2018年12月21日 8:03 AM

Mixed Reality: 2018 年の総まとめ & 2019 年の展望

※本ブログは、Lorraine Bardeen によって 2018年12月20日に公開されたブログ “Mixed reality 2018 year in review (and what’s to come in 2019)” の抄訳です

皆様、こんにちは。

12 月になりました。今回のブログ記事もたくさんの方々にお読みいただければ幸いです。本題に入る前に、この場を借りてごあいさつを申し上げます。2018 年も残りわずかです。皆様どうぞ、大切な方々との素敵な年末年始をお過ごしください。

今回の記事では、Mixed Reality (複合現実/MR) の 2018 年を振り返ります。今年は、マイクロソフトのチームだけでなく、取り組みに携わっていただいた開発者様、お客様、パートナー様すべてにとって、実り多き 1 年になったと思います。

2019 年は、MR がさらに盛り上がりを見せる 1 年となるでしょう。マイクロソフトも来年に向けて準備を着々と進めています。そのことについてもお話ししたいですが、まずは 2018 年の総まとめを行いましょう。

We ❤ MR

 

  • Dynamics 365 と MR が 1 つに: 私たちは 2018 年度の初めに、Microsoft ビジネス アプリケーションの多岐にわたるビジョンを発表しました。その中でも特に、Dynamics 365 ファミリに MR を統合した理由を掘り下げて説明しました。簡単に振り返ります。まず、お客様の利便性を最優先に設計された Dynamics 365 は、サイロ化の解消や、膨大な組織データのまったく新しい活用方法を通して、実際にお客様のビジネスに変革をもたらしています。ここに MR が加わることで、これらの強力なデータを業務に最適な形で視覚化できるという MR ならではの付加価値が生まれます。Dynamics 365 と MR の組み合わせにより、お客様に大きなインパクトを与えることができます。
  • Dynamics 365 Remote Assist と Dynamics 365 Layout を発表: 初めての MR アプリケーションを 2 つも開発・公開できたことは、チームにとって誇らしいことです。これらのアプリケーションはいずれも、Microsoft HoloLens をお使いのお客様がすぐに価値を実感でき、ファーストライン ワーカーの悩みを解消するうえで役立ちます。ファーストライン ワーカーは、企業とその利用者をつなぐ最初の窓口であり、世界で 20 億人以上がその役目を担っています。多くの場合、顧客に最初に接し、企業ブランドを代表する最初の存在となり、問題に取り組む場面に最初に居合わせるのは、このファーストライン ワーカーです。ファーストライン ワーカーを抱えるお客様が 2 つの MR ソリューションを利用すれば、テクノロジを使って特定の環境下でデータを理解し、問題の解決と意思決定の迅速化に役立てることができます。
  • HoloLens の市場が 41 に拡大、レンタル提供も開始 (英語): HoloLens をより多くの方々にお届けし、さらに気軽にお使いいただけるようになりました。アラブ首長国連邦とシンガポールでも販売が開始され、米国とカナダでは貸与を開始しました。ご購入前に製品を評価したり、展示会やイベント用に在庫台数を増やしたりといったことが可能になります。世界中のお客様・パートナー様との出会いが増え、こんなに嬉しいことはありません。

 

Our partners ❤ MR!

  • Trimble のヘルメット用ソリューションと Trimble Connect (英語): 長年のマイクロソフト パートナー Trimble が Trimble Connect for HoloLens を発表 (英語) しました。さらに、作業現場における MR の実用性をさらに広げる HoloLens 用の新しいヘルメット ソリューションを発表しました。これは、HoloLens の活用方法を吟味してきた Trimble ならではの、ファーストライン ワーカーにとって価値あるツールです。同社は引き続き、市場を驚かせる製品の開発に取り組んでいます。
  • 従来の常識を覆す CAE、Visual3D、TeraRecon、Pearson、その他各社による医療向け MR ソリューション (英語): 豊富な情報による超音波検査、新しい研修手法、さらには MR を活用したライブ中継手術など、数多くのヘルスケア企業が、MR を活用した革新的なソリューションを創出し、医療に貢献しています。
  • PTC と BAE による、MR を利用した新たな従業員トレーニング手法 (英語): バス用の電気推進システム HybriDrive® を開発している BAE Systems では、MR 分野でのマイクロソフト パートナー PTC と連携しました。PTC が開発する ThingWorx Studio を利用して、ファーストライン ワーカーの業務を飛躍的に効率化する MR ソリューションを誕生させました。両社が ThingWorx Studio で開発したのは、HoloLens でグリーンエネルギー バス用バッテリーの組み立て手順を説明するトレーニング ソリューションです。新しいツールを手にした BAE では、その他のさまざまなファーストライン ワーカー向けガイドを数時間で開発できるようになりました。しかもコストは従来の 1/10 に削減され、新人トレーニングの効率は 30~40% 向上しています。

Our customers ❤ MR!

