2024年11月19日 3:53 PM

充実感を持って働くカギは AI へのスマートなアプローチ

充実感を持って働くカギは AI へのスマートなアプローチ

イラスト: Patric Sandri

働き方の変革

最新のデータによると、AI へのアクセスが、従業員が権限を与えられたと感じ、活力を高め、仕事へのやりがいを見いだすうえで効果的であることがわかっています。

本ブログは、米国に公開された “The Key to a Thriving Workforce? A Smart Approach to AI” の抄訳です。


リーダーが従業員のパフォーマンスを促進する最適な方法とは? 活動が成功したかどうかを判断するための手法として、多くの企業は、エンゲージメントや財務実績などの指標を測定しようとします。こうした指標はビジネスの成功に不可欠ですが、マイクロソフトでは、従業員が充実感を持って働けているかどうかも探りたいと考えています。

「従業員を理解するうえで、その充実感が重要な指針となっています」と、マイクロソフトの従業員担当バイス プレジデントの Dawn Klinghoffer は語ります。従業員分析部門では、データを利用して、リーダーが従業員エクスペリエンスを把握、改善できるように支援しています。「私たちは、従業員が意義のある仕事を行うために権限を与えられ、活力を得ている状態を『充実感』と定義しています。従業員は毎日足取り軽く出社し、将来のチャンスに胸を弾ませているでしょうか?」

マイクロソフトでは、従業員の充実感を評価する方法の 1 つとして、全社規模で年 2 回「Employee Signals」アンケート調査を実施しています。最近の結果では、充実感の具体的なメリットに関するインサイトだけでなく、それを促進する重要な要因も明らかになりました。それが AI へのアクセスです。

充実感のメリット

マイクロソフトは、従業員が充実感を持てる企業文化の醸成に注力しています。なぜなら、社内の調査によると、そうすることで従業員が自分自身の仕事を効果的だと認識する度合いが高まるからです。また、充実感を持っている従業員は、生産性、努力、影響力といった高パフォーマンスの指標で最も高いスコアを獲得する傾向がある (英語) こともわかりました。

さらに、アンケート結果によると、充実感を持っている従業員は期待をはるかに超える働きをする傾向にあることが示唆されています。自分の仕事に誇りを持ち、転職を考える可能性も低くなります。

最新の「Employee Signals」アンケートの結果は、新時代の働き方における「充実感」が何を意味するかについて、新たなインサイトをもたらしています。マイクロソフトは、充実感を支える特に重要な要素は、「仕事にやりがいを見いだすこと」「権限を与えられていると感じること」「活力を感じること」であることを特定しました。これらのスコアが高いと、生産性の向上も顕著であることがわかりました。さらに、AI へのアクセスが、これらの各要素における高スコアと相関していると考えられます。

やりがい: マイクロソフトのデータによると、仕事にやりがいを見いだしている従業員は、職場で自分が生産的であると答える可能性が 59% 高く、人一倍努力をしていると答える可能性が 28% 高いことがわかりました。ここで重要なのは、やりがいを感じない作業に費やす時間を最小限に抑えることです。そこで役立つのが AI です。AI アシスタントは、下書きの作成や大量のデータの選別を行うほか、単に相談相手やブレインストーミングのパートナーの役割を果たして行動計画を明確にするのを支援し、負荷を軽減します。日常業務に AI を取り入れることで仕事のやりがいに関連するスコアが 20% 向上するという相関関係が見られたことは注目に値します。Klinghoffer は次のように語ります。「AI はシステムから摩擦や労力を取り除き、単調な作業を減らすために役立つことが明らかになりました。こうした単調な作業をいくらかなくすことができれば、従業員の生産性が向上し、充実感が高まることがわかっています」。

権限の付与: アンケートの結果は、AI が仕事で従業員に力を与える未来を示唆しています。「権限を与えられた従業員はリソースの制約を感じず、他者から仕事のやり方について指示されるストレスもありません。そのため、自分が望んだり、必要としたりする方法で自由に物事を進め、仕事をこなすことができるのです」と Klinghoffer は述べています。調査から、AI ツールやリソースにアクセスできることと、権限に関する質問のスコアが 34% 高くなることは関連していることがわかりました。

