2025年1月22日 11:33 AM

Microsoft 365 Copilot に従業員セルフサービス エージェントが登場

Microsoft 365 Copilot に従業員セルフサービス エージェントが登場

※ 本ブログは、米国時間 2024/11/19 に公開された “Introducing the Employee Self-Service Agent in Microsoft 365 Copilot” の抄訳です。

AI の時代となった今、従業員エクスペリエンスを改革・改善する余地は計り知れず、人事や IT の担当者にとっては最優先課題となっています。このニーズに応えるのが、従業員セルフサービス エージェント (Employee Self-Service Agent) です。これは Microsoft 365 Copilot 内の画期的な機能で、人事や IT に関するタスクの迅速化と効率化を目的として設計されています。これにより、問題をすばやく解決できるようになると共に、より直感的なユーザー エクスペリエンスが実現します。

ユーザーは Business Chat から、福利厚生や給与に関する情報を取得する、休暇を届け出る、IT 部門に新しいノート PC を申請する、Microsoft 365 の製品やサービスについてサポートを受けるといった、さまざまなことを一元的に行えます。

管理者は Copilot Studio でエージェントをカスタマイズすることができ、事前構成済みのテンプレートやワークフロー、SharePoint からの信頼できるナレッジ ソースのほか、Workday や SAP、ServiceNow といった人事および IT 分野の記録システムに接続するためのマイクロソフト製コネクタ、機密性の高いトピックに対するカスタム応答のライブラリなど、さまざまなツールとデータ ソースを使用できます。この新しいエージェントは現在プライベート プレビュー (英語)中です。

AI の時代における従業員の支援

職場に生成 AI が登場した今もなお、従業員は適切なリソースを見つけて人事や IT のサポートに関する主な問題に対処するのに苦労しています。最近の調査では、従業員の 76% が会社のリソースやガイドラインにすばやくアクセスするのは簡単ではないと感じていることが明らかになりました (Microsoft Research 2024)。

福利厚生に関する情報へのアクセス、育児休暇の申請、ノート PC の修理、Microsoft 365 の製品およびサービスの診断の実行といったタスクを行ったり、情報を入手したりする際、従業員が複数のワークスペースやシステムをまたいで操作したり、人手による介入が必要となったりすることがよくあります。これは従業員にとって時間の無駄であり、フラストレーションを感じる原因になるうえ、管理に膨大な時間とコストがかかります。

人事部門のリーダーは、こうした懸念を明確に理解しています。Gartner® の調査によると、回答者が優先している上位 2 つのユース ケースは次のとおりです。1. 人事サービスの提供: 従業員向けチャットボット (43%)、2. 人事業務の運営: 管理タスク、ポリシー、ドキュメントの生成 (42%)。IT 部門のリーダーも同様の見解を示しており、社内業務用の仮想アシスタントを AI のユース ケースの上位に挙げています (IBM AI in Action Report 2024 (英語))。

この課題に対処するため、従業員セルフサービス エージェントは Microsoft Graph (SharePoint、Teams、Outlook) をはじめとする組織のナレッジ ソースから適切なポリシーとリソースを取得し、マイクロソフト製のコネクタを介して Workday や ServiceNow などの 人事および IT サービス プロバイダーからのパーソナライズされたデータを統合します。これにより、確かな情報に基づいて、従業員から特に多く寄せられる問い合わせに 1 か所で対処できるようになります。

Employee Self-Service

従業員セルフサービス エージェントは、従業員へのサービス提供を大きく飛躍させる先進的な機能です。この機能の一環として初めに登場したのが、検索に対応した堅牢な社内サイトで、その後、手動でまとめられた質問に人事ボットが詳細な回答を返すようになりました。そして今、AI を活用した従業員セルフサービスの可能性が完全に開かれます。

従業員セルフサービス

マイクロソフトの従業員は既にその恩恵を受けており、人事関連の応答の精度が 25%、IT 関連の問題のセルフヘルプの成功率が 36% 向上しています。こちらの最新機能は現在 Chevron などのお客様にプライベート プレビュー (英語) として提供中で、2025 年始めから提供範囲を拡大する予定です。

「従業員セルフサービス エージェントの導入は、マイクロソフトとの継続的なパートナーシップとイノベーションにおける重要な要素です。これは、人事システムをシームレスに統合し、タスクをより迅速かつ効果的に遂行できるようにすることで従業員エクスペリエンスを向上させる取り組みの一部です」 Chevron、バイス プレジデント兼最高人事責任者、Rhonda Morris

機能と特長

適切なタイミングで適切に回答: 従業員セルフサービス エージェントは接続されているソースから信頼できるガイダンスを提供し、正確な回答をすばやく返します。回答には事前構成済みのものが含まれており、個々の従業員のニーズに合わせて編集することが可能です。対応するケースとしては、会社の有給休暇ポリシーの検索、精算申請、報酬の確認、休暇申請などを想定しています。

従業員セルフサービス

1 か所で操作を実行: 従業員はエージェントから直接、重要な人事タスクや IT タスクを実行できます。人事プロファイルの更新、チケットの状態の確認、休暇申請などを各自が行えるほか、マネージャーは異動申請を送信してチーム情報を更新することができます。これらはすべて Microsoft 365 Copilot Business Chat の従業員セルフサービス エージェントのインターフェイス内で直接実行されます。

