2017年6月8日 10:27 AM

COMPUTEX 2017: パートナー エコシステムを通じた Always Connected PC、MR、IoT のイノベーションを披露

※本ブログは “Microsoft shows partner innovation with Always-Connected PCs, MR and IoT at Computex 2017” の抄訳です。

アジア最大級の IT 見本市である「COMPUTEX」は、マイクロソフトにとって最もエキサイティングなイベントの 1 つです。来場者数 40,000 人、出展企業数 1,600 社を超え、OEM および ODM パートナーが一堂に会すこのイベントは、最新テクノロジの情報発信地であると同時に、新たなビジネス チャンスを生み出す場として注目されています。今年は、ローンチ パートナー各社が Windows 10 対応の革新的なデバイスを多数発表しているほか、IoT や MR (複合現実) など、PC 市場にとどまらない新たな分野の製品を発表するパートナーも増えています。マイクロソフトのブースでは最新のデバイスとソリューションを取り揃え、お立ち寄りいただいたお客様にさまざまな最新技術を実際に体験していただけます。

今年の基調講演では、コンシューマーおよびデバイス販売担当 CVP の Nick Parkerと、Windows マーケティング担当 CVP の Matt Barlow が登壇し、マイクロソフトが「可能性を形に」するために、パートナーの皆様とどのような取り組みを行っているかについてお伝えしました。

主な発表内容

  • 主要パートナーが提供する数々の最新デバイスを発表
  • Always Connected PC (常時接続 PC) 実現に向けたパートナー各社との取り組みを紹介
  • 今年後半に発売される Windows Mixed Reality 対応ヘッドセットを公開
  • 製造業や公共事業における Windows および Azure IoT ソリューションの事例を紹介

ここでは、マイクロソフトが新しい Windows のエクスペリエンスやデバイスを提供することでどのようにしてユーザーの心をつかみ、パートナー エコシステムの拡大や新たな IT 分野の開拓につなげているかということについてお話ししました。

多彩なデザインの Windows Mixed Reality 対応ヘッドセット

昨年の COMPUTEX 2016 では、Terry Myerson と Alex Kipman が、現実と仮想現実を複合するデバイスをマイクロソフトと共同開発してくれるパートナーを募りました。その後、Acer、ASUS、Dell、HP、Lenovo が参加を表明し、各社によって独自の Windows Mixed Reality 対応ヘッドセットの開発が進められてきました。

そして今年のイベントでは、各パートナーのブースにて、各社が開発した魅力的なデザインのヘッドセットを展示することができました。販売開始は今年の冬を予定しており、ようやく一般の方もMixed Reality(複合現実)の世界を体験できるようになります。これらのヘッドセットはすべてマイクロソフトのプラットフォームを使用しており、一貫したユーザー インターフェイス、標準入力、開発者向けのユニバーサル Windows アプリケーション プラットフォームを搭載しています。

Acer 製 Windows Mixed Reality 対応ヘッドセット

Acer 製 Windows Mixed Reality 対応ヘッドセット

HP 製 Windows Mixed Reality 対応ヘッドセット

HP 製 Windows Mixed Reality 対応ヘッドセット

私たちは、Alex Kipman による開発者向けの基調講演において、米国 (AcerHP) とカナダ (AcerHP) の Microsoft ストアを通じて Acer と HP の Windows Mixed Reality 開発キットの予約販売を開始したことを発表しました (英語)。このキットは開発者の皆様からも好評を得ており、今後マイクロソフトの開発エコシステムですばらしいコンテンツが生まれることが期待されます。

(注:日本においては、日本エイサー様がAcer Direct 楽天市場店を通じて開発キットの予約販売を5月23日より開始しましたが、予想を上回る反響と予約台数のため、現在は休止となっております。また、日本HP様はメールの登録フォームにご登録いただくことで、提供開始時期に関するお知らせメールをお送りするサービスを開始されています)

