2025年3月6日 9:59 AM

Microsoft 365 に新しいエージェントが登場

Microsoft 365 に新しいエージェントが登場

※ 本ブログは、米国時間 2024/11/19 に公開された “Introducing new agents in Microsoft 365” の抄訳です。

AI が進化を続ける中、人間と AI のシームレスなコラボレーションやビジネス プロセスの自動化が実現することで、私たちの働き方も一変しています。Microsoft 365 Copilot があれば、マイクロソフト アプリに統合されたパーソナル AI アシスタントを使用して、データを十分に活かした回答を得ることができます。現在マイクロソフトは、すべてのユーザーの能力を最大限に引き出すことを目的に設計された新しいエージェントを通じて、専門知識を提供し自動化を進めることで Copilot の機能を強化しています。

そして本日、Microsoft Ignite で Microsoft 365 の新しいエージェントのプレビューを発表します。これらのエージェントは、特定のタスクを自動化すると同時に、専門的なスキルと知識を追加することで Copilot の機能を強化するものです。この機能はすぐに使用することができ、チームや組織と一緒に、またはその代理として、独自の役割を果たします。単純で日常的なタスクから、複数のステップで構成されるかなり複雑なビジネス プロセスまで、さまざまなタスクに対応します。Microsoft 365 のエージェントは、あらゆる組織のビジネス価値を次のレベルへと引き上げてくれるでしょう。

エージェントを使用して知識を拡充する

組織には膨大な量の情報があるため、そこから必要な答えや有意義なインサイトを得るのは大変な作業であり、時間もかかります。また、組織が保有するデータの量は増え続けており、日々 SharePoint と OneDrive に追加されるファイルは 20 億個、新規作成される SharePoint サイトは 200 万件にのぼります。

そして本日、SharePoint に新しいエージェントが導入されます。この機能は、従業員が SharePoint データを利用して対象範囲を絞ったエージェントを使用および作成し、サイトからリアルタイムの情報とインサイトを即座に取得できるようにするものです。たとえば、新入社員が関連するガイダンスやオンボーディング資料に基づいたエージェントを使用すると、短期間で仕事に慣れることができます。また、すべての SharePoint サイトに、そのサイトのコンテンツに合わせてカスタマイズされた既製のエージェントが含まれており、ユーザーはすぐにサポートを受けることができます。これらのエージェントを使用すると、カスタマイズしたり広い範囲を検索したりすることなく、即座に回答を得ることが可能です。特定のプロジェクトやタスクに対応したい場合、SharePoint ユーザーは、選択した特定のファイル、フォルダー、サイトに基づいてカスタマイズされたエージェントをわずか数クリックで作成することもできます。

チャットでチーム メンバーをメンションするときと同様にエージェントを @ メンションすると、メールや Teams 経由で簡単に他のユーザーとエージェントを共有できます。また、Copilot Studio でエージェントをカスタマイズして、ワークフローをさらに高度に自動化したり、SharePoint 以外のデータ ソースを追加で利用したりすることも可能です。プロジェクトやサイトに進捗があった場合も、エージェントはその最新情報を常に把握します。つまり、その時点のコンテンツ ソースに基づいて、常に最新の情報を反映した回答を返します。

事前構築済みのエージェントは、SharePoint で承認されたエージェントやユーザーが作成したエージェントと共にリストの最上部に表示され、すぐに使用できる

事前構築済みのエージェントは、SharePoint で承認されたエージェントやユーザーが作成したエージェントと共にリストの最上部に表示され、すぐに使用できる

既製のエージェントを使用する場合でも、独自のエージェントを作成した場合でも、SharePoint エージェントを使用すると必要な情報やインサイトを簡単に取得できます。これにより、さらに詳細な情報に基づく意思決定、コラボレーションの強化、ビジネス プロセスの効率化などが可能になります。

この新しいエージェントは一般提供が開始されており、Microsoft 365 Copilot ライセンスをお持ちの方には今すぐお試しいただけます。また、Microsoft Copilot Studio の従量課金ライセンスを保有するテナントでは、近日中に従量課金制での提供が開始されます。SharePoint エージェントに関する発表の詳細については、こちらのブログ記事をご覧ください。

人間やエージェントとのコラボレーション

会議とチャットはコラボレーションの根幹ですが、会議の管理は面倒でコストがかかるうえ、複数のグループ チャットを追跡するのも大変で、重要な情報が簡単に埋もれてしまう可能性があります。また、会議を効率的に運営するために専任の人材を雇うのにもコストがかかります。

