Copilot Pages の IT 管理者向け最新情報 – 2024 年 9 月
※ 本ブログは、米国時間 2024/9/16 に公開された “Copilot pages for IT Admins – Sep 2024 update” の抄訳です。
本日、マイクロソフトの新たなナレッジ ワーク向けデザイン システムの第一歩となる Copilot Pages を発表しました。Copilot Pages は、Copilot チャットの動的かつ永続的なキャンバスであり、マルチプレイヤー コラボレーションを念頭に設計されています。これにより、インサイトに富んだ Copilot の応答を、横並びに表示される編集可能なページとして保ったまま、必要なタイミングでチームと共有して共同で作業できるようになります。
Copilot Pages は、Microsoft 365 Copilot ユーザー向けに本日からロールアウトを開始しました。Microsoft 365 サブスクリプション ユーザーにも、近日中に提供を開始します。
Microsoft 365 Copilot ライセンスをお持ちの場合、全画面表示で開いたページ上で直接、チーム メンバーと Copilot を活用した共同作業をすることができます。「マルチプレイヤー」アプローチの価値は、チームとして Copilot に指示を出し、応答の結果を洗練させたり膨らませたりするほか、他のメンバーのプロンプトからヒントを得て、複雑な情報を整理できる点にあります。Copilot Pages では、人と AI の共同作業が実現します。マイクロソフトはこれを、Copilot を進化させるための次なる大きな一手であると考えています。これまでは個々にその都度利用していた Copilot が、コラボレーション エクスペリエンスへと進化するのです。
この記事では、IT 管理者の皆様が Copilot Pages のしくみと組織への影響を理解するのに役立つ情報をお届けします。Copilot Pages が .loop ファイルであるという点がポイントです。
Copilot Pages を利用できるユーザー
Copilot Pages を作成できるのは、Microsoft 365 Copilot にアクセスできるユーザーです。近日中に、Microsoft Copilot (無償版の法人向け Copilot 製品) にアクセスできるユーザーもページを作成できるようになります。
Copilot Pages は、組織のファイル共有設定に基づいて他のユーザーにアクセス許可を拡張できるファイルです。.loop ファイルの操作をさらに制限する必要がある場合は、条件付きアクセス ポリシーを利用します。条件付きアクセス ポリシーを設定すると、ユーザーが .loop ファイルを開かないように完全にブロックできます。
Copilot Pages のページ作成時に作成されるファイル
Copilot Pages のページは、ファイル エコシステム内で .loop ファイルとして作成され、新しいユーザー所有 SharePoint Embedded コンテナーに格納されます。Loop には主に、「ファイル」と「コンテナー」という 2 つの概念があります。
- ファイル: Loop のページやコンポーネントは .loop ファイルです。Copilot Pages は Copilot Business Chat の右側に表示され、コンポーネントとして共有されると、Microsoft 365 アプリ内で小さなインタラクティブ ボックスとして表示されます (Loop コンポーネントの動作)。IT 管理者は、この .loop ファイルを他のファイル (.docx、.pptx、.xlsx など) と同様に扱うことができます。.loop ファイルでは、こちらに記載されている機能を含む、SharePoint ファイル エコシステムのすべての機能がサポートされます。
- コンテナー: Copilot Pages は、新しいユーザー所有 SharePoint Embedded コンテナー (ユーザーごとに 1 つ) に格納されます。SharePoint Embedded コンテナーに格納されるすべての Loop コンテンツが、SharePoint クォータのカウント対象となります。ユーザーが使用する OneDrive 同様、SharePoint Embedded コンテナーには組織のガバナンスとコンプライアンスに関するすべてのプロセスが適用されます。近日中に、AvePoint、ShareGate、自社で使用しているツールなどから SharePoint Embedded コンテナーの管理機能や Graph API にアクセスできるようになります。
IT 管理者によるコントロール
