2025年6月10日 1:41 PM

Microsoft Build 2025 で発表された Microsoft 365 Copilot Tuning、マルチエージェント オーケストレーションなどを紹介

Microsoft Build 2025 で発表された Microsoft 365 Copilot Tuning、マルチエージェント オーケストレーションなどを紹介

Jared Spataro、最高マーケティング責任者、AI at Work 担当

※本ブログは、米国時間 2025 年 5 月 19 日に公開された、”Introducing Microsoft 365 Copilot Tuning, multi-agent orchestration, and more from Microsoft Build 2025” を基に掲載しています。

マイクロソフトは本日開催された Microsoft Build 2025 で、Microsoft Copilot Studio の新しいローコード機能である Microsoft 365 Copilot Tuning を発表しました。組織が自社所有のデータ、ワークフロー、プロセスを利用して AI モデルをチューニングできる機能であり、データ サイエンティスト チームに頼ることなく、数日で作業を完了することができます。また、人間の監視と指示のもとでエージェントをチームとして連携できるようにする、マルチエージェント オーケストレーションも発表しました。これらの機能はすべて、最新の AI イノベーションをすばやく低コストで安全に皆様の業務に取り入れられるようにするというマイクロソフトの戦略に基づいて開発されました。

今回の発表には、以下の情報が含まれます。

  • Copilot Tuning: Copilot Studio で企業独自のデータを使用して、ローコードでシンプルにモデルのトレーニングやエージェントの作成を実行できるようにします。
  • マルチエージェント オーケストレーション: エージェント間のコラボレーションを可能にし、より複雑な業務に対応できるようにします。
  • 他にも、開発者がより柔軟にエージェントを構築できるようにする新しいツール (Microsoft Teams の機能を含む) も発表されました。

また、春にリリースした Copilot Wave 2 の一般提供が開始され、本日からロールアウトが開始されることも発表しました。この Wave 2 には、更新版の Microsoft 365 Copilot アプリ、新しい Create エクスペリエンス、Copilot Notebook が含まれます。さらに今月は、Frontier プログラムの一環として、マイクロソフト初の業務用推論エージェントである ResearcherAnalyst のロールアウトが全世界のお客様向けに開始されます。1 新しいエージェント ストアでは、Researcher や Analyst の他にも、Jira、Monday.com、Miro などのパートナー製エージェント (英語) やお客様のカスタム エージェントをピン留めし、簡単にアクセスできるようにすることができます。

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ビジネス ニーズに応じて最新の AI モデルを調整

Copilot Tuning (英語) では、企業独自のデータ、ワークフロー、プロセスを使用してモデルをトレーニングし、Copilot Studio を使用して、コーディングなしで特定分野のタスクを高精度に実行可能なエージェントを作成できます。たとえば、法律事務所では、分野独自のスタイルと専門知識を反映したエージェントを作成して、文書作成を自動化することができます。自社のナレッジとクライアント固有のコンテキストをブレンドした文書の草案を自動で作成できるため、きわめて強力な訴訟文書を作り上げることが可能です。またコンサルティング会社では、特定分野の専門知識に基づいてエージェントを調整することができます。エージェントとデータは Microsoft 365 のサービス境界内で安全に運用されるので、マイクロソフトがお客様のデータを基盤モデルのトレーニングに使用することはありません。この機能は、Microsoft 365 Copilot Tuning 早期アクセス プログラムの一部として 6 月から提供を開始します。2

エージェントをチームの一員として連携し、独自のモデルを Copilot Studio に取り入れる

今日では、Fortune 500 企業の 90% を含む 23 万以上の組織が、Copilot Studio を使用してエージェントの作成やカスタマイズを行っています。その価値は年々増大し、2028 年までに企業の AI エージェント数は 13 億に達すると予想されています。3 そうした中でマイクロソフトは本日、人間とエージェントがコラボレーションする時代を見据えた新機能 (英語) を発表しました。

Copilot Studio のマルチエージェント オーケストレーションを使用すると、エージェント間でのデータの交換、タスクの連携、各エージェントの専門分野に基づく作業の分担が可能になります。たとえば、人事、IT、マーケティング分野のそれぞれのエージェントが、新入社員のオンボーディングを協力してサポートできるようになります。この機能は現在パブリック プレビューとして提供中です。

また、Azure AI Foundry (英語) モデルとの統合により、独自のモデルを Copilot Studio に取り入れてプロンプト作成や回答の生成に使用することができます。これによって、特定業界に特化したモデルを含む 1,900 以上のモデルの使用が可能になるため、エージェントからよりビジネス ニーズに関連した回答を得られるようになります。この統合により、マイクロソフトのプラットフォーム全体のプロコードとローコードの機能が Copilot Studio にまとめられるため、エージェントを構築する際のローコード ハブとして機能することになります。この機能は現在パブリック プレビューとして提供中です。

エージェントを非常に優秀なビジネス エンティティとして扱えるようになり、組織の ID やアクセス管理と同じく Microsoft Entra で管理できるようになりました。Microsoft Entra Agent ID を使用すると、開発者が操作しなくても Copilot Studio や Azure AI Foundry で作成されたエージェントに自動的に ID が割り当てられ、セキュリティ管理者 (英語) の可視性と制御性が高まります。この機能は現在パブリック プレビューとして提供中です。

また、データ セキュリティの強化と漏えい防止のため、Microsoft Dataverse を使用する Copilot Studio エージェントに Microsoft Purview Information Protection を拡張します。これにより、組織は大量の機密データを自動的に分類し、容易に保護できるようになります。この機能は 6 月中にパブリック プレビューを開始する予定です。

