2021年7月30日 12:20 PM

Windows 11: 次世代をデザインする

“ユーザーの使い方の考察と理解をもとに、10億人のユーザー向けて開発しています。”

投稿者: Christina Koehn、Diego Baca

Windows 11

※ 本ブログは、米国時間 7 月 13 日に公開された “Windows 11: Designing the Next Generation” の抄訳です。

思い返せば、長い年月を Windows と共に過ごしてきました。35 年の濃厚な歴史の中で、たくさんの新しい体験を通じて、コンピューターが私たちの生活にもたらした豊かさを実感された方も多いことでしょう。Microsoft Word での文書作成、ペイント(Microsoft Paint)でのデジタル アート、プログラミングなど、Windows で初めての体験をしたという方もいらっしゃると思います。

次世代の Windows をデザインするには過去を理解することも必要ですが、それ以上に欠かせないのが、現在そして将来のニーズに深く共感し、どのようにしてテクノロジでサポートできるかを把握することだと考えています。Windows 11 のデザインにあたっては、マイクロソフトではこの 1 年半を振り返りました。満たされていない要望がパンデミックによって浮き彫りになり、これまでになかった行動が活性化するなど、世界がどのように変化したかを調査しました。

さらに、夢や望みに関するユーザーへの聞き取りを行い、目標を達成のための原動力や、テクノロジに求めるコトへの理解に努めました。Windows 11 のデザインでは、ユーザーを中心に置いて、コンピューターからどのように力を与えられるか、そして、どんなことを望んでいるかを徹底的に掘り下げています。

多くの人に愛されるには、多くの人とつながらなければなりません。「人」を中心に据えることはマイクロソフトの核を成すデザイン哲学であり、私たちはその具現化に意欲的に取り組んでいます。85 以上の調査研究と何万回ものテストを行う中で、製品に慣れ親しんでいる長年のファンから、Windows をもっと使いやすく、身近なものにしてほしいという新規ユーザーまで、さまざまなユーザーのお話を伺いました。詳細については、マイクロソフトのデザイン調査のプロセスや哲学について、お伝えしている動画をご覧ください。

Windows 10 の「Metro」デザイン言語から、Windows 11 の「Fluent」へ

Windows 10 の「Metro」デザイン言語から、Windows 11 の「Fluent」へ

今回のリリースは、これまでのWindowsの歴史で最もユーザーを主体として進められており、そのデザイン思想は、調査中に明らかになった重要なテーマに基づいて組み立てられました。それは「私たちの生活を真の意味で、より良くしてくれる穏やかなテクノロジ」というテーマです。穏やかさ(Calmness)は、今、世界中で求められています。自身の能力をコントロールできていると感じられる、安心できる、信頼できる、そんな方向に向かっていると考えました。Windows 11 では、親近感を感じる、かつての押しつけがましい UI から脱却する、感情的な結びつきを促す、そうした、基礎的なエクスペリエンスを通して、穏やかさを大切にしています。このエクスペリエンスは、ユーザーが愛する家族や友人、情熱、エンターテインメント、創作活動をもたらすでしょう。Windows 11 はすべてが集まる場所であり、今、その必要性がかつてないほど高まっています。

ご多分にもれず、Windows 11 もパンデミックの影響を受けました。モバイル テクノロジの台頭により、PC の存在感は薄れていましたが、再び注目を集めるようになりました。プライベートと仕事が調和する新しいオンラインの枠組みの中で、PC が持つハードウェアの能力とその柔軟性により、自宅を始めとして、さまざまな場所から働けるようになりました。PC は、職場、家庭、学校等の場所を問うことなく、また、信頼できるツール、そして価値あるパートナーとして立ち位置から、ユーザーの小さな輝きを静かに見守っていました。

昨年は、人の可能性を実感できる 1 年だったとも言えます。大きな混乱の中で、人々はハイブリッド環境での働き方、子供たちの学習を支える方法、コミュニケーションや遊びの新しい形を日々、模索し続けました。こうしたユーザーと共に、マイクロソフトは Windows 11 のデザインの試行錯誤を繰り返し、ユーザー1人1人が大切なことに集中できる、愛されるエクスペリエンスを創り出すことに努めてきました。

さまざまな新しいアイコン、テーマ、UI、イラストをまとめたムード ボード

さまざまな新しいアイコン、テーマ、UI、イラストをまとめたムード ボード

ユーザー中心の設計

マイクロソフトの Windows デザイン チームは、クリエイティブなプラグマティズム(実用主義)をモットーとしています。10 億人以上のユーザー向けのデザインするためには、共感力が欠かせません。ニーズを本質的に理解し、全員に行き渡るソリューションを生み出すのと同時に、個々のユーザーに合ったエクスペリエンスを提供することが求められます。Windows が次の時代へと飛躍するとき、ユーザー中心の製品設計と、インクルーシブ、かつ、パーソナルなオペレーティング システムに注力することによって、進化の物語が再び語られるのです。

