供します。このたび、エージェント管理を統合アプリ内で利用できるようになりました。Copilot Control System 内の専用管理ウィンドウでも近日中に提供される予定です。

エージェントのインベントリ管理ではレイアウトとワークフローが更新され (2025 年 5 月のリリースを目標)、エージェントとコネクタのインベントリ管理に必要不可欠な情報が簡単に確認できるようになります。

Microsoft 365 管理センターのエージェント管理画面に表示されるエージェントのインベントリの一覧

Microsoft 365 管理センターのエージェント管理画面に表示されるエージェントのインベントリの一覧

エージェント管理 (2025 年第 3 四半期に提供) を使用すると、管理者はエージェントを作成および使用することを承認されたユーザーのリストを簡単に更新、変更できます。同様に、チームのエージェントの使用を承認されていないユーザーを確認し、アクセス権を付与するかどうかをすばやく決定できます。

Microsoft 365 管理センターの Copilot 設定画面。Microsoft 365 Copilot Chat でのユーザーやグループによるエージェントのインストールや作成の有効化と無効化を制御できる

Microsoft 365 管理センターの Copilot 設定画面。Microsoft 365 Copilot Chat でのユーザーやグループによるエージェントのインストールや作成の有効化と無効化を制御できる

共有エージェント インベントリ管理 (2025 年 5 月のリリースを目標) では、管理者がレポートを確認し、インサイトに基づいてエージェントのブロックやブロック解除といった追加のアクションを取ることができます。また、エージェントのインベントリを CSV にエクスポートし、PowerShell でエージェントを管理することもできます。

Microsoft 365 管理センターのエージェント管理画面で、すべてのユーザーに対してエージェントをブロックできる

Microsoft 365 管理センターのエージェント管理画面で、すべてのユーザーに対してエージェントをブロックできる

Microsoft 365 管理センターのエージェント管理画面で、組織内のユーザーにエージェントを展開できる

Microsoft 365 管理センターのエージェント管理画面で、組織内のユーザーにエージェントを展開できる

IT 管理者やセキュリティ担当者は、これらの最新機能を使用することで、AI の力を活かして組織変革に取り組めるようになります。マイクロソフトは今後も引き続き、皆様が十分な情報に基づいて意思決定を行えるよう Copilot Control System 全体にわたるインサイトとコントロールを提供し、エージェントの作成者とそのユーザーの成果を後押しできる、管理された信頼性のある環境の構築を目指してまいります。

Copilot Control System の詳細については、デモ動画 (英語) または発表ブログを参照してください。

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