2021年6月7日 6:50 AM

Microsoft Teams の開発者向け新機能を発表 | Build 2021

※ 本ブログは、米国時間 5 月 25 日に公開された “Microsoft Teams announces new developer features | Build 2021” の抄訳を基に掲載しています。

Microsoft Build 2021 へようこそ。再び、皆様に (オンラインで) お会いできて光栄です。今回の Build では、マイクロソフトが開発した Microsoft Teams プラットフォームの新しい機能やツールをご紹介します。ハイブリッド ワークに対応した次世代型コラボレーション アプリを構築 (英語) する際にお役立ていただけます。オンライン会議をさらに充実させる新機能、管理者がアプリ導入率を高める方法、ユーザーのエンゲージメントを促進する Teams アプリ ストアの最新エクスペリエンスなどを発表します。これらを活用して、より快適なコラボレーション環境を構築してください。

コラボレーティブ アプリ: コラボレーションに注目した新しいカテゴリのアプリ

ここ 1 年ほどはリモート ワークのニーズが急増しましたが、現在は、家とオフィスのどちらでも働けるハイブリッド ワーク環境へと大きく変化しています。これにより、個人の生産性向上よりもチームのコラボレーションが重視され、同期および非同期モードで、共同作業を行う機能が求められるようになりました。Microsoft Teams はまさに、コラボレーション実現のための製品です。これは、開発者の皆様にとって、コラボレーションを基本とする次世代アプリケーションを構築するという、創造性と経済性に富んだビジネス チャンスとなります。この新しいカテゴリのアプリケーションを、コラボレーティブ アプリと呼んでいます。Microsoft Cloud を基盤とするコラボレーティブ アプリに関するマイクロソフトのビジョンについては、Jeff Teper のテクニカル基調講演 (英語) と、Rajesh Jha の「Into Focus」セッション (英語) をご覧ください。

ハイブリッド ワークプレース向けに、会議、チャット、コラボレーション機能を改良

コラボレーションは常に企業の最優先事項であり、今後ハイブリッド ワークプレースで働くうえで欠かせないものです。充実したコラボレーション環境を構築するための、新機能をご紹介します。

共有ステージの統合機能 (プレビュー)

“メイン ステージ” となる Teams 会議を拡張して、複数のユーザーによるリアルタイム コラボレーションに対応したアプリを構築できるようになりました。これにより、ホワイトボード、デザイン ツール、プロジェクト ボードなど、ユーザーがアプリを追加して参加者に共有すれば、その場ですぐに共同作業を実施できます。この機能を使用するには、こちらのドキュメントを参照してください

共有ステージを活用したアプリ

共有ステージを活用したアプリ

新しい会議イベント API (プレビュー)

(プレビュー版の) 会議イベントの API がさらに増え、幅広い会議シナリオを統合できるようになりました。たとえば、会議の開始と終了などのイベントを通じ、会議関連のワークフローを自動化します。この機能を使用するには、こちらのドキュメントを参照してください

Together モードの拡張機能を今夏にリリース

独自の Teams 会議用のカスタム シーンを簡単に作成し、他の人と共有できるようになります。開発者ポータルのシーン デザイナー ツールで、カスタム シーンを作成してユーザーを表示する位置を指定します。これにより、チーム全員が、より楽しく有意義に会議に参加できるようになります。マイクロソフトでもチーム独自のカスタム シーンを作成 (英語) して使用しており、イベントでも披露する予定です。シーンの作成方法は、こちらからご確認ください

Together モードのカスタム シーンの作成

Together モードのカスタム シーンの作成

メディア API を今夏にリリース

Teams 会議用のメディア API を活用して、音声および動画ストリーミングにリアルタイムでアクセスできるようになります。これにより、文字起こし、翻訳、メモ、分析情報の収集といったシナリオを構築できます。新しいメディア API は、リソースごとに同意が必要です。そのため、管理者は Teams 管理センターで許可を確認でき、各アプリケーションは追加された会議でのみ利用可能です。

メディア API を使用した、音声の文字起こしのためのアプリ

メディア API を使用した、音声の文字起こしのためのアプリ

Azure Communication Services と Teams の相互運用 (プレビュー)

先日の Ignite にて、Azure Communication Services と Teams の相互運用について発表しました。さまざまな通信 API、SDK、UI フレームワークを活用して、Teams 以外で動作する独自のコミュニケーション仕様やアプリを構築する機能を、Teams 内でも相互運用できるようになります。現在はプレビュー版を提供中です。詳細をご確認のうえ、ぜひ今すぐこのサービスをお試しください

