5月 26, 2022 3:11 am

Windows と共に広がりのある次世代のエクスペリエンスを創る

Panos Panay (Windows およびデバイス担当 EVP 兼最高製品責任者)

※ 本ブログは、米国時間 5 月 24 日に公開された “Create Next Generation Experiences at Scale with Windows” の抄訳です。

Microsoft Build (英語) では、開発者コミュニティの皆様と同じ時間を共有できることをチーム一同楽しみにしています。

Windows は、人々が何かを作り、学習し、つながるための場所としてご利用いただいています。中でも Windows の活性化を表しているのが、Windows を使用して世界中の 10 億を超える人々にさまざまな価値をもたらしている開発者コミュニティの皆様の存在です。Windows は世界のイノベーションを牽引するプラットフォームであり、開発者の皆様を中心に、現在、そしてこれからも必要とされる次世代エクスペリエンスの開発が進められています。この動きに応えるように、マイクロソフトはチーム一丸となってイノベーションに取り組んでおり、開発者の皆様がさらに想像を膨らませ、アイデアを形にできるよう支援するツールの開発に力を注いでいます。

本日は、Windows 11 および Microsoft Store の以下の開発者向け機能の更新についてお伝えします。

  • Windows 上で既存のコードを使用して、魅力的なツールを作成できる新しいアプリ作成ツール
  • Microsoft Store を通じたお客様への新たなアプローチの方法
  • AI 機能を搭載した新しい開発キットである Project Volterra と、Arm ネイティブの包括的な開発者ツールチェーン

マイクロソフトでは、インテリジェントなハイブリッド コンピューティングを世界中にご提案していく中で、CPU、GPU、NPU によるローカル コンピューティングと、Azure によるクラウド コンピューティングとを統合することを目指しています。

将来的には、クライアントとクラウド間でコンピューティング ワークロードを移動することは、今日の Wi-Fi と携帯電話回線の間を移動するのと同じくらい、動的かつシームレスになります。

AI を活用したエクスペリエンスを提供するために必要となる処理能力はどんどん増え続け、従来の CPU や GPU 単体では対応できないレベルになりつつありますが、ニューラル プロセッシング ユニット (NPU) などの新しいチップの導入により、主要な AI ワークロードのキャパシティは今後拡大する見込みです。

Azure と Windows の関係がより緊密になることで、開発者の皆様は、商用向けと一般向けの両方でアプリケーションを新たなレベルへと引き上げられるようになります。この取り組みは、既に Windows 365、Xbox Cloud Gaming、Azure Virtual Desktop で開始されており、今後は Windows デバイスでのクラウドや NPU による処理へと続いていきます。

また、この流れをさらに先の未来へとつなげていくために、引き続きオープンなプラットフォーム、オープンなストア、オープンなハードウェアのエコシステムをご提供することで、開発者の皆様にご自身のスキル、才能、情熱を発揮していただけるよう取り組んでまいります。

新しいアプリ作成ツールと Windows サブシステムの更新

マイクロソフトは、.NET、Web、Android、C++、Linux などのさまざまなクロスプラットフォーム フレームワークで作成されたアプリを Windows で実行できるように、Windows をオープン プラットフォームにすることを目指しています。そうすることであらゆる開発者ワークフローや配布モデルで Windows を利用しやすくなるだけでなく、より多くのユーザーにアプローチしやすくなり、独自のビジネスの構築にも役立つと考えています。

アプリ

Windows デスクトップ アプリの開発では、Windows App SDKWinUI 3 プラットフォームを活用すると、C# または C++ を使用して Windows 11 用のリッチなネイティブ アプリを容易に作成し、それを Windows 10 ユーザーにも展開できます。最新版の Windows App SDK 1.1 (英語) は現在プレビュー中で、まもなく一般提供が開始される予定です。この最新版では、新しい WinUI 3 の Fluent Design のグラフィック素材、アップデートされたデスクトップ ウィンドウ処理 API、プッシュ通知の機能強化、C++ 用の新しい環境変数 API など、さまざまなパフォーマンス強化が実装されます。

また、WinUI 3 を使用したアプリ作成が初めての方向けに、次の 2 つのツールを更新しました。

  • Template Studio for WinUI (C#) (英語): WinUI 3 での C# アプリの作成に役立つ Visual Studio 拡張機能です。アプリの UI、ロジック、パッケージングのプロジェクト スキャフォールディングを利用できます。
  • .NET Upgrade Assistant (英語): 現在このオープンソース ツールの更新を進めており、WinUI 2 から WinUI 3 への更新など、.NET UWP アプリから .NET 6 への自動移行ができるようにする予定です。詳細についてはこちらの移行ガイドもご覧ください。

先日、クロスプラットフォーム アプリ開発向けに、.NET Multi-platform App UI (.NET MAUI) 1.0 がリリースされました。

.NET MAUI を使用すると、Android、iOS、MacOS、Windows で実行できるアプリを 1 つの共有コードベースから作成できます。Windows で実行する場合は WinUI 3 上に構築されます。

