Microsoft Build 2025: エージェントを活用して「フロンティア (先駆的)」な職場環境を構築する方法
※本ブログは、米国時間 2025 年 5 月 20 日に公開された、”Microsoft Build 2025: How to create a “frontier” workplace powered by agents” を基に掲載しています。
Microsoft Build 2025 の開幕にあたり、マイクロソフトが掲げる、人と AI エージェントがどのように協働していくかという新たなビジョンと、既に形になりつつある取り組みをご紹介します。マイクロソフトの最新の「Work Trend Index Annual Report (英語)」では、「フロンティア企業」の登場が報告されています。フロンティア企業とは、AI、オンデマンドのインテリジェンス、人とエージェントのチームを中心に構成された企業のことです。
レポートから、フロンティア企業の従業員は、「自社は順調に成長している」「より多くのことを達成できる」「より有意義な仕事をしている」と答える傾向が高いことがわかっています。そして、多くの組織が、先駆的な企業の後に続くべく計画を立てています。レポートによれば、リーダーの 80% 以上が、今後 1 年~ 1 年半の間に、エージェントが自社の AI 戦略に中程度または大規模に組み込まれると予想しています。
こうした調査結果は、お客様とパートナー様の間で Microsoft 365 Copilot とエージェントの活用に対する機運が高まっていることの表れです。マイクロソフトのエコシステムには、エージェントを開発している数百社のソフトウェア開発企業と、基幹業務 (LOB) エージェントで Copilot を拡張している数万社のエンタープライズが含まれます。
今回の記事では、フロンティア企業による最先端の活用事例や、独自のエージェントを活用したチームの編成にお役立ていただけるリソース (英語) をご紹介し、新機能について取り上げ、開発者と IT 管理者向けの詳細なガイダンスを含む Build のセッションをご案内します。
Copilot Chat とエージェント ストアを通じて従業員とエージェントをつなぎ、生産性を大きく向上
人とエージェントが協働する新たなワークプレースの中心となるのは、Microsoft 365 Copilot アプリ内にある Copilot Chat です。Copilot Chat は、ユーザーがエージェントを見つけ、新しいデジタル チームを管理できる場所です。よく使用するエージェントをピン留めしたり、特定のタスクを支援するカスタム エージェントを手軽に作成したりして、日常的に使用するエージェントに 1 つの場所からアクセスできます。
Copilot Chat 内で利用できる新しいエージェント ストアでは、マイクロソフト製のエージェントにアクセスしたり、自社のカスタム エージェントを見つけたり、先進的なソフトウェア企業が開発したエージェントを検索したりすることができます。ストアでは、ソフトウェア企業がエージェントを収益化でき、それらのエージェントはユーザーが作業している画面に直接表示されるので、目に留まりやすく、利用も促進されます。
Build では、新しい Microsoft 365 Copilot Tuning 機能 (英語) を発表します。これは、お客様が自身のデータを使って Copilot の大規模言語モデル (LLM) をトレーニングできるようにする機能です。これにより、エージェントは詳細なコンテキストと組織に関する情報を取得し、セキュリティ、ガバナンス、管理性を損なうことなく、特定の業務分野に特化したタスクを高精度で実行できるようになります。6 月中旬より、Copilot Tuning プログラムを通じて、この機能への早期アクセスが可能です。
人とエージェントが協働するチームのパフォーマンスを測定することは、きわめて重要になります。そのため、Copilot Analytics で包括的に把握できるようにしました。IT 管理者は、Microsoft 365 管理センターの [Usage] でエージェントのレポートをチェックして使用頻度が高いものを把握し、特に効果が高いエージェントを特定することができます。
さらに、Microsoft Copilot Studio と Microsoft Viva Insights の統合のパブリック プレビューにより、リーダーはエンドツーエンドのエージェント プラットフォームである Copilot Studio を使用して構築されたエージェントの ROI 分析 (英語) を確認できるようになります。この新しい分析ダッシュボードを活用することで、エージェントの利用状況の追跡と、企業全体にわたる影響の測定を効率的に行えます。この機能を有効化するには、Microsoft Power Platform 管理センターで統合を許可してください。
マイクロソフトのエージェントのエコシステム拡大による成功事例
多くのエンタープライズが既に Copilot と LOB エージェントを利用して、主要なビジネス プロセスを自動化し、労働力を拡大し、従業員がより戦略的でやりがいのある仕事に打ち込めるようにしています。