会議中にリアルタイムでメモが取られ、[Meeting notes] ウィンドウに表示される

会議中にリアルタイムでメモが取られ、[Meeting notes] ウィンドウに表示される

そして本日、新たに導入されるのがファシリテーター エージェント (Facilitator Agent) です。これは Teams 会議やチャット内で機能する共有エージェントで、ユーザーやチームと効果的にコラボレーションします。

Teams 会議では本日から、会議中にリアルタイムでメモを取ってくれるファシリテーター エージェントを使用でき、参加者全員がシームレスに共同編集や共同作業を行えるようになりました。これにより、全員が会議に集中してさらに積極的に参加できるうえ、会議終了前にお互いの認識を一致させやすくなります。

この機能の詳細は以下のとおりです。

  • 会議でリアルタイム メモを有効にするには、Teams のカレンダーから会議を設定する際に、AI によるメモ生成をオンにするか、会議中に [Notes] からトグル スイッチを操作してオンにします。
  • リアルタイム メモが有効になっている場合、会議チャットを通じて参加者全員に通知されます。これにより会議の文字起こしも有効化され、ユーザーにもその旨が通知される点にご注意ください。トグル スイッチをオフにすると、リアルタイム メモをいつでも無効化することができます。
  • リアルタイム メモにアクセスしたい場合は、[Notes] をクリックするとウィンドウが開きます。会話の進行に合わせて数分ごとにメモが生成され、全員がそれを見ることができます。メモはトピックとフォローアップ タスクごとに整理されます。
  • リアルタイム メモの作成中、ユーザーはキャンバス内で共同編集を行うことができます (インライン編集やユーザーへのタスクの割り当てなど)。メモには、AI によって生成されたものか、ユーザーがコンテンツを編集したものかを示す属性も表示されます。
  • 会議終了後、ユーザーは会議の [Recap] タブからメモにアクセスできます。このメモは、リアルタイム メモを有効にしたユーザーの OneDrive に保存されます。
  • 会議メモは会議の文字起こしを背景として作成されるため、会議の内容との関連性が高く、会議で議論された主なトピックやフォローアップ項目が正確に反映されます。
会議室前面に表示される Microsoft Teams Rooms のホーム画面から、臨時の会議でリアルタイム メモを有効化できる

会議室前面に表示される Microsoft Teams Rooms のホーム画面から、臨時の会議でリアルタイム メモを有効化できる

リアルタイム メモはリモートでの参加者向けに設定された会議でうまく機能しているため、このエクスペリエンスを Microsoft Teams Rooms にも拡張する予定です。2025 年の初めから、Microsoft Teams Rooms を会議に招待して、会議室にいる全員がリアルタイム メモを見ることができるようになります。また、臨時の会議でも、オフィスにいる人が会議に参加してリアルタイム メモ機能を有効化し、議論した内容を記録できるようになります。

現時点で提供している機能はリアルタイム メモのみですが、ファシリテーター エージェントに追加のタスクを任せられるようになれば、さらに効果的な会議が実現するでしょう。最終的には、議題の管理からメモの作成、会議の進行、アクション アイテムの管理や完了まで、ファシリテーター エージェントが会議をエンドツーエンドで管理するようになる予定です。

グループ チャット内で AI によるメモ生成が有効化されており、最新の発言までのまとめが表示されている

グループ チャット内で AI によるメモ生成が有効化されており、最新の発言までのまとめが表示されている

本日より、Teams チャットで会話の進行中にファシリテーター エージェントを利用して、重要な情報の最新サマリー (主な決定事項、アクション アイテム、懸案事項など) を作成、保持できるようになります。これにより、グループは重要事項に集中し、迅速に足並みを揃え、懸案事項を効率的に解決できます。

この機能の詳細は以下のとおりです。

  • AI によるメモ生成は、チャットを新規作成すると自動的に有効になります。既存のチャットでは [Notes] アイコンからトグル スイッチを操作してオンにすることができます。
  • メモが有効になっている場合、グループ チャット内で参加者全員に通知が表示されます。トグル スイッチをオフにすると、メモをいつでも無効化することができます。
  • メモにアクセスしたい場合は、チャットの右上隅にある [Notes] アイコンをクリックするとチャット スレッドの概要を示すウィンドウが開き、決定事項、アクション アイテム、未回答の質問をトピックごとに整理したものが表示されます。
  • チャットの会話が進むと、それに合わせてメモが継続的に更新されます。

