2015年2月6日 5:08 AM

エンタープライズ向けの Windows 10 : より安全に、常に最新の環境を提供

※本ブログは、Windows for your Business-“Windows 10 for Enterprise: More secure and up to date” の抄訳です。

1 月 21 日に Terry Myerson が発表したとおり、Windows 7、Windows 8.1、Windows Phone 8.1 デバイスを利用中のお客様を対象に、Windows 10 のリリースから 1 年間、Windows 10 への無償アップグレードが提供されます*。これほど大規模な無償アップグレードの提供はマイクロソフトにとって初めてのことで、個人ユーザーや多くの中小企業のお客様にとっては耳寄りなニュースでしょう。Windows 10 がリリースされた暁には、すぐに何億人ものお客様がアップグレードしてくださると期待しております。エコシステム パートナーの皆様にとってイノベーションを推進する大きなビジネス チャンスになると同時に、世界中の Windows 10 ユーザーにもメリットがもたらされます。さらに、Terry が述べたとおり、このアップグレードは 1 回限りではありません。Windows 10 にアップグレードした Windows デバイスでは、サポート期間中**、Windows Update を通じて常に最新の状態にアップデートすることができます。料金は一切かかりません。マイクロソフトでは、この「サービスとしての Windows」が、多くのお客様やパートナーの皆様にとって画期的なものになると考えています。たとえば、現在 Windows 7 Pro や Windows 8/8.1 Pro を利用されている中小企業などのお客様は、Windows 10 のリリースから 1 年以内であれば Windows 10 に無償でアップグレード可能です。これによって、最新のイノベーションを活用できるようになり、将来的にも新しい機能やセキュリティ更新プログラムを適用してデバイスを最新の状態に保つことができます。該当するお客様には、リリース後 1 年以内にアップグレードしていただくことをお勧めします。詳細については、こちらの Web サイト (英語) を参照ください。

Windows が「サービス」として進化することにより、既存の特典に加え、Windows 10 の展開や管理における高い柔軟性を、企業ユーザーやパートナーの皆様に提供できるようになります。また企業のお客様は、Windows 用のソフトウェア アシュアランスを通じて、引き続きエンタープライズ レベルの機能を最適かつ最大限に活用することが可能です。Windows 7 Enterprise および Windows 8/8.1 Enterprise は、先週発表された Windows 10 無償アップグレードの対象ではありません。しかし、ソフトウェア アシュアランスを締結されているお客様には、今回の無償アップグレードとは別に、エンタープライズ向けの Windows 10 製品にアップグレードする権利が引き続き付与されており、既存の管理インフラストラクチャを利用して Windows 10 を柔軟に展開していただけます。

1 月 21 日の発表後、さまざまなご意見を頂きました。その中で、マイクロソフトは「サービスとしての Windows」をどのように提供していこうと考えているのか、あるいは、既存のデバイスに対して新機能を提供することにどのようなメリットがあるのかといったご質問がありました。マイクロソフトは今回、次のメジャー リリースを待つのではなく、新しい機能やセキュリティ更新プログラム、重要な修正プログラムを定期的に配信していくアプローチを採用しました。こうすることで、Windows 10 は常に進化を続け、時間の経過と共に生産性と安全性を高めていくことができると考えております。

企業ユーザーは、より安全に、常に最新の環境を利用可能

ここで、今回発表されたアップグレードについて、企業ユーザーやパートナーの皆様にとって重要なポイントを具体的に説明したいと思います。多くのお客様は、1 つのソリューションを全社に一律で導入するのではなく、柔軟に管理できる方法でユーザー グループごとに適宜イノベーションを進めたいと考えていらっしゃることでしょう。Windows 10 は、そうしたニーズに応えられるソリューションの提供を目指しています。

ビジネス ユーザーにとって、自社の既存のシステムや思考パターンを世の中の急激な変化に合わせていくのは並大抵のことではありません。今日では、BYOD や、クラウド コンピューティング、消えゆくネットワーク境界など、さまざまなテクノロジ シフトが進行しています。

今日、一般ユーザーの多くは、デバイスが機能更新プログラムを自動的に受信してくれることを求めています。しかし、企業のお客様の場合、更新プログラムの展開方法や展開のタイミングをきめ細かく制御する必要があるでしょう。

たとえば、緊急治療室の電源システム、航空管制システム、金融取引システム、工場向けシステムなどでは、長期間にわたるきわめて厳密な変更管理ポリシーが必要となります。こうしたミッションクリティカルなユーザー環境で Windows 10 デバイスをサポートするために、マイクロソフトでは Long Term Servicing branch を提供していく予定です。このブランチは、ミッションクリティカルなシステムに求められるエンタープライズ レベルのサポートを提供します。最新の重要なセキュリティ更新プログラムを適用することでシステムの安全性を確保しながらも、サポート期間中 (メインストリーム サポート 5 年および延長サポート 5 年) は新機能を提供しないことで変更を最小限に抑えます。Long Term Servicing branch を利用する場合、Windows Server Update Services (WSUS) を通じてセキュリティ更新プログラムや修正プログラムを配信すれば、System Center Configuration Manager (英語) などの既存の管理ソリューションを用いて社内での更新プログラムの配信を完全に制御することができます。また、Windows Update を通じてこうした更新プログラムを自動的に受け取ることもできるため、柔軟な更新が可能になります。

