2020年9月27日 11:51 PM

Mixed Reality を取り巻く動き: HoloLens 2 の提供地域拡大、Azure の新サービスの提供開始

※本ブログは  “Mixed Reality Momentum: HoloLens 2 expands globally and new Azure service launches” の抄訳です。

 

John ‘JG’ Chirapurath (Azure データ、AI、Edge バイス プレジデント)

Mixed Reality は物理世界とデジタル世界を融合させ、スクリーンを超えてコンピューティングの力を活用できるようにする技術です。この技術の誕生により、私たちの働き方や学び方、楽しみ方は根本的に変化します。未来のテクノロジと言われた Mixed Reality は、現在ソリューション エコシステムとして広く使用されており、大きな影響力を持つことが数値で示されています。製造、学習、知識の維持、人々の健康管理といったさまざまな場面で、重要な役割を果たしています。

Azure のスケーラビリティ、信頼性、安全性を活かしたマイクロソフトの Mixed Reality サービスは、業界最先端の HoloLens 2 ヘッドセットと組み合わせることで、包括的な Mixed Reality プラットフォームの基軸として機能します。Microsoft Ignite では、その機能の成長と拡大についてお伝えしました。

 

HoloLens 2 の提供地域を拡大

本日マイクロソフトは、HoloLens 2 の提供地域をイタリア、オランダ、スイス、スペイン、オーストリア、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、ベルギー、ポルトガル、ポーランド、シンガポール、香港、台湾に拡大することを発表しました。また、この秋には韓国でも提供を開始します。

 

Microsoft Azure HoloLens 2 の投資利益率 (ROI) の実績

製造、建設、医療、小売、教育の各業界で、数千社の先進的な企業が HoloLens 2 と Azure の Mixed Reality サービスを活用して、手作業の大幅な削減、ミスの減少、学習やその知識の維持の改善、従業員や顧客の満足度の大幅な向上などを実現しています。

Lockheed Martin/NASA (米国)

Lockheed Martin は、有人で月を目指す Orion 宇宙船の建造に Mixed Reality パートナーである Scope AR のソリューションを利用しており、その中で HoloLens 2 が使用されています。同社は Mixed Reality の活用に大きな価値を見出しています。

  • Mixed Reality ソリューションと HoloLens 2 の組合わせで手作業が大幅に削減され、これまで 8 時間かかっていた作業がわずか 45 分で済むようになりました
  • Lockheed Martin は Orion 宇宙船の建造に HoloLens を 2 年間以上使用していますが、その間ミスの報告はありません
  • Orion 宇宙船では 57,000 以上の締結部品が使用されていますが、締結部品 1 個あたりの組み立てコストを 38 ドル削減しました

以下のビデオでは、Lockheed Martin が月やその先を目指す有人宇宙船の建造に HoloLens 2 をどのように活用しているかご覧いただけます。

Medivis (米国)

マイクロソフトの Mixed Reality パートナーである Medivis では、CT スキャンの代わりに SurgicalAR ソリューションの 3D ホログラフィックを利用して、執刀医の日常的な手術プロセスを抜本的に進化させました。Medivis では、これまでに以下のような成果を挙げています。

  • HoloLens を 200 回以上の手術で使用して成功
  • 患者の放射線曝露を削減。SurgicalAR を使用した場合の患者の CT スキャン実施回数は平均 1 回、従来の 2D 手術ソリューションを使用した場合の CT スキャン実施回数は平均 10 回です。
  • カテーテルの場所を 1 mm の精度で表示可能 (従来製品の精度は2 cm)。

以下のビデオでは、Medivis が手術でのホログラムによるガイド表示にどのように HoloLens 2 を使用しているかをご覧いただけます。

Case Western Reserve 大学 (米国)

Case Western Reserve 大学では、学生が効率的に学習し知識を維持できるようにすることを目的として、HoloAnatomy ソリューションと HoloLens 2 を利用したリモート学習プログラムを実施しています。