会議やチャットで使用できる新しいファシリテーター エージェント機能は、本日から世界中のお客様に向けてパブリック プレビューが開始され、デスクトップ版 (Windows/Mac)、Web 版、iOS/Android 版 (閲覧のみ) でご利用いただけます。

パブリック プレビューのご利用には、Microsoft 365 Copilot ライセンスが必要です。

人間やエージェントとのコミュニケーションの架け橋

だれもが即座に理解できるような、普遍的な方法でコミュニケーションを取ることは困難であり、国際的な会議では多くの場合通訳サービスが必要となります。さまざまな会議で通訳者を手配していると、すぐにコストが膨らんでしまいます。

そして本日、新たに導入されるのが通訳エージェント (Interpreter Agent) です。これにより、ユーザーは Teams 会議で音声から音声へのリアルタイム通訳を有効にして、自身が選択した言語で話したり聞いたりできるようになり、言語の壁を即座に克服できます。より包括的なエクスペリエンスを実現するために、ユーザー自身の声を再現して通訳してもらうことも可能です。この機能は、標準中国語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語 (ブラジル)、スペイン語の 9 つの言語からサポートを開始します。

通訳エージェントは 2025 年の初めにパブリック プレビューが開始される予定です。ご利用には Microsoft 365 Copilot ライセンスが必要となります。

エージェントでプロジェクトやタスクの管理を効率化

プロジェクトの管理は大変な業務です。タスクの進行状況を把握し完了させるプロジェクト マネージャーの雇用が必要になることも多く、複数のプロジェクトが進行していると膨大なコストがかかる場合があります。また、業務において遂行すべきタスクは常に無数にあるため、そのすべてを追跡するのは困難であり、完了させるのはさらに困難であることは言うまでもありません。

agents

そして本日、新たに導入されるのがプロジェクト マネージャー エージェント (Project Manager Agent) です。このエージェントは、計画策定からタスクの遂行まで、プロジェクト管理におけるすべての工程を自動化し、ユーザーやチームをサポートします。プロジェクトが長期にわたるものでも短期的なものでも、プロジェクト マネージャー エージェントを使用すれば新たな計画をゼロから自動作成できるほか、事前構築済みのテンプレートに目標を入力するだけで作成することも可能です。Planner で計画が作成されると、プロジェクト マネージャー エージェントが、タスクの割り当て、進捗状況の追跡、リマインダーと通知、ステータス レポートといったプロジェクト全体の工程を監督してくれます。さらに、コンテンツ作成などのタスクを遂行することもできます。そのしくみを詳しく見ていきましょう。

プロジェクト マネージャー エージェント

プロジェクト マネージャー エージェントには、Teams の Planner アプリ内から直接アクセスします。アプリを開くと、エージェントを使用して AI 対応の新しいプランを作成できます。このプランはゼロから作成することも、調査レポートや競合分析といった事前構成済みテンプレートを使用して作成することも可能です。

設定したプランは、名前を付けたり、ピン留めしたり、Microsoft 365 グループを使用してユーザーを追加したりできます。Microsoft 365 グループには、組織内の任意のユーザーをメンバーとして追加することができます。プランが作成されたら、目標を入力します (具体的なものにすることをお勧めします)。プロジェクト マネージャー エージェントがプランと関連タスクを構築する際に参照するための追加リソースとして、任意の関連ファイルを追加することも可能です。なお、ここで追加したファイル以外のあらゆるデータにエージェントがアクセスすることはできないという点にご注意ください。つまり、追加の情報を求めてユーザーのグラフを検索することはありません。

Planner

[generate tasks] をクリックすると、プロジェクト マネージャー エージェントは目標の達成に向けて果たすべきタスクのリストを作成し始めます。これらのタスクは、エージェントに割り当てて完了させたり、プランに参加している他のメンバーに割り当てたりすることができます。タスクがプロジェクト マネージャー エージェントに割り当てられると、エージェントはすぐにタスクを開始します。その進捗状況は ボード ビューで追跡できます。

generate tasks

タスクに何らかの追加入力が必要になると、そのタスクは [Needs your input] 列に移動され、タスクを進行するために内容を更新するようチーム メンバーへ通知が送られます。タスクが完了すると、[Completed with Project Manager] 列に移動されます。

Completed with Project Manager

チームは、プロジェクト マネージャー エージェントが完了させたタスクとコンテンツの出力を確認できます。このコンテンツは簡単に編集可能で、ユーザーがコメントとしてフィードバックを追加できます。たとえば、コンテンツを要約する、表形式にする、ナラティブ形式で書き直すといったことをエージェントに指示できます。