 

  • Chevron (英語): 同社は既に HoloLens をグローバルに展開して、実際に大きな成果を上げています。以前は、検査担当者が月に 1 回はヒューストンからシンガポールの施設へと出張し、設備の点検を行っていました。しかし現在では、Dynamics 365 Remote Assist を使って、検査担当者やエキスパートの作業を世界中どこにいても瞬時に開始することができます。
  • ZF (英語): Remote Assist と Layout の実際の活用例を見るには、早期導入パートナーとしてご協力いただいた、ドイツのフリードリヒスハーフェンに本社を置く自動車部品メーカー ZF Group の事例が最適です。マイクロソフトは ZF Group と何度も話し合いを重ね、Dynamics 365 Remote Assist と Dynamics 365 Layout を利用したファーストライン ワーカーの貴重な情報を余すところなく反映した製品を生み出しました。お客様と二人三脚で進めた開発では、アプリの品質を高めるにとどまらず、アプリを通してファーストライン ワーカーを支援することに重点を置きました。
  • トヨタ (英語): 従来の車両設計プロセスで使われていた 3D CAD データを実際の車両に投影してサイズを測定できる MR ソリューションにより、既存プロセスの最適化とエラーの最小化に成功しました。以前は数人で 1~2 日かかっていたプロセスが、たった 1 人で 4 時間で完了できるようになりました。
  • Mae Jemison 博士と「Defying Gravity: Women in Space (重力から解き放たれて: 宇宙開発と女性たち)」(英語): 今年、スミソニアン・マガジン主催の「Museum Day」(英語) 参加施設の 1 つであるイントレピッド海上航空宇宙博物館にて、マイクロソフト、Jemison 博士、スミソニアン・マガジンの共同展示が行われました。どんな属性も決して無視されず (“レプリゼンテーション”) 尊重されなければならない (“インクルージョン”) というテーマの下に制作された「Defying Gravity: Women in Space (重力から解き放たれて: 宇宙開発と女性たち)」では、米国の宇宙開発計画に重要な貢献をしたにもかかわらず、これまで讃えられることのなかった女性たちのストーリーを MR で体験できます。]

2019 年の展望

いかがでしょうか。2018 年がすばらしい 1 年だったというのがおわかりいただけたと思います。2019 年も引き続き、この分野で皆様とかかわる機会は多くなるでしょう。そうした機会の積み重ねが、MR がコンピューティングの未来を切り拓く過程となっていくのです。仕事や学習の方法、世界の見方を刷新するチャンスはいくらでも転がっています。私が特に注目している動きをご紹介します。

  • マイクロソフトの多くのお客様にとって、機器とプロセスは業務を行ううえで不可欠です。いかなるダウンタイムも業務に重大な影響を与えるため、従業員が安全で効率的な作業を維持できるようにすることが最重要課題です。Microsoft HoloLens を利用すれば、実際の生産性ツールと統合された現実感のある 3D トレーニングを、従来とは比べものにならない規模の従業員に実施できます。トレーニングの柔軟性が高まることで、コストを削減しつつ、学習効果を高めることができます。これは、作業者が絶えず入れ替わるような企業にとっては緊急性が高い用途であり、MR の大きなビジネス チャンスであると見込んでいます。
  • 2018 年は、マイクロソフト以外にも興味深い動きがあり、MR の分野そのものが大きく成長した 1 年でした。実際、ヘッドセットやモバイル デバイスなど、現実世界と重ね合わせてデータを視覚化できるエンド ポイントの数は増加しています。Dynamics 365 を通してお客様のワークフローを詳細に把握しているマイクロソフトでは、業務に使用されるデバイスを問わず、状況に適応できる MR ソリューションの重要性を確信しており、今後も万全の態勢で臨みます。
  • さまざまな業界とワークフローについてお客様やパートナー様からのフィードバックを収集、分析した結果、物理空間とビジネス アプリケーションの高度な融合により大きなビジネス チャンスがもたらされることが明らかになりました。マイクロソフトでは、各種のセンサー、IoT デバイス、画像認識機能を搭載したデバイスがリアルタイムのインサイトを通して、お客様にメリットをもたらすことができると確信しています。高い価値をもたらす具体的なシナリオが判明したら、またご紹介いたします。

 

それでは皆様、よい年をお迎えください。来たる 2019 年もどうぞよろしくお願いいたします。

Lorraine Bardeen