2021年3月12日 12:45 AM

ハイブリッド ワークの時代が到来: 準備はできていますか?

Jared Spataro (Microsoft 365 担当コーポレート バイス プレジデント)

本ブログは、米国時間 3 月 2 日に公開された “Hybrid work is here. Are you ready?” の抄訳を基に掲載しています。

マイクロソフトでは、「ハイブリッド」こそがこれからの働き方だと確信しています。今後はあらゆる組織で、9 時から 5 時まで、8 時間勤務といった従来の規範にとらわれない、新しいハイブリッド型のワーク スタイルが求められるようになるでしょう。この意識の変化は一時的なものではありません。80% を超える管理職がパンデミック後は在宅ワークのポリシーがもっと柔軟になると予測し、70% を超える従業員がそれを活用することを望んでいます。この新たな世界で競争力をつけるためには、組織のリーダーが、いつ、どこで、どのように働くのかということについて柔軟性を突き詰めていく必要があります。

私が話を伺ったどのお客様も、自由度の高い、柔軟な、クラウドを活用した環境を従業員のために用意したいと考えています。同期的なコラボレーションと非同期的なコラボレーションの両方を可能にするソリューションを活用して、「どこからでも」だけでなく、「いつでも」働けるようにする方法を模索しています。これは、組織全体の動きです。IT 部門から、人事、運用、マーケティング、製造部門まで、組織の全部門のリーダーが集まって、働き方について考え直す必要があります。

新しいワーク スタイルの学び手として、マイクロソフトは働き方が変化していく中でさまざまな試みを行い、学んだことを共有してきました。今回は、世界各地に散らばる従業員が柔軟に働けるようにマイクロソフトが採用したアプローチを紹介します。この戦略には 3 つの軸があり、1 つは「優れた柔軟性で従業員を支援するための方針の策定」。そして「物理的空間の再考」。最後は「いつでもどこからでもつながり合えるテクノロジへの投資」です。

1 つずつ見ていきましょう。

優れた柔軟性で従業員を支援するための方針を策定する

今皆さんが下した決断は、今後数年間にわたって組織に影響します。明確なビジョンが不可欠なときであり、柔軟性を追求した計画とポリシーが必要です。1 つひとつの決断が、文化の醸成、人材の確保と維持、環境の変化への対応、未来のイノベーション、すべてに影響するでしょう。

多くの組織が柔軟な働き方に関して本腰を入れています。Twitter (英語) は、従業員に対してリモートワークを「恒久的」に認めると宣言しました。Dropbox (英語) は、個人の仕事に集中するためのオフィス空間を原則的に廃止し、会議やコラボレーションのための物理空間に変えることを発表しました。Spotify (英語) は、世界中どこからでも働ける勤務形態と、ニューヨークやサンフランシスコ並みの給与を提示することで有能な人材を集めようとしています。そしてマイクロソフトでは、従業員は勤務時間の 50% まで在宅勤務が可能 (英語) になりました。

従業員が柔軟に動けるようにするには、まず重要な問いに答えるところから始める必要があります。すなわち、リモート ワークが可能なのはだれか。出社する必要があるのはだれか。どのくらいの時間オフィスにいるべきか。集中して仕事をするのはいつか。その場所はどこか。共同作業についてはどうか。自然災害、地政学的な出来事、世界的な健康危機など、現状を破壊する事態が新しい日常の一部となっている世の中では、突然の変化に即応できる態勢を整える必要があります。新たに柔軟な方策を打ち出すことは、先ほどの問いに答えを出し、それを成文化し、従業員に明快な方向性を提示します。

物理的空間を再考する

優れた柔軟性の実現に向けた方針を固めたら、それに従って物理的空間を再考します。共同作業を行い、互いにつながり、ソーシャル キャピタルを築く場として、これからは物理的空間だけを頼りにすることはもうありません。とは言え、空間の重要性は変わりません。人間は社会的動物であり、集まって意見を交わし合い、対面で会うことで生まれるエネルギーを体験したいのです。これからのオフィス空間は、物理世界とデジタル世界の間を橋渡しして、チームや役割に応じた固有のニーズに応えていく必要があります。

目的のあるデザイン

マイクロソフトでは従業員に調査を行い、ソーシャル グラフからトラフィック パターンまですべてを精査して、ニーズが時間とともに変化していくことも考慮したうえで、チームが必要とする空間をどのように整備すればよいかを理解しようと努めています。オフィスに来ることがあまりない営業チームについては、出社する日または時間帯にワークステーションを予約するホテル モデルを採用しています。一方エンジニアリング チームには、専用のコラボレーション スペースやワークステーションが必要でしょう。そしてリモート ワーカーに対応するために、オフサイトのコワーキング ハブを模索しています。働き方が進化し続けていくことを前提に、どの空間も柔軟性を持たせた設計にしています。