従業員はエージェント

ビジネス プロセスを改善し管理コストを削減: 従業員セルフサービス エージェントを使用すると、企業は効率性や生産性を大幅に向上することができます。マイクロソフトの調査では、従来のシステムを使用する場合と比べて従業員が正確な応答を得られる可能性が 25% 向上し、ユーザーがサポート チケットを作成するケースが 49% 減少することが既に明らかになっています。

従業員セルフサービス

Copilot Studio でのエージェントのさらなるカスタマイズと強化

従業員セルフサービス エージェントは、Microsoft 365 Copilot Business Chat で標準機能として使用できるエージェントで、従業員サービスに関連する質問に特化したエクスペリエンスを提供します。この機能は、Microsoft Graph と既存のコネクタを分析して高度な知識を取得し、6 つのプロンプトを生成します。その際、管理者による構成は不要です。

従業員が差別やハラスメントといったデリケートなトピックについて質問した場合、エージェントはライブ エージェントなどのより繊細な対応が可能なところに従業員を誘導します。

Copilot Studio

Copilot Studio では、専用の管理ページから管理者が必要に応じて回答を調整し、さらにカスタマイズすることができます。

Copilot Studio

管理者は、従業員セルフサービス エージェントの検出、インストール、カスタマイズに Copilot Studio の追加ナレッジ ソースを使用することもできます。これにより、事前構築済みのワークフローを基礎として使用しながら、より正確なコンテンツやよくある質問に対する具体的な回答を厳選して収集することができるため、従業員はさらに詳細な組織固有の回答を得ることができるようになります。

従業員セルフサービス エージェント

さらに、管理者は HCM、IT、その他のサードパーティ プロバイダーへの接続を有効化し、事前構築済みのテンプレートをカスタマイズすることで、従業員セルフサービス エージェントを使用してタスクを実行できるようにすることができます。これにより、従業員は適切なタイミングで適切な回答を得て、必要な手続きをすべて Microsoft 365 Copilot で行えるようになります。

従業員セルフサービス

従業員向けの主なシナリオ

従業員セルフサービス エージェントは、信頼できるガイダンスを適切なタイミングで提供し、従業員の全体的な効率性と満足度を向上させます (英語)。主なシナリオは以下のとおりです。

  • 企業ポリシーへの迅速なアクセス: 従業員は、企業ポリシーや特定のコンテキスト (地理的な場所など) に基づき、承認済みのソースから企業ポリシーをすばやく検索して把握できるため、広範囲にわたって検索を行う必要がなくなります。
  • 人事および IT 関連チケットの状態: 従業員が同じプラットフォーム内で人事や IT チケットの作成と状態の確認を容易に行えるため、フォローアップ プロセスが効率化されます。マイクロソフトでは、M365 Copilot の従業員セルフサービス エージェントを使用できる従業員は、現在のサポート チャネルと比較して IT 関連の問題の自己解決率を 36% 向上させています。
  • 個人別データの取得: 従業員は、報酬、給与情報、有給休暇や休暇申請の状態といった個人別のデータに 1 か所からアクセスできます (情報の提供は必ず個々の従業員に限定され、プライバシーと安全性が守られます)。
  • 休暇申請: 従業員が休暇や育児休暇の申請をエージェント内から直接行えるようにします。
  • 異動申請とチーム情報の更新: 人事部門のマネージャーは、組織の変更に基づいて異動申請を送信し、チーム情報を更新できます。
  • マイクロソフト製品の IT セルフヘルプ: 従業員はエージェントに依頼して、特定の情報の検索、状況に即したインサイトの取得、診断、トラブルシューティングを代行してもらうことができます。
  • 適切なガイダンスの提案: エージェントが次に取るべき対応や質問への回答といったインテリジェントなオプションを提供し、プロセス全体を通じて従業員をシームレスに導きます。
  • 1 か所ですべてに対応: セルフヘルプに関する一般的なシナリオ向けのテンプレートを使用したりアプリを接続したりすると、プラットフォームを切り替えることなく回答を取得し、問題に関連する対応を取ることができます。

人事および IT 管理者向けの主なシナリオ

管理者の視点から見ると、従業員セルフサービス エージェントには、人事や IT に関する一般的なタスクの負荷を軽減したり、効率性を向上させたり、これまでの投資を最大限に活用したりすることができるというメリットがあります。主なシナリオは以下のとおりです。

  • 正確な情報を確実に取得: 標準機能としてプロンプトが用意されており、従業員は適切なタイミングで質問に忠実かつ適切な回答を受け取ることができます。
  • 負荷を軽減し、コストを再配分: エージェントの活用によって人事および IT 関連のチケット発行数を削減できるため、人間の担当者による管理タスクの負担が減り、チームがより戦略的な取り組みに注力できるようになります。
  • シンプルかつ安全なエクスペリエンス: エージェントはサードパーティ アプリと Microsoft Graph に広く対応しており、シンプルかつ安全なエクスペリエンスを提供します。
  • これまでの投資の活用を促進: 従業員が利用できる福利厚生やテクノロジをフル活用し、利用を促進して投資を最大限に活かします。

詳細を確認してプライベート プレビューにご参加ください

Microsoft 365 Copilot の従業員セルフサービス エージェントは、組織の従業員支援と、人事および IT に関するタスクの効率化を大幅に進歩させる機能です。

従業員セルフサービス エージェントを詳細に解説するウェビナーを 1 月 16 日午前 8 時 (太平洋時間) (英語)2 月 13 日午前 8 時 (太平洋時間) (英語) に開催します。ぜひご登録のうえご参加ください。また、プライベート プレビューにはこちら (英語) からご参加いただけます。

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