SMS 経由で Azure Communication Services を活用するアプリ

SMS 経由で Azure Communication Services を活用するアプリ

Microsoft Teams の流動コンポーネント (プライベート プレビュー)

流動コンポーネントをプライベート プレビューとしてリリースしました。今後、より多くのお客様向けに拡張していく予定です。Teams チャットで流動コンポーネントを使用すると、表、実施項目、リストを含んだメッセージを送信して、他のメンバーが共同で作成および編集できます。また、Outlook などの全 Office アプリケーションでも共有可能です。コンポーネントは、あらゆる Teams チャットでコピーして貼り付けられるため、チーム内での情報共有も簡単です。流動コンポーネントは、チームでのアイデア出し、共同作成、意思決定を促進するだけでなく、会議数を減らし、チャットでの長いやり取りを最小限に抑えられます。

Teams チャットおよびモバイル デバイスでの流動コンポーネントの利用

Teams チャットおよびモバイル デバイスでの流動コンポーネントの利用

Teams タブ用のアダプティブ カード (プレビュー)

アプリを作成する際に、HTML や CSS のコードを書く必要がなくなります。アダプティブ カードを UI レイヤーとして活用すれば、あらかじめ作成された UI コンポーネントを使って、デスクトップ、Web ブラウザー、モバイルに最適化されたアプリを構築できます。まずは個々のワークスペースで利用できるタブを提供し、将来的には、グループ チャット、チャネル、会議などに範囲を拡大する予定です。

アダプティブ カードを UI コンポーネントとして使用したタブ

アダプティブ カードを UI コンポーネントとして使用したタブ

Teams アダプティブ カードの新機能 (プレビュー)

アダプティブ カードはオープンなカード交換形式で、一貫した共通の方法で UI コンテンツを交換する機能を提供します。この 1 年間、マイクロソフトは、アダプティブ カードのデスクトップとモバイルでのエクスペリエンスに注力してきました。今後、ユーザー ピッカー、検索、画像の強化、情報のマスキング、オーバーフロー メニュー、ラベリング、フォームの検証などの新機能をご利用いただけます。新機能の活用方法については、こちらのドキュメントを参照してください

アダプティブ カード向けのユニバーサル アクションの提供を開始

“Action.Execute” は、1 つのアダプティブ カードを作成して、Teams と Outlook の両方に実装できる、新しいユニバーサル アクション モデルです。従来、アダプティブ カードを組み込む場合には、Outlook 用と Teams 用に別々のカードを構築する必要がありました。ユニバーサル アクションに対応しているため、アダプティブ カードを 1 つ作成すれば、ボットベースでアクションが処理され、デスクトップとモバイル デバイスの両方で使用できるようになります。開始方法については、こちらのドキュメントを参照してください

アクティビティ フィード API の提供を開始

Microsoft Graph でアクティビティ フィード API を統合すると、アクションにつながる有益なアプリ コンテンツを、Microsoft Teams の “フィード” パネルに通知できるようになります。この機能を使用すると、アプリのエクスペリエンスが向上するだけでなく、ツールやワークフローの変更情報を常に把握できるため、ユーザーの業務効率が向上します。この API は今すぐお試しいただけます

Outlook のメッセージ拡張機能を近日リリース

今年の夏に Outlook on the web がメッセージ拡張機能に対応し、Microsoft Teams および Outlook のメッセージ拡張機能の開発エクスペリエンスが統合されます。これにより、1 つの拡張機能を、追加の開発を行うことなく、3 つの環境に適用できるようになります。

Outlook on the web のメッセージの拡張機能

Outlook on the web のメッセージの拡張機能

頼れる Teams アプリ開発ツールで、開発者の業務を支援

新しい働き方に適した画期的なソリューションを構築するには、開発者の作業を支援する最高のエンジニアリング ツールが必要です。Teams アプリ開発を効率化できる、主な新ツールをご紹介します。

Visual Studio および Visual Studio Code 用 Microsoft Teams ツールキット (プレビュー)

Visual Studio および Visual Studio Code 用 Teams ツールキットを強化し、組み込みの機能により Microsoft スタック全体と連携して、デスクトップ版とモバイル版の Teams アプリをよりシンプルに開発できるようになりました。注目の新機能には、Azure Functions 統合、単一回線の Microsoft Graph クライアント、SharePoint Framework (SPFx) 統合、統合開発環境 (IDE) ホスティングの効率化などが含まれます。Teams ツールキットをインストールするには、こちらにアクセスしてください (英語)

