2022年4月1日 1:54 AM

製造業界: HoloLens 2 と Dynamics 365 Mixed Reality ソリューションを活用し、困難な時代に対処

※本ブログは “Manufacturers are mitigating disruptions with HoloLens 2 and Dynamics 365 mixed reality solution” の抄訳です。

HoloLens 2 を装着した人が作業をする様子

ここ数年の困難な状況を振り返ると、どのような企業も突然の変化とは無縁ではいられないことを強く実感します。戦略的な取り組みとして Mixed Reality を導入することは、ビジネスの継続性を確保し、将来の安定性と回復性を確固たるものにするための鍵となります。Microsoft HoloLens 2Dynamics 365 Remote AssistDynamics 365 Guides をはじめとする Mixed Reality ソリューションに関連したマイクロソフトの包括的なエコシステムは、製造業の組織が複雑な状況にうまく対応し、現場担当者の能力を引き出し、新しいカスタマー エクスペリエンスを実現できるよう支援します。

今日、Mixed Reality を導入するメリットは非常に大きく、マイクロソフトの委託により Forrester が実施した Total Economic Impact (TEI) レポート (英語) (以下「HoloLens 2 TEI 調査」) によると、HoloLens 2 は 3 年間で 177% の ROI (投資収益率) と 760 万ドルの NPV (正味現在価値) を生み出し、13 か月で投資回収を実現しています。この HoloLens 2 TEI 調査では、HoloLens 2 の Mixed Reality ソリューションを導入した製造業の組織は、以下のような成果を上げています。

  • トレーニング時間を 75% 削減し、労働時間あたり平均 30 ドルのコストを節約
  • エキスパートの出張を 1 件回避するごとに平均 3,500 ドルのコストを節約
  • 1 年あたり平均 240 ~ 320 時間のスループットのロスを回避

 

検査や監査のリモート化で生産性を向上

Dynamics 365 の Mixed Reality ソリューションにより、検査のために専門の技術者や監査担当者を現地に派遣する必要性を減らすことができます。HoloLens 2 で Dynamics 365 Remote Assist を使用すると、製造業の組織は、エキスパートが世界中のどこにいても、いつでもリモートで連携して、定期的な検査や監査を実施することができます。エキスパートは世界中のあらゆる場所から、工場の作業現場にいる従業員と直接やり取りしながら、リアルタイムにアドバイスできます。現場の作業担当者は 3D 注釈を活用して、重要な情報にアクセスしたり、情報を共有したり、重要なことを可視化したりしながら、遠隔地のリーダーやエキスパートと協力して、リアルタイムにビジネス上の問題を解決することができます。3D アセット、指示、コラボレーション マークアップが正確に現実世界にオーバーレイ表示されるため、作業担当者は自由に周囲を確認しながら、両手が空いた状態で検査を行えます。

HoloLens 2 で Dynamics 365 Remote Assist を使用すると、製造業の組織は、現場視察、検査、保守、修理をリモートで行えるため、効率性を高めてコストを削減できます。HoloLens 2 TEI 調査によると、製造業の組織では、エキスパートの出張を 1 件回避するごとに平均 3,500 ドルのコストを節約できました

エキスパートの出張を1件回避するごとの平均節約額 3,500ドル

多国籍電力管理企業の Eaton は、リモートでの監査を可能にするソリューションを探していました。これまで、監査担当者が工場に出向いて監査を実施する必要がありましたが、COVID-19 の感染拡大中は、出張の停止や制限を余儀なくされていました。HoloLens 2 で Dynamics 365 Remote Assist を使用することにより、従業員は、リモートの監査担当者と一緒に監査チェックリストを見ながら、安全ガイドラインが確実に守られているかどうかを確認することができます。Dynamics 365 Remote Assist を搭載した HoloLens 2 を導入して以来、Eaton は世界中の拠点で月平均 50 回以上リモート セッションを行っており、出張関連の費用を数十万ドル削減しています。同社は 5 か月以内に Mixed Reality ソリューションへの投資を回収できました。

HoloLens Remote Assist を使用すれば、工場の中を外部からでも視認できます。たとえば、ある側面の品質をチェックしているとしましょう。通話中の相手が別の現場の視察に行ったことがある場合、『XYZ 工場でも同様の計測を行っていて、自動化されたプロセスを用いているので、連絡をしてみた方がよい』とアドバイスすることも可能です」 Eaton、車両グループ製造戦略担当ディレクター、Alexandre Georgetti 氏。詳細は Eaton の導入事例 (英語) をご覧ください。

HoloLens 2 を装着した男性が配線図をホログラムで表示

ガイド付きのアセンブリとトレーニングで製造業におけるスキル ギャップに対処

Dynamics 365 の Mixed Reality は、知識不足を改善し、企業が変化のスピードに適応できるよう支援します。製造業の企業では、HoloLens 2 で Dynamics 365 Guides を使用してステップバイステップで手順を示すことにより、知識習得を促進し、プロセスを標準化し、作業ミスを削減しています。PC と Microsoft HoloLens アプリを使用して指示を作成するだけです。簡単に 2D と 3D コンテンツを実際の環境に配置でき、タスクを完了する方法と場所をユーザーに示すことができます。