ASUS 製 Windows Mixed Reality ヘッドセット

ASUS 製 Windows Mixed Reality ヘッドセット

大手ゲーミング製品メーカーでイノベーション パートナーである ASUS は、急速に拡大する複合現実の分野に参入し、その手腕をさらに発揮しようとしています。既に提供している Oculus 対応 ROG ゲーミング デスクトップや VR 対応 VivoPC X といった主力製品に加えて、独自の多角形型の 3D カバー パネルをあしらった斬新なデザインのヘッド マウント ディスプレイ (HMD) を新たにリリースすることを予定しています。この HMD には人間工学に基づいたデザインが採用されており、ヘッド ストラップは調節可能で着け心地が良く、片手でも装着できるようになっています。ASUS はマイクロソフトと連携して、この高速かつ高性能な超軽量 HMD に 6 自由度 (6 DOF) 計測が可能なモーション コントローラーを搭載し、圧倒的な没入感の複合現実エクスペリエンスを実現しています。

Dell 製 Windows Mixed Reality ヘッドセット

Dell 製 Windows Mixed Reality ヘッドセット

Dell はハイエンドなゲーミング PC やプロのクリエイター向け PC の仮想現実 (VR) 分野で業界をリードしており、マイクロソフトと提携して手ごろな価格のヘッドセットをリリースすることで複合現実のエクスペリエンスを幅広いユーザーに利用してもらえるようにしたいと考えています。このヘッドセットのデザインを手掛けたのは、プレミアム XPS や Alienware PC のデザインを担当したチームで、白を基調としたスタイリッシュなデザインが採用されています。快適性が独自に追求され、着け心地や使い勝手にも配慮が行き届いているのが特徴です。内側のクッション パッドはユーザーに合わせて取り替え可能で、長時間の使用でも疲れないようヘッドバンドは頭部が重心となるようにバランス良く設計されています。他にも、ケーブルが邪魔にならないよう配線を工夫したり、フリップアップ バイザーでヘッドバンドを外さずに簡単に着脱できるようにするなど、革新的なデザインが施されています。

Lenovo 製 Windows Mixed Reality ヘッドセット

Lenovo 製 Windows Mixed Reality ヘッドセット

Lenovo はマイクロソフトと提携して、スクリーンの映像を超えた真の没入型のMixed Realityを多くのユーザーが体験できるよう、価格を極力抑えたヘッドセットを開発しました。内蔵センサーによる Inside-Out 方式の位置トラッキング機能とユーザーの動きを邪魔しないシンプルなデザインによって、仮想世界を存分に味わえるようになっています。

今後の注目分野は IoT ソリューション

企業、政府機関、教育機関では、事業や教育の推進に IoT (モノのインターネット) の活用を進めています。パートナーの皆様がエンタープライズ クラスの IoT ソリューションをお客様に提供できるよう、マイクロソフトは、デバイスの Windows 10 IoT コア、Azure IoT、Cortana Analytics、ビジネス インテリジェンスなどの一貫したエンドツーエンド プラットフォームを提供します。

IoT とは、クラウドに接続されるデバイス単体だけではなく、相互に接続された無数のデバイスからインサイトを得る仕組み全体のことを指します。マイクロソフトのブースでは、Mike Quinn が「a Day in the Life with IoT」と題したジャーナリスト向けセッションの中で、各デバイスがどのように連携して機能するのかを説明しました。例として、気温や湿度といった空気の状態に関するメトリックスを収集してレポートする AirBox というデバイスを紹介しました。AirBox ではさらにその分析結果をダッシュボードに表示できます。また、飲食業のシナリオでは、デジタル サイネージ、デジタルの価格ボード、自動券売機、さらには注文履歴を基にメニューをお勧めするロボットなどの IoT 活用例を紹介しました。

