Internet Explorer モードのデュアル エンジンを活用
※ 本ブログは、米国時間 7 月 13 日に公開された “The dual engine advantage of Internet Explorer Mode” の抄訳です。
今回は、IE モードを利用して、Internet Explorer 11からMicrosoft Edgeへの移行を検討されている方に向けて、より詳細な情報と機能強化をご紹介します。
1 か月前、「Internet Explorer は Microsoft Edge へ」という記事で、Internet Explorer 11 (IE11) デスクトップ アプリケーションについては、2022 年 6 月 15 日に Windows 10 でのサポートを終了することをお伝えしました。この発表の重要なポイントは、Microsoft Edge が持つデュアル エンジンを活用することで、1つのブラウザーだけで、最新 Web サイトとレガシ Web サイト、どちらにも対応できるようになることです。Microsoft Edge には、最新の Web サイトに対応した Chromium エンジンと、IE ベースのレガシ Web サイトに対応する IE モードの2つが搭載されています。
Internet Explorer モードとは
IE モードを開発するきっかけとなったのは、ユーザーからの要望でした。このモードは、旧来のテクノロジで稼働している業務用の Web サイト (別名「レガシ サイト」、「レガシ アプリ」) をそのまま利用しながら、最新の Web テクノロジも実行できるようにしたいというニーズから生まれました。Microsoft Edge に IE モードが実装される前は、新旧のテクノロジが異なるブラウザーで使われていたため、一部のタスクを 1 つのブラウザーで処理しつつ、別のタスクをもう 1 つの別のブラウザーで処理しなければなりませんでした。Microsoft Edge は、あらゆる Web サイトにシームレスにアクセスできる、デュアル エンジンを活用した「単一ブラウザー ソリューション」と言えます。これは、ハイブリッド車が主に電気で走行し、必要なときにガソリンに切り替えるという構造に似ています。
ただし、統合エクスペリエンスが確実に機能するには、各エンジンの互換性が保証されていなければなりません。Microsoft Edge の IE モードは、安心してご利用いただけます。IE モードは、IE11 と全く同じ MSHTML エンジン (別名「Trident」エンジン) を使用してレガシ サイトやレガシ アプリケーションを開くため、互換性は保証されています。IE11 デスクトップ アプリケーション (Web 閲覧用インターフェイス) は来年、サポート終了となりますが、MSHTML エンジンは Windows の一部として存続し、IE モードで使用されます。IE モードは、現行および今後の Windows クライアント、Windows Server、Windows IoT の各リリース (Windows 11 を含む) で、少なくとも 2029 年までサポートされる予定です。このため、今後数年以内にレガシ Web サイトやレガシ アプリケーションの刷新を計画しているお客様は、安心して IE モードに移行していただけます。
MSHTML エンジンを使用するため、IE11 のサイトやページのレンダリング機能のほとんどは、IE モードで引き続き利用できます。例えば、ドキュメント モード、エンタープライズ モード、ActiveX コントロール、ブラウザー ヘルパー オブジェクトは、移行後もサポートされます。ただし、ウィンドウ枠、ツールバー、スクロールバーなどを制御する IE11 のグループ ポリシーや設定の一部については、Microsoft Edge の要素を使用するため、IE モードではサポートされていません。IE モードでサポートされている機能を以下のリストにまとめました。
機能 | サポートの有無 |
すべてのドキュメント モード | ○ |
すべてのエンタープライズ モード | ○ |
ActiveX コントロール (Java や Silverlight* など) *Microsoft Silverlight は 2021 年 10 月 12 日にサポート終了となります。詳細については、Silverlight のサポート終了日をご覧ください。 |
○ |
ブラウザー ヘルパー オブジェクト | ○ |
セキュリティ ゾーンの設定や保護モードに関する IE 設定とグループ ポリシー | ○ |
IE の F12 開発者ツール (IEChooser で起動) | ○ |
Microsoft Edge の拡張機能 (IE ページのコンテンツと直接連携する拡張機能はサポートされません) | ○ |
