Build 2017: 創造力のさらなる可能性を引き出す Windows 10 Fall Creators Update
※本ブログは、Build 2017: Sparking the next wave of creativity with the Windows 10 Fall Creators Updateの抄訳です。
今月開催されたBuild 2017 において、あらゆるユーザーの創造力の可能性をさらに広げる Windows 10 の次期バージョン「Windows 10 Fall Creators Update」を今年後半にリリースすることを発表しました。Windows 10 Fall Creators Update は、5 億台以上の Windows 10 デバイスに新しいエクスペリエンスをもたらします。まず、新しいクロスデバイスのデザイン システムにより、創造力のさらなる可能性が広がります。Windows、iOS、Android 間でユーザーがデバイスを切り替えても、エクスペリエンスの一貫性が保たれます。また、Windows ストアからは、iTunes、Spotify、SAP Digital Boardroom の提供が開始されることも発表されました。さらに、新しいツールにより、すべての開発者が Windows をホームとして利用できるようになります。そして、マーカーを必要としない世界初の Windows Mixed Reality モーション コントローラーがリリースされます。
クリエイティビティ ー創造力は、私たち 1 人ひとりの中に息づいています。壮大な計画、夢、あるいは単なる思い付きなど、何もないところから何かを創造することによって私たちの生活が一変することは、日ごろから珍しくありません。
Build でお会いした優秀な開発者の皆様と同じく、私もソフトウェア開発の分野で自分自身の創造力を実感しました。生まれて初めて作成したコードのコンパイルが完了するまでの待ち遠しさ、そして画面上で実行したときの感動は今でも忘れられません。ソフトウェア開発にはすばらしい創造力が感じられ、Windows 開発者コミュニティの皆様がその創造力を発揮していることを私は非常に嬉しく思っています。
先月、世界中の 5 億台以上の Windows 10 デバイスを対象に Windows 10 Creators Update の配信が開始されました。現在では 3 億人以上のユーザーの皆様が Windows 10 を毎日平均 3 時間半以上ご利用になっています。このような取り組みの結果、Windows 10 が Windows 史上最も高い顧客満足度を達成していることをたいへん誇りに思います。
今回は、今年後半にリリース予定の Windows 10 Fall Creators Update (英語) をご紹介します。
Windows Story Remix: 新しい方法で写真や動画を変換
Fall Creators Update で何ができるかをご説明するために、まずは 「Windows Story Remix」 をご紹介します。.NET をベースに構築され、Windows ストアからWindows ユニバーサルアプリとして配布される Story Remix は、AI とディープ ラーニングを使用して、写真や動画を「物語」へと紡ぎます。また、Microsoft Graph を使用することで、ユーザーのデバイスと友人のデバイスをつなぐこともできます。Story Remix を使用すると、自分の思い出や、友人の写真や動画をまとめて物語 ―ストーリーを作成し、サウンドトラック、テーマ、トランジション(場面転換)効果を追加できます。また、写真や動画に 3D オブジェクトを追加してMixed Realityとすることで、まったく新しい方法でストーリーを伝えたり、写真や動画をキャンバスに変えて Windows Ink で描画することもできます。
以下の動画では、Windows Story Remix の機能の一部を簡単にご紹介しています。
創造力のさらなる可能性を広げる新しいクロスデバイスのデザイン システム
現在、市場では数多くのデバイスとプラットフォームが展開されています。私たちはタブレットで朝のニュースを読み、スマートフォンでメールをチェックし、仕事にはデスクトップ PC を使用していますが、デバイスごとに動作はすべて異なり、対応するニーズも異なります。大画面のデバイスもあれば、画面自体が存在しないデバイスもあり、操作方法もタッチ、手描き入力、音声、視線、ジェスチャなど多岐に渡ります。さらに、開発者は日々、複数の操作方法に対応したマルチデバイス特有の課題に直面しています。そこで、マイクロソフトは最新のデザイン システムにより、この領域をシンプルに構築する方法に取り組んでいます。
今回、マイクロソフトのデザイン アプローチを次の段階へと進化させる Microsoft Fluent Design System を発表しました。この Fluent Design により、直観的で統一感があり、かつインタラクティブ性に優れ、包括的なクロスデバイスのエクスペリエンスと操作感が実現されます。開発者は Fluent Design を採用することで、さまざまなデバイスで動作し、多様な入力方法に対応する表現豊かで魅力的なアプリを作成できます。以下の動画をご覧ください。
Windows、iOS、Android 間でユーザーと共に移動する Windows エクスペリエンス
Microsoft Graph は、マイクロソフトのクラウドを介して、ユーザー、会話、プロジェクト、コンテンツを結び付け、Windows、iOS、Android デバイス間でシームレスなエクスペリエンスを実現するインテリジェントなファブリックです。複数のデバイスを使用している場合、どのデバイスでも簡単に作業を続けられることが重要になります。その原則に従って、Fall Creators Update では新しい Fluent Design System と Microsoft Graph のインテリジェンスを活用した複数の新機能が提供されます。
- タイムライン: Windows 10 のタイムラインを使用すると、過去にさかのぼって作業中のアイテムを見つけることができます。視覚的なタイムラインには、いつ何の作業をしていたかが表示されるため、以前に使用したファイル、アプリ、サイトを開いてスムーズに作業を再開することができます。