スタート メニューの見直し:Windows エクスペリエンスの基本となるスタート メニューは、中央の位置に移動します。スタートから始めるときに余計なノイズを廃し、効率的な操作を求める声にお応えし、頻度の高いアプリや必要なドキュメントが優先的に表示される、ユーザーを中心に据えた、クリーンでシンプルなエクスペリエンスをデザインしました。最新デバイスのフォーム ファクターにも適応し、Surface Go からウルトラワイド モニターまで、あらゆる画面サイズから容易にアクセスできるようになっています。

マイクロソフトでは、このようなデザイン上の決定は軽率にされるものではありません。チームはピクセルの 1 つひとつにこだわり、スタート メニューのロゴを新しいビジュアル言語に合わせて刷新し、アニメーションを活用することで、安心して楽しく操作できるようにしました。また、起動時にユーザーをお迎えしたときに、新しいセンターへの配置を補佐する壁紙の画像を意識的に採用して、バランスのとれた、集中力の高まるユーザー エクスペリエンスを実現します。Windows 11 への移行が、最初から文字どおりユーザー中心のものになることを願っています。

テクノロジをより人間的なものにするというマイクロソフトの取り組みは、標準のエクスペリエンスにも反映されています。最初に「ようこそ」と表示されるメッセージは、それ以降では「おかえりなさい」に変わります。全員が新規のユーザーではないので、長年、 Windows をご愛好いただいているユーザーとの関係性にも、デザインを通じて敬意を払いたいと考えています。

セットアップの際には、 PC に名前を付けることもでき、システム設定に伴って使用されるランダムな名前よりも人間らしく、ユーザー固有のものであると Windows に認識させることができます。Windows はユーザー1人1人のものであり、この設計を通じて、皆様のライフ スタイルや働き方を称えます。

新しい Windows 11 のテーマによりパーソナライズと自己表現の可能性が広がる

新しい Windows 11 のテーマによりパーソナライズと自己表現の可能性が広がる

Windows 11 は、ユーザーがどのような人物で、何を必要としているのかを記憶し、ユーザーの 1 日をナビゲートします。ワンクリックで、複数のタスクや機能に、ワークフローを中断することなくアクセスできます。この 1 年で、仕事とプライベートの境界線が見直されてきました。新しいバージョンの Windows は、ユーザーのアクティビティを整理する機能に細心の注意を払っており、状況の変化に関わらず、集中力と作業の流れが維持されるようになっています。ウィンドウの配置やスナップを再設計し、ユーザーの好みを記憶するようにしました。たとえば、ユーザーが作業を離れてニュースをチェックしても (新しいウィジェットは、ユーザーのワークフローに関連した情報が表示されるよう設計されています)、どのように作業空間を整理していたかが記憶されています。また、自宅の仕事用デスクに相当するものをデジタルでご用意しました。これにより、集中して大きな成果を上げるお手伝いをしたり、生活とのつながりを感じることが可能になります。

ウィンドウの配置やスナップにより、生産性や作業の流れを維持できる

これらの変更は、Windows がこれまで以上に一貫した体験を提供できる、洗練された新しいデザイン言語によって実現されています。よりソフトで親しみがあり、扱いやすい UI を求めるユーザーの声にお応えし、視覚的、かつ、聴覚的な表現を進化させました。角を丸くし、温かみのあるカラー パレットを採用することで、より人間的で親しみやすく、生産性を妨げないデザイン言語を構築しました。

新しい Fluent のアイコン、UI、イラスト コンテンツの一部と、Segoe UI のバリアブル フォントの例

新しい Fluent のアイコン、UI、イラスト コンテンツの一部と、Segoe UI のバリアブル フォントの例

オペレーティング システムのその先へ

多様性があり、それぞれにニーズがある 10 億人以上のユーザーのための製品を開発するには、ユーザーの声に耳を傾け、試行錯誤を繰り返し、適応していくことが大切だと考えています。ユーザーの使い方の考察に基づいて、境界をソフトにし、煩雑さをなくし、一貫性のあるデザインにすることで、Windows 11 はより人間的で使い心地の良いものになりました。また、新しい質感や書体、刷新されたカラー パレット、さまざまな好みに合うようデザインされた新しい壁紙やテーマ パックなどにより、ユーザーの自己表現の質を高めています。

Windows 11 により、単に機能的なテクノロジから、人間的で情緒のある、高度にパーソナライズされたテクノロジへと移り変わっています。Windows はオペレーティング システムにとどまらず、私たちの日常に織り込まれた生地のような存在であり、ユーザーが愛するすべてにより近づき、創り出すこととつながることのお手伝いができることを信じてやみません。

今回は、Windows 11 のデザインの経緯について、みなさまに共有しました。今後も、ユーザーの声に耳を傾け、それに基づいて改善を図りたいと考えています。ご意見やご感想がございましたら、下部のコメント欄にお寄せください。

この記事の執筆や画像の提供に協力してくれた、Danielle McCluneRachel RomanoJoline TangRodney EdwardsDiana ArcherSimone MagurnoSheetal AgarwalRalf GroeneAlbert ShumCassie KlinglerMarianna LevantSamuel Webber に感謝します。

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