マイクロソフト社内のWindows 11の展開
※こちらの発表は米国時間 4 月 5 日に公開された Microsoft tries Windows 11 on for size and likes the fit の抄訳をもとに掲載しています。
マイクロソフトでは、社内全体の 190,000 台に及ぶデバイスに Windows 11 を展開し、従業員がよりスマートに働き、つながりを維持できるようにするための取り組みを進めてきました。
マイクロソフトのデジタル従業員エクスペリエンス部門は、企業に力を与え、保護し、変革することを目指すチームです。今回のロールアウトにかかった期間はわずか 5 週間で、当社史上最も短期間でOSの展開を完了させるプロジェクトとなりましたが、混乱は生じていません。
マイクロソフト デジタル従業員エクスペリエンス担当コーポレート バイス プレジデントの Nathalie D’Hers は次のように述べています。「展開にかかる時間、サポートへの問い合わせ件数をデータで見る限り、Windows 11 はマイクロソフト史上最も成功した Windows 展開だと言えます。メジャー リリースも非常にスムーズかつスピーディーに展開でき、問題はほとんど生じませんでした。Windows 11 は今後のすべての展開レベルを引き上げています」
重要なのは、従業員のWindows 11への移行をできる限りすばやく、簡単に終わらせることでした。スムーズにロールアウトできれば、そのフィードバックを製品に反映できるので、お客様にとってもプラスへと働きます。
D’Hers は言います。「マイクロソフトの従業員は自社の製品や機能に対してはっきりと意見を述べるので、とても参考になります。製品がうまく機能していなければ早い段階で声が上がるのですが、今回はそうした声が聞かれませんでした。Windows 11 の展開後に寄せられた問い合わせの数はほんのわずかでした。これは、製品の品質を示す重要な指標です」
従業員にとってシームレスな展開
望ましい Windows OS の展開とは、展開そのものがスムーズで、従業員にとってデバイス、アプリ、重要な機能などが利用できなかったり、不便にならないことを指します。
D’Hers は次のように述べています。「デバイスは業務のエクスペリエンスに直結します。オフィスに出社できない場合はなおさらです。デバイスが作業の邪魔になってはならないため、アップグレードのエクスペリエンスに問題がなかったかどうかを確認したいと考えました」
マイクロソフト デジタル従業員エクスペリエンス チームでは、ユーザー インターフェイスの直観性や操作性の向上といった Windows 11 における強化が、従業員同士のつながりやスマートな働き方に好影響を与えることを信じていました。そのため、重要なビジネス アプリがリスクにさらされたり、セキュリティが侵害されることなく、ユーザーである従業員に負荷をかけずに、スムーズに行き渡らせることがより重要になると考えました。
Windows 11 の展開を主導したマイクロソフト デジタル従業員エクスペリエンス チームのプログラム管理プリンシパル ディレクター、Sean MacDonald は、次のように言います。「マイクロソフトでは、常にユーザーである人、今回のケースであれば当社の従業員を中心に考えています。Windows 11 は、マイクロソフトの従業員エクスペリエンスのカギを握る『ユーザー視点』を体現していると言えます」
この展開を滞りなく行き渡らせるために役立ったのが、Windows 10 を展開したときから馴染んでいるプロセスでした。「Windows 10 から Windows 11 への移行はとてもスムーズで、アップグレードというよりも、アップデート-更新をするような感覚でした」と MacDonald は言います。
ビジネスを止めることなく、バックグラウンドでダウンロードされ、デバイスのアップグレード準備ができた時点で従業員に通知、1 回の再起動で速やかに新しいOSのインストールが完了する流れです。これなら、 20 分後には、従業員が Windows 11 を使い始めることができます。また、デバイスの所有者は、勤務時間外にアップグレードが実行されるように設定することもできるため、例えば、翌日にログインすると、新しいOSが使用できる状態にすることを自ら決めることができます。
従業員とつながる
マイクロソフトの社内で混乱のないロールアウトを進める上で、重要な役割を果たしたのが、コミュニケーションです。
Windows 11 には特定のハードウェア要件があるため、社内のすべてのデバイスが展開の対象となるわけではありませんでした。
MacDonald は言います。「ほとんどのデバイスが対象となりましたが、最初のステップは、ハードウェア要件について全員に知らせることでした。負荷を増やすことなく、Windows 10 と Windows 11 を並行して使用できるため、すべての旧い Windows 10 デバイスが置き換わるまで、アップグレード済みのデバイスとアップグレード前のデバイスをシームレスに並行しながら、管理できます」
この事実を全社的に共有して、従業員の不安を和らげました。
その時点から、従業員に対してアップグレードを促し、フィードバックを提供してほしいという簡潔なメッセージを共有し始めました。コミュニケーション計画では、マイクロソフトのあらゆる従業員がフィードバック Hub からコメントを送信できることを強調しました。フィードバック Hub は、Windowsに用意されている、ユーザーが意見を述べたり、他のユーザーの意見に賛同票を示すことができるツールです。また、マイクロソフトのサポート チームは、独自に情報収集システムを用意して、問い合わせに対応し、製品チームにそのフィードバックを報告できるようにしました。
このようにチャネルを多く用意したにもかかわらず、問題はほとんど報告されませんでした。
MacDonald は言います。「問い合わせは増えませんでした。もし、ユーザーから聞こえてくる話が機能のことだけだったとしたら、それは良い展開だったというサインです」