- 前回終了した場所から再開: Cortana* を使用すると、Windows、iOS、Android デバイス間で前回終了した場所から作業を再開できます。たとえば、PC からログオフした後、編集していたドキュメントをスマートフォンに表示するといったことが可能です。Cortana には、アプリ、ドキュメント、Web サイトの前回終了した場所から再開するかどうかを確認するメッセージが表示されます。これにより、PC とスマートフォン間で自由に作業を引き継ぐことができます。
- クリップボード: クリップボードを使用すると、Windows PC を使用している場合でも、スマートフォンを使用している場合でも、接続されたデバイス間であらゆるファイルをすばやく簡単にコピー & ペーストできます。写真、地図のリンク、段落、アニメーション GIF などをコピーするだけで、好きなデバイスの好きな場所に貼り付けることができます。慣れ親しんだクリップボードが、クラウドで動作するようになったのです。
- オンデマンドの OneDrive ファイル: ファイルをダウンロードしてデバイス上のストレージ容量を消費することなく、クラウド内のすべてのファイルにアクセスできます。作業方法はこれまでと変わりません。オンラインのファイルを含むすべてのファイルがエクスプローラーに表示され、必要に応じていつでもオンデマンドでアクセスすることができます。詳細については、OneDrive ブログ (英語) をご覧ください。
Windows ストア: アプリの継続的配信に最適な場所
Visual Studio と Windows ストアにより、アプリを開発、テストし、あらゆるプラットフォームに公開する包括的なワークフロー ソリューションが完成します。フィードバックのサイクルは非常に短いため、直接のやり取りを通じてユーザーが満足するアプリを開発できます。対象のアプリには、コンシューマー向けアプリと社内外のビジネス向けアプリの両方が含まれます。
このたび、今秋から Visual Studio Mobile Center (英語) で UWP (ユニバーサル Windows プラットフォーム)のフル機能が提供されることを発表しました。これにより、自動ビルドがサポートされるほか、テスト用クラウドであらゆる Windows デバイスを利用できるようになります。コンシューマー向けアプリに関しては、今年新たに 35 種類の支払い手段を追加し、世界各地の 247 の市場での支払いをサポートするようになりました。さらに、Windows ストアにおけるアプリ内購入の月間売上高は、前年比で 2 倍に増加しています。
Windows ストアで iTunes などのアプリの提供を開始
先週、マイクロソフトは Windows 10 S を発表しました。Windows 10 S はアプリを中心としたエクスペリエンスで、そのシンプルさ、セキュリティ、優れたパフォーマンスは皆様にご満足いただけるものと考えています。そして、今こそ皆様のアプリを Windows ストアで公開する絶好のチャンスです。
Windows 10 S の発表と同時に、Spotify は同社の同名アプリを Windows ストアで公開することを発表しました。そして今回は、さらに多くの人気アプリが今年後半に公開されることを発表します。
- iTunes: 年内に Windows ストアで iTunes の提供が開始されます。Windows ユーザーには、Apple Music や iTunes Store を含む完全な iTunes エクスペリエンスが提供されるほか、すべての Windows 10 または Windows 10 S PC で iPhone をはじめとする Apple デバイスのサポートが提供されます。
- Autodesk: 昨夏に Autodesk が UWP 版の SketchBook を発表して以来、新しいプラットフォームの発表としては最も急速な成長を遂げ、2017 年には毎月平均 35% の売上成長率を達成しました。ペイント アプリケーションのデファクト スタンダードである Autodesk SketchBook は、Windows 10 のペン入力とタッチ操作を活用したUWPアプリとしてゼロから再構築されました。Autodesk では、引き続き UWP を使用して Windows ストア製品を拡張し、3D ゲーム エンジンおよびリアルタイム レンダリング用ソフトウェアの Autodesk Stingray に Windows Mixed Reality のサポートを追加する予定です。
- SAP Digital Boardroom: 今月、SAP は SAP Digital Boardroom を Windows ストアで公開する予定です。SAP Digital Boardroom は、SAP でも特に人気の高いソリューションであり、基幹業務アプリケーションからのデータを活用して、経営陣がビジネスの方向性をリアルタイムで決定するために、正しい情報源を提供する次世代ボード ポータルです。このアプリは、Progressive Web App として Windows ストアに提出されました。これにより、SAP は自社の Web コンテンツや投資を再利用して複数のプラットフォームをターゲットにできると同時に、強化された Windows 10 との統合を活用することができます。
すべての開発者が Windows をホームとして利用可能に
開発者が創造性を発揮するためには、作業の妨げにならない適切なツールが必要です。そこで、マイクロソフトはすべての開発者が Windows と Visual Studio をホームとして利用できるように取り組んでおり、Windows のアプリケーションだけでなく、あらゆるプラットフォームやデバイスにおけるアプリのエクスペリエンスを強化しています。
第一に、Windows に投資している開発者が既存のコードを最大限に活用できるように、コード ベースを簡略化および刷新することで、より簡単にイノベーションを活用できるようにして、クロスプラットフォームの連携を促進したいと考えています。これを実現するために、今回 UWP 向けの .NET Standard 2.0 と XAML Standard を今年後半にリリースすることを発表しました。