IE ツールバー | × |
ナビゲーション メニューに関する IE 設定とグループ ポリシー (検索エンジン、ホーム ページなど) | × |
IE11 または Microsoft Edge の F12 開発者ツール | × |
Microsoft Edge では、IE モードと最新の Chromium エンジンのどちらでサイトを開くかを、どのように判定しているのでしょうか。法人の場合、IE モードで開くのは、エンタープライズ モード サイト リストで指定したサイトのみとなります。IE モードを使う必要があるサイトを制限し、他のサイトはすべて高速で安全性が高い最新の Microsoft Edge のブラウジング エクスペリエンスを使用します。これにより、ユーザーに最適なオンライン エクスペリエンスを、柔軟に制御したり、作成したりできます。ハイブリッド車でガソリンを使用するときと同じように、IE モードはお客様やエンド ユーザーがレガシ Web サイトにアクセスするために必要となるもので、アクセス先はサイト リストで管理できます。
ヒント: 既存のエンタープライズ モード サイト リストがあれば、それを使用できます。Microsoft Edge レガシなどの現行ブラウザーで、エンタープライズ モード サイト リストに従ってレガシ サイトからリダイレクトし IE11 で開くように設定している場合、このサイト リストを IE モードを設定するときに使用できます。手早く IE モードを開始できて便利です。
IE モードかどうかをユーザーが確認する方法は、特にありません (これは意図的な仕様です)。デュアル エンジンのメリットは、同一タブ内で最新のサイトとレガシ サイトをスムーズに行き来できるように、シームレスなエクスペリエンスを提供することです。IE モードを判別する唯一の手段は、アドレス バーに小さく表示される IE のアイコンです。
ただし、これを気にする必要はありません。リリース以降、ほとんどのお客様は問題なく IE11 から IE モード搭載 Microsoft Edge に移行できています。13 万人の従業員を抱えるグローバル製薬企業のグラクソ・スミスクラインは、最近、移行を実施 しました。モダン ワークプレース担当責任者を務める John Saenz 氏は、次のように述べています。「全社で単一ブラウザー標準を採用したことで、すべての部署のエクスペリエンスを統一できました。レガシ サイトへのアクセスが必要なときも問題なく動作します」
IE モードで予定されている改良点
Microsoft Edge ブラウザーと同様に、お客様やエンド ユーザーに最適なエクスペリエンスを提供するため、IE モードの継続的な改良を進めていきます。多くの皆様のご協力に感謝いたします。ユーザー エクスペリエンスの向上、IE モードと IE11 の一貫性、新しいクラウド管理ツールなど、さまざまなフィードバックやご要望をお寄せいただいています。7 月下旬リリースの Microsoft Edge 92 では、第 1 弾として以下のような機能強化を予定しています。
- IE モード アクセスの簡易化: Microsoft Edge 92 では、IT 担当者が管理するサイト リストに載っていなくても、簡単に IE モードでアクセスできるようになります。この際、そのレガシ サイトやレガシ アプリをローカル サイト リストに追加するよう促すメッセージが表示されます。MDM(Mobile Device Management)などで管理されていないデバイスをお使いの中小企業や個人事業主のお客様で、ユーザーがサイト リストを所有しない (またはセットアップできない) 場合にも、レガシ Web サイトのブロックを解除してアクセスできるようになります。該当するレガシ Web サイトやレガシ アプリに次にアクセスしたとき (リロードの場合も含む) には、IE モードで開かれます。
-
ヒント: 互換性テストの際は、IE モードで Web サイトをリロードすると便利です。この機能を有効化すると、企業のレガシ Web サイトの互換性テストをすばやく実施できます。最初にサイト リストにレガシ Web サイトを追加しなくても、IE モードでページをリロードすれば簡単にテストできます。
- .mht ファイルを自動的に IE モードで開く機能: これまで、IE11 で Outlook メールを開くときには書式が保持されていました。IE11 デスクトップ アプリケーションのサポート終了に伴い、この機能を IE モードに追加しました。mht ファイルを Microsoft Edge で開くと、自動的に IE モードになり、IE11 と同様に書式とスタイルを保持して、mhtファイルを閲覧できるようになります。
さらに、この秋にリリース予定の機能をご紹介します。