展開エクスペリエンスの強化
マイクロソフト デジタル従業員エクスペリエンス チームもまた、他の IT 部門がぶつかるのと同じ多くの問題に直面しています。しかし、Windows 11 の展開では、Windows Update for Business といったモダン ソリューションと信頼できるプラクティス プレイブックを用意し、展開の効率化を図りました。
この大部分は、Windows Update for Business 展開サービスによるものです。
MacDonald は言います。「これはまさに『Windows as a Service - サービスとしての Windows』です。Windows Update for Business 展開サービスは管理しやすく、コンプライアンスが確保されており、導入も簡単です」
Windows Update for Business 展開サービスは、2 つの業務の流れを 1 つに結合することで、マイクロソフト社内の Windows 11 展開を加速させました。Windows Update for Business 展開サービスにより、チームは Microsoft Azure Active Directory (AAD) デバイス用に別の展開計画を策定するのではなく、環境全体で 1 つの戦略を立てることができました。このサービス内で、適用除外に対処し、段階的な展開を自動的に実施し、アップグレードの対象外となるデバイスをバイパスすることができました。
他にも、Update Compliance などのツールを使用して、チームのワークロードをさらに削減しました。Update Compliance を使用することで、チームはハードウェア要件を満たすデバイスの台数をすばやく簡単に分析できました。マイクロソフトのデジタル部門は、Update Compliance と Microsoft Endpoint Manager で収集されたデータからデバイスの展開状況を確認し、Windows 11 への移行が完了したデバイスを明確に把握できました。
マイクロソフト デジタル従業員エクスペリエンス チームは、5 週間のうちに、対象となるすべての従業員のデバイスに Windows 11 をシームレスにロールアウトすることに成功したのです。
成功を結果で測る
Windows 11 の展開により、テクノロジと専門知識が効果的な化学反応を起こし、調和のとれたエクスペリエンスを生み出すことがわかりました。マイクロソフトの従業員は、スケジュールに沿って Windows 11 へのアップグレードをすばやく簡単に完了させました。マイクロソフト デジタル従業員エクスペリエンス チームは、Windows Update for Business 展開サービスなどのツールを活用して、馴染みのあるプロセスを効率化しました。
MacDonald は次のように言います。「まずは Windows 11 で動作するデバイスをターゲットにしなければなりませんでしたが、作業が進むにつれ、すべてのデバイスを強化し、更新する計画を立てることになりました。全員が Windows 11 に移行する道があります」
設計上、マイクロソフト デジタル従業員エクスペリエンス チームは、Windows 11 と Windows 10 を共存させて簡単に共同管理することができます。マイクロソフトは Windows 10 との下位互換性を保てるように Windows 11 を設計しているため、Windows 10上で動作していたアプリの互換性が保たれ、新しいOSのリリース時によく見られていた互換性の課題が解消されます。
変革は続く
Windows 11 展開の成功は、マイクロソフト デジタル従業員エクスペリエンス チームの新しい機能や製品リリースに対するアプローチが有効なものであることを示す証といえます。人々の混乱を最小限に抑えながら、成功を後押しすることができました。
D’Hers は言います。「Windows 11 は、ユーザーを意識するという点で優れた成果を挙げました。この美学はシンプルなものです。ユーザー エクスペリエンスは親しみのあるまま強化され、日常のタスクやアクティビティをより簡単にこなしてもらえるようになりました」
スナップ アシストやドッキングなどの新機能を使用すれば、ユーザーはさらに作業を効率化できます。Trusted Platform Module 2.0 (TPM) 要件をはじめとするデバイスのハードウェア ベースラインは、デバイスのセキュリティを強化し、Windows 11 でのハードウェアとソフトウェアのより強力な連携を実現するものです。トランスポート層セキュリティ (ネットワークで送受信するデータを暗号化するプロトコル) により、マイクロソフト デジタル従業員エクスペリエンス チームは侵害のリスクなく、リモートで IT 関連業務を行うことができます。
このすべてによって、マイクロソフトの従業員の安全性と生産性が強化されます。
D’Hers は言います。「カスタマー ゼロの役目として重要なのは、従業員とそれ以外の社内ユーザーに最高の製品とサービスをできるだけ早く提供することです」
重要なポイント
- Windows 11 の展開では、マイクロソフトのデジタル部門が Windows 10 の展開と同じツール、同じ手法が利用され、混乱をきたすことはなかった。
- Windows 10 と Windows 11 は並行して共同管理できるため、マイクロソフトでは、デバイスが更新時期を迎えるまで、ユーザーがそのデバイスを使い続けられるようにする計画である。
- Windows 10 で動作するアプリは Windows 11 でも動作し、その上で、ユーザー インターフェイスが改善されたことが、従業員エクスペリエンスの向上につながります。
- カスタマー ゼロの観点から、マイクロソフトの従業員はフィードバックを提供し、大規模企業の視点で改善を提案するという役割を担っています。
関連リンク
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