第二に、開発者が最新のコードで Windows と Microsoft Graph を活用できるように、UWP と Android に加えて新たに iOS 向けの Project Rome を使用できるようにしました。
第三に、昨年の Build では、Bash on Ubuntu on Windows (英語) の初のテクニカル プレビューを発表し、コミュニティの皆様からの多大な熱意と期待を持って迎えられました。今回は Ubuntu のインストールを簡略化するために Windows ストアで公開したことを発表しました。また、Windows Subsystem for Linux で実行されている SUSE Linux と Fedora Linux を Windows ストアで公開するための取り組みについても発表しました。これにより、Windows は Windows アプリと Linux アプリをサイドバイサイドで実行できる唯一のプラットフォームとなります。
第四に、Windows PC から iPhone アプリケーションのビルド、テスト、デバッグを実行できる Xamarin Live Player をご紹介しました。Xamarin Live Player を使用すると、Visual Studio と iPhone だけで iOS 用のネイティブ アプリを数分で開発することができます。
最後に、地球上のあらゆる人々がより多くの成果を達成できるように支援するというミッションの一環として、世界中の 10 億人を超える障害のある人々を含め、すべてのユーザーが利用できるエクスペリエンスを簡単に開発できるように取り組んでいます。今回、開発環境を離れずにすべてのユーザーに対応したエクスペリエンスを構築できるように、デバッグ モードにナレーターが追加されたことを発表しました。
今回発表した Windows 10 Fall Creators Update の開発者向けの最新情報の詳細や、Windows がすべての開発者のホームである理由については、Kevin Gallo によるこちらのブログ記事 (英語) をご覧ください。
マーカーが不要な世界初の Windows Mixed Reality モーション コントローラーを発表
本日の Build では、シルク・ドゥ・ソレイユが Windows Mixed Reality による舞台デザインを紹介しました。有名な巨大な機械の手をはじめとする『Kurios』のステージをバーチャルで再構築し、創造性に富んだ意思決定していくプロセスは、まるで魔法のようです。
Windows 10 Fall Creators Update でも、世界中のコンシューマーにMixed Realityの魔法をお届けします。マイクロソフトは開発者と協力して、このコンピューティングにおける新しい世界を開拓しました。そして、すべての開発者に Windows Mixed Reality 開発キットをご利用いただきたいと考えています。コミュニティの幅広い方々からの関心を受けて、本日より米国とカナダの Microsoft Store では Acer (299 ドル) および HP (329 ドル) 製ヘッドセットの事前予約 (英語) が開始されます。配送は今夏後半を予定しています。
開発キットの販売開始に加えて、マーカーを必要としない初の Windows Mixed Reality モーション コントローラーもご紹介しました。
https://youtu.be/1nlcdDNOdm8
Windows Mixed Reality ヘッドセットとモーション コントローラーを組み合わせることで、創造力を支援するツール、生産性ツール、ゲーム、エンターテインメントのすべてにおいてリッチな没入型のエクスペリエンスが提供されます。モーション コントローラーは、ヘッドセット内のセンサーを使用して、視界の動きを正確かつ敏感に追跡します。部屋の中にハードウェアを設置する必要はありません。コントローラーもヘッドセットと同じく、高品質で使い心地が良く、設定や持ち運びが簡単な入力デバイスです。これらのコントローラーは、今夏に小売店での販売が開始される予定です。
マイクロソフトは、だれもが手頃な価格帯で新しい複合現実を体験できるようにすることをお約束しています。そこで今回は、Acer 製 Windows Mixed Reality ヘッドセットとモーション コントローラーが今夏にセット価格 399 ドルで販売されることも発表しました。
一緒に未来を創りましょう。
マイクロソフトは、Windows があらゆるユーザーの創造力の可能性を広げるプラットフォームになるように開発作業を進めています。皆様もぜひこの取り組みにご参加ください。以下の方法でご協力いただけます。
- 直接のやり取りを通じてユーザーが満足するアプリを開発するために、現在 Windows Insider Program で提供されている最新のビルド (英語) である Windows 10 Fall Creators Update をダウンロードします。このビルドは今後数か月でさらに強化される予定です。
- Project Rome SDK をダウンロード (英語) したうえで、Microsoft Graph にアクティビティを追加してタイムラインに表示することで、アプリに関するやり取りを促進できます。
- Windows 10 に Visual Studio をダウンロードして、あらゆるプラットフォームであらゆるアプリを開発するための完全なエンドツーエンドのエクスペリエンスを実現します。
- Surface や魅力的なパートナー製 Windows 10 デバイス上で Windows 10 を開発環境として利用します。
- 米国またはカナダにお住まいの方は、こちらのページ (英語) から Windows Mixed Reality 開発キットのプリオーダーを行い、複合現実に対応した開発を開始します。
皆様がさらに創造力を発揮されることを楽しみにしています。
Terry Myerson
* Cortana は一部の地域でのみ提供されています。