しかし一方で、ミッションクリティカル環境の制御は重要であるものの、同時にミッションクリティカルとは限らないエンド ユーザー デバイスも数多く抱えているというケースも見受けられます。このような場合、ミッションクリティカルなシステムと同様にエンド ユーザー デバイスを管理してしまうと、不要なコストや複雑性が大幅に増えたり、ビジネス ユーザーが最新の機能を利用できなくなったりします。個々のエンド ユーザー デバイスを管理する業務から解放されたいと願う IT 組織も少なくありません。企業向けデバイスを最新状態に保つには、一般向けデバイスよりも慎重な手段が必要とされています。

これを受け、マイクロソフトではビジネスのお客様向けに新たなアプローチを提供することにしました。それが、Current branch for Business です。このブランチでは、セキュリティ更新プログラムは定期的に提供されますが、機能更新プログラムは、品質やアプリケーションの互換性が一般市場で十分確認されてからデバイスに提供されることになります。そのため、IT 部門は、機能変更が一般ユーザーに広く提供された時点で、あるいは、Windows Insider Program に登録されている場合はもっと早い段階から、更新プログラムの検証を自社環境で開始できます。Current branch for Business デバイスに適用する変更点は、既に数か月間かけて、数百万人もの技術者や一般ユーザー、あるいはお客様の社内テスト プロセスによって証明されているため、確実に動作保証された更新プログラムを展開することができます。更新方法は、更新プログラムを自動的に受信する Windows Update か、管理ツールで自社環境への更新プログラム配信を制御する WSUS のどちらかを選択できます。

Windows Update を選択すると、エンド ユーザー デバイスの管理コストが削減されるほか、セキュリティ更新プログラムや重要な修正プログラムをすばやく入手でき、最新のイノベーションをマイクロソフトから継続的に入手することができます。Windows 10 のベストプラクティスとして多くの企業ユーザーにお勧めしたいのは、ミッションクリティカルではないエンド ユーザー デバイスには Current branch for Business を利用して、自動的に Windows Update から更新プログラムを入手し、デバイスを最新の状態に保つという方法です。

マイクロソフトでは今後、企業向けの新機能導入に伴い、新たな機能を含む新しい Long Term Servicing Branch を適宜提供していく予定です。Windows 10 のインプレース アップグレード テクノロジを利用することで、現在の Long Term Servicing branch から次の Long Term Servicing branch にデバイスを移行したり、ブランチを 1 つ飛ばして移行したりといった作業が簡単に行えます。Long Term Servicing branch の提供を発表する際には、お客様が展開計画をスムーズに立てられるように、前もって必要な情報をお知らせする予定です。さらに、IT プロフェッショナルの皆様は、ユーザー デバイスを Long Term Servicing branch から Current branch for Business へと移行し、最新の機能更新プログラムを適用してデバイスを最新状態に保つこともできます。また、必要な場合には、Current branch for Business から次の Long Term Servicing branch に移行することも可能です。

企業ユーザーが Windows 10 の検証を早く始められるようにするためには、最初の Long Term Servicing branch の提供が重要です。そのため、マイクロソフトでは、Windows 10 のリリースと同じ時期に最初の Windows 10 Long Term Servicing branch を提供する予定です。最初の Long Term Servicing branch が提供されましたら、できるだけ早い段階で検証を開始することをお勧めします。

お客様から頂いたご意見を基に、多くのお客様が Windows 10 のシステムを最新状態に保つために複数の方法を組み合わせることが予想されています。これは、ユーザーやシステムなど、それぞれのグループ固有のビジネス ニーズに応じたペースで更新プログラムを適用するためです。

「サービスとしての Windows」に移行する際にお客様にとって最も重要な課題となるのが、アプリケーションやデバイスの互換性です。以前のブログでも述べたとおり、マイクロソフトでは Windows XP から Windows 7 への移行時に問題となった点を踏まえ、新しい Windows でも既存のアプリケーションを継続して使用できるように、Windows 7、Windows 8、Windows 10 の互換性向上に向けて日々取り組んでいます。ハードウェアについても同様です。既存のデバイスで Windows 10 を問題なく実行できるように、Windows 7 や Windows 8 と同じく Windows 10 のハードウェア要件全般を最小限に設計しています。ただし、一部の新機能を利用する際には、新たなハードウェア機能が必要になる場合があり、また、デバイス メーカーや ISV によるソフトウェアやファームウェアの更新が必要になる場合もあります。マイクロソフトは、Windows 10 を幅広くサポートするために、デバイスおよび ISV のエコシステムと協力して取り組んでいます。

マイクロソフトでは、企業ユーザーがビジネス ニーズに応じて安全性とコンプライアンスを確保しながら各種デバイスを最新の状態に保てるように、幅広いオプションをご提供しています。Windows 10 の評価を行う際には、ぜひ、こうしたオプションを活用しながらユーザー デバイスの検証を行っていただきますようお願いいたします。マイクロソフトではこれからも企業ユーザーやパートナーからのご意見を参考にしながら、Windows をサービスへと進化させるために取り組んでいきたいと考えています。

Windows Insider Program に登録して、次期 Windows 10 テクニカル プレビューをお試しください

皆様には Windows Insider Program に登録していただき、次期 Windows 10 テクニカル プレビューをぜひお試しいただきたいと思います。ご意見ご感想につきましては、Windows 10 の Windows Feedback アプリから直接お寄せいただければ幸いです。皆様の貴重なご意見を伺うことで、企業ユーザーの皆様に最良の Windows をお届けしていきたいと考えています。ご協力をよろしくお願いいたします。

*ハードウェアおよびソフトウェアの要件が適用されます。デバイスによって利用できる機能が異なる場合があります。一部のエディションは対象外です。詳細については、http://www.windows.microsoft.com (英語) をご参照ください。
**デバイスのサポート ライフサイクル ポリシーについては、後日発表する予定です。