  • HoloAnatomy と HoloLens 2 を使用する学生は、紙の教科書を使用する学生と比べて成績が 50% 向上しました。
  • また、HoloAnatomy と HoloLens 2 を使用した場合、12 か月間の学習後に維持された知識量が、これらを使用しなかった場合と比べて 120% 多いという結果が得られました。

以下のビデオでは、解剖学のリモート授業で学習結果が改善された Case Western Reserve 大学の事例をご覧いただけます。

 

Azure Mixed Reality サービスに Azure Objects Anchors を追加

Azure の Mixed Reality サービスは、Mixed Reality プラットフォームの中核をなしています。これらの Mixed Reality サービスを使用すると、Mixed Reality アプリケーションの構築における技術的な課題の多くを解決することができ、クロスプラットフォームの Mixed Reality ソリューションの開発が簡素化されます。本日マイクロソフトは、最新の Mixed Reality サービスである Azure Object Anchors のプレビュー開始を発表しました。

現在の Mixed Reality のシナリオでは、多くの場合、オブジェクトの認識に QR コードなどの物理マーカーを使用し、3D コンテンツやホログラフィック コンテンツをオブジェクトに手動で配置する必要があります。Azure Object Anchors の使用によって、3D コンテンツを現実世界のオブジェクトに合わせて自動的に配置するアプリケーションを構築することが可能になり、手作業の大幅な削減、配置ミスの減少、ユーザー エクスペリエンスの向上を期待できます。

トヨタ自動車は、先行プレビュー カスタマーとして Azure Object Anchors を使用し、技術者用の作業ガイド アプリケーションを構築しました。

「Azure Object Anchors では、マーカーを使用せずに動的に 3D モデルを配置できるため、作業内容を技術者にすばやく正確に提示することができます。QR コードも使用せず、モデルを手動配置するミスもなくなるため、整備手順がさらに効率化します」 – 栢野浩一氏 (サービス技術部門プロジェクト マネージャー、トヨタ自動車)

Azure Object Anchors の詳細については、技術ブログ記事をご覧ください。プライベート プレビューにはこちら (英語) からサインアップしていただけます。

 

Microsoft Azure Kinect の商用提供を開始、パートナーを通じて 3D Time of Flight テクノロジを拡大

Azure Kinect DK はマイクロソフトが提供する最先端の空間コンピューティング開発者キットであり、洗練された画像認識モデル、音声認識モデル、高度な AI センサー、各種の強力な SDK を備えており、Azure Cognitive Services に接続して使用できます。本日マイクロソフトは、Analog Devices と SICK AG の 2 つのリーディング カンパニーと協力関係を築くことを発表しました。両社は、現時点では Azure Kinect でのみ実現されている、3D Time of Flight (ToF) 深度テクノロジを利用してデバイスを構築しています。

  • Analog Devices は、マイクロソフトの ToF テクノロジを、一般消費者向け電子機器、自動車の車内空間、物流業界での使用に向けた深度センサー チップ、および商用深度カメラの設計、製造、販売に組み込んでいます。詳細については、Analog Devices の Web サイトをご覧ください。
  • SICK AG は、産業用のインテリジェント センサーおよびセンサー ソリューションの製造における世界的なリーディング製造会社です。同社はマイクロソフトの ToF テクノロジを最新鋭の 3D ToF カメラである Visionary-T の製品ラインに採用し、高機能化を実現しています。詳細については、お客様の地域の SICK 現地法人にお問い合わせください。

マイクロソフトは、Mixed Reality を取り巻く環境にこうした大きな動きがあり、さらに、お客様が HoloLens 2 と Azure の Mixed Reality サービスで高い ROI を達成されていることたいへん嬉しく思っています。今回の発表によって Mixed Reality プラットフォームの活用範囲が拡大され、影響力の強化も期待されます。マイクロソフトは今後も引き続き、現場で働く従業員の生産性向上、そして、あらゆる人の生き方、働き方、遊び方の変革に貢献していきます。

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