新しい「Always Connected PC」でいつでもつながる

「常にクラウドに接続できること」を重視する新世代のユーザーが増え続けています。そのユーザーの範囲は、学生、クリエイター、フリーランサー、中小企業の従業員、大企業の従業員とさまざまです。彼らの要望に応えるためには、複数のデバイスを使って情報を共有できるようにし、ギガビット LTE や eSIM といった最新のネットワーク テクノロジを活用できるようにしなければなりません。マイクロソフトでは、接続性の点で共通のビジョンを掲げるパートナーとの連携強化を進めています。手始めに、Intel および Qualcomm とチップセットに関する連携を強化し、マイクロソフトのモバイル オペレーション パートナーとシームレスな eSIM 接続について連携を強めています。さらに、マイクロソフトのデバイス パートナーである ASUS、HP、Huawei、Lenovo、VAIO、Xiaomi 各社も、eSIM テクノロジを活用した Always Connected PC 分野への参入に取り組んでいます。そして今回、マイクロソフトは、Qualcomm の Snapdragon 835 を搭載した Always Connected 向けデバイスが、ASUS、HP、Lenovo 各社から発表されることを明らかにしました。これらのデバイスでは、LTE による常時接続と優れたバッテリ持続時間が実現されています。

革新的な Windows 10 PC

COMPUTEX に最も魅力を感じるのは、パートナー各社が発表する最新のデバイスを実際に見ることができるところです。Acer (英語)、ASUS (英語)、Dell (英語)、HP (英語)、Lenovo (英語)、MSI (英語)、パナソニック (英語)、Samsung (英語)、東芝 (英語)、Huawei (英語) からは、美しい薄型スリム ノート PC や耐久性に優れたタブレット、2 in 1、ゲーミング PC などが次々と発売されています。ここでは今回のイベントで発表されたものをいくつかご紹介します。

Acer: 新 Nitro 5 シリーズと最新の Spin 1 コンバーチブル ノート PC を発表

Acer の新 Nitro 5 シリーズは、人気のグラフィック ボードとプロセッサの中から予算やニーズに合わせて構成を組むことができるゲーミング ノート PC です。ファンの回転速度や冷却力を高める Acer 独自の Coolboost™ テクノロジを搭載したデュアル ファンは、PC を高負荷で使用する場合にはファンの回転を強めるなど、冷却機能を手動で調節することができます。

最新の Acer Spin 1 コンバーチブル ノート PC は、艶やかな金属の筐体と鮮やかなフル HD ディスプレイを採用しています。Windows 10 を搭載し、軽量で持ち運びが楽なうえ、Windows Ink (英語) に対応した Acer Active Stylus Pen で、外出先でのクリエイティブな作業も快適です。

ASUS: 最新の軽量薄型 PC とゲーミング デバイスをリリース

先日、ASUS は軽量薄型の ZenBook と VivoBook の最新ノート PC ラインアップを発表しました。これらの製品では、デザインとテクノロジの限界に挑戦し、究極のモバイル コンピューティング エクスペリエンスが実現されています。Windows Ink、Windows Hello、Cortana、モダン スタンバイといった Windows 10 の新機能を多数サポートしているほか、高い生産性と驚異的なコンピューティング エクスペリエンスを提供します。また ROG のプレス イベントでは、ユーザー待望の ROG Zephyrus が公開されました。Zephyrus は世界最薄のゲーミング ノート PC で、第 7 世代の Intel® Core™ i7 プロセッサと最新の NVIDIA® GeForce® GTX 1080 グラフィック ボードが搭載されています。Windows 10 Creators Update の新機能であるゲーム モードを使用して PC ゲームのパフォーマンスを高められるほか、マイクロソフトのゲーム配信サービス Mixer (英語) を利用してネイティブかつ簡単にゲームの実況動画をストリーミング配信できます。