活力: 活力を感じていると答えた従業員は、自分の仕事に誇りを感じていると答える可能性が 44% 高く、生産性を高めるために率先して行動し、仕事で自発的に努力していると答える可能性が 22% 高くなっています。AI の利用レベルにかかわらず、AI について学ぶこと、その価値を理解すること、プロセスや製品に組み込むこと、または単に AI リソースを持つことが、活力レベルの高さに関連していることがわかりました。実際、AI を利用している従業員の活力に関する質問のスコアは、ほぼ 27% 向上しています。

これらの結果は、AI が充実感や高いパフォーマンスを促進する要因となり得ることを裏付ける確かな証拠です。しかし、企業が AI のメリットを得られるかどうかは、その提供方法によって決まります。従業員が AI を仕事で活用するための適切な知識、ツール、トレーニング、リソースを備えていれば、AI をパートナーとして、その可能性を最大限に引き出せるようになります。

「成功のカギは、AI を企業文化や学習、人材管理に及ぶように統合することです。そうすれば、最も意義のある仕事に集中するために AI がどれほど有効かを全員が理解するでしょう」と Klinghoffer は語っています。


AI で充実感を高める基本的な方法

Klinghoffer は、次の指針を常に意識するよう勧めています。

AI とのつながりを促進: 従業員、会社のミッション、AI が持つ変革の可能性を密接に関連付けます。AI 施策が会社の目標や従業員の役割とどのように適合するかを明確にし、AI プロジェクトへの貢献を評価して、それが会社と顧客に及ぼす効果を示します。

マイクロソフトのシニア HR データ アナリストである Ketaki Sodhi は次のように語ります。「会社のミッションとの強い結び付きを感じ、自分の仕事が全体的なシステムの中でどのような役割を果たしているかを理解している従業員は、充実感も高いのです。Copilot と AI に関する従業員の感情を調査したところ、こうした従業員は AI を使って日々の単調な作業を減らす方法を見つけることに意欲的でした」。賢いリーダーは、社内のこうした AI 推進派を見つけだして、サポートし、鼓舞するはずです。

インクルーシブ: すべての従業員にとって AI を使用する準備が整っていると感じられる環境を構築します。具体的には、AI に関する教育、トレーニング、リソースを提供し、イノベーションの文化を醸成し、試行錯誤できる安全な場を確保することが挙げられます。定期的な確認やフィードバック セッションを通じて、従業員が AI に関する懸念やアイデアを共有できるようにしましょう。調査によると、AI を利用する環境が整い、その可能性を探るよう促されたユーザーは、1 日あたり 11 分 (英語) 作業時間を節約できるだけでも、AI の価値を実感し始めるようになります。

集団として成長する文化の醸成: 従業員が自らの能力を最大限に発揮できる方法を判断できる文化を醸成し、一丸となって重要な瞬間 (英語) に力を注ぎましょう。従業員が 1 日の計画を立て、AI を有意義に活用する時間を確保できるような柔軟性を提供します。また、創造的かつ戦略的な業務に集中するための AI 活用法を探るよう、従業員に促します。その後、具体的な事例を取り上げ、チーム間のコラボレーションと知識共有を推進しましょう。

集団としての成長には、職務上の経験 (どのように職務内で学習するための時間や空間を生みだすか) と、その先の展望 (次に自分は何をするのか、この会社で心躍るようなキャリアを築けるのか) が含まれます。AI はこの両方を支援することができます。具体的には、従業員がより創造的な仕事に取り組むことを妨げる単調な作業を排除し、従業員のキャリアの進展をサポートします。Klinghoffer は次のように述べています。「大きな成長を実感するでしょう。従業員は新しいことに挑戦し、自分のスキルや経験を積み、キャリア アップに意欲的です。数か月前、私のチームでは別の職務に興味がある従業員に名乗り出てもらい、組織内の約 20% の従業員の異動をサポートしました」。

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