さらに、チームでのブレーンストーミングやアイデア出しの際に内容を視覚化したい場合は、Planner 内で Microsoft Whiteboard を使用することができます。Whiteboard では、付箋機能を使用してアイデアやタスクを書き留めておくことができ、セッションが完了するとこれらの付箋はタスクに変換され、プラン内でプロジェクト マネージャー エージェントによって更新されます。この変換プロセスでは、それぞれの付箋のテキストを基に対応するタスクが作成され、タスクのタイトルには付箋と同じテキストが使用されます。これは、視覚的に共同作業を行い、アイデア出しからその実施までをシームレスに進めたいと考えているチームにとって特に便利な機能です。

Microsoft Planner

プロジェクト マネージャー エージェントは、バックグラウンドで特定の機能を実行する複数のエージェントのセットで構成されています。Microsoft Planner のプロジェクト マネージャー エージェントは、こうした複数のエージェントを調整し、タスクを効率的に完了させてユーザーが目標を達成できるようにします。

これらの新しいエージェント機能は、北米のお客様向けに本日からパブリック プレビューの提供を開始し、その他の地域では 2025 年前半の間にロール アウトされる予定です。これらの機能は、デスクトップ版または Web 版の Teams から Planner アプリ経由で使用できます。

新しいプロジェクト マネージャー エージェントのパブリック プレビューのご利用には、Microsoft 365 Copilot ライセンスが必要です。

エージェントで従業員による自己解決を支援

関連する企業ポリシーや、人事および IT のサポートを探す作業は面倒でストレスがたまるものであり、単純なタスクを完了したり、不明点を解決したりするのに無駄な時間を使わされることが珍しくありません。

そして本日、新たに導入されるのが Copilot Business Chat の 従業員セルフサービス エージェント (Employee Self-Service Agent) です。この機能を使用すると、従業員は有給休暇の時間の記録や IT ヘルプデスク チケットの発行といった、人事や IT に関する主要なトピックについての回答をリアルタイムで取得し、対応できるようになります。このエージェントは企業のナレッジ ソースやシステムに接続されており、従業員が適切な情報を確実に得られるようにすると共に、組織がサービス提供プロセスを改善し、管理コストを削減するのに役立ちます。

ユーザーは Business Chat から、福利厚生や給与に関する情報にアクセスする、休暇を届け出る、IT 部門に新しいノート PC を申請する、Microsoft 365 の製品やサービスについてサポートを受けるといった、さまざまなことを一元的に行えます。管理者は Copilot Studio でエージェントをカスタマイズすることができ、事前構成済みのトピックやワークフロー、SharePoint などの信頼できるナレッジ ソースのほか、Workday や SAP、ServiceNow といった人事および IT システムに接続するためのマイクロソフト製コネクタ、機密性の高いトピックに対するカスタム応答のライブラリなど、さまざまなツールとデータ ソースを使用できます。これにより、確かな情報に基づいて、従業員から特に多く寄せられる問い合わせに 1 か所で対処できるようになります。

Business Chat

この新しいエージェントは現在プライベート プレビュー中で、ご利用には Microsoft 365 Copilot ライセンスが必要です。従業員セルフサービス エージェントの詳細については、発表時のブログ記事をご覧ください。プライベート プレビューへの参加をご希望のお客様は、こちら (英語) からお問い合わせください。

今後の展望

お客様は常に、組織の非効率性、コストの上昇、イノベーションの必要性の高まりといった課題に直面されているかと思います。Microsoft 365 の新しいエージェントを使用すると、こうした課題に対処するための新たな方法を直接体験していただけます。エージェントは、従業員が価値の高いタスクに集中できるようにするだけでなく、ユーザーの能力を高めることもできます。これにより、これまでにないほどの創造性を発揮し、より良い意思決定を行えるようになるほか、イノベーションを加速させ、最終的には従業員が新たなスキルを習得してビジネスの成長が促進されるというメリットを得られます。

この変革の時代において、エージェントがどのようにして AI との共同作業やビジネス プロセスの自動化を推進するかを示すマイクロソフトの取り組みは、まだ始まったばかりです。今後数か月の間に Microsoft 365 のエージェント機能のプレビューをさらに拡大し、お客様による働き方の改革を支援します。

ご紹介したエージェントが実際に動作しているようすは、今週の Ignite の以下のセッションでご覧いただけます。

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