HoloLens 2 で Dynamics 365 Guides を使用すると、製品や生産ニーズに特化した技術スキルやプロセスについて学べる包括的なトレーニング プログラムを用意できます。さらに製造業の組織では、知識の習得や従業員の定着、作業品質やダウンタイム、トレーニング コストの削減といったことがダイレクトに改善されます。HoloLens 2 TEI 調査によると、製造業の組織では、トレーニング時間を 75% 削減し、労働時間あたり平均 30 ドルのコストを節約できました

トレーニング時間の削減75%、労働時間当たりの平均節約額30ドル

北米で毎年 100 万台以上の自動車を製造している多国籍自動車メーカーのトヨタは、確実なトレーニング プログラムを組み、製造チームのメンバーがすべての自動車を正確な仕様で造れるようにしています。以前は、トレーニング担当者がチーム メンバーに 1 対 1 で付いて、ある工程を実演し、それをメンバーが同じようにできるかどうかをチェックしていました。しかし、この方法は非効率で、ボトルネックになりやすいことがわかりました。HoloLens 2 で Dynamics 365 Guides を使用すると、トレーニング担当者が教材を作成しておけば、チーム メンバーは自主的にトレーニングを行って一連の手順を理解し、必要な動作を何度も繰り返して身体に覚えさせることができると共に、トレーニング担当者が 1 人で同時に複数のメンバーに指導することができます。また、トヨタは Dynamics 365 の Mixed Reality ソリューションと HoloLens 2 を導入して以来、検査時間を 20% 削減できました。

「トレーニング効率が向上し、トレーニングをする側も受ける側もこのテクノロジを積極的に取り入れており、HoloLens 2 Dynamics 365 Guides を望ましいトレーニング方法と考えています」 – Toyota Motor North America、テクノロジ開発エンジニア、Zach Reeder 氏。詳細は、トヨタの導入事例 (英語) をご覧ください。

HoloLens 2 を装着して自動車の作業をする様子

作業担当者とエキスパートをつなぎ、いつでも修理可能に

Dynamics 365 Mixed Reality では、ユーザー エクスペリエンスのパーソナライズにより、優れたフィールド サービスを実現できます。HoloLens 2 で Dynamics 365 Remote Assist を使用すると、現場の技術者とエキスパートをリモートでつないで、コンテンツ キャプチャ機能、インタラクティブ注釈、コンテキストに応じたデータ オーバーレイなどのシームレスなコラボレーションによって、修理や修復を簡単に行えるようになります。現場の技術者が視界内であらゆる重要な関連情報を参照できるようにすることで、実用的なエクスペリエンスが実現されます。

Dynamics 365 Remote Assist を搭載した HoloLens 2 は、現場作業の効率化、再作業の削減、初回修理完了率の向上を実現し、作業能力と成果の向上に貢献します。HoloLens 2 TEI 調査によると、製造業の組織では、1 年あたり平均 240 320 時間のスループットのロスを回避できました。

製造スループットのロスの平均削減時間:1年あたり240~320時間

150 か国に従業員を擁する大手多国籍化粧品メーカーである L’Oréal は、高度な機械でしか生産や充填できないような製品を幅広く取り扱っています。機械の修理が必要な場合に、同社は専門の担当者を現地に向かわせて問題に対処していたため、機械を停止させるしかなく、出張のコストもかかっていました。この課題を解消するため、L’Oreal は Dynamics 365 Remote Assist と HoloLens 2 を導入し、エキスパートが現場作業員とリモートで効果的に連携して問題を迅速に解決し、業務コストを削減できるようにしました。Dynamics 365 Remote Assist を搭載した HoloLens 2 により、現場の技術者が見ているものをリモートのエキスパートも見て、同じ画像に注釈を付けて応答したり、重要な情報をリアルタイムで共有したりできるようになりました。Dynamics 365 Remote Assist と HoloLens 2 を導入して以来、L’Oreal はダウンタイムを 50% 削減しています。

「トラブルの診断と解決に費やしていた時間が半減しました。これが業務コストの削減に直結しています。しかも、より俊敏に、より柔軟に対処できるようになりました」 – L’Oréal、インダストリアル パフォーマンス マネージャー、Georges-Alban Farges 氏。詳細は L’Oréal の導入事例 (英語) をご覧ください。

HoloLens 2 を装着し、遠隔の人とビデオ通話をする様子

今後について

このブログ シリーズでは、ヘルスケア、教育、建築、エンジニアリング、建設の各業界についても掘り下げてまいります。引き続きご注目ください。HoloLens 2 を活用した Mixed Reality アプリケーションについての理解を深めて、ぜひ一度お試しください。

 

出典

  1. Microsoft HoloLens 2 を活用した Mixed Reality の Total Economic Impact™ レポート、Forrester、2022 年 (英語)

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