Microsoft 365 Copilot Tuning の紹介
※本ブログは、米国時間 2025 年 5 月 20 日に公開された、”Introducing Microsoft 365 Copilot Tuning” を基に掲載しています。
初期状態の LLM や検索拡張生成 (RAG) を搭載した AI ツールでは、自社特有のプロセス、用語、スタイルが理解されているわけではありません。提供されるのは、一般公開されているデータセットに基づく結果でしかなく、コンテキストの解釈が十分ではありません。AI ソリューション プロバイダーの多くは、この問題に対処するためにデータの微調整を行っています。それによって解消する点はあるものの、自社に完全に対応させるためには通常、複雑な作業が必要で、時間も労力もかかります。
Microsoft 365 Copilot Tuning では、新たな手法で組織のデータを微調整し、他のソリューションを使用した場合にかかるコストや複雑さを回避することができます。開発者は、Microsoft Copilot Studio のローコード ツールを使用して、高度に自動化された微調整「レシピ」を利用できます。このレシピでは自社データを使用してモデルをトレーニングすることが可能で、特定分野のタスクに対応するのに役立ちます。トレーニングの完了後は、エージェント ビルダー (英語) を使用して、わずか数クリックでエージェントを構築できます。このエージェントは、特定のタスク向けに微調整されたモデルにアクセスし、チャット、Teams、Word、SharePoint、Agreements ソリューション (英語) といった普段使用している Microsoft 365 アプリに簡単に統合できます。
マイクロソフトのターンキー アプローチ
マイクロソフトが採用している微調整のアプローチ (英語) では、一般に特定のタスク向けの微調整を行う際に生じる複雑な手順が効率化されます。微調整には、特定分野のエキスパート (SME) が特定したクリーンで高品質なドメイン固有のデータが必要になりますが、Copilot Tuning を支える主要なイノベーションの 1 つにその画期的なデータ収集手法があります。この ICML の査読済み論文 (英語) に記載があるとおり、マイクロソフトのデータ準備に対するアプローチを採用すれば、SME がデータセット全体をクリーンアップし、手動でのコンテンツへのラベル付けを 10% 未満まで減らすことができます。
このイノベーションには、コード開発やデータ サイエンス関連作業の必要性を低減させる効果があります。その結果、だれもが微調整を行えるようになり、専門的なビジネス タスクやプロセスに従事する人々は、その分本来の業務に集中できるようになります。以下は、このアプローチのメリットの一例です。
- データの選択が容易になります。数回のクリックで SharePoint に保存されているファイルを選択し、使用することができます。近日中には Microsoft Graph に接続されたデータも使用できるようになります。
- データの取得と処理がだれにも監視されずに行われます。つまり、処理中のどの時点でも、モデルの微調整に使用されるファイルの内容にはアクセスできません。
- アクセス リスト (ACL) が組み込まれています。微調整されたモデルは、トレーニング データに関連付けられたアクセス リストを保持し、それに基づいてデータにアクセスできるユーザーやモデルを使用できるユーザーを自動的にチェックするため、データが過剰共有される可能性が最小限に抑えられます。
- 事前定義済みタスクが含まれているため、手動でコーディングする必要がありません。現時点では、ドキュメントの生成、ドキュメントの要約、エキスパートによる Q&A 生成の 3 種類のタスクが提供されています。
Copilot Tuning の基盤となるテクノロジは今後も進化を続けていきます。実際に、今後数か月をかけてデータ ソースを追加していくと同時に、タスク ライブラリを拡張することを予定しています。
ユース ケースとパイロット版の事例
Copilot Tuning では、エキスパートによる Q&A、ドキュメントの生成、ドキュメントの要約という特定のタスクに特化した 3 つの事前構築済み「レシピ」を用意しています。それぞれ幅広く実用的に使用できます。
- エキスパートによる Q&A: SharePoint リポジトリのテクニカル サポート資料に関するトレーニングを受けたカスタマー サービス ナレッジ エージェントを構築できます。このエージェントでは、社内の専門用語や独自の頭字語が使用されている場合でも、サポート担当者の質問に対して内容豊富で詳細な回答が即座に得られます。
- ドキュメントの生成: 提案書生成エージェントを作成できます。優秀な社内 RFP のアーカイブを使用して Copilot をトレーニングし、社内で承認された形式と文体を使用して複雑な初稿を作成します。
- ドキュメントの要約と分析: 大量のドキュメントを要約し、経営陣や顧客向けの要約を作成するプロジェクト アナリスト エージェントを構築できます。その要約から主要な指標に固有のインサイトを抽出できます。
Copilot Tuning は、複数のお客様のご協力のもとで試験運用を行ってきました。世界規模のコンサルティング会社である Ernst & Young、カナダの法律事務所 McCarthy Tétrault、米国の農業協同組合 Land O’Lakes といったお客様が Copilot Tuning を活用し、それぞれの事業で長年培ってきた豊富な専門知識に基づき AI イノベーションを推進していくようすに大きな刺激を受けました。そうしたお客様の声をいくつかご紹介します。
Marna Ricker 氏グローバル バイス チェアパーソン – 税務
Ernst & Young
Matt D. Peters 氏パートナー、ナショナル トランスフォーメーション リード
McCarthy Tétrault
Jeremy Lembeck 氏ディレクター、データ & 分析
Land O’Lakes, Inc.
Copilot Tuning 早期アクセス プログラムについて
本日、早期アクセス プログラム (EAP) を通じて Copilot Tuning の提供を開始しました。このプログラムには Microsoft 365 Copilot を 5,000 シート以上保有するお客様にご参加いただけます。なお、EAP への参加をご希望のお客様には、3 つの事前構築済みタスク (ドキュメント要約、Q&A 生成、ドキュメント生成) の用途で利用されることを確認するために、追加審査を実施させていただきます。また、EAP のメリットを最大限に活用していただくために、お客様における初期の実装作業をサポートいたします。
- EAP の契約条件や課金モデルなど、詳細については FAQ ページをご覧ください。
- 保有シート数が EAP 参加の最小基準に達していないお客様は、マイクロソフトのアカウント マネージャーまでお問い合わせください。詳細を確認し、ご参加いただけるかどうかご相談させていただきます。
この EAP は今後数か月をかけて拡大を予定しています。最新情報は開発者コミュニティやメーカー コミュニティでお知らせします。
関連情報
- Build のブレイクアウト セッション 177: Microsoft 365 Copilot のタスク固有エージェント向けにモデルを微調整する (英語)
- Microsoft Learn の関連コンテンツ
- 微調整に関する Mechanics の新しい動画 (英語)
皆様がどのように活用されるのか、今から楽しみです。
Ranveer Chandra
VP、グループ プロダクト マネージャー
エクスペリエンス & デバイス
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