- [プレビュー] クラウド サイト リスト マネージャー: 新しい IE モードのサイト リスト管理方法として、クラウド サイト リスト マネージャーのプレビューを近日中に開始します。クラウド サイト リスト マネージャーを使用して IE モードのサイト リストをローカル ストレージからクラウドに移動すると、Microsoft 365 管理センターから IE モードのサイト リストに容易にアクセスして、柔軟に最新情報を管理できます。また、複数のサイト リストを作成して特定のデバイス グループに割り当てられるため、IE モードの管理がさらに柔軟になります。このほか、ユーザー操作もシンプルで、サインインした AAD アカウントに基づいて、Microsoft Edge が適切なサイト リストを取得するようになっています。
Microsoft Edge に移行し IE モードの使用を開始する
あらゆる段階で、マイクロソフトは Internet Explorer 11 から Microsoft Edge への移行をお手伝いいたします。
- まだ組織に Microsoft Edge を展開していないお客様は、Internet Explorer モードの Web サイト (英語) にある入門ガイドをお読みいただくことをお勧めします。また、発表の概要、Microsoft Edge の展開方法、IE モードの構成、互換性の評価、ユーザー移行支援など、エンドツーエンドのガイドもご確認ください。
- 既に Microsoft Edge を展開し IE モードのセットアップの準備が整っているお客様は、Microsoft 365 管理センターの IE モードのサイトの検出と構成ガイドをお読みください。このオンライン ガイドでは、IE モード サイト リストの設定と互換性評価に関する詳細な手順を説明しています。お客様からいくつかの情報を提供していただくだけで、構成マネージャーまたはグループ ポリシーで使用するカスタム スクリプトを作成するプロセスが自動的に実行されます。このツールに関する詳細や、適切なアクセス権限がない場合のアクセス方法については、Microsoft Edge への移行を促進する実績豊富なツール (英語) をご覧ください。
ヒント: IE モードのテストで Web サイトやアプリケーションの互換性の問題が見つかった場合は、マイクロソフトの互換性チーム、App Assure までお問い合わせください。Internet Explorer 11 で動作する Web サイトやアプリケーションは、Microsoft Edge で動作します。これまで、App Assure では 99.7% というアプリケーション互換率を記録しています。IE モードの設定後のテストで Web サイトやアプリケーションの問題が見つかった場合は、App Assure チームが無料で解決のサポートをいたしますので、お気軽にお問い合わせください。サポートをご希望の場合は、Web サイトから申請するか、メール ([email protected]) で直接ご連絡ください。
このたび、Internet Explorer から Microsoft Edge への移行を支援するための、質疑応答を含めたウェビナー シリーズを開始しました。Twitter (@MSEdgeDev) で次回のウェビナーの日程とサインアップの方法についてお伝えしていますので、よろしければ、フォローしてください。
以上、Microsoft Edge 92 から実装される IE モードの新機能をご紹介しました。マイクロソフトは、完全にシームレスなブラウザー エクスペリエンスをお客様の日常的なワークフローでご利用いただけるよう、ブラウザー管理をさらにシンプルにしていくことを目指します。ご紹介したツール、ユーザー エクスペリエンス、IE モードへの移行プロセスについて、皆様からの貴重なフィードバックをお待ちしております。Microsoft Edge のアプリ内、以下のコメント欄や提供中の他のサポート チャネルより、お気軽にご意見をお寄せください。
編集者メモ: 今回の記事は、IE から Edge への移行を扱ったブログ シリーズのエピソードです。このシリーズは、Internet Explorer 11 から Microsoft Edge への移行を支援することを目的としてお送りしています。IE モードをセットアップするタイミングや IE11 デスクトップ アプリケーション廃止後のエンド ユーザーの動向など、移行を支援するさまざまな専門的なトピックを毎回扱います。このブログ シリーズは 2022 年 6 月 15 日まで続く予定ですので、どうぞご期待ください。
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