Visual Studio Code 用 Teams ツールキット

Visual Studio Code 用 Teams ツールキット

Microsoft Teams 開発者ポータルの一般提供を開始

開発者ポータルは、ブラウザーまたは Teams で使用できる専用アプリ管理コンソールで、アプリの登録から構成までを一元管理できます。主な機能として、環境構成の管理、同僚とのコラボレーション、アプリの使用状況の分析 (プレビュー) などが含まれます。開発者ポータルを今すぐご利用ください

開発者ポータルのホーム ページ

開発者ポータルのホーム ページ

Power Platform アプリとボットの構築の改善

先日より、Dataverse for Teams 環境のアプリ、ボット、フロー、テーブル、関連するリソースなどを他の環境に簡単に移植して、新たなシナリオでアセットを活用できるようになりました。この機能を使用すれば、フュージョン開発チーム内でスムーズにリソースを共有し、ライフサイクル全体を通じて、より適切にアプリやデータを管理できます。

IT 管理者のエクスペリエンスを効率化し、アプリの導入率をアップ

アプリを作成してデプロイしたら、次はユーザーへの導入です。そのためには、IT 管理者にアプリの存在を知ってもらう必要があります。この新機能では、作成したアプリをテナント全体で使ってもらうよう、開発者が管理者に働きかけることができます。

カスタム アプリの管理者通知機能を近日公開予定

開発者が基幹業務アプリをテナント カタログに送信すると、オプトイン制御に基づき、専用のチームとチャネルを通じて管理者に通知が届くようになります。詳細をクリックするだけで、管理者が確認してすばやく承認できます。カスタム アプリの管理者通知機能の詳細は、こちらのドキュメントを参照してください

カスタム アプリに関する管理者通知機能

カスタム アプリに関する管理者通知機能

Microsoft 365 認定アプリ機能を近日公開予定

Microsoft 365 アプリケーション コンプライアンス プログラムは、開発されたアプリが業界のベスト プラクティスに従っていることを証明し、対象のアプリに認定バッジを付与するプログラムです。Microsoft 365 認定を取得したアプリは、GAAP 準拠やデータの保護ポリシーなどの認定情報を共有できる新しいタブが利用可能になり、安全なアプリ構築に取り組んでいることを広く知らせることができます。Microsoft 365 認定の詳細は、こちらのドキュメントを参照してください

Microsoft 365 認定のアプリ バッジ

Microsoft 365 認定のアプリ バッジ

アプリ構成の機能 (プライベート プレビュー)

Teams 管理センター内の [設定] タブを使用して、管理者が特有のニーズに応じてアプリを構成できるようになりました。プレビュー版をぜひお試しください (英語)

Teams 管理センター内のアプリ構成の設定

Teams 管理センター内のアプリ構成の設定

アプリのカスタマイズ機能の提供を開始

サードパーティ製アプリの開発者が、管理者に対してアプリのカスタマイズを許可できるようになりました。社内のブランディングのルールに合わせ、アプリの外観を変更できるようにすることで、アプリを自社向けにカスタマイズできるようになります。これにより、ユーザーのアプリへの理解や、導入率が高まるため、企業のアプリ導入を促進できます。アプリのカスタマイズの詳細は、こちらのドキュメントを参照してください

管理センター内の、サードパーティ製アプリのカスタマイズ機能

管理センター内の、サードパーティ製アプリのカスタマイズ機能

検索およびコンプライアンスのための Microsoft Graph コネクタを今年後半に公開予定

Microsoft Graph を介して、サードパーティ製アプリでのエンタープライズ検索、コンプライアンス準拠、インテリジェント検索などを実行できるようになります。現在の Teams のチャット検索や SharePoint のファイル検索と同様に、エンド ユーザーがアプリのデータを検索できるようになります。これにより、ユーザーがコンテンツを見つけやすくなり、アプリ利用率の向上に役立ちます。

LumApps の Graph コネクタ

LumApps の Graph コネクタ

Teams 管理センターの直接購入および請求書払いを近日開始予定

今年の夏から、Teams の管理センターから直接サードパーティ製アプリを購入できるようになります。さらに、決済方法として、多くの企業で好まれる請求書払いにも対応します。この変更により、サードパーティ製アプリの大規模な購入が可能になり、アプリの収益化の可能性が拡大します。

管理センター内のサブスクリプション購入機能

管理センター内のサブスクリプション購入機能

Microsoft 365 管理センターの統合アプリ

管理者は、Microsoft 365 管理センターから Microsoft 365 の各種プラットフォーム (Teams や Outlook) に対して、SaaS アプリをデプロイできるようになりました。すべてのプラットフォームにユーザーのアクセス権を設定できるほか、AAD の管理者の同意の付与といった管理タスクの実行も可能です。アプリのデプロイ後は、各種 Microsoft プラットフォーム全体でスイートとして管理できるため、いくつもの管理センターを使い分ける必要はありません。パートナー センターでアプリをリンクすることで、複数のアプリのデプロイと管理をまとめて行えるようになります。Microsoft 365 管理センターの統合アプリの詳細は、こちらのドキュメントを参照してください