- General Motors は、営業コンサルタントが Copilot エージェントとやり取りして、GM の車両に搭載される新しい高度な車載技術について常に把握できるようにしています。エージェントは車両情報に基づいて、利用可能な OnStar サービスに関する情報を営業コンサルタントに提供します。
- Holland America は、カスタマー サービス エージェントを活用して毎週何千件もの顧客対応を行い、高い解決率を達成すると共に、コール センターへの基本的な問い合わせを削減しています。
- Novartis の臨床研究チームは、Copilot を活用してレポート作成を効率化し、結果の分析と今後の研究の戦略策定に注力できるようにしています。
- Textron は、IT サービス管理チーム内で発生する重大な障害に関連するドキュメントの作成時間を短縮するため、一連のエージェントを開発しました。これにより、主要ドキュメントの作成における品質、完全性、応答時間の改善を目指しています。
- Verdantas の Pursuit エージェント は、企業内のデータ ソース全体にまたがるプロジェクト関連の情報を利用可能にすることで、チームを支援しています。履歴書、RFP、財務情報、顧客履歴へのアクセスを合理化し、業務効率と成約率を高めています。
マイクロソフトのパートナー様も、特定のタスク向けに Copilot の機能を拡張し、顧客の業務を支援するエージェントを開発しています。以下に、魅力的な事例をいくつかご紹介します。AI エクスペリエンスのデモ ギャラリー (英語) では、さらに多くの事例をご確認いただけます。
- Cornerstone OnDemand の CSOD agent for Microsoft 365 Copilot は、Copilot Chat 内や Word、Excel、PowerPoint などの Office アプリ内で、従業員が作業の流れに沿って学習コースを見つけられるよう支援します。
- Icertis は、ユーザーが手軽に契約を検索し、詳細を確認して、承認などのアクションを実行できるようにする、Microsoft Teams 向けの契約エージェントを開発しました。
- LSEGの Excel と連携した Workspace アプリは、金融サービスの担当者が財務データを簡単に発見、可視化、再利用できるよう支援すると共に、AI によって引き出されたインサイトと安全な Microsoft 365 ツールによって、意思決定とコラボレーションを強化し、生産性の向上を実現します。
- Moveworks agent for Microsoft 365 Copilot は、エージェント型 AI を組織のシステムと統合することで、IT や人事関連のリクエストなどのタスクを効率化し、作業の切り替えによる負担を軽減すると共に、生産性と従業員エクスペリエンスの向上を実現します。
- S&P Global のデータは Microsoft 365 と統合されており、Commodity Insights などの重要な調査情報を Copilot、SharePoint、Outlook、Teams で利用できます。これにより、日常のワークフローにおける生産性が向上し、より適格な意思決定が可能になります。
これらの事例はほんの始まりにすぎません。自律型エージェントが一般に利用可能 (英語) となった今、エージェントの活用方法はさらに洗練され、より強力なものとなっていくでしょう。自然言語で指示を出すと、エージェントがトリガー イベントを監視してそれに反応し、ワークフローを自動的に実行します。これにより、従業員や企業はますます多くのことを達成できるようになります。
Copilot Studio の新機能と MCP および A2A プロトコルのサポートにより、エージェントの可能性を拡大
Copilot Studio (英語) には、プロコード、ローコード、ノーコードの選択肢が用意されており、エンド ユーザー、製作者、開発者がエージェントを活用し始めるうえで最適なツールです。ユーザーは既製のエージェントを構成およびカスタマイズしたり、Copilot Studio エージェント ビルダーのシンプルなインターフェイスでエージェントを開発したり、自律型エージェントを作成したりすることができます。開発者は、エンタープライズ クラスのエージェントを構築するための包括的なフレームワークである Microsoft 365 エージェント ソフトウェア開発キット (SDK) (英語) を使用して、Copilot Studio で開発された既存のエージェントに機能を追加することも可能です。
エージェントがさらに高度な役割を担うようになると、外部のデータ ソース、ツール、別のエージェント ネットワークへのアクセスが必要になります。そこでマイクロソフトは、Agent2Agent (A2A) オープン プロトコル (英語) に対するコミットメントを発表しました。これは、クラウド、プラットフォーム、組織全体にわたるコラボレーションを可能にするものです。近日中にパブリック プレビューが開始され、Copilot Studio エージェントは他のプラットフォームで構築された、またはマイクロソフト以外でホスティングされた外部のエージェントを安全に呼び出せるようになります。