Web を使用して Windows アプリを開発する場合は、プログレッシブ Web アプリ (PWA) をご利用いただけます。このフォーマットでは、作成したサイトの配布やインストールをアプリと同じようにできるほか、リッチな OS 機能を利用することも可能です。Windows で実行される PWA は継続的に強化されており、最近では URL プロトコル ハンドラー登録やカスタム タイトル バー用ウィンドウ コントロール オーバーレイなどの新機能が実装されました。

また、共有エバーグリーン ランタイムを使用して Windows アプリに Web コンテンツを埋め込む方法として、WebView2 があります。WebView2 の共有ランタイムでは、最新の Web プラットフォーム機能やセキュリティ更新プログラムに Microsoft Edge ブラウザーと同じタイミングでアクセスすることが可能で、アプリのディスク使用量を最小限に抑えて実行時のコストを軽減し、パフォーマンスを向上させることもできます。WebView2 は既に数千種類のアプリで使用されており、その 1 つである Windows 11 の新しい Teams チャット エクスペリエンス (英語) の開発には WebView2 と Windows Fluent Design が使用され、優れたユーザー エクスペリエンスが実現されています。Web 開発者向けの最新情報は、https://aka.ms/edgebuildblog2022 (英語) でご覧いただけます。

Linux 用 Windows サブシステム (WSL) は、多くの開発者や Dev-Ops エンジニア、Linux ワークフローに従事する方々にとって既に不可欠なツールになっており、特にクラウドと Web の分野で重宝されています。WSL をより容易にインストールおよび更新していただけるように、先日、Microsoft Store からの提供を開始しました (英語)

Android™ 用 Windows サブシステム (WSA) は、Android アプリを Windows で実行する場合の互換性、パフォーマンス、拡張性を向上させるために継続的に更新されています。Android Open Source Project 12.1 もその中の 1 つです。

Windows

新しいアプリのエンゲージメント方法

Windows 11 のウィジェットは、ユーザーがアプリの内容をひと目で把握できる新しい便利な表示方法です。皆様からいただいたフィードバックを参考に開発されており、作業の流れの中で重要なコンテンツにすばやくシームレスにアクセスできるようになっています。今年中には、アダプティブ カード (英語) プラットフォームを活用して、Windows 11 で Win32 アプリと PWA アプリのコンパニオン エクスペリエンスとしてウィジェットを構築できるようになる予定です。

また、タッチ、ペン、音声、AI を利用して、ユーザーが自然に操作できる機能を作成し、アプリへのエンゲージメントや差別化を強化することができます。たとえば、タッチ ペンをより自然な感覚で利用できるようにしたり、Azure のテキスト読み上げ機能を利用して文字起こしを実装することがこれにあたります。マイクロソフトのアプリにもこれらが実装されており、先日デザインが更新された OneNote では、Windows 11 のアピアランスとペンと音声の機能が取り込まれました。詳しくは OneNote ブログをご確認ください。

また、クラウド上でコンテンツの作成と保存を行うアプリで、ファイル エクスプローラーや一般的なファイル ダイアログなど、Windows 11 の中でもユーザーになじみのあるエクスペリエンスにカスタム コンテンツをどのように統合し始めるかについて、初期段階の展望を発表しました。これを実現することで、適切なコンテキストに沿ってアプリやそのコンテンツをユーザーに提示し、あらゆるデバイス上でアプリのインストールやコンテンツ検索がシームレスにできるようになります。

詳細については今後の発表をお待ちください。

Microsoft Store を通じたユーザーへの新たなアプローチ方法

Windows 11 では、開発者向けに Microsoft Store をゼロから再構築しました。好評をいただいている部分を中核とし、オープンなポリシーに沿って皆様のビジネスを推進できるように設計されています。Windows の Microsoft Store では、アプリ内で、マイクロソフトが提供するコマース エンジンを業界屈指の収益分配モデルで使用するか、収益をすべて維持できる自社コマース エンジンを使用するかを選択できます。

Microsoft Store

他にも Windows の Microsoft Store に関連する以下の内容を発表しました。

  • Microsoft Store がすべての方にご利用いただけるようになりました。Microsoft Store の Win32 アプリケーションの順番待ちリスト プログラムを廃止し、すべてのアプリ開発者に開放しています。
  • Microsoft Store Adsを発表しました。近日中に、適切なタイミングで適切なユーザーにアプローチするための新たな開発者ツールを実装する予定です。このツールは、開発者コミュニティからのフィードバックに基づくものです。Microsoft Advertisingを使用して、Microsoft Store で広告キャンペーンを作成、実施、表示できるようになり、アプリの検索性やコンバージョンが向上します。
  • Amazon アプリストア。現在、米国では Windows 11 上での Amazon アプリストアをプレビューとして提供していますが、今年中にはフランス、ドイツ、イタリア、日本、英国の 5 か国での提供開始を予定しています。