目的のあるデザイン

物理世界とデジタル世界をつなげる

対面で一緒に働く場合とリモート ワークの間のギャップを埋めることについて考えることも非常に重要です。全員がオフィスで一緒に働くのは難しくありません。逆に全員が自宅にいながら仕事をこなしていく方法も、この 12 か月の間に見いだしてきました。一筋縄ではいかないのが、その中間、つまり一部の人たちが物理的に同じ場所にいて、別の人たちは仮想空間で参加するというケースです。

最先端の Microsoft Teams Rooms は、全員の声が聞こえ、姿が見えるよう、高品質の音声と映像を送信できる機能を搭載しています。HD 映像をストリーム配信する会議室カメラは、室内のメンバーがフレーム内に入るよう画面を最適化し、発言者の声を追います。インテリジェント スピーカーは室内でだれが話しているかを識別し、その人の名前とプロファイルが会議のトランスクリプトに表示されます。ライブ キャプション、ライブ トランスクリプション、挙手、反応、チャットなどの機能は、言葉以外の手段で、発言を遮らずに、参加者が内容を理解し議論に加わる機会を提供します。会議室と自宅の両方からアクセス可能なデジタルホワイトボードは、コラボレーションと共同作成を促進します。その場にいる従業員は Surface Hub に直接、またはスマートフォンやノート PC から入力でき、リモートの参加者も、共有されている同じデジタル キャンバスに書き込むことができます。また、インテリジェント キャプチャ カメラは、ホワイトボード上の絵やテキストをキャプチャ、フォーカス、サイズ変更、加工することができるため、ボードの前に人が立っていても、リモートで参加しているユーザーはブレーンストーミングの状況を明確に把握できます。

物理世界とデジタル世界をつなげる

これらの機能はすべて Microsoft Teams Rooms (英語) でご利用いただけますが、まだほんの序の口です。そう遠くない未来に、会議はいつでもどこからでも「そこにいる」かのように参加できる没入型の体験になっているはずです。マイクロソフトの将来のビジョンとしては、会議室のレイアウト変更に対応すること、スクリーンを複数追加して参加者/チャット/ホワイトボード/コンテンツ/メモを動的に表示すること、リモートの参加者が会議の流れに追いついて参加できるよう会議室テクノロジを強化することなどを掲げています。

いつでもどこからでもつながり合えるテクノロジに投資する

優れた柔軟性の実現に向けた計画の対象となるのは、物理的空間だけではありません。チームワークを可能にし、外出先を問わず従業員が仕事を続けられる、新たなデジタル体験を生み出すテクノロジも計画に含める必要があります。

パンデミックによりリモート ワークへの移行を強いられたとき、世界中の人々は連携して仕事を継続するために、ビデオ会議を主なツールとして利用しました。数か月の内に、デジタル会議に参加する頻度はパンデミック前に比べて 55% 増加し、それに伴いだれもがストレスや疲労感を覚えました。ビデオ会議は重要ですが 1 つのツールにすぎず、ハイブリッド ワークの土台となるコミュニケーションやコラボレーションのためのインフラストラクチャは提供してくれません。Microsoft Teams はチャット、通話、共同作業が 1 か所で行える唯一のソリューションであり、どの機能も Office アプリやビジネス プロセス オートメーション ツールと統合されています。さらに、ナレッジ ワーカーと現場の最前線で働く従業員のコラボレーションを可能にし、同期的な仕事と非同期的な仕事が自然に融合されます。あらゆる業務に対応し、組織全体の仕事の流れを支え、整理してくれる唯一のアプリです。

いつでもどこからでもつながり合えるテクノロジに投資する

マイクロソフトでは昨年 Teams に 100 を超える新機能を追加しました。どれも優れた柔軟性を念頭に開発しており、近いうちにも多数の新機能を導入する予定です。しかし、新たに台頭しつつある分散型のワーク スタイルに対応するため、さらに先を行かなければなりません。Microsoft Viva はハイブリッド ワークのために設計された最初の統合型従業員体験プラットフォームです。Teams と Viva を組み合わせれば、従業員同士をつなぎ、新たな現実に対応するのに役立つテクノロジ プラットフォームが手に入ります。

働き方は急速に進化しており、パンデミック以前の世界に戻ることはもうないでしょう。世界各国でワクチンの接種が始まっており、ビジネス リーダーは新しい働き方、すぐれた柔軟性の実現に向けた計画に動き出す必要があります。マイクロソフトはまだ手探りで学んでいる状況ですが、新しい方針、物理的空間の再構成、すべてを 1 つにつなげるテクノロジの 3 つは、どの組織にとっても必要なことです。前途多難な時代ではありますが、従業員がいつでもどこからでも互いにつながり、毎日能力を最大限に発揮できる未来は創れると、私たちは前向きに考えています。

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