この新機能は、Copilot Studio の Model Context Protocol (MCP) のサポートに加えて提供されます。MCP は、LLM やエージェントと外部データやツールとのやり取りを簡素化する、もう 1 つのオープン プロトコルです。MCP を使用すると、企業は追加のツールやデータをエージェントに提供し、社内のカスタム API と外部のデータ プロバイダーを Copilot Studio に統合し、マーケットプレースにある既製の MCP 対応コネクタを簡単に活用することができます。
また、新しいエクスペリエンスのプレビューを提供する Frontier プログラムを通じて、Copilot Studio エージェント向けの「computer use (英語)」という機能をリリースします。computer use により、エージェントは GUI (グラフィカル ユーザー インターフェイス) を備えたあらゆるシステムとやり取りできるようになります。これにより、Web サイトやデスクトップ アプリは、エージェントが自律的にタスクを遂行するためのツールに変わります。computer use のプレビューは、米国内の環境で、Copilot Studio のメッセージを 50 万件購入しているお客様に向けて提供されます。
Copilot Studio の新機能に加え、Microsoft 365 Copilot API により、開発者は Copilot スタックの主要なコンポーネント (検索、チャット、会議など) を利用できるようになります。これにより、テナント境界のセキュリティを維持しながら、Microsoft 365 で組織の豊富なデータや機能を活用することができます。これらのエンタープライズ向け API は現在パブリック プレビュー中です。
Microsoft 365 でエージェントを管理する方法
エンタープライズ ユーザーがエージェントの導入を進めるにつれて、拡張可能なガバナンスがいっそう重要になります。Microsoft 365 の組み込みの管理ツールには、Microsoft 365 管理センターでの集中監視や、Power Platform 管理センターでのテストおよび開発の環境管理などがあります。また、エージェントは既定でエンタープライズ情報保護ポリシーに組み込まれています。エージェント管理に関する詳細な情報については、エージェント ガバナンスのホワイトペーパー (英語) をご確認ください。
Copilot Control System で IT 管理者向けの新しいツールも提供する予定です。たとえば、Microsoft 365 管理センターの新しいエージェント管理機能では、特定のユーザーやグループによるエージェントの使用を有効化、無効化、ブロックすることができます。6 月のパブリック プレビューでは、Microsoft Purview の AI 向けデータ セキュリティ態勢管理のアプリとエージェントのタブで、データの分類、保護ポリシー、アクセスを完全に制御し、エージェントを管理するためのダッシュボードが提供されます。
エージェントの構築と管理の方法に関する詳細情報は、Build のセッションの録画をご確認ください。
- Microsoft 365 Copilot 向けのエージェントを構築する (英語)
- Microsoft 365 エージェント SDK を使用して Microsoft 365 Copilot 向けのエージェントを作成する (英語)
- エージェント ストアのご紹介 (英語): エージェントを構築し Microsoft 365 Copilot のエージェント ストアで公開する
- Copilot コネクタとアクションにより Microsoft 365 Copilot にナレッジを追加する (英語)
- Copilot Studio で自律型エージェントを構築する (英語)
- Microsoft 365 Copilot のタスク固有エージェント向けにモデルを微調整する (英語)
Microsoft Build、エージェント、Microsoft 365 Copilot の詳細情報
マイクロソフトは、お客様やパートナー様が Copilot の拡張機能やエージェント型 AI を使用してどのようなものを生み出されるのか、非常に楽しみにしています。Build では、さらに多くのリソースやインサイトをお伝えしています。今後も、AI 活用の最前線で挑戦を続ける皆様をサポートしてまいります。
Copilot とエージェントの詳細情報については、以下のリンク先にアクセスしてご確認ください。
- Build のホームページ (英語) で詳細を確認しましょう。
- 意思決定ガイド、コード サンプル、ドキュメント、チュートリアルを備えた Microsoft 365 デベロッパー センター (英語) で、エージェントの構築を始めましょう。
- Copilot Studio と Microsoft Visual Studio でエージェントを構築しましょう。
- Copilot のエージェントを展開する方法については、こちらのページをご覧ください。
- フロンティア企業と未来の働き方の詳細については、「2025 Work Trend Index Annual Report (英語)」をご確認ください。


Join the conversation