Copilot Pages は、本日より Microsoft 365 Copilot ユーザー向けにロールアウトを開始しました。Microsoft 365 サブスクリプション ユーザーにも、近日中に提供を開始します。Copilot Pages は .loop ファイルであることから、Loop 管理スイッチでの制御が可能です。なお、テナントで Loop を無効にしても、Copilot Pages は無効になりません。組織で簡単に制御できるよう、Copilot Pages 用に新しいスイッチをご用意しましたので、そちらをお使いください。
Copilot Pages はテナント内で既定で有効化されます (すべての Loop インテグレーション同様)。下図は、既存の制御と新しい Copilot Pages 用制御 (ハイライト部分) の位置付けについて示したものです。
こちらのドキュメントでは Loop コンポーネントに対するクラウド ポリシーによる制御について説明していますが、この記事では「B」のクラウド ポリシーに絞って説明します。
B: Microsoft 365 Copilot Chat で Loop ファイルを作成して表示する (未設定 == 有効) | 既定の設定を変更するには、次の手順に従ってください。
- Microsoft 365 管理者の資格情報で https://config.office.com/ にサインインします。
- 左側のウィンドウで [Customization (カスタマイズ)] を選択します。
- [Policy Management (ポリシー管理)] を選択します。
- 新しいポリシー構成を作成するか、既存のポリシー構成を編集します。
- [Choose the scope (スコープを決める)] ドロップダウン リストから、[All users (すべてのユーザー)] を指定するか、ポリシーを適用するグループを選択します。詳細については、クラウド ポリシー用 Microsoft 365 グループを参照してください。
- [Configure Settings (設定の構成)] で、[Create and view Loop files in Microsoft 365 Copilot Chat (Microsoft 365 Copilot Chat で Loop ファイルを作成して表示する)] の設定を次の中から選択します。
- Enabled (有効にする): ユーザーは Copilot チャット エクスペリエンスを利用できます。
- Disabled (無効): ユーザーは Copilot チャット エクスペリエンスを利用できません。
- Not configured (未構成): ユーザーは Copilot チャット エクスペリエンスを利用できます。
- ポリシー構成を保存します。
- 必要に応じて、セキュリティ グループに優先順位を割り当て直します (同一のユーザー セットに適用できるポリシー設定が 2 つ以上ある場合、優先度の高い方が適用されます)。
新しいポリシー構成を作成する場合や、既存のポリシー構成を変更する場合、変更が反映されるまでに時間がかかることがあります。具体的には以下のとおりです。
- 変更前にポリシー構成が存在していた場合、変更が反映されるまでに 90 分かかることがあります。
- ポリシー構成が存在していなかった場合、変更が反映されるまでに 24 時間かかることがあります。
Pages コンテンツの管理
Copilot Pages のすべてのページで、こちらに記載の機能がサポートされます。いくつか抜粋すると、管理用トグル、GDPR および EUDB コンプライアンス、Intune デバイス管理、条件付きアクセス ポリシー、情報バリア、カスタマー ロックボックス、ユーザー個人のごみ箱、バージョン履歴、監査ログ、電子情報開示、エクスポート、訴訟ホールド、保持ポリシー、秘密度ラベル、データ損失防止などが挙げられます。
多くの組織にとって、既定で有効な Loop エクスペリエンスの機能としてはこれ以上ないほどに充実しています。また、2024 年第 4 四半期に追加予定の以下の機能は、ガバナンス、共有、管理に高度なツールを使用している大企業の IT 管理者にとって興味深いものとなるでしょう。
- ファイル レベルの保持ラベル
- SharePoint Embedded コンテナー内のコンテンツへのプログラムによる API アクセス (ガバナンス、管理、コンプライアンスのためのサードパーティ ツールが利用可能になる)
- 秘密度ラベルを使用するテナントにおける Entra B2B 構成によるゲスト/外部アクセス
- ユーザーが所有するコンテナーを識別するための SharePoint 管理センター列
ユーザー所有の新しいストレージ コンテナー