Dell: 最新の Inspiron AIO とゲーミング デスクトップを発表

Dell の新しいラインアップは、Inspiron 27 7000 All-In-One、Inspiron 24 5000 All-In-One、そして拡充が進む Inspiron ゲーミング シリーズ初のデスクトップ Inspiron Gaming Desktop です。Dell 独自の InfinityEdge ディスプレイ テクノロジを Inspiron All-In-One シリーズに初めて採用し、枠がほとんどない美しいモニター画面を実現しました。また、VR 対応構成のハイエンドな VR ヘッドセットによる没入型のエクスペリエンスを提供します。2 種類の All-In-One デバイスは、顔認識でログインできる Windows Hello や、離れた場所からでも音声を認識する Cortana を装備しています。

Lenovo: 小規模企業向けの新しい V720 を発表

企業が未来のテクノロジに対応するためには、デジタル トランスフォーメーションが重要な足掛かりとなります。ただし、性能、柔軟性、耐久性、モビリティに優れたコンピューティング デバイスがなければ、この変革のメリットを組織全体で活かしていくことは困難です。
Lenovo から、まさにこのようなニーズに適した魅力的なデバイスが登場しました。業界最先端の画面比率 77% のスクリーンを採用した軽量薄型の最新 Lenovo V720 は、最新の Intel プロセッサを搭載し、Windows Hello や Cortana などの次世代の機能を備えています。また、USB-C Thunderbolt ポートと個別の NVIDIA グラフィック ボードも装備しています。この高性能モデルにより、ユーザーはデジタル テクノロジを活用してビジネス変革をスピーディに進められます。

MSI:「ゲーミングの新次元」を予告

MSI からはハイエンドの Windows ゲーミング デバイスの数々が登場しました。ラインアップを一新したゲーミング ノート PC の GT75VR、GS63/73VR、GE63/73VR のほか、最新マザーボード X299 GAMING M7 ACK、X299 GAMING PRO CARBON AC、X299 TOMAHAWK などが MSI ブースに展示されました。他にも、力強いデザインの Infinite A および Trident Arctic ゲーミング デスクトップ、Clutch GM70 ゲーミング マウス、Vigor GK80 ゲーミング キーボード、Core Frozr XL CPU クーラーといったアクセサリも披露されています。

Samsung: Notebook 9 Pro を発表

Samsung からは、2017 年の最新機種 Notebook 9 Pro が発表されました。このモデルでは、キーボード入力、直観的な S Pen 操作、高精度タッチ スクリーン操作を簡単に切り替えることができます。スリムで軽量なデザインは、パワフルでありながら持ち運びやすいデバイスを必要とする外出の多いユーザーに最適です。

今年の COMPUTEX では、これからの市場を牽引する新たな分野のデバイスが続々と発表されました。低価格の複合現実ヘッドセット、さまざまなユーザーの可能性を支える IoT 対応コネクテッド デバイス、eSIM テクノロジを搭載した新しい「Always Connected PC」など、パートナーの皆様が新デバイスを市場に投入する機運がこれまで以上に盛り上がっています。

活発さを増すエコシステム

このようなデバイスや新しい分野はすべて、マイクロソフト パートナーの皆様のビジネス チャンスにつながっています。Windows ストアのコンテンツを動的にバンドルできる新しいビジネス モデルや、クラウドを活用するビジネス モデル、複合現実対応のヘッドマウント ディスプレイやモーション コントローラーなどの分野へのエコシステムの拡大など、マイクロソフトのプラットフォームは常に新しいビジネス チャンスを生み出しています。

ゲーミング エクスペリエンスの可能性を広げられるようになるのも、教育向けの低価格なデバイスを提供できるようになるのも、Windows 10 エクスペリエンスを備えた多様なデバイスを提供できるようになるのも、すべてパートナーの皆様の支えがあってこそです。こうした活発なパートナー エコシステムなくして、新たな分野が生み出されることはありません。

このエコシステムによって今後どのようなコラボレーションが生み出され、「可能性が形」になるのか、来年の COMPUTEX が今から楽しみです。