他にも以下のような Copilot Studio 機能が、この数か月間に追加されました。

  • computer use ツール (英語): エージェントに自然言語で指示し、Web サイトやデスクトップ アプリのタスクを自動化できます。
  • モデル コンテキスト プロトコル (MCP) (英語): エージェントがデータやツールにアクセスする方法を簡素化します (Dynamics 365 用 MCP サーバーも発表しています)。
  • エージェント フロー (英語): 予測可能性と一貫性を持たせながらタスクを自動化します。AI 駆動型インテリジェンスを組み込むことで、複雑化している現在の企業での用途に効率的に対応できます。
  • 深い推論: 複雑で多面的なビジネス プロセスをエージェントが遂行できるようにします。
Microsoft Copilot Studio

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開発者が求める幅広いツールに対応

エージェントを構築する際、開発者はニーズに合わせてさまざまなツールを選択できます。Copilot Studio の他にも、コードファーストの GitHub、Microsoft Visual Studio、Azure AI Foundry などに対応しています。また、マイクロソフトは今後も、エージェントの構築、連携、組織全体での拡張に役立つ新機能を継続的に提供していきます。

Microsoft 365 エージェント ツールキット (英語) は、エージェントの作成やカスタマイズに好みの AI スタックを使用できるようにするものです。これにより、プロコード ツールを使用してエージェントをより簡単かつ迅速に構築することができます。開発者は、独自のモデル、知識、オーケストレーションでエージェントを構築し、そのエージェントを Copilot や Copilot チャットで公開することが可能です。このツールキットには以下が含まれます。

  • Microsoft 365 エージェント ソフトウェア開発キット (SDK) は、Copilot、Teams、Web 上、Agent Playground 内でエージェントのテストやデバッグを行い、その後 Azure 用のスマートな既定値で展開できる便利なツールです。このツールは一般提供中です。
  • Teams は現在、コラボレーション ハブとして数億人のユーザーに利用されています。このハブをエージェントとの連携にも使えるようになりました。Teams AI ライブラリ (英語) が強化され、Teams チャット、チャネル、会議用のエージェントの構築に役立つ機能が増えました。Agent2Agent (A2A) プロトコル、エージェントとのコラボレーションを簡素化するオープン スタンダード、MCP などをご利用いただけます。Teams AI ライブラリは一般提供中です。MCP や A2A など一部の機能強化は、パブリック プレビューとして提供中です。

Microsoft 365 Copilot API (英語) は、取得、チャット、会議などの Copilot スタックの主要コンポーネントを使用できるようにする機能で、開発者はこれを使用することで Microsoft 365 内の豊富な組織データや機能にアクセスできるようになります。たとえば、Copilot Chat の機能を独自のアプリやサービスにプログラムとして埋め込むことが可能です。この API は、Copilot Control System を通じて既存のアクセス許可やコンプライアンス ポリシーに準拠します。データは Microsoft 365 内部で保持され、安全かつリアルタイムに使用できます。取得 API は現在パブリック プレビューとして提供中で、他の機能も続いて提供を開始する予定です。

Power Apps (英語) は、開発者がビジネス要件の定義、データ テーブルの生成、ソリューション アーキテクチャの設計を行うことができる単一の統合型キャンバスです。Power Apps では、自然言語を使って完全に機能するページを生成することができます。基盤となる React コードも自動的に記述されるため、アプリをすばやく直観的に構築できます。このツールは一般提供中です。

エージェント フィードは、開発者がエンドユーザー向けに設定できる新しいハブで、Power Apps でエージェント チームを管理することができます。エージェント チーム内の保留中のタスクがすべて表示されるなど、エージェントの業務に関する有用なインサイトが得られます。また、エージェントがスタックしてサポートが必要な場合などには、例外のフラグが立てられるため、リアルタイムに解決できます。この機能は現在パブリック プレビューとして提供中です。

エージェント フィード

Copilot とエージェントで AI ROI を促進

チームの能力を拡大するために、Copilot とエージェントを活用しようとするお客様が日々増加しています。前四半期だけでも、SharePoint と Copilot Studio を合わせて 100 万以上のカスタム エージェントが作成され、前四半期比 130% 増となりました。

Wells Fargo では、35,000 人の銀行員をエージェントでサポートしています。1,700 件もの手続きに瞬時にアクセスできるようになったため、検索時間は 10分からわずか 30 秒にまで短縮されました。T-Mobile では、エージェントが 20 社以上のデバイス メーカーの Web サイトに接続し、製品情報を瞬時に収集しています。また HCLTech では、エージェントによって従業員を効率的にサポートし、問題解決にかかる時間を 40% 削減し、500 名のサポート スタッフの 30% を配置替えすることができました。

本日の発表は、エージェントの構築に必要なツールを開発者に提供し、すべての従業員が Copilot で業務を効率化できるようにすること、また、Copilot Studio で構築したエージェントであらゆるビジネス プロセスを変革できるようにするというマイクロソフトの目標をさらに推進するものです。

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脚注

1 Frontier プログラムでは、Microsoft 365 Copilot ライセンスを保有するお客様に、開発中の Copilot の新機能への早期アクセス権を提供します。

2 北米、EMEA、APAC で 5,000 以上の Microsoft 365 Copilot ライセンスを保有するすべてのお客様にご利用いただけます。詳しくはマイクロソフト アカウント チームまでお問い合わせください。

3 IDC Info Snapshot、マイクロソフト委託、2028 年までに AI エージェントが 13 億に、#US53361825、2025 年 5 月。

 

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