この図は、Copilot Pages のページが保存される、新しいユーザー所有 SharePoint Embedded コンテナーを示しています。このコンテンツの有効期間はユーザー アカウントで管理されるため、ユーザーが組織から削除されるとコンテンツも削除されます。既定のタイムラインでは、最初に論理削除され (IT 管理者が復元可能)、その後消去されます。
ユーザーの退職時には、IT 管理者向けのワークフローを使用してコンテナーにアクセスし、大事なコンテンツを新しい場所にコピーすることができます。削除前に指定された Copilot Pages ページを別のユーザーが Loop アプリで確認できる機能は、2024 年第 4 四半期にリリース予定です。
ユーザー所有のコンテナーは、SharePoint 管理センターで「プリンシパル所有者」と「所有権の種類」という 2 つの列によって識別できます。コンテナーがユーザー所有の場合、プリンシパル所有者にユーザー名が設定され、所有権の種類は「ユーザー」になります。
クォータ
SharePoint Embedded ストレージのすべての使用が、テナントの SharePoint クォータのカウント対象となります。これについては、こちらのページで説明しています。
管理範囲とコンプライアンス
SharePoint プラットフォームにはコンプライアンス機能と管理機能が複数組み込まれており、Loop で完全にサポートされます。その一覧は Microsoft Learn の記事でご確認ください。以降のセクションでは、特に質問を受けることが多い項目について取り上げます。
訴訟ホールド、電子情報開示、エクスポート
.loop ファイルは、SharePoint エコシステム内の他のファイルと同様に Purview で認識され、ほとんど手を加えることなくネイティブにサポートされます。SharePoint Embedded コンテナーは、SharePoint サイトに保全措置を施すのと同じように、コンテナーの URL を使用して訴訟ホールドを有効化することができます。保全対象にするコンテンツは Purview で全文検索を使用して検索できます。さらに、Purview Premium では、.loop ファイルを含むコンテンツをレビュー セットとしてエクスポートし、オフラインで閲覧可能な .html 形式に自動変換することができます。
電子情報開示やコンプライアンス目的のエクスポートにサードパーティ製ツールを使用している場合、SharePoint Embedded コンテナー内のコンテンツへのプログラムによる API アクセスは、2024 年第 4 四半期にサポートされる予定ですのでご留意ください。
Multi-Geo
Copilot Pages のページを格納するためのユーザー所有の SharePoint Embedded コンテナーは、ユーザーが希望するデータ ロケーションに作成されます。
秘密度ラベル、データ損失防止
.loop ファイルでは、組織内での共有を制御する 2 つの方法が完全にサポートされます。1 つ目の方法は秘密度ラベルで、Copilot Pages のページごとに設定できます。Copilot が探し出したコンテンツの情報元のラベルがページに設定されたラベルよりも上位であった場合、[Edit in Pages (Pages で編集)] をクリックしてコンテンツをページに追加する際に、自動的にページの秘密度が引き上げられます。秘密度ラベルを使用すると、外部共有の権利やデータの暗号化などを制御できます。
2 つ目の方法はデータ損失防止機能です。これはセキュリティを考慮したスキャナーで、非常に機密性の高い情報を検出してすべての共有を即座にブロックし、再び活発なコラボレーションが行われる前にファイル所有者に対して情報を削除するよう促します。
監査
すべての .loop ファイルは SharePoint エコシステムに保存されるため、SharePoint イベントが記録される統合監査ログで完全な監査アクティビティを実行できます。作成、更新、読み取り、削除はすべて属性と共にログに記録されます。
ガバナンス ツール
ユーザー所有コンテナーのガバナンスは、Microsoft 365 グループや SharePoint サイト、共有された Loop ワークスペースなどの共有コンテンツよりもはるかにシンプルです。というのも、通常はユーザー アカウントで有効期限が管理され、追加の定期的なガバナンスが必要ないからです。ただし、ユーザー所有コンテナーのガバナンス構築にサードパーティ製ツールを使用している場合、SharePoint Embedded コンテナー内のコンテンツへのプログラムによる API アクセスは、2024 年第 4 四半期にサポートされる予定ですのでご留意ください。
この記事をきっかけに、お客様に組織で安心して Copilot Pages をご利用いただけるようになれば幸いです。
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