Windows の Microsoft Store は、常に新たなエクスペリエンスを求めている 10 億人超の Windows ユーザーにアプローチするのに最適な場所と言えます。Microsoft Store の最新情報は、こちらのブログ記事でご確認ください。

オープンなハードウェア エコシステムと Project Volterra

Windows のオープンなハードウェア エコシステムによって柔軟性が向上し、オプションがさらに豊富になり、より幅広いシナリオに対応できるようになると考えています。

そのため、新しいハードウェア プラットフォームやテクノロジに対応することで常にプラットフォームを進化させています。たとえば、アプリのユーザー エクスペリエンスをレンダリングする GPU、デバイスを確実に接続するための Wi-Fi および携帯電話回線用チップセット、さらに、MIPS、x86、Alpha、Itanium、x64 といった各種 CPU などをサポートしています。

プラットフォーム

そして、この分野における次の展開に備え、さらにイノベーションを実現していくために、Snapdragon コンピューティング プラットフォームを活用した新たなデバイス Project Volterra を発表しました。Project Volterra* では、Qualcomm がリリースした新しい SNPE for Windows ツールキットを通じて、多くの AI シナリオを実現できるようになります。

また、将来的には、すべてではありませんがほとんどのコンピューティング デバイスに NPU が実装されることが予想されるため、開発者がこれらの新機能を使用しやすいように、エンドツーエンドの Windows プラットフォームで NPU を確実にサポートします。

アプリ

また、共通のユーザーが使いやすいように、以下のような Arm ネイティブ アプリ向けの包括的なエンドツーエンドの Arm ネイティブ ツールチェーンを発表しています。

  • フル バージョンの Visual Studio 2022 と VSCode
  • Visual C++
  • 最新の .NET 6 および Java
  • 従来の .NET Framework
  • Windows Terminal
  • Linux アプリ実行用の WSL と Android アプリ実行用の WSA

今後数週間以内に、これらのうちの多くのツール (VS 2022 を含む) の初回プレビューが開始される予定です。

オープンソース プロジェクト

また、Python、node、git、LLVM など、Arm ネイティブをターゲットとする多数のオープンソース プロジェクトの支援にも全力で取り組んでいます。

ハイブリッド ループ

AI は急速に進化しています。この急速な進化に後れをとらないようにするのは簡単なことではありません。これをお手伝いするのがマイクロソフトの仕事です。

マイクロソフトは、クラウドとローカルにまたがる AI エクスペリエンスを作成するための強力なクロスプラットフォーム開発パターンを構築しています。このパターンでは、推論を Azure とローカル クライアントのどちらで実行するかを、実行時に遅延バインディングで決定できます。また、クライアントとクラウドの間で負荷を動的に移行させることも可能です。

マイクロソフトではこれを「ハイブリッド ループ」と呼んでいます。また、Onnx Runtime と Azure ML を通じてクロスプラットフォーム機能として提供すると同時に、プロトタイプの AI ツールチェーンも提供して、異種環境に容易に対応できるようにします。

ハイブリッド ループ

さらに、Project Volterra には強力なニューラル プロセッシング ユニット (NPU) が含まれているため、新しいハイブリッド ループ パターンや Azure ML でプロトタイプの AI ツールチェーンを試すデバイスとして適しています。

ハイブリッド ループと AI ツールチェーンの詳細については、近日中に詳しくお伝えする予定ですので、しばらくお待ちください。

マイクロソフトの現在地とこれから

マイクロソフトが今実現できていること、そして今後の展開について、皆様にもお楽しみいただけていますでしょうか?

新しいアプリ作成ツールを利用すれば、既存のコードを活用して新しい魅力的なアプリ エクスペリエンスを作成できます。また、ウィジェットや Microsoft Store Adsを活用すれば、新たな手法でユーザーにアプローチすることができます。

ハイブリッド コンピューティングと AI という新たなモデルと、NPU を装備したデバイスを活用することで、開発者向けの新しいプラットフォームを構築し、強力な性能を持つ野心的なアプリを作成することが可能になります。

ぜひ皆様の手でクラウド ネイティブな AI アプリケーションを開発していただければ幸いです。マイクロソフトは、Arm64 ネイティブの Visual Studio、.NET のサポート、今年中に提供が予定されている Project Volterra を利用して、皆様の取り組みの最初の一歩となる新しいツールをリリースする予定です。

マイクロソフトのクラウドと新しいツールやサービスを利用して、ぜひアプリの作成をスタートさせてください。この取り組みはまだ始まったばかりです。皆様の手でどのようなアプリが生み出されるか、今から楽しみです。

* 製品の機能は変更される可能性があり、製品がリリースされる市場によって異なる場合があります。詳細については後日お伝えいたします。

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