Microsoft 365 管理センター内の統合アプリの表示画面

Microsoft 365 管理センター内の統合アプリの表示画面

Power Platform 配布機能の強化

マイクロソフトは、Teams 内で使用するロー コードのアプリや Teams 用のボットやフローの作成を容易にすることを目指しています。さらに、こうしたロー コードのソリューションを、必要とするユーザーに簡単に配布できるよう取り組んでいます。今後、Power Apps で構築したアプリと同様に、Power Virtual Agents で構築したボットを、セキュリティ グループと広く共有できるようになります。

エンド ユーザーによるアプリの検索性を向上して、導入を推進

アプリ導入数は、開発したアプリをエンド ユーザーに見つけてもらえるかどうかで決まります。アプリの検索性を向上するため、Teams ストアを大幅に強化しました。新機能の一部をご紹介します。

今年の夏に公開される新しいデザインの Teams アプリ ストアでは、レイアウトが一新されてさらに使いやすくなります。

  • 選りすぐりのおすすめアプリを提案: 厳選されたアプリ一覧を提示すると共に、人気の高いアプリの中から、ユーザーの使用状況とマッチしたものをピックアップして提案します。
  • 新しい Teams のアプリ ストア

    新しい Teams のアプリ ストア

  • わかりやすい分類: パートナー センターの分類と一致するよう、分類を変更しました。
  • アプリのカテゴリ ペイン

    アプリのカテゴリ ペイン

  • アプリ スポットライト: ストアの上部のバナーでは、ユーザーの顧客区分に基づいて、さまざまなアプリを取り上げて紹介します。
  • Teams ストアのスポットライト欄で取り上げられたサードパーティ製アプリ

    Teams ストアのスポットライト欄で取り上げられたサードパーティ製アプリ

組織のブランディングおよびアプリのカスタム カテゴリに対応

管理者が Teams アプリ ストアの外観をカスタマイズし、組織指定のロゴや配色を設定できるようになりました。さらに、”組織専用アプリ” のカテゴリでは、ユーザーの組織に特化したツールをすぐに見つけられます。

組織のブランディングを適用したアプリ ストア

組織のブランディングを適用したアプリ ストア

アプリの検索機能の強化と、チャネル、チャット、会議間でのアプリ使用

デスクトップ版とモバイル版での業務フローの一環として、ユーザーがアプリを検索および使用できるように大幅な改良を行いました。ユーザー エクスペリエンスを効率化し、チャネルやチャット、会議のコンテキスト内でアプリを簡単に見つけられるようにしています。また、シングル サインオン認証を組み込むことで、アプリを追加した瞬間に、すぐに使えるようになりました。

チャネル内でのアプリの検索

チャネル内でのアプリの検索

Teams モバイルでのアプリの検索と追加

モバイル版 Teams から直接、アプリの検索や追加を実行できるようになりました。こうしたエクスペリエンスは、モバイル デバイスの操作を最優先して開発されています。たとえば、共有されたリンクまたは QR コードから直接、Teams にアプリを追加することが可能です。

Teams モバイルでアプリがさらに見つけやすく

Teams モバイルでアプリがさらに見つけやすく

Teams アプリ ストアでの、サブスクリプションの直接購入を近日開始予定

今年の夏より、ユーザーがサードパーティ製アプリを Teams のアプリ ストアで直接購入できるようになります。利用中のサブスクリプション プランの確認や清算をストア内で行うことができ、クレジット カードまたは請求書払いを選べるなど、アプリの購入プロセスがさらにシンプルになります。SaaS 製品の開発者は、Microsoft Teams の開発者ポータルでアプリを検証し、Teams でのサブスクリプションを有効化するだけです。

Teams ストアでのサブスクリプションの購入

Teams ストアでのサブスクリプションの購入

Build でのその他の発表と関連リソース

Build では Teams に関するすばらしいセッションをいくつも開催していますので、セッション ガイド (英語) をご確認ください。また、Teams の開発者向けリソースへのリンクを記載しましたので、Teams アプリ開発の参考にしていただければ幸いです。

この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。また、Microsoft Teams Community にご参加いただき、感謝いたします。Teams がここまで進化できたのは、お客様からの貴重なフィードバックのおかげです。

ぜひ Build をお楽しみください。また、皆様のアプリ開発の成功をお祈りしています。

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